現代のロシア

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ナチスと同じようにロシア侵攻を目論むNATOを許さないロシア

ナチスと同じようにロシア侵攻を目論むNATOを許さないロシア ドナルド・トランプ米大統領は5月19日にウラジミル・プーチン露大統領と電話で会談した。トランプはウクライナでの停戦を短期間で実現すると宣伝していたが、状況をウォッチしていた人なら、そうした展開にならないことを予測していたはずだ。戦況はロシアが圧倒的に優勢であり、基本的に自給自足のロシア経済は西側資本の撤退でビジネスチャンスが膨らんで好調、兵器の生産力も強化されてきた。こうした実態をトランプは知らされていないのではないか、と言う人もいる。 戦死者の遺体交換を見ると、今年5月はウクライナ兵909名に対し、ロシア兵は34名、約27対1だ。これは戦死者数の比率が反映されていると考えられている。ウクライナでは街頭で男性が徴兵担当者に拉致される様子が撮影され、世界に発信されているが、そうした強引なことをしても兵士は足りなくなっている。拉致され、前線に送られた人たちは数週間で殺されているともいう。 2023年8月31日までイギリスの国防大臣を務めていた​ベン・ウォレスは同年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した論稿の中でウクライナ兵の平均年齢...
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トルコでの交渉でロシアはウクライナやNATO諸国が目論む時間稼ぎを拒否

トルコでの交渉でロシアはウクライナやNATO諸国が目論む時間稼ぎを拒否 5月15日にイスタンブールでウクライナ情勢に関して話し合う会議が開かれた。ロシア政府はウラジミル・メジンスキー大統領補佐官を団長とする代表団、ウクライナ政府はルステム・ウメロフ国防相を団長とする代表団を送り込んだが、話し合いは2時間足らずで終わった。会談ではロシアの代表団がウクライナ側に対し、ドネツク、ルガンスク、サポリージャ、ヘルソンからの完全撤兵を要求、ウクライナ側が拒否したところで終了したという。 キエフ体制やその後ろ盾になっているイギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパ諸国は停戦を求めているが、停戦は戦力を増強して態勢を立て直す時間稼ぎにすぎないことを理解しているロシアが応じないことは明白だった。2014年のミンスク1と15年のミンスク2で煮湯を飲まされた過去をロシアが忘れているはずはない。戦場で西側を圧倒しているロシアは事実上の降伏を要求している。仲介役を演じようとしているアメリカ政府はこうした状況を理解していないのかもしれない。 ロシアはすでにドネツク、ルガンスク、サポリージャ、ヘルソンの4州をロシア領...
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モスクワで習国家主席は露国と「鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいる」と表明

モスクワで習国家主席は露国と「鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいる」と表明 ​中国の習近平国家主席はロシアの戦勝記念日式典に出席するためモスクワを訪問、ウラジーミル・プーチン露大統領と会談した​。会談後の記者会見で習国家主席は「世代を超えて友情を維持し、鋼鉄のように鍛えられた真の友人でいることが必要だ」と述べている。プーチン大統領は「軍国主義国家である日本」に対する勝利記念日を祝うため、中国を訪問すると語った。 中国はアメリカ産原油の購入量を半減させると伝えられている。2月6日にアメリカからLNG(液化天然ガス)が運ばれてきたが、それ以降、LNGの供給は停止。その一方、ロシアからの天然ガス購入量を増加させる。プーチン大統領はインフラを整備し、貿易を盛んにすることで各国との関係を強化しようとしているが、特に天然ガスは重要だ。 ロシアは「シベリアの力」パイプラインを2019年12月に完成させ、天然ガスの供給を始めたが、アレクサンドル・ノバク副首相によると、プーチン大統領と習近平国家主席は「シベリアの力2」計画の加速化で合意したという。このパイプラインはロシア北部のヤマル地方からモンゴルを経...
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欧州が露に対する軍事攻撃に積極的な姿勢を見せる中、露軍がNATO司令部を粉砕

