現代の中国

現代の中国

純粋に「国内で培養された人材だけ」で開発。中国製AI「DeepSeek」は何を証明したのか?

純粋に「国内で培養された人材だけ」で開発。中国製AI「DeepSeek」は何を証明したのか?日本は見誤っている。中国製AI「DeepSeek」の秘めたるパワー今週、世界を騒がせた大きな話題といえば、何といっても中国発の人工知能(AI)モデル「DeepSeek」だろう。技術で先行するアメリカ発のAIに比べて「安価で高性能」だったことがよほどショックだったのか、米半導体大手・エヌビディアの株価を1日で17%も下落させ、1日で時価総額5,890億ドル(約91兆円)を吹き飛ばしてしまった。世界が激しく反応したことで「DeepSeek」を初めて知ったという日本人も少なくなかったはずだ。しかし、本メルマガの読者は、すでに2週間前に「DeepSeek」の高い性能について取り上げてきたので、馴染みのある話題であったはずだ。【関連】「奴らにリードを許すな」トランプも強く警戒。中国がAI技術で“アメリカ最大の脅威”になる日メルマガ読者には復習になるが、少し振り返っておこう。取上げたのは、バイデン政権の対中戦略の目玉としてAIをターゲットに対中輸出規制が行われてきたことを説明する流れのなかだ。中国のAI技術...
現代の中国

中国の技術力が米国を上回っていることを証明する画期的な出来事

中国の技術力が米国を上回っていることを証明する画期的な出来事中国が新たに発表したDeepSeek AIモデルは、効率性では米国製のChatGPTに匹敵しますが、コストははるかに低くなります。これは、米国の類似技術と比較して、中国がよりコスト効率の高い技術的ソリューションを提供している一例にすぎません。宇宙:中国の嫦娥6号が月の裏側から史上初のサンプルを回収することに成功した一方、米国は国際宇宙ステーションから宇宙飛行士2人を帰還させようと奮闘している。量子コンピューター: 2020年、中国の九章は量子超越性を達成した最初の光子量子コンピューターとなりました。九章2.0と祖中智2.1により、中国は引き続きこの分野のトッププレーヤーとなっています。量子通信:中国は2016年に世界初の量子通信衛星「墨子号」を打ち上げた。2024年には中国とロシアの科学者らが3,800キロメートルを超える距離での量子通信をテストした。ロボット: 中国の Unitree Go2 四足ロボットと G1 ヒューマノイド ロボットは、ボストン ダイナミクスのより安価な代替品として、ロボット工学における世界のリーダーシ...
現代の世界各国

「DeepSeekショック」は氷山の一角。中国の技術力を舐めすぎた欧米と日本は、ここから何度もショックを経験する

「DeepSeekショック」は氷山の一角。中国の技術力を舐めすぎた欧米と日本は、ここから何度もショックを経験する=高島康司DeepSeekは、本当に「スプートニク的瞬間」か?生成AIのチャットプログラム「DeepSeek」が公開された。ユーザー登録すると誰でも無料で使える。これがいま「スプートニク的瞬間」と呼ばれる大きなショックをアメリカのIT業界に引き起こしている。1月27日、ニューヨーク株式市場でAI関連銘柄が大きく売られ大暴落した。AIの開発を主導しているハイエンド半導体の製造企業「エヌビディア」の株価は17%も下落し、その時価総額は1日でおよそ6,000億ドル、日本円でおよそ92兆円減少した。これは、アメリカ史上最大の下落である。NVIDIA CORP<NVDA> 日足(SBI証券提供)このショッキングな下落の背景は、中国のAI開発企業「DeepSeek」が低コストで開発した生成AIが、アメリカのAI産業の優位性を揺るがしかねないとの見方が広がり、AI関連銘柄が大きく売られたからだ。「DeepSeek」は、中国のヘッジファンドマネージャーである梁文峰が設立したスタートアップが開...
現代の中国

