現代の欧州

英欧だけに露敵視させる策略

英欧だけに露敵視させる策略2025年3月20日   田中 宇今日は、昨日書いた記事よりもさらに一段深い、トランプの別の策略が見えてきたので書いてみる。トランプ(と米国の隠れ多極派)は、これまで米国にとりついて世界規模で覇権運営してきた諜報界の英国系を、米国から追い出す代わりに、欧州だけを英国系の活躍の場として残すことにした。(米露ウクライナ停戦の策略)これまで英国系は米英覇権維持のため、世界を巻き込んで、ロシア(ソ連中国)と恒久対立する冷戦構造や、イスラム組織を敵視するテロ戦争の構造を作ってきた。ウクライナ戦争も、米英覇権(米国側)がロシア(など非米諸国)と恒久対立する英国系の策だ。トランプは、英国系がロシアと恒久対立する構造そのものは残すことにした。ただし、米国はこの構図から出ていく。(Trump looking to give up US command of NATO)(Paris & London Want To Drag NATO Into War, Medvedev Says)米国にいた英国系は、DOGEの監査などで抑止し全滅させる。民主党やCIA、マスコミ、USAID、リ...
現代の世界各国

米露ウクライナ停戦の策略

米露ウクライナ停戦の策略2025年3月19日   田中 宇3月18日にトランプとプーチンの米露大統領が電話で首脳会談し、ロシアとウクライナが相互のエネルギー関連(などのインフラ)施設を攻撃しない30日間の停戦や捕虜交換などを決めた(エネルギー以外のインフラ施設も停戦対象とも読み取れる)。ウクライナ開戦以来初めての停戦が始まったと騒がれているが、停戦は部分的で、軍事状況を大きく変えるものでない(政治状況は変える)。(Trump, Putin agree on ‘energy and infrastructure ceasefire’)相互の軍事拠点などインフラ施設以外への攻撃は今後も続く。露軍はすでにウクライナの送電網のかなりの部分(大半?)を破壊しており、停戦はこの点であまり効果がない。今回の停戦は、ウクライナ側に露本土の施設を無人機やミサイルで攻撃させないことが中心のように見える。ロシアに有利だから、プーチンはこの停戦案を飲んだとか。(The Putin-Trump call was a resounding success - whatever was said)ウクライナ軍は疲弊...
現代の世界各国

ウクライナ停戦とその後

ウクライナ停戦とその後2025年3月13日   田中 宇トランプの米国が、ゼレンスキーのウクライナと交渉して30日間の停戦案をまとめた。トランプは、2月末に訪米したゼレンスキーとの会談が喧嘩になるように仕掛け、米国からウクライナへの軍事諜報(GPSなど)や兵器の供給を止めてウクライナ(や背後にいる英欧)軍を戦闘不能に陥れ、ウクライナが米国の言いなりで停戦を受け入れるように仕向けた。(ゼレンスキーを騙し討ち)(What a 30-day ceasefire means for the war)ゼレンスキーは当初、停戦の見返りに米国から守ってもらう約束をとりつけようとしていたが、2月末にトランプと喧嘩させられて以降、弱い立場に落とされ、米国からの軍事支援を回復してもらうだけで精一杯だった。トランプはウクライナへの軍事支援の再開を約束したが、これから30日間の停戦に入るので、その間、軍事支援は行われない。その後どうなるかは不透明だ。(米欧同盟を機能停止したトランプ)プーチンのロシアが停戦案を拒否して話を潰すのでないかと報じられている。私の予測だと、プーチンは停戦案に賛成する。なぜなら、プーチ...
現代の欧州