欧州が露に対する軍事攻撃に積極的な姿勢を見せる中、露軍がNATO司令部を粉砕 5月6日からドイツの首相を務める予定のフリードリッヒ・メルツはロシアとの戦争に前向きの発言を繰り返し、第3次世界大戦を望んでいるかのように見えた。メルツは巡航ミサイルの「タウルスKEPD 350」をウクライナへ供与すると主張している。 ​このミサイルでクリミア橋(ケルチ橋)を攻撃する計画についてドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監や作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部の2名が昨年2月19日にリモート会議で話し合っている​が、​その音声を昨年3月1日にRTが明らかにした​。 ロシアとの戦争についてはイギリスやフランスも積極的で、ウクライナでの停戦を実現したいドナルド・トランプ米大統領は苛立っているようで、ヨーロッパに対し、ロシアと戦いたいのなら自分たちだけでやってみろと言っている。ロシアとの戦争にアメリカを巻き込むなと釘を刺したわけだ。トランプ政権はロシアとビジネスの話をしていると言われている。 2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大...
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プーチン:平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除する

プーチン:平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除する ウラジミル・プーチン露大統領は3月27日、潜水艦アルハンゲリスクのデッキで演説、その中で彼は問題を平和的な手段で解決することに賛成だが、根本的な原因は排除されなければならないと語った。ウクライナにNATOが存在することを許さないだけでなく、同国を非軍事化、非ナチ化した上で中立の立場の維持、そして領土の「現実」を認めることを要求している。 西側では大統領扱いされているウォロディミル・ゼレンスキーの任期は昨年5月に切れ、新大統領を決める選挙が行われていない。そこでロシア大統領はウォロディミル・ゼレンスキーをウクライナ大統領だとすることはできないとしている。そして「大統領自身が正当でなければほかの全員も正当ではない。」というわけだ。 プーチン大統領は国連主導の暫定政権方式の採用を提案、さらに民主的な選挙を実施し、国民に信頼され、世界的に認められる機能的で正当な政府を設立することを求めた。自由な選挙が実施され、有能で国民に信頼される政府が成立すれば、平和条約について国民と交渉を開始し、世界中で認められ、信頼でき安定した合法...
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「米露中vs.欧州」基軸への移行か? 反NEDと反NATOおよびウ停戦交渉から見えるトランプの世界

「米露中vs.欧州」基軸への移行か? 反NEDと反NATOおよびウ停戦交渉から見えるトランプの世界2025年 独ローズマンデーのカーニバル(プーチン・トランプ・習近平)(写真:ロイター/アフロ) トランプ大統領はNED(全米民主主義基金)を財政支援するUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)を解体すべく動き、3月19日には第二次世界大戦後米軍が担当してきたNATO軍最高司令官ポストの放棄を検討しているニュースが流れた。これはNATO解体を示唆する。3月10日にはトランプ政権のシンクタンクがEU解体に向けて動いていると報道されてもいる。 NED解体、NATO解体は中露両国にとっても実に歓迎すべきことだ。 加えて、トランプはプーチンとの会談の後に「プーチンとも習近平とも良い関係であり続けたい」という趣旨の発言をしている。中露は、トランプ政権が終われば元のアメリカが戻ってくることを知っているので、中露共同戦線は絶対にやめない。 ウクライナ戦争停戦交渉においてもトランプは明らかにプーチン寄りだ。 ゼレンスキー抜きでやってはどうかとトランプに水面下で提案したのも習近平だとウォールストリート・ジャー...
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トランプとプーチンの隠然同盟

トランプとプーチンの隠然同盟2025年3月25日   田中 宇英国のスターマー政権が、米国のNATO離脱に備え、フランスやカナダなど欧州・英国系の30か国以上の参加を得てウクライナに派兵するロシア敵視維持の策を掲げている。だが最近、英国の軍幹部たちは「スターマーのウクライナ派兵は具体策が何もない。各国が出す兵力数も、司令系統も兵站も決まっていない。政治的な演技・幻影にすぎない」と非難している。ウクライナは3年間の戦争で、欧州の派兵を受け入れる国家基盤がすでに破壊されている。欧州が派兵するなら、ウクライナを丸ごと引き受けて占領統治せねばならない。交代要員を含めて10万人の派兵が必要だと、ロシア側が試算している。欧州諸国は、長引くウクライナ支援で財政を使い果たし、対露制裁のはね返りによる経済悪化で税収も減った。派兵など無理だ。(UK Military Officials Call Starmer's Plans for Ukraine 'Political Theatre')英軍幹部たちは「米国やロシアの賛同も得られていない。幻影の派兵案を廃止すべきだ」と言っている。派兵案が幻影だという指...
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プーチン大統領とトランプ大統領の電話会談:重要なポイント

