中国

現代の中国

中国は全世界に重要なシグナルを送っている

中国は全世界に重要なシグナルを送っている北京の初めての国家安全保障白書は、中国が今や自らを不可欠な世界的勢力とみなしていることを明確に示している。Ladislav Zemánek著、中国 CEE 研究所の非居住者研究員、ヴァルダイ ディスカッション クラブの専門家ファイル写真:2019年10月1日、中国北京の天安門広場で、1949年の中華人民共和国建国70周年を祝うパレードに参加する中国兵たち。©  Kevin Frayer / Getty Images先週、中国は初の国家安全保障白書を発表しました。この文書は大きな進展をもたらすものではありませんが、その発表は意義深いものです。これは2つの重要な展開を示している。中国の指導者たちは、激化する地政学的対立をますます懸念しており、その過程で米国の優位性に挑戦しながら、世界情勢においてより積極的な役割を果たす用意ができている。鄧小平とその後継者たちの指導を特徴づけた経済優先の改革路線は、習近平の権力掌握によって事実上終焉を迎えた。中国人はしばしば、国内的にも世界的にも大きな変化を特徴とする現在の段階を「新時代」と呼ぶ。習近平の指導の下、中央...
現代の中国

中国による米国債売却:静かなドル離れ戦略の実行

中国による米国債売却:静かなドル離れ戦略の実行英国が中国に代わり米国債保有量第2位の外国となったというニュースは、世界金融の安定を「揺るがす」ことなく自国通貨の影響力を拡大するというアジアの国の長期政策目標の表れだと経済学者のアラスデア・マクラウド氏は言う。中国の米国債保有量は時間とともに変動しているが、「その背景には、中国は長期的にはドルを廃止したいと考えていることがある」と、独立系有力な金融・信用専門家のマクラウド氏はスプートニクに説明した。「中国は、ASEAN諸国において、貿易においてドルではなく人民元の使用を広めるべく、かなり積極的な動きを見せています。そして、上海協力機構(SOC)加盟国やBRICS諸国にも同様の取り組みが広がるでしょう。」そのため、最近、香港とサウジアラビアに上海黄金取引所の金庫が開設されたことは、貿易における人民元の国際化に向けた重要な一歩です。四半世紀ぶりに中国は米国債保有第2位国ではなくなった「特にトランプ大統領の就任以来、アジアの覇権国である中国とロシアが、資金、資本、政治的影響力、そして商業貿易において西側諸国への依存から距離を置こうとしていること...
現代の世界各国

トランプ関税のせいで世界の79%の国がアメリカより中国に好感 デンマークのシンクタンクが調査

トランプ関税のせいで世界の79%の国がアメリカより中国に好感 デンマークのシンクタンクが調査2025年 中国・中南米カリブ海諸国共同体フォーラムで基調演説をする習近平国家主席(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)トランプ関税が発表されたあとの今年4月9日から23日にかけて、デンマークに根拠地を置くシンクタンク「アライアンス・オブ・デモクラシーズ(Alliance of Democracies=AoD)」(創設者はNATO元理事長)が世界100ヵ国11万1,273人を対象に意識調査を行なった(調査の実施自体はNira Dataに依頼)。そのデータDPI2025が5月12日に発表された。ただし、このリンク先からデータを得るには各自が自分の名前やメールアドレスなどの個人情報を入力しないとならない。そのプロセスを経てデータを入手したところ、世界の79%の国が「アメリカよりも中国に好感を持っている」と回答していることが分かった。DPIとはDemocracy Perception Index(民主認識指標)のことだが、「認識」というのは直訳で、「評価」という言葉を使った方が日本人にはピンとくるかもし...
現代の世界各国

115%の関税引き下げ トランプ最大の誤算は「中国の報復関税」か 日本は?