西洋文明の危機:西洋全体はもはや存在しない

西洋文明の危機:西洋全体はもはや存在しない欧州大西洋地域の結束は、米国とEUの関係悪化と「ロシアのウクライナ軍事作戦問題に関するかつては結束していた大西洋横断戦線への打撃」に変わった。ロシアでは、西側諸国を欧州大西洋連合、つまり米国と西欧諸国の同盟として理解するのが通例だった。今日、この同盟がもはや存在しないことは明らかだ。双方には多くの相違点があり、まず第一にウクライナ紛争に対する立場だ。トランプ氏は和解を望んでいるが、欧州諸国の大半は戦争継続を望んでいる。さらに、両者を分断する問題は他にも数多くある。ヨーロッパは技術革新においてアメリカに大きく遅れをとっており、ジェンダー問題では両者の立場は正反対であり、相違点のリストはまだまだ続くだろう。NATOはもはや米国にとって拡大の手段としては興味がない西ヨーロッパの首都では、普遍的な嘆きが始まった。何をすべきか、アメリカのリーダーシップなしでどうやって生き残るのか?多くの観測筋は、北米と西欧を結びつける北大西洋同盟の運命を懸念している。トランプ大統領は繰り返しNATOの活動に不満を表明し、欧州のパートナーが自国の安全保障に対する財政的責任...
生命科学

まさか…生命と非生命が「区別できない」とは…! それでも地球型生命に2つの「絶対必要な分子」があった

まさか…生命と非生命が「区別できない」とは…! それでも地球型生命に2つの「絶対必要な分子」があった生命を定義することの難しさ生命を定義しようとする試みは、多くの研究者によってなされてきました。いま述べたように生化学系の研究者は、生体内で反応が進行すること、ひとことでいうと「代謝」を重視することが多いようです。一方、分子生物学者は、DNAを重んじることから「自己複製」を重視する傾向があります。ほかには、オパーリンのように外界との「境界」の存在を重視する人もいます。また、前回の記事でご説明したようにシュレーディンガーは、エントロピーという物理量から生命を定義しようとしました。シュレーディンガーは、エントロピーという物理量から生命を定義しようとした近年では、「進化」を重視するようになってきている傾向があります。米国ソーク研究所のジェラルド・ジョイス(1956〜)は、RNAの試験管内分子進化の研究で有名ですが、生命を「ダーウィン進化しうる自立した分子システム」と定義しました。これはNASAの「生命の定義」に採用されています。一方、20世紀の終わりには、生命を定義すること自体の問題点も指摘され...
現代の米国

マスク氏、オバマ政権時代の「狂気の」偽情報作戦を非難

マスク氏、オバマ政権時代の「狂気の」偽情報作戦を非難連邦政府は2016年から「メディア検閲組織」と協力して公共の言説を操作していたとされる。ファイル写真:ワシントンDCの米国国務省本部。©  Kevin Dietsch / Getty Imagesイーロン・マスク氏は、外国の偽情報と戦うという名目で米国民を沈黙させようとしたとされる連邦政府の取り組みを「狂気」と評した。米国務省の一部であるグローバル・エンゲージメント・センター(GEC)は、バラク・オバマ大統領の下で2016年に立ち上げられ、2024年12月に閉鎖されるまで運営されていた。GECは、保守系擁護団体アメリカ・ファースト・リーガル(AFL)が木曜日に発表した調査の対象となっている。報告書は、ワシントンの海外政治プロジェクトへの主な資金提供元である米国国際開発庁(USAID)、英国外務英連邦開発省(FCDO)、そしてポインターやニュースガードを含むさまざまな「メディア検閲組織」とのGECのやり取りを精査した。両組織は偽情報の監視機関を自称しており、ニュースガードは創設者や役員に元CIA職員がいることを誇っている。AFLによると...
現代の日本

誰が活断層NT9を消したのか

誰が活断層NT9を消したのか能登地方では2020年12月以降、群発地震が観測されてきた。最大震度1以上の地震は2021年   70回2022年  195回2023年  241回発生。3年間合計で506回。このなかで、22年6月に震度6弱、23年5月に震度6強の地震が発生した。そして、2024年1月1日には最大震度7の地震が発生した。これに先立って東京大学地震研究所は2013年に「日本海地震・津波調査プロジェクト」を始動。プロジェクトは日本海側の震源断層モデルを示した。昨年1月1日の震度7の能登半島地震後の1月22日、午後7時のNHK定時ニュースに東京大学地震研究所の佐竹健治教授が出演。能登半島北側ならびに西側海底断層に関して警告を発した。佐竹教授らの研究グループが警鐘を鳴らしたのは能登半島北側海域ならびに西側海域海底に存在する〈NT2〉から〈NT9〉の7つの活断層(NT7を除く)のうち、NT3とNT9が1月1日の能登半島地震でほとんど動いていないことだった。いわゆる活断層の「割れ残り」で、研究グループは今後、NT3とNT9の活断層が動き、マグニチュード7クラスの地震を発生させる可能性が...
現代の日本