プーチン大統領とトランプ大統領の電話会談:重要なポイントロシアと米国の首脳は、ウクライナ紛争の解決と二国間関係の改善の見通しについて協議した。ファイル写真。©  ゲッティイメージズ/アナドル通信社/ロシア大統領報道情報局ロシアのウラジミール・プーチン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領は火曜日、ウクライナ紛争の解決の可能性について協議するため、待望の電話会談を行った。会談は2時間半続き、ホワイトハウスとクレムリンの双方が前向きな内容だったと述べた。会談の要点は以下の通り。停戦の可能性プーチン大統領とトランプ大統領は、トランプ大統領の30日間の停戦案について協議し、ロシア側は停戦実施前に解決すべき複数の問題を示したと、クレムリンの報道機関は電話会談後の声明で述べた。具体的には、プーチン大統領は、停戦の可能性を適切に監視するメカニズムを確立するとともに、ウクライナでの強制的な動員と再軍備を阻止する必要性を示した。「合意内容を繰り返し妨害し、違反してきたキエフ政権の交渉能力の欠如に伴う深刻なリスクも指摘された」とクレムリンの広報部は述べ、プーチン大統領は「クルスク地域の民間人に対してウクラ...
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19世紀からロシアの破壊を目論んできた英国の支配層がウクライナの戦争で浮上

19世紀からロシアの破壊を目論んできた英国の支配層がウクライナの戦争で浮上 ​ロイターによると、地上発射型小直径爆弾(GLSDB)のウクライナ向け輸送をアメリカ政府は再開する準備を進めている​という。この爆弾はGPS補助慣性航法システムで誘導されるGBU-39(SDB)にM26 227 mmロケットモーターを組み合わせたものだ。ウクライナ軍はアメリカから供給されたATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)をほぼ使い果たしているので、その代用兵器なのだろう。すでに提供されたGLSDBはロシア軍のECM(電子対抗手段)で無力化されている。今回のタイプは対抗できるよう改良されたというが、性能は不明だ。 ドナルド・トランプ大統領がスティーブ・ウィトコフ特使をモスクワへ派遣したタイミングでこの記事は出た。ウィトコフはウラジミル・プーチン大統領に「即時暫定30日間停戦」に合意させることはできなかった。もしこの停戦案をロシア政府が認めた場合、その間にアメリカ政府はGLSDBをウクライナへ輸送する予定だったのかもしれないが、そうした時間的な余裕はなくなった。こうした兵器を供給するということは、軍事情報...
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ウクライナの敗北が決定的な中、米政府は露政府を交渉の席につけて利権確保へーウクライナ軍の敗北が明確になる中、米政府が提案した時間稼ぎを露政府が拒否

ウクライナの敗北が決定的な中、米政府は露政府を交渉の席につけて利権確保へ ロシア軍は3月上旬にクルスクのスジャにある工業地帯の北部へ入り込み、ウクライナ軍の背後を制圧して補給路を断つことに成功した。退却できなくなったウクライナ軍はパニック状態だという。 スジャへの侵入は地下に埋設された直径1.4メートルのパイプラインが利用されたと伝えられている。パイプのひとつから天然ガスを排出、酸素を注入した上で特殊部隊がパイプラインから近くの森へ入り、約800名の兵士が続いたという。 ウクライナでの戦闘を話し合いで停止させると言いながら動き回っていたドナルド・トランプ米大統領や、トランプの任期が切れる4年後までロシアとの戦闘を維持しようと目論んでいるというEUのリーダたちもこの展開には驚いたようだ。 そうした中、ウォロディミル・ゼレンスキーはドナルド・トランプ政権が提案したロシアとの「即時暫定30日間停戦」に同意し、アメリカがウクライナの重要な資源にアクセスできるようにする協定に「できるだけ早く」署名する用意があると表明したと伝えられているが、ロシア政府はすでに公表している条件が達成されないかぎり、...
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トランプとプーチンで中東を良くする