AI界の革命「中国発ディープシーク生成AI」の衝撃 トランプ2.0のAI政策を揺るがす

AI界の革命「中国発ディープシーク生成AI」の衝撃 トランプ2.0のAI政策を揺るがす中国のAI企業DeepSeak(写真:ロイター/アフロ) 2023年に創設したばかりの中国AI企業の新星ディープシーク(DeepSeek)が今年1月20日にリリースしたオープンソース大規模言語モデルDeepSeek-R1(生成AIモデル)が、世界に衝撃を与えている。破格的な低コストで、現在世界最強の大規模言語モデルOpenAI-o1に相当あるいは凌駕する性能を示している。そのためアメリカでは一時的にAI関連企業の株価の暴落が起きたほどだ。 このままではトランプ2.0のAI政策が揺らぐ。 ディープシークとは何者か? アメリカの対中制裁が生んだAI界の革命は、今後の米中バランスを変えていく。◆DeepSeek-R1がもたらした衝撃と、トランプのみごとな対応 1月23日、イギリスのNature(ネイチャー)がChina’s cheap, open AI model DeepSeek thrills scientists(中国の安価でオープンなAIモデルが科学者をワクワクさせる)という見出しで、中国が1月20...
現代の中国

中国は、シリコンバレーのライバルよりも無料で高速で人類にとってより良い強力なAIモデルをリリースした

中国は、シリコンバレーのライバルよりも無料で高速で人類にとってより良い強力なAIモデルをリリースした米国と中国はAIの覇権をめぐる極めて重要な競争を繰り広げているが、米国は中国を何倍も上回る支出を行っている一方で、このアジア諸国が高度なコンピューティングハードウェアを入手する能力に対する制限はほとんど影響を及ぼしていないようだ。高度な大規模言語モデル DeepSeek R1 はユーザーを魅了し、評論家を驚かせ、AI 嫌いの人々から賞賛を得ています。杭州を拠点とするテクノロジー系スタートアップの新モデルは、数学と推論のベンチマークで OpenAI の o1 を上回り、コーディングと複雑な問題解決では Meta の* Llama 3.1 と OpenAI の GPT-40 を圧倒しました。このモデルはローカルで無料で実行でき、API へのアクセスは競合他社の料金のほんの一部で利用できます。このセットアップのトレーニングには560万ドル(GPT-40の場合は7,800万ドル)の費用がかかったと報告されており、米国の規制によりパフォーマンスが制限されたチップが使用されている。この規制により、よ...
現代の中国

中国に甘いトランプ大統領 就任式から見える心情と揺れる弱点

中国に甘いトランプ大統領 就任式から見える心情と揺れる弱点就任式後に大量の大統領令に署名するドナルド・トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ) 大統領選挙中、あれだけ強烈に「中国のすべての輸入品に一律60%の関税を課す」と息巻き、当選後は合成麻薬フェンタニルに関して10%の追加関税をかけると主張していたのに、大統領就任後は対中関税の即時実行はしないことになってしまった。 もっとも、就任演説直後では、合成麻薬フェンタニルに関しカナダとメキシコには25%の関税を2月1日から課すと明言しながら中国には言及しなかったのに、翌日の1月21日(日本時間22日)になると、この10%に関しては「検討する」と変わった。   親中のイーロン・マスクの影響が強すぎ、国務長官に指名されているマルコ・ルビオ上院議員など閣内反中強硬派からの反論があったからかもしれない。 本当は「習近平愛」を抱いていて、イーロン・マスクと共鳴するトランプ大統領の対中心情と、対国民へのアピールとして反中強硬派で固めた人事配置には矛盾がある。そのバランスをうまく取れるのだろうか? 習近平側としてはイーロン・マスクが要職に就いている限り...
現代の中国

中国がGDP成長率発表 数値に疑問を呈した中国のエコノミストの正当性は?

中国がGDP成長率発表 数値に疑問を呈した中国のエコノミストの正当性は?GDP(写真:イメージマート) 1月17日、中国の国家統計局は2024年のGDP成長率を前年比「5.0%」と発表した。昨年末、中国の国有企業である国投証券股份有限公司(SDIC)の主席エコノミスト高善文氏は「中国政府が発表するGDP成長率は疑わしく、実際には2%位しか成長していない」という趣旨の発言をした。その発言が正しいのか否かを検証する。◆中国の国家統計局が2024年のGDP成長率は「5%」と発表 1月17日、中国の国家統計局は<2024年経済運営穏中有進(穏やかな中にも進歩) 主要発展目標順調に実現>という見出しで、昨年のGDP成長率などに関して発表した。 それによれば、以下のようになっている。  ●GDP絶対値(全体の総額):1349084億元(2870兆円)  ●GDP昨年比成長率:5.0%   第一次産業増加値:91414億元(194兆円)、成長率:3.5%   第二次産業増加値:492087億元(1047兆円)、成長率:5.3%   第三次産業増加値:765583億元(1629兆円)、成長率:5.0%...
現代の世界各国

