2025-02

現代の日本

米もマグロも消滅!それでも日本が「他国ファースト経済」をやめない理由。食も文化も海外勢に「買い負ける」悲劇の戦犯

米もマグロも消滅!それでも日本が「他国ファースト経済」をやめない理由。食も文化も海外勢に「買い負ける」悲劇の戦犯トランプ米大統領を批判的に見ることが多い米国在住作家の冷泉彰彦氏。そのスタンスは今も変わらないが、たった1つ日本が学ぶべき“トランプ流”もあると指摘する。それが「自国中心主義経済」だ。日本は自国ファーストと真逆に突き進んだため、食も文化も海外勢に「買い負ける」状態になってしまった。このままでは私たちは美味しい中トロを食べられなくなる。その「戦犯」は誰なのか。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ジャパンファースト経済を考えるトランプ大統領の“無双状態”は当面続こうアメリカでは、トランプ政権が発足して1ヶ月という短期間で、政府機関への大リストラ、疑問だらけの閣僚人事、ウクライナと中東問題を中心とした外交政策の転換が進んでいます。その内容はともかく、スピード感には驚かされます。そうしたアメリカの現状を一言で言うのならば、「様子見」と言うことにつきると思います。政府のリストラは過激そのもので、当然に多く...
現代の日本

超円安による“一種の幻視”だ。日本は「輸出が3年連続で過去最高を更新」のニュースに浮かれている場合ではない

超円安による“一種の幻視”だ。日本は「輸出が3年連続で過去最高を更新」のニュースに浮かれている場合ではない問題は「ハイテクの強みを伸ばす戦略思想」の欠如。「輸出が過去最高を更新」というニュースの読み方財務省が1月23日に発表した2024年の貿易統計速報によると、同年の日本の輸出額は107兆0913億円で、これをマスコミは「輸出が3年連続で過去最高を更新」と大きく報道した。一般の人々の多くは、新聞やネット・ニュースの見出しだけチラッと見たり、テレビが見出しプラスα程度を伝えるのを耳にしたりして、「おお、輸出は結構、伸びているんだ」と思うのだろうが、言うまでもなくこれは“超円安”による一種の幻視で、日本経済の世界との関わりを客観的に見るには必ずドル建ての貿易統計も参照しなければならない。「円建てで見れば過去最高」などと浮かれる愚表1は、24年のドル建てによる対世界の輸出入額、そのうち対米国、対アジア、対中華圏の数値、さらに21~23年の対世界の数値も示している。これを見ると、2021年の7,586億ドルから24年の7,090億ドルへと、日本の輸出は階段を下るように減り続けていて、これは何ら...
現代のロシア

習近平・プーチン・トランプの相互関係 トランプはウクライナ問題解決後、対中攻撃を考えているのか?

習近平・プーチン・トランプの相互関係 トランプはウクライナ問題解決後、対中攻撃を考えているのか?アメリカ、中国、ロシアの国旗(写真:イメージマート) 2月24日、プーチン大統領が習近平国家主席に電話をし、中露の緊密さは永遠に変わらないことを誓い合った。トランプ大統領がどんなに対露接近をしても、トランプ政権が終われば、また民主党のNED(全米民主主義基金)を駆使した「民主を掲げながら親米的でない国家や政府を倒す方針」に戻ることが考えられるからだ。したがって中露の緊密度が変わることはない。 一方のトランプは「習近平が大好きだ」と公言している。大統領就任式にも習近平を招待したほどだ。実現はしなかったが大統領選挙中に主張した「対中一律60%関税」は無期延期に近い措置を連邦政府に指示した。 加えてトランプは「ウクライナ問題の解決には中国の協力が必要だ」とさえ言っている。 このような中、「トランプがプーチンに急接近しているのは、ウクライナ問題を解決した後、対中攻撃に集中するためだ」という言説がまかり通っているが、それは正しいのだろうか? ハーバード大学教授の見解も引用しながら考察する。◆ウクライナ...
現代の米国

