2025-03

現代の世界各国

イスラエルの拡大(2)

イスラエルの拡大(2)2025年3月28日   田中 宇この記事は「イスラエルの拡大」の続きです。英国は第一次大戦でオスマントルコを倒す戦いにユダヤ人の協力を得るため、戦争後半の1917年、オスマン帝国の一部だったパレスチナにユダヤ人が国家(イスラエル)を作ることを支持したバルフォア宣言を発表した。この宣言でイスラエルの建国が正当化されたが、パレスチナがどこからどこまでを指すのか、その後の紛糾の種になった。シオニスト(ユダヤ建国運動家)の中の右派・過激派(今のリクードや西岸入植者)は、パレスチナを、旧約聖書に出てくる「約束の地」と同等の「ユーフラテス川からナイル川まで(2つの川にはさまれた土地)」と拡大解釈した。(西岸を併合するイスラエル)この解釈だと、今のイスラエルや西岸ガザだけでなく、シリア、レバノン、ヨルダン、エジプトまでが「パレスチナ」に含まれる。英国はバルフォア宣言の1前半年(1916年)にフランスを誘い、オスマン帝国の地中海岸を英領パレスチナと仏領シリアに分割する「サイクス・ピコ協定」を結び、ユダヤ人に渡すはずの土地の北半分をフランスに与え、建国されるイスラエルの国土を半減...
現代のロシア

プーチン:平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除する

プーチン:平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除する ウラジミル・プーチン露大統領は3月27日、潜水艦アルハンゲリスクのデッキで演説、その中で彼は問題を平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除されなければならないと語った。ウクライナにNATOが存在することを許さないだけでなく、同国を非軍事化、非ナチ化した上で中立の立場の維持、そして領土の「現実」を認めることを要求している。 西側では大統領扱いされているウォロディミル・ゼレンスキーの任期は昨年5月に切れ、新大統領を決める選挙が行われていない。そこでロシア大統領はウォロディミル・ゼレンスキーをウクライナ大統領だとすることはできないとしている。そして「大統領自身が正当でなければほかの全員も正当ではない。」というわけだ。 プーチン大統領は国連主導の暫定政権方式の採用を提案、さらに民主的な選挙を実施し、国民に信頼され、世界的に認められる機能的で正当な政府を設立することを求めた。自由な選挙が実施され、有能で国民に信頼される政府が成立すれば、平和条約について国民と交渉を開始し、世界中で認められ、信頼でき安定した合法...
科学論

石油は無尽蔵

石油は無尽蔵石油や石炭は「化石燃料(fossil fuel)」と言われる。太古の動植物が土の中で長い時間をかけて生成されたものだから、資源として有限で、貴重なものだと。僕らは何となく、そんなイメージを持っている。しかし以下に、これはまったくの嘘なんだという話をします。1972年ローマクラブが「このままではあと30年で石油は枯渇する」と警鐘を鳴らしました。さて、石油はその後どうなったか?枯渇したという話は聞こえてこない。2018年経産省が「石油の可採年数はあと50年」と公表しました。50年後、2068年には石油はどうなっているか?断言するけど、枯渇しません。絶対に。オレオレ詐欺というのがありましたが、それにならっていうと、これは「石油あと〇年詐欺」ですね。「あと30年」といって不安を煽り、さて、約束の30年が過ぎれば、今度は「あと50年」と言い出す。嘘つきの子供の相手をしている気分だ。まともな大人なら付き合いきれないだろう。しかしこれについて、当局はこんな言い訳を用意している。「可採埋蔵量が増える理由は、新たな油田が発見されることと、技術開発の進歩によるものだ。これまでエネルギーを抽出で...
健康

石油、薬、エネルギー

石油、薬、エネルギー1859年にペンシルバニア州で石油が発見され、地元はオイルラッシュに沸きました。しかし当時石油は照明用の灯油として使われるだけで、誰も石油の真の価値に気付いていなかった。加熱された原油が蒸留塔を上がっていくにつれ、冷やされていく。石油の成分によって沸点が違うので、液化する温度も違う。この違いのため、重油、軽油、灯油、ナフサなどに分かれていきます。工業的にはナフサが超重要です。ナフサを加熱して、重さ(分子量)によってキシレン、トルエン、ベンゼン、エチレンなど、成分ごとに分類できます。これら石油の精製過程で得られる化合物は、化学工業の重要な原料で、プラスチック、ナイロン、合成ゴムなどを作るのに不可欠です。やがて、これらの化合物が、医薬品の合成にも活用されるようになりました。最初の大ヒット商品は、アスピリン(アセチルサリチル酸)ですが、その後、石油由来の合成染料の研究から、サルバルサン(梅毒治療薬)、クロロキン(抗マラリア薬)などが生まれました。1940年代以降、ペニシリン(抗生剤)、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)、経口避妊薬(エストロゲン/プロゲステロン合剤)などが大...
現代の日本

