2024-05-10

日本の文化

大和言葉の世界観

日本語は歴史的に中国や西洋の概念用語も積極的に取り入れつつ、最先端の科学技術論文にも使われている現代的な論理的言語となっている。と同時に、その根源にある大和言葉は太古の日本人の世界観・人生観をそのままに伝える詩的言語である。  言葉と国柄とは、お互いに支えあうもののようだ。「祖国とは国語」という言葉が改めて思い起こされる。 No.559 大和言葉の世界観 「鼻」は「花」、「目」は「芽」。大和言葉には古代日本人の世界観が息づいている。 ■1.目と芽、鼻と花、歯と葉■  目と芽、鼻と花、歯と葉、耳と実(み)、頬と穂(ほ)。顔と植物の各パーツが、まったく同様の音を持つ言葉で呼ばれているのは、偶然だろうか? 万葉学者の中西進氏の説によれば、これらは語源が共通しているからだと言う。漢字にすれば、まったく別の言葉のように見えるが、古代の日本人は、顔のパーツも植物のハーツも、「め」「はな」「は」「み」「ほ」と同じように呼んで、同じようなものと考えていたようだ。 たとえば、鼻は顔の真ん中に突き出ている。同様に「花」も、植物の枝先の先端に咲く。そして岬の端も「はな」と呼ぶ。薩摩半島の「長崎鼻」がその一例...