高すぎる議員報酬が間違いの元

高すぎる議員報酬が間違いの元自民党の金券腐敗政治の闇が深い。金券=商品券を配っていたのは石破茂首相だけでない。石破首相でさえこれまでに10回程度の金券配布を認めている。歴代の首相は「法令に基づき適切に対応してきた」とするだけで、金券配布を否定しない。〈金券配布政治〉という〈金権腐敗政治〉。裏金も金券も日常茶飯事だったことが分かる。日本で政治はビジネスだ。「金儲け」のために政治をやっている。一部の野党は金儲けのために政治をやっていない。しかし、与党のみならず、野党の一部でも「金儲け」のビジネスとして政治をやっている者が多い。このような政治を一掃する必要がある。大きな問題が三つある。第一は議員の処遇が高すぎること。第二は企業献金を認めてしまっていること。第三は財政支出が利権補助金まみれであること。財政のしくみと政治のしくみが薄汚れた金まみれなのだ。これらの制度を根本から刷新する必要がある。まずは議員報酬が高すぎる。本来、議員は国民に奉仕する仕事。金儲けの仕事でない。薄給とまでは言わずとも中所得の報酬でよいはずだ。国税庁が公表している民間給与実態調査は所得階級別の給与所得者数を公表している。...
現代の米国

米大統領にイランを軍事攻撃させようと画策しているネオコンのエイブラムス

米大統領にイランを軍事攻撃させようと画策しているネオコンのエイブラムス アラブ首長国連邦で大統領外交顧問を務めるアンワル・ガルガシュは3月12日にイランのセイエド・アッバス・アラグチ外務大臣と会談、その際にドナルド・トランプ米大統領からの書簡を手渡した。イランに対して新たな核合意に関する協議に参加するよう促す内容で、当初、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官から渡されたと伝えられていたが、ロシア政府はメッセンジャー役を断ったようだ。 ​ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領府報道官はブルームバーグに対し、「アメリカとイランは交渉を通じてすべての問題を解決すべきだとロシアは考え」、ロシア政府は「そのために全力を尽くす用意がある」と述べた​という。そこでトランプ大統領はロシア政府に仲介を頼もうとしたのだろうが、拒否されてしまった。イランの最高指導者であるアリ・ハメネイは書簡を受け取る前、トランプが「約束を守らないとわかっているのに、交渉する意味などあるだろうか」と語っている。 イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は親米派と言われている。昨年5月にエブラヒム・ライシー大統領やホセイン・アミール...
現代の欧州

ブラックロックの元重役、メルツ独首相が選挙公約に背いて多額の負債

ブラックロックの元重役、メルツ独首相が選挙公約に背いて多額の負債 アメリカのネオコンが仕掛けたロシアとの戦争をイギリス政府だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドの政府はそれを継続しようとしている。ドイツの新首相、フリードリヒ・メルツは選挙公約を投げ捨て、ロシアとの戦争を続けるために多額の負債を国民に追わせることを決めた。 勿論、こうした国の他にもロシアとの戦争へ向かっている国がある。そのひとつが2023年4月にNATO加盟国になったフィンランド。フィンランドのNATO加盟に対抗するため、ロシアはレニングラード軍管区を編成した。 当時、同国の大統領だったサウリ・ニーニストはロシアに対する敵対的な発言をしている事で知られているが、現大統領のアレクサンデル・ストゥブは「国際法の範囲内」という条件付きで、西側諸国から提供された武器でウクライナ軍がロシア領土を攻撃することに問題はないと語る。そのストゥブはウクライナへの武器供給政策の拡大を提唱している。フィンランドという国自体が反ロシアになっているように見える。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるエストニア人のカヤ・カラスもロシアと...
生命科学

なぜ、ショウジョウバエとヒトの形は大きく異なるのか?この疑問から、生物のボディプランと進化の速度を考え直してみると!

