2024-05-21

現代の日本

ドル高だから「ドルが紙屑」にならないわけではない、円安だから日本が没落するわけではない

ドル円相場も乱高下が予想される。かつてのような不自然な円高はないかもしれないが、円安一辺倒というわけではないと考えてよいのではないだろうか。長期的には円安の流れが継続するように思われるが、短期的な為替相場はまったく予想がつかないということだ。ドル高だから「ドルが紙屑」にならないわけではない、円安だから日本が没落するわけではないそもそも米国が繫栄した時代はドル安だった円高時代の始まり私の「投資ビジネス」との関わりは、上田ハーローで外国為替取引を始めたことからスタートした。それ以来、おおよそ40年の歳月が流れたわけだが、常に感じていたのは「外国為替相場の『合理的(論理的)』将来予想は困難である」ということだ。例えば、昨年12月26日公開「これから円高か?円安か?プラザ合意以来の円高局面は半世紀単位で転換したのだろうか」冒頭「固定相場制とニクソンショック」で述べたように、1949年に1ドル=360円の単一為替レート(固定相場)となった。その後、1971年のニクソンショック(金・ドル交換停止)を経て、1973年に1ドル308円の固定相場制から変動相場制に移行した。リチャード・ニクソン元米大統領...
日本の文化

人間教育としての国語教育 ~『“とっちゃん”先生の国語教室』から

No.1093 人間教育としての国語教育 ~『“とっちゃん”先生の国語教室』から「人生を考えはじめている青年と共に考える。ということは、実に当然、国語教師のしなくてはならない事柄である」■1.「ひたすら国語教師たるの道を求めつづけられた」“とっちゃん”先生、こと、桑原暁一先生はある都立高校の国語教師を20年間勤めた人物である。この本の前書きには、こう紹介されている。__________ 桑原さんは、一高文科を経て、東大文学部国文学科といういわば世にいうエリートコースを進んだ学究であったが、生涯を通じて栄達などには目もくれず、ひたすら国語教師たるの道を求めつづけられた。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 桑原先生は昭和48(1973)年3月に退職された後、わずか2ヶ月後には逝去される。まるで国語教師を辞めたら、もうこの世には用がない、とでも言うようだ。ところが、その数年後、ある美しい機縁から、その遺稿が見つかり、出版されたのである。 桑原先生の無二の親友だった教育学博士・元佐賀大学教授の副島羊吉郎先氏が、桑原先生からの来信を見直していると、昭和三十年二月二十九日の手紙に「『人間教育としての国語教育』を...