山林火災“同時多発”に「多すぎ」「おかしくね?」SNSざわつく。錯覚か陰謀論か?野焼きではなく“放火テロ”疑う人も

山林火災“同時多発”に「多すぎ」「おかしくね?」SNSざわつく。錯覚か陰謀論か?野焼きではなく“放火テロ”疑う人も全国で相次ぐ山林火災。住宅街にまで炎が迫る様子が盛んに報道され、SNSでは「さすがに火事が多すぎるのではないか」「何かおかしくないか」といった疑問の声があがりはじめた。相次ぐ山林火災に「絶対におかしいよね」不安の声大規模な山林火災が全国で相次ぎ、人々に不安と疑念が広がっている。岩手県大船渡市(2月26日発災)では2900ヘクタールが焼失、100棟以上の住宅が被害を受けた。1ヶ月が経過した現在も完全には鎮火できていない。さらに今月下旬には、愛媛県今治市(23日)、岡山県岡山市南区(23日)、宮崎県宮崎市(25日)などで新たな火災が発生。いずれも鎮火のメドは立っておらず、避難指示の対象が拡大している。山火事の“同時多発”としか言いようがない異常事態に、ネットの空気感も大きく変わってきたという。ネットメディア編集デスクが説明する。「きょう26日も、福島県須賀川市で林野火災が発生しました。幸い鎮火したものの、どのニュースがどの火災なのか分からなくなるほどのヤバい状況です。SNSや掲...
現代の日本

すべてを疑うことが大事

すべてを疑うことが大事メディア報道の背後には〈意図〉が存在する。その〈意図〉を読みぬかないと〈誘導〉される。〈誘導〉することが〈意図〉であるとも言える。いくつかの事例を挙げてみよう。米国では大統領選挙を経てトランプが大統領に就任した。トランプは2017年と2025年の2度にわたり大統領に就任した。米国が支配力を持っているなら米国の大統領を絶賛するのが順当。しかし、主要メディアの報道は違う。トランプに対するネガティブな報道が主流だ。〈デジャブ〉を感じた人が多いだろう。2009年に誕生した鳩山由紀夫内閣。ぶっちぎりの衆院選大勝で政権を樹立した。国民の熱狂的な支持では2001年発足の小泉純一郎政権を凌駕したと言ってよい。ところが、メディアの対応には天と地の開きがあった。小泉絶賛報道が展開された一方、鳩山首相に対する報道はネガティブ一色になった。日本政治では2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任した時点から、著しい偏向が顕著になった。メディアが総力を挙げて小沢一郎氏を失脚させるために奔走した。2007年の大連立構想、2008年春の日銀人事、2008年秋の民主党代表選で小沢氏の影響力を排除...
現代の日本

自民党にも解散命令を!

自民党にも解散命令を! 東京地裁が25日、統一教会に解散を命じる決定を下した。教団は即時抗告するとみられ、今後は東京高裁、さらに最高裁へと審理が引き継がれることになるが、自民党及び保守勢力の後ろ盾として暗躍してきた反共右派のカルト教団に対して、統制を加える初めての判断となった。遅すぎるとはいえ、もはや社会的に野放しにはできないという批判世論の高まりを背景にした決定でもあろう。結果的に山上某の念願が成就した形である。 安倍晋三が同教団の宗教二世である山上某に銃殺されるというショッキングな事件が起こって以来、世間は事件の背景を知るためにあらためてこの宗教団体の存在に注目し、霊感商法等々によって信者たちから途方もない金額を巻き上げていた実態や、自民党政治家とのずぶずぶの関係を知ることとなった。韓国発の反日カルト教団でありながら、強烈な反共思想に染まって自民党政治家とつながりを深め、歴史的にルーツをたどると岸信介をはじめとする清和会の庇護のもとで育てられた、さながら宗教団体の仮面をかぶった自民党右派の実働部隊ともいえる集団だったことを認識したのだった。政界に与野党を問わず100人をこえる秘書軍...
現代の日本

