2025-05-09

現代の世界各国

膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている

膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている米国防総省(写真:ロイター/アフロ)米国の海外軍事基地の数え方にはさまざまあり分類の仕方によって違うが、「128ヵ所」という数え方と「562ヵ所」という数え方がある。いずれにしても地球上で米軍だけが突出して多く、中国はジブチ「1ヵ所」しか持っていない。 したがって中国による「軍事的世界制覇」はあり得ないと考えるのが妥当だろう。その代わりに中国は貿易で世界を制覇しようとしている。トランプ大統領がまるで「世界の王様」気取りで全世界を相手取って関税喧嘩を吹っ掛けられるのは、この米軍基地が世界を制覇しているからだ。本稿の図表1(米中の海外軍事基地マップ)をご覧になると、海外米軍基地による世界制覇は、第二次世界大戦への処罰であり、「日本、ドイツ、イタリア」という三国同盟、特に「日本とドイツ」をアメリカは今も監視し続けていることが見えてくる。戦後80年経った今もなお、世界は第二次世界大戦の「米国による戦後支配体制」で動いているというのは驚くべき事実だ。地球上で戦争が絶えないのも、基本的にそのせいだと言っていいだろう。一方、東南アジ...
現代の日本

対米交渉の戦略上の誤り

対米交渉の戦略上の誤りトランプ経済政策で右往左往する日本政府。基本戦略が間違っている。ものごとは大局から判断しなければならない。日本サイドが慌てふためいて譲歩すべき事項であるのか。それとも、非は先方にあり、先方が誤りに気付いて引き下がるのを毅然と見守るのか。中国の対応と日本の対応が好対照をなしている。トランプの高率関税政策に矛盾がある。矛盾は必ず米国に災厄を招く。米国は自らの誤りによって窮地に陥り、上げた拳を降ろすことを迫られる。この大局の読みがあれば慌てる必要はない。毅然とした対応を示すことが最善だ。これを実行しているのが中国。やがて米国が譲歩するしかない。これを見越して王者の振る舞いを示している。日本は高率関税に慌てふためいて米国に馳せ参じ、御用聞きに回っている。この卑屈な対応によって足元を見透かされる。赤沢特命相に至っては「格下も格下」と公言して朝貢外交にいそしむ。国益を損ねるだけだ。米国はレアアースの95%を海外に依存している。そのうち、70%以上が中国への依存。保護主義を貫いて窮地に陥るのは米国である。米中貿易戦争が始動したのは2018年。当初、中国は一方的譲歩の姿勢を示した...