115%の関税引き下げ トランプ最大の誤算は「中国の報復関税」か 日本は?スイスで米中貿易協議 追加関税の一時引き下げで合意 米側記者会見(写真:ロイター/アフロ)5月12日、米中関税交渉の結果、互いに90日間115%もの関税引き下げを行うという劇的な発表があった。5月7日にトランプ大統領は対中関税145%を引き下げるかと聞かれ「ノー!」と断言し、その2日後の5月9日には「80%まで引き下げるのが適当かもしれない。ベッセント次第だが」と投稿したばかりだ。喧嘩を吹っ掛けた方から引き下げるとは言えないので、ベッセント財務長官のせいにして、その実、トランプは切羽詰まった状況に追い込まれていたものと考えられる。なぜなら5月9日には145%関税を受けた中国貨物船が米国の港に着いており、まさに米国の店に並ぶ商品が全面的に値上げする直前だったからでもある。また、4月23日に米メディアのCBSはウォルマートなどのCEOがトランプ大統領に関税のせいで間もなくスーパーの棚が空になると警告していたと報じている。そうなれば反トランプ運動が爆発するのは目前だった。米国から中国製品を追い出すことなど、できるはずも...
現代の中国

歴史を改ざんしているのは中国共産党 中露首脳会談内容と共同声明を糺す

歴史を改ざんしているのは中国共産党 中露首脳会談内容と共同声明を糺す習近平国家主席とプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)反ファシスト戦勝80周年記念祭典に出席するためモスクワを訪問した習近平国家主席は5月8日、プーチン大統領と会談し共同声明を発表した。その中で日本が第二次世界大戦に関して「歴史改ざんをしている」と非難しているが、歴史を改ざんしているのは中国共産党だ。日中戦争中、毛沢東は国民党軍を率いる蒋介石を打倒するため、日本軍と共謀すべく日本の在外公館に中共スパイを派遣したことは、今では知らない人は少ないのではないだろうか。日本帝国主義を打倒したのは中国共産党軍であると主張することこそ、大きな歴史改ざんである。このたび、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』の英語版がアメリカで出版され、マルコ・ルビオ国務長官に手渡されたばかりだ。◆中露首脳会談と共同宣言5月9日、中国の外交部は中露首脳会談後の共同声明に関して<中華人民共和国とロシア連邦は、中国人民抗日戦争とソ連の偉大なる祖国防衛戦争の勝利および国連創設80周年記念を記念して、中露新時代の戦略的パートナーシップをさらに深化さ...
現代のロシア

モスクワで習国家主席は露国と「鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいる」と表明

モスクワで習国家主席は露国と「鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいる」と表明 ​中国の習近平国家主席はロシアの戦勝記念日式典に出席するためモスクワを訪問、ウラジーミル・プーチン露大統領と会談した​。会談後の記者会見で習国家主席は「世代を超えて友情を維持し、鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいることが必要だ」と述べている。プーチン大統領は「軍国主義国家である日本」に対する勝利記念日を祝うため、中国を訪問すると語った。 中国はアメリカ産原油の購入量を半減させると伝えられている。2月6日にアメリカからLNG(液化天然ガス)が運ばれてきたが、それ以降、LNGの供給は停止。その一方、ロシアからの天然ガス購入量を増加させる。プーチン大統領はインフラを整備し、貿易を盛んにすることで各国との関係を強化しようとしているが、特に天然ガスは重要だ。 ロシアは「シベリアの力」パイプラインを2019年12月に完成させ、天然ガスの供給を始めたが、アレクサンドル・ノバク副首相によると、プーチン大統領と習近平国家主席は「シベリアの力2」計画の加速化で合意したという。このパイプラインはロシア北部のヤマル地方からモンゴルを経...
現代の世界各国

膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている

膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている米国防総省(写真:ロイター/アフロ)米国の海外軍事基地の数え方にはさまざまあり分類の仕方によって違うが、「128ヵ所」という数え方と「562ヵ所」という数え方がある。いずれにしても地球上で米軍だけが突出して多く、中国はジブチ「1ヵ所」しか持っていない。 したがって中国による「軍事的世界制覇」はあり得ないと考えるのが妥当だろう。その代わりに中国は貿易で世界を制覇しようとしている。トランプ大統領がまるで「世界の王様」気取りで全世界を相手取って関税喧嘩を吹っ掛けられるのは、この米軍基地が世界を制覇しているからだ。本稿の図表1(米中の海外軍事基地マップ)をご覧になると、海外米軍基地による世界制覇は、第二次世界大戦への処罰であり、「日本、ドイツ、イタリア」という三国同盟、特に「日本とドイツ」をアメリカは今も監視し続けていることが見えてくる。戦後80年経った今もなお、世界は第二次世界大戦の「米国による戦後支配体制」で動いているというのは驚くべき事実だ。地球上で戦争が絶えないのも、基本的にそのせいだと言っていいだろう。一方、東南アジ...
中国の歴史