財務省の闇をえぐる

財務省の闇をえぐる財務省解体デモなど財務省にまつわる論議が拡大している。ただし、その場を共有する人々の主張は一様ではない。統一された明確な提案が明示されているわけではない。一部の政治勢力はこうした市民運動を選挙での集票に活用しようとの思惑で接近しているかも知れない。議論を整理することが必要だ。1990年代末から旧大蔵省に対する厳しい攻撃が続いてきた。日本経済は1980年代後半に〈バブル経済〉の活況期を経験したが、90年代への移行と同時に〈バブル崩壊〉の大衰退を経験した。このバブルの生成と崩壊を生み出した〈主犯〉が大蔵省である。この問題も重要だが、ここでは脇に措く。他方、90年代末に問題とされたのは大蔵省の〈校紀〉。民間事業者による〈過剰接待〉が発覚。大蔵省の権威は地に堕ちた。その後、省庁再編で大蔵省は財務省と金融庁に分割されたが、両者の不祥事は止むことがなかった。財務事務次官はセクハラ問題で辞任に追い込まれた。森友事案では巨大な規模での〈虚偽公文書作成〉の事実が明らかにされた。日本の刑事司法が適正に機能していないから刑事事件として立件されなかったが、刑事司法が正常に機能していれば大きな...
日本の歴史

海を“戦没者の遺骨”が混じっている土砂で埋め立てて米軍に上納。戦後80年を経ても続く「日本国の沖縄差別」

海を“戦没者の遺骨”が混じっている土砂で埋め立てて米軍に上納。戦後80年を経ても続く「日本国の沖縄差別」多くの民間人を巻き込み、実に沖縄県民の4人に1人が犠牲となった第2次世界大戦末期の沖縄戦。今年で大戦終結から80年となりますが、沖縄戦は終わってなどいないと人気ブロガーのきっこさんは言います。今回の『きっこのメルマガ』では、住民たちが蹂躙されたこの戦いの全貌を詳しく紹介。さらに沖縄戦が未だ継続中としか考えられない理由を記しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:終わらない沖縄戦日本本土での唯一の地上戦から80年。終わらない「沖縄戦」今日3月26日は、第二次世界大戦末期の「沖縄戦」が始まった日です。ちょうど80年前の今日、米軍を主体とする連合国軍が沖縄諸島の慶良間に上陸したことで、日本本土での唯一の地上戦「沖縄戦」が始まったのです。慶良間諸島を制圧した米軍は、4月1日、沖縄本島の読谷(よみたん)から北谷(ちゃたん)にかけて上陸しました。沖縄に来襲した米軍の戦艦や輸送船は約1,500隻、米兵は約55万人です。これに対して、沖縄に配備されていた日本...
生命科学

昨日と今日の自分は、本当に同じ自分なのか?「シミュレーション仮説」や「世界五分前仮説」をもとに意識、ヒトの生について考えてみると

昨日と今日の自分は、本当に同じ自分なのか?「シミュレーション仮説」や「世界五分前仮説」をもとに意識、ヒトの生について考えてみると 歴史に「もしも」があったら?歴史にもしもはない、という。もしも武田信玄が病気で死ななかったら……もしも平泉で藤原泰衡(ふじわらのやすひら)の軍勢に囲まれたとき、源義経が脱出していたら……。そんなことは、考えても仕方のないことだ。でも、私たちは、ついそんなことを想像してしまう。もしも歴史が違う方向に進んでいたら、と夢見ることを、私たちはやめることができない。そして、それは……私たちだけでなく、他の知的生命体でも同じかもしれないのだ。スウェーデン人の哲学者であり、オックスフォード大学の教授であるニック・ボストロム(1973‐)は「シミュレーション仮説」を提唱した。この仮説は、私たちが生きている世界というものが、知的生命体が行っているコンピューター・シミュレーションである可能性を指摘したものである。gettyimages私たち人類だって、どんどん文明が発達していけば、地球全体(ひょっとしたら宇宙全体)のシミュレーションを行うことが可能になるかもしれない。そうなれば...
現代の日本