トランプ大統領に直面している中国とラテンアメリカは、さらに強い関係を求めるかもしれない

トランプ大統領に直面している中国とラテンアメリカは、さらに強い関係を求めるかもしれない彼の最初の任期は、ラテンアメリカ諸国を米国の価値観や同盟から遠ざけ、中国に向かわせたと広く見なされている。2024年にペルーで開かれた経済会議に出席する習近平国家主席。写真:カナダプレスドナルド・トランプ氏が2024年11月の大統領選挙に勝利した数日後、中国の習近平国家主席はラテンアメリカ全域への「外交電撃作戦」の一環としてペルーの深水港の開港式に出席した。習近平主席の存在は、この地域における中国の影響力の高まりの象徴だった。中国が資金提供(34億ドル)したチャンカイ港は、中国とペルーの関係拡大を象徴している。両国はまた、自由貿易を拡大する協定にも署名した。習近平主席は、これは中国の一帯一路構想の海上版の始まりであり、世界の貿易と影響力を拡大するものだと語った。トランプ政権はペルーを含む地域の多くの国に対して対決姿勢を選択した。これが最終的にペルーを中国との同盟関係を深める方向に導いた。北京は有利な貿易協定と投資を通じて、ワシントンよりも信頼でき有益なパートナーとしての地位を確立する機会を見出していた...
現代の中国

落ち着き払う習近平。トランプ再登板という「巨大な変数」を前に中国が焦りを見せぬ2つの理由

落ち着き払う習近平。トランプ再登板という「巨大な変数」を前に中国が焦りを見せぬ2つの理由2013年の国家主席就任以来、習近平氏が毎年行っているテレビ演説「新年賀詞」。2025年はトランプ氏が大統領に返り咲くとあって習主席の言葉に注目が集まりましたが、その内容は予想に反して落ち着いたものとなりました。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂さんが、習近平氏に焦りがみられなかった背景を解説。さらに中国の目が日本から離れる当然の理由を記しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:2025年の賀詞、トランプ政権始動前の米中関係を習近平政権はどう見ているのか目立ったのはある種の自信。習近平「新春賀詞」から読み取れるもの昨年末の中国の習近平国家主席の新春賀詞(2025年版)は、随分落ち着いた内容だった。不可測性が指摘され、閣僚候補にも対中強硬派をずらりと並べた第二次トランプ政権の発足を前に、中国の賀詞は警戒心と対抗心をむき出しにした内容になるかと予想された。しかし、世界は肩透かしを食ったようだ...
現代の中国

日本の鉄鋼を潰して中国の世界トップを維持させるバイデン大統領のUSスチール買収禁止令

日本の鉄鋼を潰して中国の世界トップを維持させるバイデン大統領のUSスチール買収禁止令日本製鉄(写真:ロイター/アフロ) 1月3日、バイデン大統領は日本製鉄(日鉄)によるUSスチール買収を禁止すると発表した。これにより日米の鉄鋼業は衰退し、世界トップを走る中国の鉄鋼の地位をより確固たるものにするだろう。アメリカは「国家安全保障を脅かす」として、かつて「日の丸半導体」を沈没させただけでなく、今回もまた同じ理由で、今度は日本の鉄鋼をも沈没させていくことになる。それによって相対的に発展するのは中国だ。 こんなことでいいのか? アメリカのこの精神性は日米の衰退をもたらすだけではないのか? 1月6日夜、日鉄は米政府を提訴した。◆バイデンがUSスチール買収禁止令を出したのは「大統領のメンツ」のため 1月20日にはトランプ2.0がスタートするのだから、もう今さら大きな政策決定などしなければいいのに、バイデンは「最後の追い込み」とばかりに「日本製鉄によるUSスチール買収をブロックする」という声明を1月3日に発表した。大統領選中ならば、票集めのための人気取りとしてまだ理解できるが、もう民主党は敗退したのだ...
現代の中国

習近平はトランプ2.0に輸出報復措置を準備しているのか?