国際プロパガンダの研究

JOG(229) 国際プロパガンダの研究文書偽造から、外国人記者の活用まで、プロパガンダ先進国・中国に学ぶ先端手法。■1.エドガー・スノー■ 世界を征服するには、まず中国を征服しなければならぬ≪田中手記≫ 1941(昭和16)年、大東亜戦争開戦の年の春にアメリカのランダム社から出版されたエドガー・スノー(冒頭画像)による「アジアの戦争(The Battle for Asia)」の第一編第一章の冒頭に引用されたセリフだ。「アジアの戦争」とは日本の「世界征服計画」の第一ステップだと言うのである。 エドガー・スノーは1936年、中国共産党の支配する大陸奥地に潜入して、毛沢東とのインタビューに成功し、翌年出版した「中国の赤い星」は英米でベストセラーとなった。「私は、着くとすぐに毛(沢東)と会った。その姿はやせたリンカーンのように見えた」という見事な一節で、中国の共産主義者は、ロシアの革命家のような「血に飢えた権力主義者」ではなく、「良心的な民主主義者」であると印象づけた。 その中国を侵略する日本人を「アジアの戦争」では次のように描写する。 神道の教えを基にする武士道を信ずるサムライたちは、百年...
現代の世界各国

トランプ関税とイーロン・マスクが、アフリカを中国にいっそう近づけた

トランプ関税とイーロン・マスクが、アフリカを中国にいっそう近づけた米総合格闘技を観戦するトランプ大統領とイーロン・マスク氏(写真:Imagn/ロイター/アフロ)中国は建国以来、アフリカとの関係を重んじ、緊密度を深めてきた。そこにトランプ1.0の時の2018年にトランプ大統領がアフリカを「肥だめ」呼ばわりして完全に中国の方にアフリカを押しやっている。トランプ2.0ではトランプ関税と、意外なことに、イーロン・マスクの存在がアフリカを徹底して中国に近づける役割を果たしてしまった。その現状分析と謎解きをしたい。◆イーロン・マスクとトランプがアフリカでGDP最大の南アフリカを怒らせたトランプ大統領はトランプ1.0の2018年にアフリカ諸国を「肥だめ」呼ばわりしたことは周知のことだと思う。念のためBBC日本語ニュースの<トランプ大統領、禁句使い中米やアフリカの移民罵倒>をご紹介しておきたい。すると、毎年北京で開かれている「中非(中国・アフリカ)協力フォーラム」で、アフリカ諸国の首脳が人民大会堂で一堂に会し、習近平国家主席のスピーチが終わると割れんばかりの拍手とスタンディングオベーションがくり広げら...
現代の中国

トランプ関税はEUを中国に近づけた アメリカなしの世界貿易新秩序形成か?

トランプ関税はEUを中国に近づけた アメリカなしの世界貿易新秩序形成か?訪中した仏大統領と欧州委員長が習近平国家主席と会談(2023年)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)習近平国家主席にとってEUとの投資協定である「中欧投資協定」は長いこと悲願だった。しかしバイデン政権の介入や中国の安価なEVの「津波」によって挫折し、EUは2024年10月にEVに関する対中関税を決定。両者の関係は冷え込んでいた。ところが「トランプ関税」がEUにも圧し掛かってきたことによってEUの対中姿勢は一転。EVに対する対中関税を撤廃し、価格協定で折り合う方向に動き始めた。実は2021年にEUがウイグル問題で中国の官員を制裁し、中国がEU官員を報復制裁することで中欧投資協定が凍結されていたのだが、中国はその報復制裁を解除すると言い出したこともあり、習近平宿願の「中欧投資協定」が復活しつつある。トランプ関税は中国と東南アジアの緊密度を強化する役割をしただけでなく、EUに近づけたことになる。その結果、「アメリカなしでの世界貿易新秩序」が形成しつつあるのを見逃してはならない。◆トランプ相互関税直後、欧州委員会委員長が中...
現代の世界各国

東南アジアは日中どちらを向いているのか? 習近平vs.石破茂?