「在日米軍も削減対象に」 トランプ米政府の歳出削減計画 80年の隷属関係を見直す好機 世界最大の駐留費負担する日本

「在日米軍も削減対象に」 トランプ米政府の歳出削減計画 80年の隷属関係を見直す好機 世界最大の駐留費負担する日本トランプ米大統領と石破首相(2月7日、ワシントン) トランプ米政府が連邦政府機関を縮小する計画の一環として、国防予算削減を念頭に置いた米軍の組織再編を進めるため、米軍幹部の大幅削減や在日米軍の態勢強化の中止を含めて検討を始めたと、米メディア『CNN』『NBC』などが報じた。米国防総省の内部資料や米軍当局者の話を根拠としており、計画の中には、アイゼンハワー大統領の時代から75年間握ってきたNATOの欧州連合軍最高司令官のポストを米国が放棄することも含まれているという。覇権縮小とともに「同盟国」に防衛費負担増を迫るトランプ政府の動きに対し、世界で唯一全土基地方式を容認し、世界最高額の駐留経費を負担して米軍事力を補完してきた日本政府の立場が問われている。 報道された米国防総省の内部資料は、イーロン・マスクが責任者を務める政府効率化省(DOGE)が、連邦政府機関に対して経費節減のための大幅な予算削減を迫るなか、米国防当局が上級指導者向けに今月作成したものだという。 バイデン前政府が...
現代の中国

アメリカを圧倒する中国AIトップ人材 米「世界脅威報告書」

アメリカを圧倒する中国AIトップ人材 米「世界脅威報告書」AIイメージ画(提供:イメージマート) 3月25日、アメリカの国家情報長官室は「世界の脅威に関する年次報告書」を公表した。AIにおいて中国が2030年までにアメリカを凌駕するだろうと予測している。 一方、アメリカのシンクタンクMacroPolo(マクロポロ)の調査によれば、アメリカのAIトップ企業のAIトップ人材は2022年段階ですでに「中国38%、アメリカ37%」となっており、世界のAIトップ人材の47%が中国人であるという。 また2024年6月、US NEWSはAIにおけるベスト・グローバル大学のランキングを公開したが、トップ20の内の香港を含む13大学が中国で、その中にアメリカは入っていない。アメリカが初めて出てくるのは第29位だ。日本は100大学内に1大学も出てこない。「ゼロ」だ。 習近平は2015年にハイテク国家戦略「中国製造2025」を発布し、2017年にはさらにAI人材開発に関する新たな戦略を追加した(詳細は拙著『米中新産業WAR』)。今年の全人代でもAI人材養育強化を謳っている。 AI技術の進歩は軍事にも影響し、...
現代の世界各国

イスラエルの拡大

イスラエルの拡大2025年3月26日   田中 宇イスラエルが、ガザからパレスチナ人を追い出す民族浄化の戦争を再開している。イスラエルは、トランプが米大統領に返り咲いて諜報界の英国系を潰して多極化を進める動きに協力する見返りに、建国時からの念願だったパレスチナ抹消を進めることをトランプから支持され、トランプが再選への動きを開始した後の2023年秋にハマスを引っ掛け、ガザ市民を追い出す民族浄化の戦争を開始した。(White House: Trump ‘Fully Supports’ Israel’s Gaza Slaughter)パレスチナ問題(1947年の国連の分割決議など)は、諜報力が強いイスラエルを脅威とみなした英国系が、イスラエルの建国戦争の完遂を阻止する策として用意した。トランプが英国系を潰すと、イスラエルは英国系のくびきから解放され、パレスチナを抹消しやすくなる。(イスラエルの虐殺戦略)ガザ開戦以来、イスラエルはガザ市街を徹底的に破壊して居住不能にして、市民がガザでの居住をあきらめ、米国やUAE(アラブの親イスラエル派)などが提案する移住先に集団で出ていく流れを作ろうとしてき...
現代の世界各国