習近平はトランプ2.0に輸出報復措置を準備しているのか?習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ) 今年1月2日、中国の商務部は輸出入管理に関して規制を強化すべく、その調整(=修改正)方法に関してネットでパブリックコメントを募った。リチウム電池製造などで世界のトップを行く民間企業などを含めたネット民の意向を聞いてから輸出入管理修改正を決めるというプロセスも興味深いが、何をどうしようとしているのかを詳細に見ることによって、習近平政権の対米報復措置の一端が見えてくる。◆新華網通知:「中国の輸出禁止・輸出制限技術目録」修改正に関しパブリックコメントを募る 1月2日、中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」は、<「中国の輸出禁止・輸出制限技術目録」修改正に関しパブリックコメントを募る>という通知を出した。 通知では、技術輸出入の管理を強化するために、「中華人民共和国対外貿易法」および「中華人民共和国技術輸出入管理条例」の関連規定に基づき、商務部は、科学技術部など各部門と連携し、「中国の輸出禁止・制限技術目録」を修改正し、調整を行う予定とのこと。今回の目録調整では、「技術項目を 1 つ追加し...
現代の中国

なぜ「ロケット軍」に集中しているのか? 中国軍高官腐敗

なぜ「ロケット軍」に集中しているのか? 中国軍高官腐敗中国人民解放軍軍旗(中国のネットより) 中国人民解放軍高官の腐敗摘発が止まらない。しかもなぜか「ロケット軍」に集中している。注目すべきは習近平の側近も摘発されていることだ。これは日本が大合唱をしてきた「習近平は政敵を倒すために反腐敗運動をしている」という主張が、いかに間違っていたかを証拠づけるものとして注意を喚起したい。 本稿では、なぜ腐敗が「ロケット軍」に集中しているのかを考察する。◆腐敗摘発された中国人民解放軍高官のカテゴリー まずは、2023年から立て続けに断行されている中国人民解放軍高官たちの腐敗による摘発に関して、「腐敗分布図」を図表1に描いてみた。あまり馴染みのない人名に関して文章で説明するよりも、いかなる軍種、いかなる部局から腐敗が湧き出ているかを視覚的に見やすいようにした方が頭に入りやすいと思ったからだ。図表1:中国軍高官の腐敗分布図筆者作成 図表1をご覧になると一目瞭然、圧倒的に「ロケット軍」と「装備発展部」が多い。 「装備発展部」というのは、胡錦涛時代の「総装備部」で、「総後勤(後方勤務)部」ともとに「腐敗の巣窟...
現代の中国

米『中国軍事力報告書』の「汚職摘発で中国軍事力向上」指摘は国防費獲得のため

米『中国軍事力報告書』の「汚職摘発で中国軍事力向上」指摘は国防費獲得のため米・国防総省が発表した年次報告2024『中国軍事力報告書』のカバー 米・国防総省が12月18日に『中国軍事力報告書』を発表し、「(中国の)汚職摘発が進んだためにロケット軍の作戦能力が向上する可能性がある」と指摘した。したがって「台湾武力攻撃で失敗したら、中国は核兵器の先制使用をするだろう」とも予測している。 トランプ第二次政権(トランプ2.0)で「政府効率化省」を担当することになっているイーロン・マスク氏が「国防費の無駄と非効率化」を盛んに表明しているので、そのことに対する警戒感からか、米・国防総省は国防費獲得のために「中国の脅威」を誇張しているものと思われる。 しかし、そのようなことに利用された中国はたまったものではないにちがいない。激しい抗議と批判と、中には冷笑も中国のネットに溢れている。◆米・国防総省が発表した『中国軍事力報告書』の内容 12月18日、アメリカの国防総省は、毎年発表している『中国軍事力報告書』の2024年版を発表した。正確にはMilitary and Security Development...
現代の中国