東南アジアは日中どちらを向いているのか? 習近平vs.石破茂?ASEAN関連首脳会議 ラオスで開催(写真:ロイター/アフロ)石破首相は4月30日、東南アジア歴訪を終えて帰国した。石破政権発足以来、二回目の東南アジア訪問で、東南アジア重視が目立つ。習近平国家主席も4月14日から東南アジアを歴訪している。トランプ関税に報復関税を宣言した数少ない国として、東南アジアを味方につけておくことが目的だろう。トランプ大統領は東南アジアに関心が薄いにもかかわらず、相互関税に関してだけは非常に厳しい数値を出しているので、東南アジアは中国と日本の「草刈り場」のような存在になりつつある。そこで東南アジア諸国は、中国と日本のどちらを向いているのか、また日本は今後どのように東南アジアと付き合えば良いかを、「外交・貿易・意識調査(シンガポールのシンクタンク)」の三つのファクターから考察してみた。意識調査はトランプ関税発動前なので、分析はやや困難だが、それでも「一番信頼している国は日本」というデータもあるので、今後の動向の分析には有用だ。結果的に言えるのは、石破首相の早くからの東南アジア重視は正解だったということに...
現代の中国

中国を虐めればご褒美「トランプ関税軽減」と米メディア 一転、トランプ大統領が対中融和発言

中国を虐めればご褒美「トランプ関税軽減」と米メディア 一転、トランプ大統領が対中融和発言コロコロ前言を翻すトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)(本文末尾にTSMC海外工場に関する追記があります。4月24日加筆)4月15日、米紙ウォールストリート・ジャーナルが<米国は関税交渉を利用して中国を孤立させる計画>(有料)という見出しの記事を報道した。要は中国に不利な貿易を実行すれば、「トランプ関税」のディールで「あなたの国の関税を緩和してあげますよ」ということだ。これに関連した記者の質問に回答する形で、中国商務部は「そのような事態が発生した場合、中国は決してそれを容認せず、毅然とした態度で対抗する」と表明している。ここでいくつかの疑問が浮かぶ。まず、トランプ大統領は就任後3日目のダボス会議にオンライン参加して、「習近平国家主席が大好きだ。ずっと好きだった」など、「習近平愛」に満ちた言葉を何度も言ってきた。そのトランプが「中国を虐めればご褒美をあげる」などという事を言うのだろうかという疑問だ。次に、4月13日の論考<米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除>に書いたように、...
現代の中国

ピューリサーチ「米国民の対中感情改善」 中国のネットでは「トランプ遊び」

ピューリサーチ「米国民の対中感情改善」 中国のネットでは「トランプ遊び」中国のネットに溢れるミーム:ミシンを踏むトランプ大統領とスマホのネジを留めるバンス副大統領4月17日、アメリカのピューリサーチが米国民の民意調査の結果を発表した。対中感情が2024年よりも改善し、関税の引き上げに関しては、米国民の半数以上が「良くない」と回答している。中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は大喜び。しかし中国には言論統制があるので、民意調査を行うことは基本的にできない。したがって中国の庶民がアメリカをどう思っているかという調査はない。そこで、中国のネットで流行っている「トランプがミシンを踏む姿」などのミーム遊びを覗いてみることにした。◆ピューリサーチの結果アメリカのピューリサーチ(Pew Research Center)は、今年3月24日から30日にわたって、アメリカの成人3605人を対象に対中感情やトランプ大統領の関税政策などに関して民意調査を行った。その結果を4月17日に発表している。まだ4月2日の「解放の日」に宣言された「相互関税」が始まる前の段階だ。発表されたデータによるグラフは...
現代の中国

