2025-02-19

現代の中国

日産ホンダなど日本車の命運を転換させる中国EV

日産ホンダなど日本車の命運を転換させる中国EV破綻した日産ホンダ経営統合(写真:ロイター/アフロ) 日産&ホンダの経営統合は決裂に終わったが、そもそも統合しなければならないほどの危機に至ったのは、中国のEV(電気自動車)に押されて中国で生き残れなくなったからだ。トヨタは少し違うとしても、EVによって追い詰められた状況は日本車全体に言えることで、中国EVは日本車や在中国の日本車企業に鉄鋼製品を提供してきた日本製鉄などの命運を変えてしまった。 ならば、なぜ中国のEVはこんなにまで躍進したのか、なぜ日本のEVはここまで後れを取っているのか。本稿では中国市場における日本車と中国車のシェア推移などの比較を通して考察する。◆中国市場における日本車と中国車の市場シェアの推移 まずEVであるかガソリン車であるかの区別なく、車電体としての中国における市場シェアの推移を、日本車と中国車を比較しながら図表1に示す。図表1:中国における日本車と中国車の市場シェア「中国自動車市場分析報告」と「中国自動車流通経会報告」のデータを使い筆者作成 図表1のうち、2004年~2014年のデータは、崔东树:2014年12月...
現代の日本

激しいインフレ容認する不正義

激しいインフレ容認する不正義日本国民は日本経済停滞の影響を受けてあえいでいる。庶民の暮らしは一向に良くならない。良くなるどころか、悪くなり続けている。その最大の理由は政府が庶民の暮らしを良くしようと考えていないからだ。2012年12月に発足した第2次安倍内閣。〈アベノミクス〉なる経済政策を提示した。金融緩和財政出動成長戦略で日本経済を良くすると宣言した。しかし、結果は悲惨なものだった。日本経済の停滞は何ひとつ変わらなかった。労働者実質賃金は減少し続けた。他方、大企業利益だけは増大した。〈成長戦略〉とは〈大企業利益の成長〉=〈庶民不利益の成長〉を目指すものだった。一次産業自由化、医療自由化、労働規制撤廃、特区創設、法人税減税が実施された。弱肉強食が強まり、中間層は下流へと押し流された。現在の日本経済はこの延長線上に位置する。庶民の生活は一向に良くならない。自公は2024年10月総選挙で過半数割れに追い込まれた。政治刷新が本来なら現実味を帯びる局面。ところが、政治刷新の気配は広がらない。中核野党が政治刷新ではなく、自公政治への参画を目指している。堕落した野党=ゆ党では政治刷新は実現されない...
現代の米国

トランプ政権はフォート・ノックスなどに保管されている金塊を調査する可能性

トランプ政権はフォート・ノックスなどに保管されている金塊を調査する可能性 ドナルド・トランプ大統領は政府効率化局(DOGE)を設置、政府機関が動かすカネの流れを調べ始めた。ターゲットのひとつがCIAの工作資金を動かしているUSAID(米国国際開発庁)だ。外国政府を倒したり生物兵器の研究開発にもそうしたカネは使われてきたが、トランプ大統領は1月20日、対外援助の一時停止を指示する大統領令に署名した。財務省にもメスを入れようとしたが、財務省のシステムにアクセスすることを禁じる判決を連邦地裁が出している。 その財務省はアメリカや各国の金塊をニューヨーク連銀の地下金庫、フォート・ノックス陸軍基地、そしてウエストポイントの施設に保管しているのだが、最後に検査されたのは1950年代で、実際に存在しているかどうか不明だ。怪しいと思っている人は少なくない。何者かが盗み出したのではないかと疑われている。 本ブログでは何度か書いたことだが、ヨーロッパ文明はラテン・アメリカ、アフリカ、アジアなどに押し入って財宝を略奪、イギリスはそうした略奪財宝を海賊に奪わせて富を築いた。第2次世界大戦中、ドイツはヨーロッパ...
生命科学

「種の絶滅」を考えたとき、個体の生のように、種にも「寿命」はプログラムされているのだろうか?

「種の絶滅」を考えたとき、個体の生のように、種にも「寿命」はプログラムされているのだろうか?種に寿命は存在するのか?何年か前に、ある大学の先生がこんな発言をしていた。「現生人類であるホモ・サピエンスが誕生したのは、20万年~30万年前と言われていますが、いずれ種としての寿命が来て、絶滅するときがきます。いろいろな理由がありうるのですが、その一つは生殖能力です」また、マイケル・クライトンの『ロスト・ワールド――ジュラシック・パーク2』(上)には、こんなくだりがある。「概して、ひとつの種の平均寿命は四〇〇万年だ。哺乳類の場合は一〇〇万年。そこでその種は滅んでしまう。つまりひとつの種は、数百万年の範囲で勃興し、繁栄し、滅びるというわけだな」(酒井昭伸訳・早川書房)gettyimagesこれらに限らず、「種の寿命」という言葉をときどき聞くことがある。でも、「種の寿命」なんて、本当にあるのだろうか。たしかに私たち一人ひとりには、個体としての寿命がある。生きていればだんだんと老化して、いくら頑張っても100歳を超えた辺りで死んでしまう。このような寿命は、何らかの形で遺伝的にプログラムされていると考...