日本人の世界観

日本人の世界観

非日常な雰囲気に価値を感じる欧米人、高い技術そのものに価値を見出す日本人。ラグジュアリーと匠の違いはココだ!

非日常な雰囲気に価値を感じる欧米人、高い技術そのものに価値を見出す日本人。ラグジュアリーと匠の違いはココだ!皆さん、こんにちは。私にはパリ在住の友人がいて、彼からブランドについて学んできました。一緒に日本企業のブランディングの手伝いをしたこともあります。その中で感じたのは、日本人と欧米人ではブランドの概念が異なることです。今日はそんなお話です。(坂口昌章氏のメルマガ『j-fashion journal』2024年9月14日号より)ラグジュアリーと匠の関係1.ラグジュアリーブランドは非日常西欧のラグジュアリーブランドは、単に高級ブランドというわけではない。西欧の上流階級のリゾートライフに根ざした非日常のブランドである。例えば、どんなに金持ちでもビジネスシーンでは時間がないので、昼食をサンドイッチで済ませることはある。ビジネスの時間はオンタイムであり、合理性を重視する。しかし、長期休暇のリゾート地となると話は別だ。お気に入りのワインがなければ、ホテルをキャンセルすることも辞さない。徹底的に我がままで贅沢になる。日本で高級ホテルというと、帝国ホテルのような利便性とサービスに優れた高級なビジネ...
日本の歴史

日本の「土地」には「神や霊や念」がやどっている…「日本の古典」を読むと、強くそう思える理由

日本の「土地」には「神や霊や念」がやどっている…「日本の古典」を読むと、強くそう思える理由「和歌」と聞くと、どことなく自分と縁遠い存在だと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、和歌はミュージカルにおける歌のような存在。何度か読み、うたってみて、和歌を「体に染み込ませ」ていくと、それまで無味乾燥だと感じていた古典文学が、彩り豊かなキラキラとした世界に変わりうる……能楽師の安田登氏はそんなふうに言います。安田氏の新著『「うた」で読む日本のすごい古典』から、そんな「和歌のマジック」についてご紹介していきます(第12回)。この記事は、『「日本の古典」と「西洋の古典」の大きなちがい…じつは「地名」の扱い方に、こんなに差があった』より続きます。前の記事では、日本の能では、登場人物(ワキ)が各地を漂泊する様子を、その地名を読み込みながら描いた「道行」という表現があることなどを見ました。西洋の古典にも似たような表現が見られますが、そこでは「地名」は比較的シンプルに、それほどの工夫をともなわうに扱われるのでした。しかし、日本の古典では……。和歌と枕との深い関係俊基卿の道行にも表れる「逢坂」は、地名...
日本の文化

従業員を大御宝にすれば企業は繁栄する ~ 永崎孝文『日本人の心に生きる聖徳太子の「十七条憲法」』

聖徳太子の唱えた「和」とは、単に「仲良くせよ」というだけではなく、個々の人間の多様な才能、適性、考えを生かして、それらを統合した共同体としての知恵と力を生み出す組織原理なのです。 聖徳太子の十七条憲法は民を大御宝とするための貴族官僚たちの心構えを説いた内容ですが、それを職場に適用したら、従業員を「大御宝」として、その安寧を実現し、企業全体の繁栄に導く方針を次のようにまとめられるでしょう。__________・すべての従業員が、組織の一員として、生かされていることに感謝し、・それぞれの自分の居場所を守って、互いに支えあう、充実した職業人生を歩み、・その「仕合わせ」によって繁栄する組織を築く ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 聖徳太子の十七条憲法は、こういう組織を築く具体的な道を説いているのです。No.1386 従業員を大御宝にすれば企業は繁栄する ~ 永崎孝文『日本人の心に生きる聖徳太子の「十七条憲法」』十七条憲法は、従業員が志をもって互いに支え合う、強い組織の作り方を具体的に説いている。■1.「聞いていない」「記憶がない」「部下に任せていた」__________ 職場の組織風土を貶めることばがいくつ...
日本の文化

先人の物語はなぜ子供たちの心に刺さるのか? ~ 歴人便り(9)