イーロン・マスク頑張れ! 米国の「汚い役所」の実態を暴露する

イーロン・マスク頑張れ! 米国の「汚い役所」の実態を暴露するDOGE率いるイーロン・マスクが大暴れ米国の外交戦略を長く支えてきたのは、「リベラルデモクラシー」(自由民主主義)であり、その海外輸出こそ、米国による世界全体の統治に役立つと考えられてきた。いわば、世界の覇権を握るための道具として、リベラルデモクラシーを世界中に広めようとしてきたのである。しかし、ドナルド・トランプ大統領はこうした考えが世界を不安定にし、米国の安全保障に必ずしもプラスにならないとして、これまでの外交戦略を変更しようとしている。たとえば、トランプ政権が海外援助の根幹を担ってきた米国際開発庁(USAID)を潰そうとしているのはその一環だ(拙稿「トランプが暴露した「リベラルデモクラシー」という名のウクライナ支援の無駄使い」を参照)。もう一つ、まさにリベラルデモクラシー拡大のために重大な役割を果たしてきた全米民主主義基金(NED)もまた、トランプ政権の標的になっているという話を今回は取り上げる。「政府効率化省」(DOGE)を主導するイーロン・マスクは、2月3日、「誠実な人ならだれでもNEDを辞任すべきだ。あの悪の組織は...
現代の日本

すべては「税金でカジノのインフラ整備」が目的。五輪誘致に失敗した維新が「大阪万博」に狙いを定めた“真の思惑”

すべては「税金でカジノのインフラ整備」が目的。五輪誘致に失敗した維新が「大阪万博」に狙いを定めた“真の思惑”いよいよ4月16日に迫った大阪・関西万博の開幕。とは言え盛り上がりに欠けるのは否めないのが現状で、事実、チケットの売れ行きも芳しくありません。そもそもなぜ「負け戦必至」等とも揶揄される万博は、こうまでゴリ押しされるのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、日本維新の会が大阪万博を強行する「真の目的」を白日の下に晒しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:赤字必至の大阪万博赤字は必至。それでも維新の会が大阪万博を強行した訳4月13日の開幕まで、あと6週間となった「大阪・関西万博 2025(以下・大阪万博)」ですが、多くの皆さんの予想通りに前売り入場券が売れていません。入場券は全体で2,300万枚の販売を予定しており、開幕までの前売りで1,400万枚を売る計画です。しかし、1月29日の時点で約767万枚、計画の54.7%しか売れていないのです。前回1月8日の発表では751万枚(約53.6%)だったので、この3週間...
現代の米国

中南米を良くするトランプ

中南米を良くするトランプ2025年2月26日   田中 宇米国のトランプ政権が、南隣のメキシコで麻薬(フェンタニルなど)を製造して米国に密輸出している国際麻薬組織(カルテル)を潰すため、CIAや米軍特殊部隊をメキシコに送り込んでいる。トランプは就任日に発した大統領令で、中南米から米国に麻薬を密輸出してくるメキシコやエルサルバドル、ベネズエラなどの8つのカルテルをテロ組織に指定した。これらのカルテルは、米国にとって外国の組織なので、米当局が取り締まり・撲滅するのが法的に難しかった。テロ指定したことで法的に、大統領令で米軍を中南米に派遣してカルテルを攻撃できるようになった。(CIA Reportedly Flying MQ-9 Spy Drones Over Mexico As Cartel Fight Nears)カルテルは、資金力や軍事力、政治力が強く、メキシコなど中南米諸国の政府はカルテルに太刀打ちできず、逆に政府や政界、経済をカルテルに牛耳られる傾向だった。従来は、たとえ米政府がカルテル撲滅を望んでも、カルテル傀儡の中南米諸国政府が取り締まりや軍事行動に抵抗して話を潰した。今回も、...
現代の日本