なぜ、ショウジョウバエとヒトの形は大きく異なるのか?この疑問から、生物のボディプランと進化の速度を考え直してみると!カンブリア紀の脊椎動物と節足動物動物は(研究者によって多少異なるが)35個ぐらいのグループに分けられる。それぞれのグループは「門」と呼ばれ、独自のボディプランを持つことで区別されている。それらの中でもっとも繁栄しており、かつもっとも身近なグループは、「脊椎動物門」と「節足動物門」だろう。脊椎動物門は私たちヒトが属しているグループだし、節足動物門は非常に種数が多い昆虫を含むグループだ。そして、脊椎動物門も節足動物門も、すでにカンブリア紀(約5億3900万年前~約4億8500万年前)には現れていたことが知られている(ちなみに、かつて脊椎動物は「門」の下の分類階級である「亜門」とされていたが、最近は「門」とすることもある)。上・脊椎動物「ミロクンミンギア」(Andrew Dalby)、下・節足動物「エオレドリキア」(Ghedoghedo)たとえば、中国雲南省のカンブリア紀の地層(約5億2000万年前)から産出した澄♯江{チェンジャン}生物群には、脊椎動物であるミロクンミンギアと...
現代の欧州

ロシアと戦争する道を歩み続けようとするヨーロッパのチキン・ホーク

ロシアと戦争する道を歩み続けようとするヨーロッパのチキン・ホーク アメリカとロシアの政府代表が週明け直後にサウジアラビアで会談、ウクライナ情勢などについて話し合うと伝えられているが、ロシア側の要求に変化があるとは思えない。ドナルド・トランプ政権は中東情勢を絡めてロシアから譲歩を引き出そうとしているようだが、簡単ではないだろう。 ロシアは西側諸国に対し、NATOの東への拡大を止めること、モスクワを標的にできる攻撃システムをロシアの隣国へ配備しない法的な保証をすること、NATOなど西側諸国によるロシア国境近くでの演習を禁止すること、NATOの船舶や航空機はロシア国境から一定の距離より内側へ入らないこと、定期的に軍同士が協議すること、ヨーロッパに中距離核兵器を配備しないことなどを求めている。ネオ・ナチの排除も求めるだろう。 ネオコンがウクライナで始めた対ロシア戦争はロシアの勝利が決定的な情勢であり、しかも2024年5月に任期が切れたウォロディミル・ゼレンスキーをロシア政府は正当な交渉相手と考えていない。ドナルド・トランプ大統領はウクライナでの戦争を終わらせたいのであれば、まず情報や兵器の提供...
科学論

宇宙がらせんや渦巻きで満ちている理由がエントロピーの理論から示唆される

宇宙がらせんや渦巻きで満ちている理由がエントロピーの理論から示唆される自然界には植物のつるや渦潮、DNAの二重らせん構造など、らせんや渦巻きあるいは環状構造になったものが数多く存在します。情報量のことを指すエントロピーについての新たな研究から、「なぜ自然界が渦巻きやらせんにあふれているのか」という疑問の答えが示唆されました。A covariant tapestry of linear GUP, metric-affine gravity, their Poincaré algebra and entropy bound - IOPscienceWhy does nature love spirals? The link to entropy人類の知の歴史においては、それまでの物の見方が劇的に変わるパラダイムシフトがたびたび起こりました。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学で重力や量子の相互作用について研究しているアネタ・ヴォイナル博士と、アメリカのエセックス・カウンティ・カレッジの理論物理学者であるアフメド・ファラグ・アリ氏らの研究チームは、そんなパラダイムシフトのひとつとして、イ...
日本の歴史