トランプとプーチンで中東を良くする2025年3月10日   田中 宇米露の関係改善はどんどん進んでいる。だが、トランプとプーチンの米露首脳会談は、まだ行われていない。サウジアラビアの首都リヤドでの開催が予定され、露払い的な米露高官協議がリヤドで繰り返され、米露は十分に親しくなったはずだが、首脳会談の日程は決まっていない。当初は2月中の開催が言われていたが、もう3月上旬が終わる。これは、何を意味するか。私は以前から、米露首脳会談はウクライナよりも中東の問題解決に連動しているのでないかと勘ぐってきた。エジプトがガザ市民の入国を止めている限り、米露首脳会談が延期されるという話なのか??。(米露和解と多極化の急進)ウクライナ戦争に関してはトランプもプーチンも、戦争が(戦死者を減らして)低強度で長引き、米国が主導役を放棄して西欧(英国系。英仏独EU)に押しつけ、米覇権を牛耳ってきた英国系が自滅していくのを、こっそり望んでいる。建前と裏腹に、トランプとプーチンが英国系を潰していくのが、これからのウクライナ戦争だ。建前的に、米露首脳会談はウクライナ戦争の終結と連動している。しかし本音的には、米露首脳...
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ウクライナをめぐる露国と米国の協議は合意が近いとする推測が流れている

ウクライナをめぐる露国と米国の協議は合意が近いとする推測が流れている バラク・オバマ政権のネイコンがウクライナで始めたロシアとの戦争をドナルド・トランプ大統領は本気で終結させようとしているようだ。そのためにウラジミル・プーチン政権と協議、合意が近いと推測する人がいる。 アメリカ政府とロシア政府の協議は2月18日にサウジアラビアのリヤドで始まったと見られている。その際、さまざまな問題に対処するための専門グループを編成することで米露両国は合意したという。ひとつは戦略的安全保障と軍備管理に関するグループ、第2に地球規模の安全保障構造を見直すグループ、第3に両国相互の外交に関するグループ、第4にエネルギーや制裁に関するグループ、第5にウクライナにおける戦闘の決着をつけるためのグループ、第6にはパレスチナや北極圏を含む国際問題に関するグループだ。 ​ウクライナに関する問題については話し合いが進んでいると推測する人がいる​。2月24日にエマニュエル・マクロン仏大統領がホワイト・ハウスを訪問、27日にキール・スターマー英首相もホワイト・ハウスを訪れている。そしてウォロディミル・ゼレンスキーが28日に...
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2007年に公表された核攻撃でロシアを脅すという英国のシナリオが崩壊した

2007年に公表された核攻撃でロシアを脅すという英国のシナリオが崩壊した ドナルド・トランプ政権も言っているように、ウクライナで戦っているのはロシアとアメリカである。アメリカがネオ・ナチを使ったクーデターでキエフを制圧した。そのネオ・ナチ体制が崩れようとしているのだが、それをヨーロッパのエリートは恐れている。 クーデターを実行したのはバラク・オバマ政権。2013年11月から14年2月にかけてのことである。2010年の選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチを排除し、ロシアに軍事的な圧力をかけると同時にヨーロッパとロシアを分断することが目的だった。クーデターで実権を握った体制はネオ・ナチだ。 ネオ・ナチを操っているのはMI6やCIAだが、ウクライナの軍や治安機関の約7割はネオ・ナチ体制を嫌って離脱したと言われている。ヤヌコビッチを支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、オデッサでは住民がネオ・ナチの一団に虐殺されて制圧されたが、クリミアの住民は素早くロシアに保護を求め、東部ドンバスの住民は反クーデター軍を組織して抵抗を始めた。 クーデターから間もない段階では反クーデター軍が優勢で、西...
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習近平とプーチンを喜ばせた「トランプ・ゼレンスキー会談決裂」