JOG(1374) 先人の物語はなぜ子供たちの心に刺さるのか? ~ 歴人便り(9) 人間の脳は物語に心を刺されるようにできていることが、脳科学によって解明されてきている。■1.先人の物語が子供たちの心に突き刺さった 歴史人物学習館を始めて最初の感想文祭りで驚いたのは、先人の物語が、多くの子供たちの心に突き刺さった様子です。第1回では、樺太が島であることを発見した間宮林蔵について、東京都の中1女子が、こんな感想を書いてくれました。__________ 印象に残ったのは「成功せぬうちは、帰ってくることはいたしませぬ」という言葉です。樺太について当時はまだ詳しくわかっていなくて、それを明らかにするために間宮林蔵は樺太に行きました。行く先についての情報は少なく、生きて帰れる保証もないことだったと考えられます。そんな危険なことに対して間宮林蔵は成功するまでは日本に帰らないと言ったことから、自分の命よりも国を守ることを優先する強い気持ちと決意が表れていると感じました。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 第2回は、横浜市のこれまた中1の女子が、聖武天皇について、こう書きました。__________「責めは予(われ...
日本の文化

「私たちは何者だったのか」を知る喜び ~ 寺田恵子『日本書紀1 神代-世界の始まり』から

JOG(1372) 「私たちは何者だったのか」を知る喜び ~ 寺田恵子『日本書紀1 神代-世界の始まり』から 日本の国柄を規定した3つの詔勅には、「戦闘」に関わるものはない。■1.私たちは何者だったのか、を知る喜び『古事記』に比べると、長くて難解な『日本書紀』を、古代人の精神を活き活きと甦らせつつ解説した、まことに「面白い」本が登場しました。学習院女子大学講師・寺田恵子氏による『全現代語訳+解説 日本書紀』の第一巻『神代-世界の始まり』です。 寺田氏は大学での講義のほかに、社会人相手に『日本書紀』全30巻を8~9年かけて購読する講座を2度も実施されています。__________ 学生や社会人講座の受講生からも「こんなに面白い物だとは思わなかった」「とても興味深い」「もっと読みたい」という言葉を何度も聞きました。・・・ また、日本書紀は私に人間について、男性や女性のあり方について、また日本や日本文化について考えるきっかけを与えてくれました。そういう面白さや考え方をもっと多くの人々と共有できたら・・・[寺田、p235] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 氏の講座は私も一度だけ拝聴したことがありますが、そ...
日本の文化

日本語に潜む「仕合(しあ)わせ」への道標(みちしるべ)

「大御宝」とは、人々が:・すべての生きとし生けるものの一部として生かされていることに感謝し、・それぞれが自分の居場所を守って、互いに支え合う、充実した人生を歩み、・その「仕合わせ」によって繁栄する共同体を築くという状態を理想としています。 この理想は縄文時代に胚胎し、我が国の建国とその後の発展を通じて深められ、そして、その実現に向けて、多くの先人たちが苦闘を続けてきました。No.1379 日本語に潜む「仕合(しあ)わせ」への道標(みちしるべ)~ 伊勢雅臣新刊『大御宝 日本史を貫く建国の理念』序章から■1.伊勢雅臣の新刊が出ます__________『大御宝 日本史を貫く建国の理念』(8/1発売。予約受付中)民を大切な宝物として考え、その安寧を祈る「大御宝」の思想。神武天皇即位の詔に示され、歴代天皇の責務とされてきた理念が日本の歴史を支えていた!「大御宝」の知恵と力で日本が直面する第3の国難を乗り越える! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄は8月1日発売で、現在、予約受付中です。 今回は、その「序章 日本語に潜む「仕合(しあ)わせ」への道標(みちしるべ)」の一部をご紹介させていただきます。■2.「いただき...
日本人の世界観

夏木マリさんの“いい女”論。「男を成長させるのが本当のいい女」

夏木マリさんの“いい女”論。「男を成長させるのが本当のいい女」男目線の「都合のいい女」ではない、一生付き合いたい「本当にいい女」とは? 夏木マリさんにお話を伺いました。凛とした佇まいで異性同性を問わず憧れる人が多い“いい女”代表の夏木マリさん。とかく「都合のいい女」を探してしまいがちな男性のために、男として惚れるべき「本当のいい女」とはどんな女性なのか、お話を伺いました。男が思う“いい女”は一晩一緒にいてくれる女「“いい女”って……、本当にとても難しい問題ですよね。私、自分で“いい女”だなんて思ったことないもの(笑)!」と夏木さん。「男性の場合は極端な話、仕事が出来るとかお金持ちだとか学歴が高いといった、分かりやすい“いい男”像っていうのはありますよね。でも、女性の場合は、一見して“いい女”かどうかを見極めるのは難しいと思う。そもそも万人に“いい女”なんていないと思うし」(夏木マリさん以下同)とは言え、巷にあふれる男目線の“いい女”像には異論もあるようで。先日、ある番組では「男が思う“いい女”は一晩一緒にいてくれる女でしょ」との発言も。「そう思いますね。でもそれは、男性にとって単に都合...
日本人の世界観