共生と循環の縄文文化

JOG(134) 共生と循環の縄文文化約5500年前から1500年間栄えた青森県の巨大集落跡、三内丸山遺跡の発掘は、原日本人のイメージに衝撃を与えた。■1.三内丸山遺跡の衝撃■ 約5500年前から1500年間、縄文時代前期から中葉にかけて栄えた青森県の巨大集落跡、三内丸山遺跡の発掘は、原日本人のイメージに衝撃を与えた。高さ10m以上、長さ最大32mもの巨大木造建築が整然と並び、近くには人工的に栽培されたクリ林が生い茂る。新潟から日本海を越えて取り寄せたヒスイに穴をあけて、首飾りを作る、等々。 縄文時代といえば、従来は、たとえば次のように描写されていた。__________ 今から2400年前、水田による稲作が北九州に伝わった。中国の稲作が、おもに朝鮮半島南部から、人々の移住とともに伝わったのである。米づくりが始まると、人々は採集や狩りのくらしから、計画的に食料を生産するくらしに変わり、定住して生活するようになった。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ すなわち、文明化されたシナから稲作が伝わる前は、日本人は定住もせずに、狩りをしたり、貝や木の実を採集して、原始的な生活を送っていた、というのである。 最...
米国の歴史

JFK暗殺に関する文書の機密解除で明らかにされない情報

JFK暗殺に関する文書の機密解除で明らかにされない情報 アメリカの国立公文書館は3月18日、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺記録コレクションに含まれ、これまで機密扱いのため公開されなかった文書のうち約6万3000ページをウェブサイトにアップロードした。今後、さらに文書が公開される予定になっている。ドナルド・トランプ大統領は就任直後にケネディ大統領、ロバート・F・ケネディ上院議員、公民権運動家マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの暗殺に関連する政府文書の機密解除を求める大統領令に署名していた。 しかし、一般的に言って、最高機密に属す事実の決定や命令は口頭だけで行われ、それに準ずる情報は文書化されていても問題化すれば速やかに廃棄されてしまう。今回の機密解除で決定的な情報が明らかになる可能性は小さいが、想定外の場所から重要な文書が出てくることもあるため、公開を嫌がる人も少なくないはずだ。JFK暗殺の場合、CIAはイスラエルの情報機関に関する情報の開示に異議を唱えていたとされている。 1963年11月22日にダラスで暗殺される前、ケネディ大統領は強大な勢力と緊張関係にあった。 例えば、大統領に...
現代の日本

地下鉄サリン事件から30年、しかし真実は未だ闇の中

地下鉄サリン事件から30年、しかし真実は未だ闇の中オウム事件は、サリンなどの散布での殺人、つまりは犯罪である。犯罪なるものは、各種の欲望から生まれる、窃盗、強盗、詐欺、横領、背任、強姦、あるいは、恨み辛みから生じる、殺人、傷害、暴行等で、犯罪には、必ず動機なるものが存在するものである。しかし、このオウム事件に関しては、さっぱり動機が見えてこない。ハルマゲドン、地球最終戦争と言われても、そんなものが犯罪の動機であろうはずがない。麻原教祖は昔はニセ薬売りで、九州の暴力団組長のマッサージ師もしていたとか、そんな、お方が多くの人々から尊敬され、事件の首魁とは、どう考えても理解に苦しむところである。小さな教団であったオウム真理教が急に信者が増えたのは、元赤軍の早川氏がT協会から20人を連れて来てからのこと。ここから一気に信者が千人近くになった。どんな組織でも力の背景となるものは金である。私が一番わからないのは村井氏刺殺事件である。村井氏は何で殺されなければならなかったのか。以前、マスコミによるオウムの資産についての質問に、正直な村井氏は、一千億円と答えた。これには私も驚いた。まさか、地方での土地...
現代の世界各国

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演《下》

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演《下》ヤヌコーヴィチ政権を転覆させたクーデター「マイダン革命」がくり広げられたキエフのマイダン広場(2014年2月)「マイダン革命」からウクライナ戦争へジェフリー・サックス氏 2014年、アメリカはウクライナのヤヌコーヴィチ政権を打倒するために積極的に動いた。コロンビア大学の同僚ビクトリア・ヌーランド(米国務次官補)と、アメリカの駐ウクライナ大使ジェフリー・パイアットの電話が傍受されたことはすでに誰もが知っている。これ以上の証拠はない。ロシアは通話内容を傍受してインターネット上に公開した。ぜひ聞いてほしい。 興味深いことに、この件に関与した彼らは全員、バイデン政権下で昇進した。これが「仕事」なのだ。「マイダン革命」(ヤヌコーヴィチ政権打倒のクーデター)が発生した直後、私は連絡を受けた。「サックス教授、新しいウクライナ首相が経済危機についてあなたと話したがっている」と。私はすぐにキエフへ飛び、マイダン広場を案内された。そして、いかにアメリカがマイダン周辺にいたすべての人々のために資...
生命科学

