2024-10-16

科学論

誰が予想した? AIとグーグルが席巻した2024年のノーベル賞

誰が予想した? AIとグーグルが席巻した2024年のノーベル賞 2024年のノーベル化学賞発表の様子。(写真:新華社/アフロ) (小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)  ノーベル賞は秋の季語です。10月7日の生理学・医学賞を皮切りに、今年もノーベル賞が発表されました。  ノーベル物理学賞は機械学習の基礎原理の発見・発明に、化学賞はタンパク質の設計と、機械学習を利用したタンパク質の構造予測に授与されました。  この受賞に、研究業界の人々は衝撃を受けました。  機械学習というのは世間でおおざっぱに「AI」と呼ばれる技術の基礎で、つまりAIの基礎と応用がノーベル物理学賞と化学賞を獲ってしまったのです。しかも受賞者5人中3人がグーグルの関係者です。20世紀には誰も予想しなかった新展開です。  また、ノーベル賞は頑迷なほどの実験重視で知られています。いかに画期的で優れた理論研究であっても、実験によって実証されなければ、ノーベル賞が授与されることはまずありません。例えばブラックホールの「ホーキング放射」を理論的に導いたスティーブン・ホーキング教授は、ついにノーベル賞を受賞しませんでした。  そ...
科学論

本来なら日本の甘利俊一・福島邦彦両氏が受賞すべき今年のノーベル物理学賞

本来なら日本の甘利俊一・福島邦彦両氏が受賞すべき今年のノーベル物理学賞 2024年ノーベル物理学賞の受賞が決まったホップフィールド博士とヒントン博士(10月8日、写真:ロイター/アフロ)  10月8日、2024年のノーベル物理学賞が発表されました。  しかし、このノーベル物理学賞は、記銘に値する汚点というべき、恥ずかしい低見識な授賞でした。  今年5月に東京都美術館講堂で私たちが開催した「AIと教育」シンポジウムに登壇された、甘利俊一先生と福島邦彦先生のお二人によるはるかに先立つ本質的な貢献が、きれいさっぱり拭い去られているからです。  また、この受賞に対して異を唱えたり、ノーベル財団に対して抗議したりする動きが日本にないことは、さらに救いようがありません。  皆さんよろしいでしょうか。  ニューラルネットワークというのは、いまやインテルが寡占するチップ、マイクロプロセッサーがそうであったように、かつて「日本のお家芸」だったのです。 「ほとんどの先駆的業績は福岡や大阪で生まれたものである」という厳然たる事実に、改めて目覚める必要があります。  いかに今年のノーベル賞が噴飯ものであるか、...
現代の日本

対中包囲網・石破案「アジア版NATO」をASEAN諸国がどう見たかを中国が分析

対中包囲網・石破案「アジア版NATO」をASEAN諸国がどう見たかを中国が分析 就任会見の時の石破首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)  中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」や青年版「中国青年報」が一斉に「アジア版NATO」に対するASEAN諸国の反応を報道した。石破・李強会談を経て、自信を強めたという勢いが読み取れる。二紙の考察と中国ネット民の雑感を紹介する。 ◆環球時報社評:「アジア版NATO」がASEANで壁にぶつかった事実は何を物語るのか?  10月12日、環球時報は<“亚洲版北约”在东盟碰壁说明什么>(「アジア版NATO」がASEANで壁にぶつかった事実は何を物語るのか)という見出しで社評を発表している。かなり長いので、概略を個条書き的に拾うと以下のようになる。  ●10日に開催された第27回中国・ASEAN(10+1)首脳会議では、中国・ASEAN自由貿易地域バージョン3.0の格上げ交渉が実質的に妥結したことを発表した。 これは、中国とASEANが共同で東アジアの経済統合を主導する大きな動きであり、多国間主義と自由貿易を支持する双方の明確な態度を示し、安定・...
現代の米国

副島隆彦最新刊『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む』(祥伝社刊)が発売 2024年10月12日

「2158」 副島隆彦先生最新刊『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む』(祥伝社刊)が発売 2024年10月12日 SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2024年10月12日です。 トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む ←クリックすると、アマゾンのページに進みます。 2024年10月31日に副島隆彦先生の最新刊『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む』が発売になる。アメリカ大統領選挙を直前に控え、アメリカ大統領選挙後のアメリカの分裂を見据えた、最新アメリカ政治分析となっている。(左から)イーロン・マスク、ドナルド・トランプ、J・D・ヴァンスアメリカ大分裂がいよいよ近づく不正選挙がもうすぐ行われる 本書の際立っている点は、トランプの基本戦略、政権構想のロウドマップ(roadmap)である「プロジェクト2025(Project 2025)」の詳細な解説と、トランプ陣営重要人物たち14名の紹介だ。これは、日本初のことで、日本語で読める唯一の重要な本となっている。『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む...
現代の日本

「正直、Netflixに引き抜かれたい」テレビ局員の本音が爆発…プロ野球とメジャーリーグと同じ構図がテレビ業界にも

「正直、Netflixに引き抜かれたい」テレビ局員の本音が爆発…プロ野球とメジャーリーグと同じ構図がテレビ業界にも 映像メディア業界で長らく頂点に君臨し続けていたテレビ局が今、大ピンチを迎えている。当初、ライバル視されていたYouTubeとはなんとか共存関係を作り始めているが、ここにきて、はっきりと“テレビの上位互換”ともいえる存在が現れてしまったのだ。 ネトフリに引き抜かれたいテレビ局員たち その存在とは、アメリカ発の動画配信サービス『Netflix』。テレビ局は今、このサービスに次々に優秀な人材を引き抜かれている。 9月30日には、映像ディレクターの大根仁氏がNetflixと5年間の独占契約を締結したと発表した。 大根氏といえば、Netflixで大ヒットしたドラマ『地面師たち』を手掛けたことが記憶に新しいが、『モテキ』や『バクマン。』など映画界で作品を量産しているイメージもある。 しかし2022年にはフジテレビ系連続ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』でギャラクシー賞大賞を受賞。『エルピス』放送時には、“地上波でこのレベルの作品が見られるとは!”と話題になった。 フジテレビ社屋...