日本人の死生観を探究するための三つの扉

しかしよくよく考えてみれば、政治上のデモクラシーに最も近いはずの宗教システムは、むしろ多神教ではないだろうか。多元的な価値と多様な神々の存在を認める多神教こそ、民主主義的な政治体制に最もふさわしい宗教の在り方と思うのだが、どうだろう。日本人の死生観を探究するための三つの扉日本を代表する宗教学者が、環境・風土、神話、歴史的背景などを手掛かりに、日本人の死生観とその多層的な意識構造を洞察する。  風土・環境的背景―三層構造の日本列島日本人の死生観を考える上では、三つの扉を開けて入るのがわかりやすい。第一の扉が、風土的・環境的な背景を手掛かりにすることだ。以前、日本の広告会社が、日本列島を3000メートル上空から撮影したビデオを作った。沖縄からセスナ機を北上させ、日本列島を縦断して北海道にいたる眼下の景観を、一時間ほどにまとめたものだった。私はそれを見て驚いた。沖縄から本土までは一面の大海原だったが、その後そこに展開する国土の連なりは、行けども行けども山また山、森また森だったからだ。あえて言えば、そこに展開する自然の中に、稲作農耕社会の片鱗(へんりん)さえ見いだすことはできなかった。むしろ森...
日本人の世界観

日本人にとって神(カミ)とは

おそらく日本人自身が、自分たちがカミについてどのように考えているのか、意識できず、第三者に対して説明もできないに違いない。自分たちが何を考え、何を信じているか自覚する。日本人のいまだに果たされない課題である。日本人にとって神(カミ)とは宗教といって多くの日本人が思い浮かべるのは「神様」「仏様」だろう。特に「神(カミ)」は仏教伝来前からの信仰対象だ。日本では古代から近代まで神(カミ)はどのように考えられてきたのか。God、神、カミGodを、日本語では「神」と訳し、カミと発音する。これが間違いのもとかもしれない。God、神、カミ、を別々のものと考えよう。Godは、一神教の神のこと。世界で一つしかないものだから、英語の習慣で、大文字で書く。小文字でgodと書くと、あっちこっちにいる多神教の神という意味になってしまう。漢字で神と書くと、中国語の「神」の意味になる。精神、神経という場合は、人間の精神現象という意味。神のような存在も表すが、決してランクの高い存在ではない。いちばんランクの高いものは、天とか上帝とか呼ぶことになっている。日本古来のカミは、ひとことで言えば、自然現象を人格化したもの。『...
日本の技術

天皇の陵墓も例外にあらず…! 周濠構造に秘められた「古代日本人の超技術」

すでに述べたように、水田稲作にとって最も重要なのは、いうまでもなく、水の安定的確保であるが、天候に左右される「自然の水」に頼らないためには灌漑用水が必要である。具体的には、溜池と灌漑用水路である。水田の広さは溜池の容積、つまり貯水量に比例するだろう。古墳周濠の容積を大きくすればするほど開拓可能な水田の面積が増し、結果的に稲の収穫量が増す。古墳周濠の容積は、古墳の数と規模に比例する。実際、図3に示されるように、纏向地域には少なからぬ古墳が存在する。天皇の陵墓も例外にあらず…! じつは、古墳は「単なる権力者の墓」ではなかった。周濠構造に秘められた「古代日本人の超技術」卑弥呼の墓崇神天皇陵の手前の山辺道を右折すると、龍王山ハイキングコースに入る。今回は山辺道を直進したが、ちょうど2年前の4月、山頂(586m)まで約5kmの古墳巡りを楽しんだ。少なからぬ横穴墓を探しながらの山登りハイキングである。いくつかの横穴墓には入ることができる。山頂に達する頃にはかなりの汗をかくが、そこは箸墓(はしはか)古墳、大和三山の耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま)、香具山(かぐやま)を眼下に、そして二上山...
日本の技術