立憲民主党の〈やるやる詐欺〉

立憲民主党の〈やるやる詐欺〉石破内閣が発足して5ヵ月が経過。10月31日の総選挙で自公は大敗。少数与党に転落した。野党が結束して不信任を突き付ければ政権は崩壊する。政権にとっての大きな試金石が予算成立。衆議院での予算案可決が必須。しかし、この条件をクリアして予算が成立する見通しにある。しかし、石破内閣が主権者国民に寄り添う政治を実行しているとは言えない。3月に米国で開かれる核兵器禁止条約第3回締約国会議に日本政府はオブザーバーとしても参加しない方針を示した。世界で唯一の核被爆国である日本が核兵器禁止条約の先頭に立たないことに主権者多数が失望している。核による世界支配を維持したい米国の顔色を窺い、核兵器禁止条約締約国会議に出席できないのだ。日本の一般会計国税収入は直近4年間で年額13兆円も増加。巨大な実質増税が遂行されている。地方を含めて15兆円規模の減税が必要不可欠。しかし、石破内閣は大きな減税を握りつぶす動きを示している。同時に生存権を侵害する政治を推進している。「食料に対する権利」は生存権の根幹をなす。日本政府はグローバル巨大資本の命令に従ってTPPに参加。日本の一次産業をグローバ...
現代の欧州

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難 エマニュエル・マクロンは2月24日、トランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問、その際、ウクライナで和平が成立すれば、同国に派遣されるイギリスとフランスの部隊にアメリカが「支援」を与えるべきだと主張したというが、実現することは困難だ。ホワイトハウスの報道官は、トランプ大統領がまとめている和平協定に将来の軍事援助の保証や、この地域へのアメリカ軍派遣の約束は含まれないとしている。 トランプが第1期目に国家安全保障補佐官として選んだマイク・フリン元DIA(国防情報局)長官はウクライナで戦闘中のNATO軍がアメリカを戦争に巻き込む恐れがあると警告、ジョー・バイデン政権を操っていた勢力の計画を非難している。 一方、ロシアは話し合いでウクライナの戦闘を終わらせられるとは考えていない。2014年のミンスク1と15年のミンスク2をロシアは停戦合意だと信じたようだが、​アンゲラ・メルケル元独首相​や​フランソワ・オランド元仏大統領​はこの合意がキエフのクーデター体制の軍事力を強化するための時間稼ぎだったと証言している。 E...
現代の欧州

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出 ウクライナを舞台にした戦闘に対するドナルド・トランプ米大統領の姿勢が劇的に変化、ジョー・バイデン政権に従属していたヨーロッパ諸国のリーダーは動揺しているようだ。ヨーロッパ諸国の首脳は自分たちだけで会議を開き、意味のあることをしているように演じているが、トランプ大統領やロシアのウラジミル・プーチン大統領から相手にされていない。思考力も決定権もないからだ。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月24日にトランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問したのだが、到着時に出迎えたのはホワイトハウスのスタッフだけ。裏でどのようなやり取りがあったのかは不明だが、マクロンは到着をやり直し、その2度目はトランプが出迎えた。マクロンとしてはアメリカとフランスの友好関係を演出したかったのだろうが、この出来事は両国の関係がそれほど友好的でないことを世界に知らせることになった。 自分たちがアメリカの支配層と結びついていると思わせることで地位と収入を手にしてきた人々にとって、アメリカ政府から相手にされなくなることは恐怖以外の何もので...
現代の世界各国

侵攻3年 - 戦争を検証せず「侵略したロシアが悪い」のワンフレーズを刷り込むマスコミ

侵攻3年 - 戦争を検証せず「侵略したロシアが悪い」のワンフレーズを刷り込むマスコミ侵攻3年。トランプ新政権が大統領選の公約に従って和平プロセスを打ち出し、この戦争をめぐる景観はガラッと一変した。2/12 のトランプとプーチンの電話会談後に米露が急接近、2/18 にリヤドで4時間半かけて米露高官協議が行われ、①停戦、②ウクライナの大統領選、③最終合意の3段階で和平プロセスを進める合意が報道され、米露首脳会談に向けて調整が進められている旨が伝えられた。米露外相が対面で会談するのは侵攻後初であり、双方の在外公館の業務正常化が協議され、米露の外交関係の回復が確認された。2/21 の英紙記事では、侵攻3年に合わせたG7首脳声明で、トランプ米政権が「ロシアによる侵略」の表現を盛り込むことに反対していると報じられた。アメリカがウクライナ戦争に関する方針を180度転換し、中国以上にロシアとの協調姿勢を鮮明にする姿となり、ウクライナとEUが取り残される状況となった。ウクライナ戦争をめぐる国際情勢は劇的に変化し、トランプ米政権がそれを主導している。そのアメリカ政府の方向転換に対して、今、日本を含めた西側...
現代の世界各国