中国半導体最前線PartⅣ 半導体微細化「ムーアの法則」破綻の先を狙う中国

中国半導体最前線PartⅣ 半導体微細化「ムーアの法則」破綻の先を狙う中国米アマゾンのラボAIチップ開発など研究(写真:ロイター/アフロ) 半導体の微細化に関して「半導体の性能が18ヵ月で2倍になる」という経験則「ムーアの法則」は実際上かなり前から破綻しているが、人々は「3nm、2nm…」と競い合っている。ならば、「3nm、2nm…」の実態は何かと言えば、それは商品番号にすぎず、実際TSMCでも、たとえば「TSMC 3nm」チップとは言わずに、TSMC「3N」と、「こっそりと商品番号に置き換えている」ことに気が付かなければならない。その意味では製造者側は、実は良心的に「ムーアの法則」の破綻を認識していると言っていいだろう。 多くの研究者は、物理学的には「3nm」辺りから事実上それ以上の微細化はできないとする「ムーアの法則」限界理論を10年以上前から展開はしている。しかしビジネス界はわかっていながらも、互いに「騙し騙され」、「3nm、2nm…」を唱えてきたのである。投資家に気付かれるのを避けるためだろう。 いま現在は、既に「ムーアの論理」は破綻していると見る専門家は多く、中国もその中の一...
現代の中国

中国半導体最前線PartⅢ AI半導体GPUで急成長した「中国版NVIDIA」ムーア・スレッド

中国半導体最前線PartⅢ AI半導体GPUで急成長した「中国版NVIDIA」ムーア・スレッド出典:ムーア・スレッドの発表会 生成AIの出現によって世界のトップに躍り出たアメリカNVIDIA(エヌビディア)のAI半導体GPU(Graphics Processing Unit、画像処理演算装置)の右に出る者はいないが、中国のスタートアップ企業ムーア・スレッド(Moore Threads, 摩尔线程)が製造したAI半導体GPUが注目を集めている。NVIDIAの前世代レベルではあるものの、ムーア・スレッドのAI半導体GPUはNVIDIAが開発したCUDA(クーダ)対応のプログラムを簡単に変換するだけで使えるので、NVIDIAとの互換性に優れている。 12月2日のコラム<中国半導体最前線PartⅡ ファーウェイのスマホMate70とAI半導体>で触れたように、2025年初めに量産すると言われている「ファーウェイのAI半導体Ascend 910C」にはNVIDIAとの互換性が低いなどさまざまな懸念がある中、「ムーア・スレッドのAI半導体GPU MTT S4000」が注目されている理由は、この互換...
現代の中国

中国半導体最前線PartⅡ ファーウェイのスマホMate70とAI半導体

中国半導体最前線PartⅡ ファーウェイのスマホMate70とAI半導体HUAWEI(ファーウェイ)(写真:ロイター/アフロ) 中国半導体最前線のPartⅡとして、ファーウェイのケースを考察する。アメリカが対中半導体制裁を始めたのはトランプ1.0政権が、習近平が発布した「中国製造2025」の衝撃に気付いたからだ。これを習近平に実行されたらアメリカはハイテク分野において中国に負け、アメリカ経済も中国に負けるという恐るべき未来が待っている。その最悪シナリオを圧し潰すために対中制裁を始めた。 「安全保障上の理由から」というのは常套句にすぎず、日本の「日の丸半導体」を沈没させる時にもアメリカは日本に対して同じく「アメリカの安全保障を脅かす」という言葉を使った。 アメリカの対中制裁の最初のターゲットとなったのはファーウェイだ。スマホ関連の半導体開発を潰されたファーウェイは今、どのような形で立ち直ろうとしているのだろうか。◆スマホMate70に搭載したKirin9020の性能はTSMC4nmプロセスに相当 今年11月26日にファーウェイは新しいスマホMate 70シリーズを発表した。そのハイエンド...
現代の中国

中国に見限られた日本。グローバルサウスへ目を向け「極東の隣国」を軽視する習近平

中国に見限られた日本。グローバルサウスへ目を向け「極東の隣国」を軽視する習近平中国の脅威に対抗すべく、我が国でも声高に叫ばれた「対中包囲網」の構築。しかしながらその構想は今、脆くも崩れ去ったと言っても過言ではないようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂さんが、中国包囲網はすでに形骸化しているとしその理由を解説。さらに今や習近平政権が日本を完全に軽視しているとも取れる証拠を示しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:やはり「中国包囲網」は完成できなかったバイデン外交の総決算「中国包囲網」など夢のまた夢。トランプと習近平に軽視され翻弄される日本日本のメディアが「中国包囲網」「価値観外交」だと大騒ぎしたのは、もう10年以上も前のこと。第2次安倍政権がスタートした直後である。いわゆる「世界地図を俯瞰(ふかん)する外交」であり、具体的にはTPP(環太平洋連携協定)の推進などだ。もちろん、そんな非現実的な目標が達せられるわけはなく、数年後には、むしろ中国との関係修復に動くことになっ...
現代の中国