この水は「はるか未来の民」をも思う「天皇の心」なのかもしれない…なんと「2000年もの間」田をうるおしてきた崇神天皇陵「驚愕の構造」

今般、私が山辺道を実際に歩いて最も驚き、感動したのは、古墳周濠の水は「古墳時代」だけのものではなく、現在まで連綿と1500年以上もの間、水田耕作の灌漑用水の「溜池」として使われているのを自分の目で確かめられたことである。崇神天皇陵周濠の水は、底樋と斜樋を通して、灌漑用水として周囲の水田(写真2参照)に供給されている。つまり、図2に示すように、崇神天皇陵の周濠は3つの池で構成されており、いまでも「現役」の灌漑用水溜池なのである。崇神天皇陵周濠の満々とした貯水を目の前で見た私は、崇神天皇が詔した「農は国の基本である。人民のたのみとして生きるところである。今、河内の狭山の田圃は水が少い。それでその国の農民は農を怠っている。そこで池や溝を掘って、民のなりわいを広めよう」という言葉を思い出した。2000年以上も前の崇神天皇の詔は、いまも生きているのである。この水は「はるか未来の民」をも思う「天皇の心」なのかもしれない…なんと「2000年もの間」田をうるおしてきた崇神天皇陵「驚愕の構造」「古代の超技術」の謎を解く私が古代世界史に興味をもったきっかけは、小学生の頃に『少年少女世界の歴史 第一巻 古代...
日本の技術

「宙吊りにするのが一番いいんです」…超高層建築に「ことごとく活かされている」古代日本の超技術

法隆寺などの古刹が創建以来、何度か解体を含む修理を経て今日に至っていることからもわかるように、木組みを主として構築される木造建造物は、解体・修理が可能である。そして、腐朽した部材の交換によって、新たな命が吹き込まれる。しかし、近年の鉄筋コンクリートの建造物は、一度建てたら破壊されるまで、解体・修理などは不可能だ。古代日本の匠の智慧と経験によって実現した五重塔に代表される木造建築は、いわば永遠の命を吹き込まれた永続的な建造物なのである。近年、人間の経済活動や社会活動の持続可能性を重視する「SDGs: Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という概念が流行しているが、古代日本の匠たちは、1000年以上も前からそのような考え方に立脚していた。その思想の根幹をなす日本の文化・文明の本質が、「自然との永続的な調和」を志向する姿勢にあったからである。「宙吊りにするのが一番いいんです」…超高層建築に「ことごとく活かされている」古代日本の超技術「宙吊りにするのが一番いいんです」前回までに繰り返し述べたように、五重塔が地震や大風で倒壊しないのは、歴史的事実であ...
日本の文化

大和言葉の世界観

日本語は歴史的に中国や西洋の概念用語も積極的に取り入れつつ、最先端の科学技術論文にも使われている現代的な論理的言語となっている。と同時に、その根源にある大和言葉は太古の日本人の世界観・人生観をそのままに伝える詩的言語である。 言葉と国柄とは、お互いに支えあうもののようだ。「祖国とは国語」という言葉が改めて思い起こされる。No.559 大和言葉の世界観 「鼻」は「花」、「目」は「芽」。大和言葉には古代日本人の世界観が息づいている。■1.目と芽、鼻と花、歯と葉■ 目と芽、鼻と花、歯と葉、耳と実(み)、頬と穂(ほ)。顔と植物の各パーツが、まったく同様の音を持つ言葉で呼ばれているのは、偶然だろうか? 万葉学者の中西進氏の説によれば、これらは語源が共通しているからだと言う。漢字にすれば、まったく別の言葉のように見えるが、古代の日本人は、顔のパーツも植物のハーツも、「め」「はな」「は」「み」「ほ」と同じように呼んで、同じようなものと考えていたようだ。 たとえば、鼻は顔の真ん中に突き出ている。同様に「花」も、植物の枝先の先端に咲く。そして岬の端も「はな」と呼ぶ。薩摩半島の「長崎鼻」がその一例である、...
日本の文化