緩衝国家の民衆の苦難

緩衝国家の民衆の苦難 3年間に及んでいるロシアとウクライナの戦争について、米国大統領の座がバイデンからトランプに変わるやいなや、停戦に向けた動きが加速している。当事者のウクライナ・ゼレンスキーを「さしたる成功も収めていないコメディアン」上がりとして蚊帳の外に置いて、またNATOを構成する欧州各国を差し置いて、代理戦争を仕掛けていた張本人であるアメリカ側のトップが交替するやいなや大統領が直接身を乗り出し、ロシア・プーチンとの直接対話に向けて動いているのだから、見る人によっては何が何だかわからない展開でもあろう。トランプとそれに抗うゼレンスキーの批判の応酬に、主要メディアの困惑ぶりったらないのである。 この何年間か、欧米メディアを筆頭にウクライナ=「正義」、ロシア=「悪」という二元論で各国の世論を染め上げ、異論を挟むものは袋叩きにでもするような空気が支配的だった。日本国内でも共産党までが涙を流さんまでにゼレンスキーの国会演説にスタンディングオベーションをしている有様で、黄色と水色をあしらった洋服をコーディネートして「ウクライナ支持」を体現する政治家までいたほどである。まるでウクライナ国民に...
現代の欧州

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進 ドイツでは2月23日に連邦議会選挙があり、CDU/CSU(キリスト教民主同盟)が32%を獲得して第1党になった。EUの現体制を支えている勢力から激しい攻撃を受けてきたAfD(ドイツのための選択肢)は得票率21%で第2党。現首相のオラフ・ショルツが率いるSPD(社会民主党)は20%で第3党に止まり、ロシアとの戦争を煽っていた好戦派のアンナレーナ・ベアボック外相が所属する同盟90/緑の党は12%で第4党だ。AfDは平和を訴えているが、CDU/CSUは与党と同じようにロシアとの戦争を継続したいと考えている。 議席の増減を見ると、CDU/CSUが11議席増、AfDが69議席増だったのに対し、SPDは86議席減、同盟90/緑の党は33議席減。そのほか左翼党が25議席増やしている。ショルツ政権はアメリカのジョー・バイデン政権の命令に従ってロシアとの戦争へのめりこんでドイツ経済に大きなダメージを与え、社会を破壊、首相は無能さを曝け出していた。好戦的な言動を繰り返していたベアボックの同盟90/緑の党が敗北するのも必然だった。 平和を実現し、経...
現代の世界各国

ハマスやヒズボラが健在だと明らかになる中、イスラエルは戦闘再開を目論む

ハマスやヒズボラが健在だと明らかになる中、イスラエルは戦闘再開を目論む ハマスが停戦合意を守る中、​テル・アビブ郊外で人が乗っていないバス3台が爆破され、近くのホロン市ではバスに置かれたバッグの中から爆破装置が発見されたと報道されている​。バッグにはアラビア語で「攻撃」と「トゥル・カルム」と書かれていたという。 トゥル・カルム旅団はその日、「占拠者がわれわれの土地に居座る限り、殉教者への復讐は忘れられない」という声明を発表した。戦闘を再開、ガザから出ていかないパレスチナ人を虐殺したいベンヤミン・ネタニヤフ政権として好都合。爆破事件でパスポートなど「犯人」を示唆するようなものが発見されるが、今回も似ている。 しかし、​治安機関のシンベトはバス爆破事件に関与した疑いでイスラエル人2人を21日に逮捕した​。裁判所が箝口令を敷いているので詳細は不明だが、パレスチナ人によるテロ攻撃というストーリーは揺らいでいる。戦闘を再開したいネタニヤフ政権による偽旗作戦の疑いが出てきたということだ。 ジョー・バイデン政権はイギリス政府やドイツ政府と連携、ガザを破壊し、住民を虐殺するイスラエルを支援、ドナルド・...
科学論

古代エジプトでは天文学にどのようなアプローチが用いられていたのか?