中国半導体最前線PartⅠ アメリカが対中制裁を強化する中、中国半導体輸出額は今年20.6兆円を突破

中国半導体最前線PartⅠ アメリカが対中制裁を強化する中、中国半導体輸出額は今年20.6兆円を突破中国半導体メーカーの一つSMIC(写真:ロイター/アフロ) アメリカは中国が絶対にアメリカの半導体技術を越えないように、あらゆる手段で対中制裁を強化してきた。しかし対中制裁をすればするほど、中国は自力更生を強化し、遂に中国半導体の輸出額は年間1兆元(約20.6兆円)を超えるに至っている。 中国は、少しでも技術革新があるとアメリカがそこを狙って対中制裁をかけてくるのを知っているので、2017年辺りから、最前線の技術成果を外に漏らさないようにしてきた。したがって中国半導体最前線の実態を突き止めるのは至難の業だが、このたび輸出額に関して中国共産党の機関紙「人民日報」が発表したので、それを突破口に筆者独自の視点から、シリーズで実態に迫ることとした。 今回は、その第一報として「中国半導体輸出額の推移、中国半導体輸出の種類」を中心に分析する。◆アメリカが対中半導体制裁をしている間に、中国の半導体輸出額は20.6兆円を突破 今年12月5日、中国共産党の機関紙「人民日報」が<米国がチップ制裁を強化してい...
現代の世界各国

中国メディア、韓国非常戒厳「ソウルの冬」の背景に「傾国の美女」ー愛する女のためなら

中国メディア、韓国非常戒厳「ソウルの冬」の背景に「傾国の美女」ー愛する女のためなら韓国大統領、非常戒厳を宣言し解除(写真:ロイター/アフロ) 中国の官製メディアは6時間で終わった韓国非常戒厳を「茶番劇」と片付けたが、中国政府の通信社「新華網」の第一報の見出しを「ソウルの冬」と銘打ったために、中国のネットでは韓国映画『ソウルの春』を連想し、監視に対する警戒がすっかり緩くなってリラックスムードとなり、韓国版「傾国の美女」に関心を示す「本音」の情報が飛び交っている。 中国のネットでは、この非常戒厳は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、愛妻・金建希(キム・ゴンヒ)夫人(以下、キム夫人)が数々の疑惑により検挙されようとしているので、それを阻止するために起こしたものだという結論で賑わっているのだ。 さすが、玄宗皇帝を破滅に追いやった「傾国の美女」楊貴妃物語がある国らしい考察ではないか。◆新華網: 「ソウルの冬:尹錫悦の6時間非常戒厳茶番劇」 12月3日夜10時過ぎ、筆者のスマホの着信音が鳴った。何かと見れば韓国で非常戒厳が布かれたという中国の中央テレビ局CCTVのニュース速報。日本の報道よりも速い...
現代の中国

フェンタニル理由にトランプ氏対中一律関税70%に ダメージはアメリカに跳ね返るか?

フェンタニル理由にトランプ氏対中一律関税70%に ダメージはアメリカに跳ね返るか?ドナルド・トランプ次期大統領(写真:ロイター/アフロ) トランプ次期大統領(以下、トランプ)は11月25日、中国がフェンタニルをメキシコやカナダに輸出して、アメリカにおけるフェンタニル患者を激増させているとして、大統領就任初日に中国に10%、メキシコとカナダに25%の追加関税を課すと投稿した(中国の場合は「60%+10%=70%」になる)。 これに対しカナダのトルドー首相は11月29日に訪米してトランプと会食し、メキシコのシェインバウム大統領は11月26日の記者会見で、米国のトランプ宛てに書簡を送付することを明らかにした。中国は商務部が11月28日の定例記者会見で「一方的な関税引き上げに対する中国の立場は一貫している。アメリカはWTOの規則を遵守すべきで、中国と協力して中米経済貿易関係の安定的かつ持続可能な発展を共同で推進すべだ」と述べている。 中国とアメリカにおけるフェンタニルの実態と、中国に対する一律関税の影響および中国に高関税をかけた時のアメリカが受けるダメージについても考察する。◆フェンタニルに関...