日本語が作る脳

こうした「生きとし生けるもの」の「声」に耳を傾けるという自然に対する敬虔な姿勢は、今後「宇宙船地球号」の中ですべての生命と共生していくために貴重な示唆を与えうる。 我々が受け継いだこの「日本語の脳」の違いを意識的に極め、その独創性をよりよく発揮していくことは、我々日本人の全世界に対する責務とも言えるだろう。No.240 日本語が作る脳虫の音や雨音などを日本人は左脳で受けとめ、西洋人は右脳で聞く!?■1.虫の音に気がつかない!?■ 東京医科歯科大学の角田忠信教授が、1987年1月にキューバのハバナで開かれた第一回国際学会「中枢神経系の病態生理学とその代償」に参加した時の事である。キューバではいまだ戦時体制が続いており、西側諸国からの参加者は角田教授一人だった。開会式の前夜に歓迎会が開かれ、東欧圏から大勢の科学者が参加していた。キューバ人の男性が力強いスペイン語で熱弁をふるう。 しかし、教授は会場を覆う激しい「虫の音」に気をとられていた。なるほど暑い国だな、と感心して、周囲の人に何という虫かと尋ねてみたが、だれも何も聞こえないという。教授には「蝉しぐれ」のように聞こえるのに! 午前2時頃、...
日本の文化

日本の美、日本人の感性と世界の見方(西洋との比較)

日本人は独特な感性を持っています。まず、日本語は他に類を見ない構造を持っています。昔から使われている「大和言葉」があり、外国から入ってきてこれを咀嚼し自らのものとした「外来語」もあり、これらを包含して日本語が出来上がっています。これらの「言葉」が私たち日本人の「情緒」と「思考」の基盤を作っています。同じように、空間の把握方法や自然の捉え方にも特殊性があるようです。日本人の世界観は、人も自然もすべての対象を和合し包含し絡合する感覚なのかもしれませんね。このような視点で、日本の美と世界の見方を比較した記事を紹介します。日本の美、日本人の感性と世界の見方(西洋との比較)最近、「あの日本独特の良〜い雰囲気を出しているものはそうだろう」と思う事が多々あったので、色々と漁ってみた。日本と海外の「美」まず、今の「うつくしい」という意味は昔からずっと同じ意味で使われてきたものではなかった。万葉集の時代では、「うつくし」は親や妻子に対する愛情を表す言葉であったし、平安時代になると、竹取物語の「三寸ばかりになる人うつくしうだった」や枕草子「なにもなに」 「近いものはみなうつくし」から分かるように「近いもの...
日本の文化

桜の花と「やまと心」

2024年3月20日、今日は春分の日です。桜の開花の知らせもちらほら聞こえる季節になりましたね。日本人にとって、桜は特殊な位置にあるように思います。この記事のように私たちの「やまと心」に響いているのかもしれません。在原業平が「世中にたえて桜のなかりせば春のこころはのどけからまし」と詠ったように、開花はいつか、天気はどうか、と一喜一憂する。 散り初めには、紀友則が「久かたのひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ」と詠ったように、花の散りゆく様を惜しむ。日本人の桜を愛でる「やまと心」は千年前と変わっていない。 のどかな春の日には桜を愛でる日本人が、一朝事あれば「義のための勇」を奮い起こして立ち上がるのも、その「やまと心」のゆえである。桜を愛でるのも、「義のための勇」を奮い起こすのも、「やまと心」の働きである。No.896 桜の花と「やまと心」■1.「日本人はなぜ、こんなに桜が好きなのでしょう」 大阪に住む友人から、こんなメールを貰った。__________ 4月11日の日曜日は、車椅子の母を連れて、造幣局の通り抜けに桜を見に行きました。久しぶりに晴れたためもあってか、駅から造幣局の入...
日本人の世界観

日本人の世界観 供養=感謝と謝罪、皆で祝う 元気が一番

2024年の春のお彼岸の期間は3月17日〜3月23日で、今日17日は彼岸の入り、20日が春分の日です。春のお彼岸とは、彼岸と此岸の距離が最も近くなる時期にご先祖を供養する行事のことです。仏教では、この世を「此岸(しがん)」、故人のいる世界を「彼岸(ひがん)」と呼んでいます。日本人なら誰でも「供養」と言う言葉や概念を知っていると思います。今回はこの供養という行事の記事紹介です。日本の供養という文化は外国人にとって新鮮な考え方だった日本のクヨー(供養)外国人が驚く日本人気質があり、先祖をはじめ様々な命を供養する習慣です。 外国人からみた弔うという国民的意識は非常にミステリアスなのです。 外国人が日本に遊びに来たとき、墓参りを見たいという珍しい人がいました。築地の魚河岸でもなければ、銀座や原宿でもなく、墓参りなのです。日本人らしい儀式を見たかったのでしょうか。お盆や周忌に先祖の墓参りをするのは、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)やサンクスギヴィング(感謝祭)などの祭日にアメリカ人が行うのと同様、ごく一般的な日本の行事です。だが、日本のクヨー(供養)は、生まれてこなかった胎児の水子供養、食べ...
日本の文化