古代エジプトでは天文学にどのようなアプローチが用いられていたのか?古代の世界では、現代のように宇宙を観察できる天体望遠鏡は存在しない一方で、かなり高度な測量術や計算方法によって天文学が発達している地域もありました。紀元前3000年頃から始まった古代エジプトにおける天文学はどのようなものであったのか、カナダのペリメーター理論物理学研究所で博士研究員を務めるJ・ルナ・ザゴラック氏が研究結果をまとめています。In Search of Lost Timeエジプト、ギザの三大ピラミッドがオリオン座の三つ星の位置とほぼ一致するという「オリオン説」が唱えられるように、古代エジプトの文化は天体観察と密接な関係があったと言われています。しかし、具体的に当時どのような観測が行われていたのかというデータは、記録に残っていません。そこでザゴラック氏は、エジプト学と天文学の観点から、収集すべきデータと分析するアプローチについてのアイデアを提案しました。ザゴラック氏はまず、古代エジプトの「対角星表(Diagonal Star Table)」を分析しました。対角星表とは、古代エジプトのひつぎ(コフィン)や墓の内部に...
科学論

宇宙は膨張と収縮を繰り返している? やがて我々は一点に収束してしまう「ビッグバウンス理論」

宇宙は膨張と収縮を繰り返している? やがて我々は一点に収束してしまう「ビッグバウンス理論」宇宙の概念図 出典:Pablo Carlos Budassi宇宙は誕生以来膨張を続けていると考えられてきましたが、近年の研究では膨張と収縮を繰り返している可能性が示唆されています。最新の宇宙論に基づくシミュレーションや観測データにより再び注目を集めている「ビッグバウンス理論」をご紹介します。■宇宙の膨張と「ビッグバウンス」理論インフレーション期を経た宇宙膨張の概念図 出典:NASA従来の宇宙モデルは、約138億年前の「ビッグバン」によって宇宙が誕生し、加速膨張を続けていると考えられてきました。しかし、膨大な宇宙を加速膨張させている力は何なのでしょうか。それは、「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」によるものと考えられています。ダークエネルギーは宇宙の全エネルギーの約70%を占めていると考えられる、正体不明のエネルギーです。宇宙空間を収縮する方向に力を与える重力とは異なり、宇宙空間を膨張させる斥力を発生させています。しかし最近の理論では、宇宙が膨張と収縮を繰り返している可能性が浮上しているのです。こ...
現代の世界各国

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか③ 東京外国語大学名誉教授・西谷修

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか③ 東京外国語大学名誉教授・西谷修イスラエルによる15カ月におよぶ爆撃で生活の場を追われていた数十万人のパレスチナ人たちが一時停戦と同時にガザ地区北部へ続々と帰還している(1月27日)Ⅸ. ビック・テックと野放図な「自由」の要求 今、トランプの復帰で勢いづいているイーロン・マスクをはじめとする「ビッグ・テック」の首領たちに触れておきたい。 彼らは、情報革命とインターネット開放後、情報空間をはじめあらゆる「財」のデジタル・バーチャル化で、人間世界に新たなフロンティア、言いかえれば新たな市場の沃野を作り出し、その開拓によって天文学的利益を独占的に手にしてきた。 情報分野においては、それが真実かどうかよりも流通力(より人々の感情的衝動を誘う)がものをいう「ポスト・トゥルース(真実)」状況を一般化させることによって利益を膨らませ、さらにその新技術と資金力によって、他のあらゆる分野(金融、バイオ、マネージメント、宇宙開発)までも私的所有し、莫大な利益を上げている。 現在、世界各国で盛んにデジタル化が推進されている...
現代の世界各国

