日本女性の矜持 ~『女子の武士道』から
「おなごは大地のようなもの」 その国民の元気、気風のいかんは、またおのおのその母の感化によるものとすれば、母としての婦人は、実に国家の元気、気風を自分の双肩に担って立つものと申さねばなるまいと思います。 「おなごは大黒柱を支える大地」 日本女性の矜持 ~『女子の武士道』から ■1.「おなごは大地のようなもの」 「おなごは大地のようなもの」。明治22(1889)年生まれのセツは父親からそう聞かされて育った。幕末の会津戦争の際、セツの父親はまだ幼児で、そのまた父と二人の兄は北上してくる新政府軍を迎え撃つために出立した。 __________その際の、母じゃの見事なことよ。どっしり構えて笑顔さえ浮かべておった。そんなことがあってから、わしはおなごというのは大地のようなものだと思うようになった。 大黒柱というが、しっかりした良い大地であらねば立っていられるわけがあるまい。一家の大黒柱を受けとめて、その大黒柱を堂々たらしめんのは、おなごにかかっておる。それをよう憶えておくのであるぞ。大地とならんために学び、おのれを鍛錬するのだ。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ そう父から聞いたセツは、喜びを抱いた。 __...