「お母さん」の語源は「太陽」だった

日本人の世界観を具体的に表現しているのが「言葉」=「日本語」です。その象徴が「お母さん」「お父さん」という名称や「今日は」「さようなら」と言う挨拶の言葉、「日本」という国名「日の丸」という国旗です。特に「お母さん」の語源が「太陽」で有るという分析には誰もが納得するのではないでしょうか?特に母親は明るく温かく子どもを産み育て、一家の世話をしてくれる事から、太陽そのものだ、ということで「お日身(カミ)さん」と呼ばれるようになった。それが「カカさま」や「おっカア」や「おかあさん」になった。日本の子どもは母親を「太陽さま」と呼んで敬っていたのである。 ちなみに父親は「トト様」で、「(太陽のように)尊い人」という意味である。ただ「カカ(太陽)様」「お日身(カミ)さん」の存在感に比べると、やや抽象的で陰が薄い。天照大御神が女性神であったように、日本の古代の家庭は女性が中心だったのである。「今日は、お元気ですか」「はい、おかげ様で元気です」「さようなら、ご機嫌よう」という日本人の挨拶の言葉にも「太陽」や大自然に対する畏敬の念や感謝の念、そしてそれを皆で共有したいという思いが詰まっています。「今日は、...
世界各国の歴史

海の武士道!戦時中に敵兵を救った「工藤俊作」の物語!

日本人の価値観、世界観は他国と比較して特殊なモノなのかも知れません。戦時中であっても、敵であっても、規範や秩序を重視し、他者にも思いを寄せることが出来る。このような実例の記事を紹介します。今回の記事は、偉人のお墓巡り特集です。そして、長い記事ですが本当に日本人なら知っておくべき内容なので、最後まで読んでいただくようお願いいたします!!!やってきたのは、埼玉県川口市にある薬林寺というお寺。恐らく地元の人しか知らないような寺だと思うこの寺に、多くの日本人に知ってほしいとある偉大な男が眠っています。その男の名は、「工藤俊作」。山形県の出身で、広島県の江田島にある海軍学校を卒業し、駆逐艦「雷(いかずち)」の船長になった方です。私の家は神奈川県の川崎市ですが、工藤俊作のお墓参りをすべく、埼玉県の川口市までやって来ました。そして、こちらが工藤のお墓。先人として立派なことをして下さった工藤俊作に、祈りを捧げてきました。では、工藤はどんなことを成し遂げたのか?それは、日本人の誰もが知らなかった、世界の海軍史の中でも歴史に残る感動の物語だったのです。その物語を以下で紹介したいと思います。1941年12月...
日本の文化

養生訓 ~ 人々がみな幸せに仲良く暮らせる国を創る道

貝原益軒の『養生訓』は健康論を超えて、哲学だと思います・・・「人の身は父母を本(もと)とし、天地を初(はじ)めとす」「諸々(もろもろ)の食物、皆あたらしき生気ある物をくらふべし」「養生の術は先(まず)心気を養ふべし」「心を和(やわらか)にし、気を平らかにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ、思ひ、をすくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず。是(これ)心気を養ふ要道なり」83歳の貝原益軒は、自身の体験から編み出した、心身ともに健康で充実した幸福な日々を送る術を書き残した。養生訓 ~ 人々がみな幸せに仲良く暮らせる国を創る道■1.「整形手術をした女性がほとんどいない国」 韓国で飲食店を経営している夫婦が、神戸に留学している娘に会いに日本にやってきた。訪日は今回が初めてという母親が、日本での「発見」を知人の日本人に語った。それは「整形手術をした女性がほとんどいない国」ということだった。「そんなこと当たり前じゃないの?」と日本人が聞くと「韓国では当たり前じゃないよ」。その母親によれば「年をとるほど、過去に整形したかどうかが分かってくる。顔に出てくるのよ」という。留学中の娘も母親の発見に全く同感し...