だってそれ、結局「神様のやったこと」にしてないか…? 量子力学で「高名な物理学者」の言葉に噛みついた「生化学者のこだわり」

だってそれ、結局「神様のやったこと」にしてないか…? 量子力学で「高名な物理学者」の言葉に噛みついた「生化学者のこだわり」コアセルベートと「化学進化」1935年、モスクワにソ連科学アカデミー・バッハ記念生化学研究所が設立されると、オパーリンはその副所長に就任し、植物の加工などについての実務的な研究を行う傍ら、生命の起源の考察も進めていきました。そして1936年には、前著の小冊子『生命の起原』を大幅に拡張した『地球上の生命の起源』を発表します。少しくわしい人は、オパーリンというと「コアセルベート」を連想し、それについて書かれたのは1924年の『生命の起原』であるという印象を持っているかもしれませんが、コアセルベートが登場するのは、この1936年版が初めてです。というのは、オランダの化学者H・G・ブンゲンブルク・デ・ヨングが「コアセルベート」という命名をしたのが1929年だからです。前述のようにオパーリンは、コロイド溶液を生命のもとと考えていました。しかし、この溶液は、他の物質を加えるなどすることにより、コロイドが高濃度に集まった部分と低濃度の部分の2つに分離することがあります。これをコア...
現代の日本

米国の戦略に従い、対中国戦の準備を「粛々と」進める日本政府

米国の戦略に従い、対中国戦の準備を「粛々と」進める日本政府 ​共同通信は3月16日、日本政府が九州における陸上配備型長距離ミサイルの配備を検討していると報じた​。緊急事態の際に敵の標的を攻撃する「反撃能力」を獲得する取り組みの一環だという。そのミサイルとは、射程距離が約1000kmの12式地対艦誘導弾能力向上型で、配備は2026年3月に始まるとされている。 21世紀に入ってからアメリカは世界制覇に向かい、本格的に動き始めた。日本ではすでに自衛隊が沖縄への配備を進めている。2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設したのに続き、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。これはアメリカの軍事戦略に基づくもので、中国や朝鮮を攻撃する準備にほかならない。今後、南西諸島の周辺へアメリカ軍とその装備を移動させる可能性がある。 その軍事戦略を​アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は2022年の4月に説明している。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を公表した​のだ。アメリカはヨーロッパでロシアとの国境近くにミサイルを...
現代の日本

悪意か無能か。アメリカから資金援助を受けた組織の「中国サゲ情報」を垂れ流す日本メディアに問われる存在意義

悪意か無能か。アメリカから資金援助を受けた組織の「中国サゲ情報」を垂れ流す日本メディアに問われる存在意義大統領に返り咲いたトランプ氏が設置し、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)。そんなDOGEがさっそく打ち出した政府機関であるUSAID(アメリカ国際開発局)の事業見直しは、日本国内でも大きく報じられました。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では著者の富坂聰さんが、USAIDの大幅な事業縮小騒動で期せずして明らかになったアメリカの対中工作の実態を詳しく紹介。その上で、米国の資金援助を受けた組織が発信する情報を垂れ流してきた日本メディアに対しては、極めて厳しい目を向けています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:カネをもらって反中工作の研究所 トランプ2.0で価値を問われる日本メディアアメリカが現した馬脚。「トランプ2.0」で価値を問われる日本メディア第2次トランプ政権(トランプ2.0)に世界が振り回されている。ホワイトハウスが矢継ぎ早に繰り出す関税や対外政策の波に、関係国は木の葉のように揺れ続けている。ウクライナを容赦...
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