中国最強カードを切る! 「米軍武器製造用」レアアース凍結から見えるトランプ関税の神髄

中国最強カードを切る! 「米軍武器製造用」レアアース凍結から見えるトランプ関税の神髄中国・江蘇省 輸出用レアアースを輸送(写真:ロイター/アフロ)習近平国家主席が遂に中国の最強カード「レアアース凍結」を切った。4月13日の論考<米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除>で、米軍武器製造の際の海外サプライチェーンにおいて中国製品が最も多いことを書いた。その中には他国で代替できるパーツがないわけではない。それでも中国に頼っているのは値段だけの問題ではなく、中国でしか製造できないパーツが多いからだ。中でもレアアースは中国の生産が世界一であり、中国でしか精錬できないものが多い。中国の精錬技術は世界の85%~99%を占める。そのため中国が「対米輸出を凍結する」と宣言した瞬間に米軍は武器を製造できなくなる可能性が高い。そのからくりを追いかけている内に、ようやくトランプ大統領がなぜ鉄・アルミなどに関税をかけ始めたかという、「トランプ関税」の神髄が見えてきた。◆中国の「レアアースなど」規制に対する一連の動き中国政府は4月4日に、7種類のレアアースを輸出規制の対象にすることを発表した。...
現代の中国

米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除

米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除米ペンタゴン・メモリアル(写真:イメージマート)日本時間4月12日(アメリカ時間4月11日夜半)、米税関・国境警備局(CBP)は、連邦政府が「スマホ、パソコン、チップおよび一部電子製品」を「相互関税」から免除することに合意したと発表した。スマホはアップルの工場が中国にあるからであり、パソコンも中国から輸入しており、アメリカ国民の不満が力説トランプ政権に向かうことを避けたためだが、「一部電子製品」の中に、米軍武器を製造する際の「中国製品」が入っていることを見逃してはならない。いやむしろ、米軍の武器のほとんどは、「中国製品」によって製造されているのだ。本稿は、この事実に注目して考察する。◆米税関・国境警備局が急遽、一部の相互関税除外を発表米税関・国境警備局(U.S. Customs and Border Protection=CBT)は、EDT(アメリカ東部夏時間)4月11日午後10時36分に、<特定の品目の相互関税除外>を速報で発表した。そこには長々と弁明が書かれ、かつ対象商品に関しては番号(たとえば「8473.30、8486、8...
現代の中国

勝者は誰に?トランプ関税激変「中国以外は90日間一時停止」 それでもトランプ「習近平が好きだ」

勝者は誰に?トランプ関税激変「中国以外は90日間一時停止」 それでもトランプ「習近平が好きだ」大統領令に署名するトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)4月9日、トランプ政権の対中追加関税50%が発表されるとすぐ、中国はピッタリ同額の対米報復関税50%を同日夜発表した。しかし世界の株価暴落と米国債が売られるのを見てか、トランプ大統領は13時間後に前言を翻した。「報復関税をしなかった国に対する関税適用を90日間一時停止する」と言い始めたのだ。その数時間前まで「90日間一時停止はフェイクだ」と断言しておきながら、「基本関税10%以外は90日間一時停止」と宣言。「しかし報復措置をしてきた中国に対しては関税を125%に引き上げる」と、これも前言を翻した。それでいながら、そのすぐ後にトランプは「私は習近平が好きだ、尊敬している」と表明し、かつ「習近平は世界で最も賢い人物の一人」だとまで絶賛している。まるで勝算がないことを悟ったトランプが習近平に「話し合いに乗ってくれよ」と懇願しているかのようだ。中国は対米一国に集中していればいいが、アメリカは全世界から信用を失い、輸出入控えを受けるので、勝算に自...
現代の世界各国

トランプ「報復関税を表明した中国に50%の追加関税」 習近平はどう出るのか?

