米ビッグテックのCEOが陸続と日本の首相官邸を表敬するのは何故だ?

現代の日本

米ビッグテックのCEOが陸続と日本の首相官邸を表敬するのは何故だ?

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和八年(2026年)4月7日(火曜日)
       通巻第9230号  <前日発行>
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 高市詣で。主要国の政治家ばかりに焦点が充てられているが
   米ビッグテックのCEOが陸続と日本の首相官邸を表敬するのは何故だ?
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 高市政権の誕生以来、外国首脳の「高市詣で」が続いている。G7メンバーでは伊太利亜、カナダ、英国、そしてトランプ大統領は来日時に迎賓館で、3月には高市首相が訪米し、日米同盟の進化を唱えた。4月にはマクロン仏大統領が訪日し、ドラゴンボールで挨拶した。ドイツを除くG7以外にも韓国大統領、インド首相ら目白押しである。

 さて政治家の影に隠れているが、“もっと重要な”(?)「高市詣で」が続いている。米大手テクノロジー企業の幹部が陸続と首相官邸を訪問しているのだ。
これは前政権のおりもオープンAI、アルトマンCEOの表敬訪問があった。高市自民党総裁誕生直後にアンソロピックのアモディCEOが、そして首相となって以後、マイクロソフト、グーグル、オラクル、アマゾン、TSMCのCEO(高市著作も持参して)、この会見は或る意味、産業界の構造的な戦略的変化を示すものである。
すなわち米国は最先端半導体の生産基地に台湾集中は地政学的リスクがあり、代替できる拠点として日本への再評価という戦略的判断が背後にある。TSMCは熊本で生産を開始したが第二工場は予定の8ナノを飛ばしていきなり3ナノ半導体生産に踏み切る。

そして3月5日、シリコンバレーとホワイトハウスを結ぶ黒幕、パランティアのピーター・ティ-ル見参となった。パランティアは国防、とくに傍聴、行動予測分析などでペンタゴン、CIAと契約を結んでいるが、日本での狙いは防衛省、海保、警察庁あたりだろう。

 イーロン・マスクはまだ高市表敬の機会がないが、高市政権誕生直後に「素晴らしい」と高く称賛した。このマスクの日本礼賛動機を具体的にみよう。
 彼はEVテスラ、ロボット、スターリンク、そしてX-AIと手広く、しかもいずれも世界最先端を驀進する企業経営で知られるが、そのビジネスは日本なくして成り立たないのである。

 第一に半導体、日本は年内に2ナノ半導体生産を開始する。これはテスラの自動運転などに欠かせない。テスラは自動車販売では苦戦を強いられているが、ロボットに次の力点を置いている。半導体はAI高度化の基礎にしてロボットでは頭脳にあたる。

 第二に日本のカメラ、レンズ技術は世界最高であり、スマホに内蔵されたカメラは普遍的だ。軍事転換すれば、ミサイルの眼である。自動運転にも欠かせない。

 第三にスクリーン、液晶パネル技術で、これも次世代自動車、さらに無人自動車には欠かせない。パソコンの画面とはことなりAI連動の立体的な画面処理が必要になる。
 EVには致命的となる次世代技術の中核となるものが日本にある。

 ▼日本の強みは全固体電池だ

 第三に電池の拠点は日本にある。EVの中枢は電池である。日本は液体を含まない全固体電池開発で、CALTを凌ぐ製品を2029年に供給開始する予定である。従来のリチウム電池はEVの心臓であるが、電池に液体が使われていて、これが爆発事故を起こす。BYDがしょっちゅう燃えるのは、電池が未完成品であり、コストの40%を占め、車底部分の大半を占拠し、小型化、固定型が急がれていた。

トヨタは過去10年間、この全固体電池の研究開発に没頭してきた。充電10分、走行距離1000キロ、実現すれば現在のBYDやテスラのEVは「スマホに取り残されたガラケー」になる。
トヨタが出光興産、住友金属鉱業と取り組んで来たのはリチウムではなく硫化物を材料として、はやければ2027年発売のトヨタレクサスに搭載される。無論、BYDも、VWも同様な試作を繰り返しているが、トヨタはこの方面だけで1000件の特許を抑えた。イーロン・マスクがトヨタの豊田章雄社長と慌てて会見した理由も、そのへんに理由がある。

 第五に精密部品はなんといっても日本なのである。ベアリングから精密機械部品、ミクロン単位のファイバー、物作り日本でしか精密部品の安定供給は望めない。

 米国は中国へ先端技術供与をとりやめ、サプライチェーンも中国依存度を劇的に低減させ、スマホの組み立てなどはベトナム、インドへ移転させている。しかし中枢部品は米国生産では不可能、ものづくり体制は脆弱となって、ステルス戦闘機も潜水艦も軍艦も、日本の部品に依拠している。

 アメリカが強いのは根幹となる頭脳部分の設計とビジネスモデルの先行にあり、日本人が発明したコンピュータソフトなどは巧妙に疎外された。
政治的に日本は「アメリカの保護国」であり外交と防衛は追随を続けざるをえず、経済的には「アメリカのATM」、そしてAI開発では「デジタル小作人」と言われた。
 日本は、いつまでも「アメリカのATM」、「デジタル小作人」の位置に甘んじているわけではない。自尊心が再生されつつあるのが、近年の保守化へのダイナミックな流れ、その象徴が高市政権の登場だったのである。

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