習近平とプーチンを喜ばせた「トランプ・ゼレンスキー会談決裂」2月28日、ホワイトハウスにおけるトランプ・ゼレンスキー会談(写真:ロイター/アフロ) 日本時間2月28日夜、ホワイトハウスにおけるゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談が決裂に終わったことは、中露をこの上なく喜ばせた。会談が決裂する数時間前の同じ日、ロシアのショイグ安全保障会議書記は北京詣でをして習近平国家主席と会っていたし、27日には米露代表団がトルコのイスタンブールでウクライナ戦争の停戦交渉をしていた。中露と米露は、それぞれホワイトハウスにおける米ウ(ウクライナ)会談の「リスク」を回避するかのように、着々と別行動で緊密度をアピールしていたのである。 その「リスク」というのは、「米ウ首脳がうまく行った場合」の安全弁を予め用意しておいたということだ。どちらに転んでも、「中露+米露」は緊密であることを確認し合うための会合であったとみなすことができる。それくらい分岐点となるかもしれしれなかった米ウ首脳会談が決裂したのだ。 中共中央宣伝部の管轄下にある中央テレビ局CCTVは、ロシア外交部のザハロワ報道官が「トランプがゼレンスキー...
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習近平・プーチン・トランプの相互関係 トランプはウクライナ問題解決後、対中攻撃を考えているのか?

習近平・プーチン・トランプの相互関係 トランプはウクライナ問題解決後、対中攻撃を考えているのか?アメリカ、中国、ロシアの国旗(写真:イメージマート) 2月24日、プーチン大統領が習近平国家主席に電話をし、中露の緊密さは永遠に変わらないことを誓い合った。トランプ大統領がどんなに対露接近をしても、トランプ政権が終われば、また民主党のNED(全米民主主義基金)を駆使した「民主を掲げながら親米的でない国家や政府を倒す方針」に戻ることが考えられるからだ。したがって中露の緊密度が変わることはない。 一方のトランプは「習近平が大好きだ」と公言している。大統領就任式にも習近平を招待したほどだ。実現はしなかったが大統領選挙中に主張した「対中一律60%関税」は無期延期に近い措置を連邦政府に指示した。 加えてトランプは「ウクライナ問題の解決には中国の協力が必要だ」とさえ言っている。 このような中、「トランプがプーチンに急接近しているのは、ウクライナ問題を解決した後、対中攻撃に集中するためだ」という言説がまかり通っているが、それは正しいのだろうか? ハーバード大学教授の見解も引用しながら考察する。◆ウクライナ...
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史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?

史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?北京を訪問した時のトランプ大統領と習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ) ウクライナ戦争の停戦交渉がウクライナ抜きで行なわれていることにゼレンスキー大統領が激怒し、習近平国家主席に助けを求めた話を2月20日のコラム<「習近平に助けを求める」ゼレンスキー ウクライナを外した米露会談を受け>で書いた。 しかし、もし「ウクライナ抜きの米露のみによる交渉」を「こっそり」トランプに提案していたのが習近平だったとすると、どうなるだろうか? 世界の認識はガラリと変わってくる。 その奇想天外な「仮定」が、実は本当だったことが、2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルに載っており、それを引用する形で2月13日にロイターが報道していた。 中国はもちろん「沈黙」したままだ。 それにしても、習近平はなぜこのようなことをしたのだろうか? それはトランプが選挙中から「中国からのすべての輸入品に、一律60%の完全を賦課する」と宣言していたからではないだろうか? まるでそのご褒美のように、トランプ2.0が始まると、関...
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米露の高官はリヤドでウクライナだけでなく、軍事、外交、経済など広範な協議