米露の合意に関係なくエネルギー施設を攻撃するウクライナ

米露の合意に関係なくエネルギー施設を攻撃するウクライナ 現在、ウクライナには大統領が存在しない。昨年5月にウォロディミル・ゼレンスキーの任期は切れ、新大統領を決める選挙が行われていないからだ。そのゼレンスキーは3月25日、エネルギー施設への攻撃を相互に停止し、黒海での戦闘を停止するというアメリカ政府とロシア政府の合意案を順守する用意があると表明した。 しかし、その日にウクライナのドローンがクルスク地域の電力施設を攻撃、26日にはクリミア半島沿岸のタルハンクート岬付近でウクライナの攻撃用ドローン2機が防空システムによって撃墜されたと伝えられている。その標的はグレボフスコエの地下ガス貯蔵施設だったようだ。ゼレンスキーは信頼に足る人物ではない。 攻撃の一時停止はドナルド・トランプ米大統領が電話会談でウラジミル・プーチン露大統領に提案したもので、ロシア側が同意して同国軍はウクライナのエネルギー施設への攻撃を中止している。これはプーチン大統領のトランプ大統領に対するプレゼントだった。その合意をゼレンスキー、あるいはその後ろ盾は壊そうとしている。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量...
現代の世界各国

EU、米国仲介の黒海停戦協定を拒否 プーチン大統領、ウクライナを暫定的に統治するために国連を提案

EU、米国仲介の黒海停戦協定を拒否欧州委員会の報道官はフィナンシャル・タイムズに対し、欧州連合は依然としてモスクワに対する「最大限の圧力」を望んでいると語った。モスクワにあるロシア農業銀行の事務所。 © スプートニク/ ナタリア・セリヴェルストワ欧州委員会のアニッタ・ヒッパー外務報道官は、モスクワとワシントンの間で協議された黒海停戦構想の一環としてロシアの主要農業銀行に対する制裁を解除するというロシアの要求をEUは受け入れないと述べた。月曜日にリヤドで行われたロシアと米国の専門家による協議で、両者は黒海穀物イニシアチブの復活に向けて動くことで合意した。クレムリンによれば、これにはロシア農業銀行や食料と肥料の国際販売に関与する他の金融機関に対する西側諸国の制限の撤廃も含まれるはずだ。モスクワとワシントンは、海上停戦をウクライナ紛争解決に向けた一歩とみている。ヒッパー氏は水曜日のフィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで、「ロシアのウクライナに対する挑発も正当化もない侵略の終結と、ウクライナ全土からのロシア軍の無条件撤退が、制裁の修正または解除の主な前提条件の一つとなるだろう」と主張した...
現代の中国

米中対立の枠組みでとらえるな。中国・王毅外相が語った「遠くの親戚より近くの隣人」が意味すること

米中対立の枠組みでとらえるな。中国・王毅外相が語った「遠くの親戚より近くの隣人」が意味すること3月21日、日中韓外相会議に先立つ石破首相への表敬訪問での「遠くの親戚より近くの隣人」という意味深い発言で注目を集めた中国の王毅外相。さまざまなメディアがその真意の読み解きを試みていますが、王毅氏はどのような意図でこの諺を引いたのでしょうか。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では著者の富坂聰さんが、「陣営対立の枠組みでとらえようとするのは大きな誤り」とした上で、中国サイドの意向を解説。さらに今後の日本にとって日中韓3カ国の関係がどれだけ重要であるかを説いています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日中韓が日本にとって死活的に重要な理由と中国の対日政策の変化中国が見せた対日政策の大きな変化。なぜ日中韓関係が日本にとって死活的に重要なのか遠くの親戚より近くの隣人──。訪日した中国の王毅外相が日中韓3カ国外相会談に出席し、こう語った。遠くの親戚がアメリカを指していることは言を俟たない。ただ、この発言を陣営対立の枠組みでとらえようとするのは大きな...
現代のロシア

「米露中vs.欧州」基軸への移行か? 反NEDと反NATOおよびウ停戦交渉から見えるトランプの世界

「米露中vs.欧州」基軸への移行か? 反NEDと反NATOおよびウ停戦交渉から見えるトランプの世界2025年 独ローズマンデーのカーニバル(プーチン・トランプ・習近平)(写真:ロイター/アフロ) トランプ大統領はNED(全米民主主義基金)を財政支援するUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)を解体すべく動き、3月19日には第二次世界大戦後米軍が担当してきたNATO軍最高司令官ポストの放棄を検討しているニュースが流れた。これはNATO解体を示唆する。3月10日にはトランプ政権のシンクタンクがEU解体に向けて動いていると報道されてもいる。 NED解体、NATO解体は中露両国にとっても実に歓迎すべきことだ。 加えて、トランプはプーチンとの会談の後に「プーチンとも習近平とも良い関係であり続けたい」という趣旨の発言をしている。中露は、トランプ政権が終われば元のアメリカが戻ってくることを知っているので、中露共同戦線は絶対にやめない。 ウクライナ戦争停戦交渉においてもトランプは明らかにプーチン寄りだ。 ゼレンスキー抜きでやってはどうかとトランプに水面下で提案したのも習近平だとウォールストリート・ジャー...
生命科学