南アジア諸国の「政権交代」におけるUSAIDの役割が明らかに

南アジア諸国の「政権交代」におけるUSAIDの役割が明らかにドナルド・トランプ氏が最近言及したインドの選挙に割り当てられた2100万ドルは、実際にはバングラデシュ向けだったと新たな報告書が主張している。2024年8月5日、ダッカにあるシェイク・ハシナ元首相が辞任して国外に逃亡した後、反政府デモ参加者がハシナ元首相の宮殿を襲撃した。©  KM Asad/LightRocket via Getty Imagesインディアン・エクスプレス紙が金曜日に発表した調査報道によると、イーロン・マスク氏の政府効率化局(DOGE)によって最近取り消された「インドの投票率向上」のために割り当てられた2100万ドルのアメリカ納税者のお金は、実際にはバングラデシュに割り当てられたという。同メディアは、資金記録にアクセスし、この資金配分は2022年にUSAIDによって行われ、2024年1月のバングラデシュ選挙前に学生の「政治・市民参加」のためにすでに1,340万ドルが支出されていることを知ったと主張した。バングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、学生主導の大規模な抗議活動で数百人が死亡した後、8月に辞任を余儀なく...
現代のロシア

史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?

史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?北京を訪問した時のトランプ大統領と習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ) ウクライナ戦争の停戦交渉がウクライナ抜きで行なわれていることにゼレンスキー大統領が激怒し、習近平国家主席に助けを求めた話を2月20日のコラム<「習近平に助けを求める」ゼレンスキー ウクライナを外した米露会談を受け>で書いた。 しかし、もし「ウクライナ抜きの米露のみによる交渉」を「こっそり」トランプに提案していたのが習近平だったとすると、どうなるだろうか? 世界の認識はガラリと変わってくる。 その奇想天外な「仮定」が、実は本当だったことが、2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルに載っており、それを引用する形で2月13日にロイターが報道していた。 中国はもちろん「沈黙」したままだ。 それにしても、習近平はなぜこのようなことをしたのだろうか? それはトランプが選挙中から「中国からのすべての輸入品に、一律60%の完全を賦課する」と宣言していたからではないだろうか? まるでそのご褒美のように、トランプ2.0が始まると、関...
科学論

フリーエネルギーは発明済み

フリーエネルギーは発明済み2024年7月11日に神戸で『シェディングの会』をしたとき、川崎で開業医をされている由井郁子先生のシェディング体験を聞きました。そこで由井先生が「高藤式二酸化塩素」に言及されていて、その文脈で初めて、高藤恭胤さんの名前を聞きました。うちでもさっそく「高藤式ヨウ素」や「高藤式CBDオイル」を仕入れて、必要な患者に勧めています。近々当院で「メッドベッド」も導入予定です。高藤さんは医者ではないけど、そこらへんの医者よりもはるかに多くの人を救っています。高藤さんは、ひとことで言うなら、発明家です。数えきれないくらいの特許を持っているすごい人だけれど、世間一般の知名度は高くない。「天才」と称賛されてもおかしくない実績なのに。この点、政木和三先生とよく似ています。高藤さんは広島出身です。広島といっても、広島市のような都会ではなく、加計町という「ほぼ島根」に近い田舎町です。高藤さんのお父さんは僧侶でしたが、いろいろと新しいものを考えるのが好きな人で、発明家の血は父譲りということでしょう。お好み焼きに塗るソースに新工夫を加えたことは、まぎれもなくお父さんの発明で、これを知れば...
現代の世界各国

SCOと世界金融システムの民主化

SCOと世界金融システムの民主化上海協力機構は、世界最大の地域組織に成長しました。SCO が直面する経済的課題を分析し、バルダイ クラブの専門家であるラディスラフ ゼマネク氏は、代替決済システム、デジタル通貨、およびユーラシアの回復力、セキュリティ、戦略的安定性を強化するための国家通貨の使用の重要性を強調しています。 著者は 、バルダイ - 新世代 プロジェクトの参加者です。 独立した支払いシステム地域における経済協力が成功し、持続可能になるための前提条件の 1 つは、決済システムの開発です。貿易および金融規制の乱用、経済関係の武器化、保護貿易、デカップリング、リスク回避などの経済ナショナリズムにより、地経学的分断のリスクに直面しています。米国は、地政学的ゲームで金融覇権を交渉材料として悪用しています。金融取引を外部の主体の介入から保護し、支配的な金融機関への依存を減らすために、代替的で相互補完的かつ統合された金融メッセージング システムの開発が必要です。これらのステップにより、接続性が向上し、効率性、生産性が向上し、経費が削減されます。SCOには、いくつかの国が堅牢な独立した決済シス...