米露の高官はリヤドでウクライナだけでなく、軍事、外交、経済など広範な協議 ​2月17日付けフィナンシャル・タイムズ紙にドイツの武器メーカー、ラインメタルのアルミン・パペルガーCEOのインタビュー記事が掲載された​。その中で同CEOはEUの兵器庫が空になっていると語っている。アメリカを中心とするNATO諸国はウクライナに対して資金や兵器を供与、その結果だ。こうした状況にあることは以前から知られていたが、西側の有力メディアもその事実を伝えるようになった。空になった兵器庫を埋めるための需要で収益が上がるというわけだ。 リヤドで2月18日に行われた会談で、さまざまな問題に対処するための専門グループを結成することで米露両国は合意した。ひとつは戦略的安全保障と軍備管理に関するグループ、第2に地球規模の安全保障構造を見直すグループ、第3に2国間の外交的な相互影響に関するグループ、第4にエネルギーや制裁に関するグループ、第5にウクライナにおける戦闘の決着をつけるためのグループ、第6にはパレスチナや北極圏を含む国際問題に関するグループだ。 ウクライナの停戦について話し合うためにアメリカとロシアがリヤドで...
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ロ=悪・ウ=善図式は完全な誤り

ロ=悪・ウ=善図式は完全な誤りトランプ大統領がウクライナ停戦実現に向けてロシアとの協議を加速させていることに対して一部メディアがトランプ批判を展開している。一部メディアとは欧米主要メディアのこと。実は、偏向しているのは、この欧米主要メディアである。欧米主要メディアはグローバル巨大資本の支配下にある。グローバル巨大資本が2022年2月24日のウクライナ戦乱拡大時点から一貫して偏向した情報を流布し続けてきた。端的に表現すれば〈ロシア=悪・ウクライナ=善〉という図式での主張流布である。私はウクライナ戦乱拡大の時点から、この主張が適正でないことを述べてきた。戦乱発生直後に上梓した『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)において、基本的見解を示した。この時点の基本判断は現在も変わらない。その後、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社)にも基本的な論点を記述した。紛争解決に武力行使を用いた点でロシアが批判される側面はある。しかし、ウクライナに一切の責任がないなかでロシアが領土的野心で軍事侵攻したとの見立ては間違っている。ロシアの行動を〈小悪〉と表現するなら、米国とウクライナの行動は〈大悪〉と表現できる問題...
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米露政府がウクライナについて交渉を始める中、追い詰められた英国が必死に抵抗

米露政府がウクライナについて交渉を始める中、追い詰められた英国が必死に抵抗 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、​ウォロドミル・ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問した際、イギリスの対外情報機関MI6(SIS)のリチャード・ムーア長官を非公式に訪問、会談している​。その訪問はジャーナリストに察知され、撮影された。その事実からゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーア長官だと推測されている。会談後、ゼレンスキーの警護担当者はウクライナ人からイギリス人へ交代になったという。ゼレンスキー政権はMI6政権だということもできる。MI6は歴史的にシティ(ロンドンを拠点とする金融資本)と関係が深い。 降伏か「総玉砕」かという状況に陥っているウクライナでの戦争継続に意味を見出せないドナルド・トランプ米大統領はウラジミル・プーチン露大統領と交渉を開始、今月下旬にはサウジアラビアで会うと言われている。ロシアとの交渉を進めたいなら、アメリカはロシア...
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ロシアとの関係を修復は、中露の関係を分断して中国を攻撃するためだとの疑惑

ロシアとの関係を修復は、中露の関係を分断して中国を攻撃するためだとの疑惑 アメリカとロシアの高官がサウジアラビアのリヤドで協議を始めた。アメリカからはマルコ・ルビオ国務長官、マイク・ウォルツ国家安全保障担当補佐官、スティーブ・ウィトコフ中東担当特使、またロシアからはセルゲイ・ラブロフ外相とクレムリンのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官が出席した。またサウジアラビアの外相や国家安全保障問題担当補佐官も同席している。 ウクライナを舞台とした戦闘はバラク・オバマ政権がネオ・ナチをを利用して実行したクーデターから始まり、ジョー・バイデン政権が従属国を率いて行ってきた。兵士として戦っているのは基本的にウクライナ人だが、実際はアメリカとロシアの戦争だ。そうした事情から考え、交渉の場にウクライナの自称大統領やヨーロッパ諸国の首脳がいないことを不思議がることはない。 ドナルド・トランプ大統領はロシアの要求を相当部分呑むと見られ、両国の関係を修復する姿勢を見せているのだが、その一方、ガザでは進展が見られない。そうした中、注目されているのが台湾問題だ。​アメリカ国務省の台湾に関するサイト​から「台湾の独立を...