20世紀の王道シナリオが「あり得ない」とひっくり返された…なんと、ミラーの「衝撃的実験」に惑星科学の進展が「再検討」を迫った

20世紀の王道シナリオが「あり得ない」とひっくり返された…なんと、ミラーの「衝撃的実験」に惑星科学の進展が「再検討」を迫ったニワトリが先か、タマゴが先か「ニワトリが先か、タマゴが先か」という問題があることは、みなさんも聞いたことがあるでしょう。実は、これはプラトンとアリストテレスの頃からあった生命の起源をめぐる論争で、ニワトリとタマゴのどちらが先にこの世に誕生したのかを問うものです(図「ニワトリとタマゴ問題」の左)。1953年にDNAの二重らせん構造が明らかになり、分子生物学が興ると、タンパク質がなければ核酸はできない、また核酸がなければタンパク質はできないことがわかり、この問題は「タンパク質が先か、核酸が先か」という問題に置き換えられました。タンパク質は、アミノ酸を正しい順番でつなぐことにより、触媒として働きますが、つなげる順番は、核酸の塩基配列により指定されます。しかし、その核酸もまた、合成されるには触媒であるタンパク質が必要です。つまり、両者がそろって初めて、生命というシステムは動きだすのです。しかし、タンパク質も核酸も複雑な高分子有機物ですので、原始地球上での化学進化の過程にお...
現代のロシア

トランプとプーチンの隠然同盟

トランプとプーチンの隠然同盟2025年3月25日   田中 宇英国のスターマー政権が、米国のNATO離脱に備え、フランスやカナダなど欧州・英国系の30か国以上の参加を得てウクライナに派兵するロシア敵視維持の策を掲げている。だが最近、英国の軍幹部たちは「スターマーのウクライナ派兵は具体策が何もない。各国が出す兵力数も、司令系統も兵站も決まっていない。政治的な演技・幻影にすぎない」と非難している。ウクライナは3年間の戦争で、欧州の派兵を受け入れる国家基盤がすでに破壊されている。欧州が派兵するなら、ウクライナを丸ごと引き受けて占領統治せねばならない。交代要員を含めて10万人の派兵が必要だと、ロシア側が試算している。欧州諸国は、長引くウクライナ支援で財政を使い果たし、対露制裁のはね返りによる経済悪化で税収も減った。派兵など無理だ。(UK Military Officials Call Starmer's Plans for Ukraine 'Political Theatre')英軍幹部たちは「米国やロシアの賛同も得られていない。幻影の派兵案を廃止すべきだ」と言っている。派兵案が幻影だという指...
現代の日本

問題山積の大阪万博ではCOVID-19プロジェクトと同様、個人情報を集め、監視へ

問題山積の大阪万博ではCOVID-19プロジェクトと同様、個人情報を集め、監視へ 4月13日から大阪の夢洲で「2025年 日本国際博覧会」が開催されるのだが、さまざまな問題が指摘されてきた。 夢洲は産業廃棄物処理場として利用されていた埋立地のために地盤が軟弱。そうした場所であることからメタンガスが発生しやすく、引火事故が懸念されていた。実際、昨年3月には建設現場で爆発火災があった。 そうした場所だということもあり、工事が大幅に遅れて開幕日に完成しない建築物もあるようだ。大阪万博では「健康管理」という名目で個人の生体情報を集めるということも行われると建築家の山本理顕は指摘している。 万博終了後に夢洲ではカジノを含むIR(特定複合観光施設)施設を建設する計画なのだが、その計画に資金を投入する口実として万博を開催するのではないかとも言われていた。 日本におけるカジノ建設で需要な役割を果たしたのはユダヤ系の富豪であるシェルドン・アデルソン。2021年1月11日に死亡、遺体は14日にイスラエルへ運ばれ、埋葬された。 生前、彼はアメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さら...