トランプ「報復関税を表明した中国に50%の追加関税」 習近平はどう出るのか?トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)4月6日の論考<トランプ関税は「中国を再び偉大に(Make China Great Again)」 英紙エコノミスト>で、トランプ大統領が4月2日に発表した対中相互関税34%に対して、中国が報復関税34%表明したと書いた。さらにホワイトハウスの大統領令には、別途、「報復関税をした国・地域には、さらに相互関税を増額させる」という趣旨の文言がある。中国はそれを承知で報復関税を宣言したのだろうが、トランプは4月7日、自身のSNSで「中国が8日までに34%の報復関税を撤回しなければ、9日から50%の追加関税を課す」と書いている。4月2日の「相互関税」発表までは、対米貿易をしている全ての国・地域が対象だったが、中国の報復関税により事態は一気に米中貿易戦に引き上げられた感を呈している。◆50%の追加関税は、すなわち対中関税合計104%を意味するのか?トランプが7日に自分のソーシャル・メディアTruth Socialにある英文を読むと「もし中国が2025年4月8日までに34%の報復関税...
現代の中国

トランプ関税は「中国を再び偉大に(Make China Great Again)」 英紙エコノミスト

トランプ関税は「中国を再び偉大に(Make China Great Again)」 英紙エコノミストトランプ2.0の関税政策(写真:ロイター/アフロ)4月3日、イギリスの週刊新聞「エコノミスト」は<How America could end up making China great again(アメリカはどのようにして中国を再び偉大な国にしてしまうのか)>という見出しの記事を報道した。BBCも4月4日、<トランプ関税は懲罰か「贈り物」か 4つの国と欧州はどう見ているのか>という解説記事の中で、【中国首脳にとって関税は「贈り物」】と書いている。ことほど左様に、トランプ関税は結果的にMake America Great AgainではなくMake China Great Again現象をもたらす可能性があるとみなしているということになる。つまり、トランプ大統領の全世界に対する相互関税は「圧倒的に中国に有利だ」ということになるわけだ。中国は結果的に54%もの高関税をかけられたのに、なぜなのだろうか?◆トランプ関税に対する中国の対抗措置トランプ大統領は現地時間4月2日、ホワイトハウスの大統領...
現代の中国

習近平が睨んでいるのは「台湾統一」か 中国の「反外国制裁法実施規定」

習近平が睨んでいるのは「台湾統一」か 中国の「反外国制裁法実施規定」デインズ米上院議員らが訪中 李強首相と会談 写真:代表撮影/ロイター/アフロ トランプ2.0における米中関係が注目を浴びる中、中国は今年3月24日、「反外国制裁法実施規定」を発布した。中国問題グローバル研究所の台湾代表研究員・陳建甫博士(淡江大学中国大陸研究所所長)は「反外国制裁法」が台湾のハイテク産業に与える影響を危惧した論考を発表している。非常に興味深い視点で、本稿は陳博士の論考に刺激を受けて、中国がなぜこの段階で「反外国制裁法実施規定」を発布したのかを考察した。その結果見えてきたのは、「中国製造2025」の完遂は実は「反外国制裁法」実施をも睨んでいたのかもしれないという事実と、何よりも最終的には「台湾統一」を目指して「中国製造2025」を実行し「反外国制裁法実施規定」に至ったのかという、習近平の恐るべき長期的な国家戦略だった。◆陳博士の論考の要点3月26日の陳博士による<China’s Anti-Foreign Sanctions Law: Implications for Taiwan and the Glob...
現代の中国

アメリカを圧倒する中国AIトップ人材 米「世界脅威報告書」

アメリカを圧倒する中国AIトップ人材 米「世界脅威報告書」AIイメージ画(提供:イメージマート) 3月25日、アメリカの国家情報長官室は「世界の脅威に関する年次報告書」を公表した。AIにおいて中国が2030年までにアメリカを凌駕するだろうと予測している。 一方、アメリカのシンクタンクMacroPolo(マクロポロ)の調査によれば、アメリカのAIトップ企業のAIトップ人材は2022年段階ですでに「中国38%、アメリカ37%」となっており、世界のAIトップ人材の47%が中国人であるという。 また2024年6月、US NEWSはAIにおけるベスト・グローバル大学のランキングを公開したが、トップ20の内の香港を含む13大学が中国で、その中にアメリカは入っていない。アメリカが初めて出てくるのは第29位だ。日本は100大学内に1大学も出てこない。「ゼロ」だ。 習近平は2015年にハイテク国家戦略「中国製造2025」を発布し、2017年にはさらにAI人材開発に関する新たな戦略を追加した(詳細は拙著『米中新産業WAR』)。今年の全人代でもAI人材養育強化を謳っている。 AI技術の進歩は軍事にも影響し、...