日本の文化

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江戸の子育てに学ぶ 「我に『育てよ』との天命なり」

幕末から明治の欧米からの来訪者は、日本の子供を見て以下のような見解を残しています。「世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない」「日本人は自分の子弟を立派に薫育する能力を持ってゐる」日本の子育て規範の真髄は・・・「我に『育てよ』との天命なり」「わが子なりと思い、勝手するは、人欲の私なり」「わが子と雖(いえど)も天の子にして、我に『育てよ』との天命なり。天命を重んずる心からは、子に慈愛をつくさずんばあるべからず」現代の教育論に見られる「ゆとり教育」「子供の権利」「個性尊重」などといった主張は、ルソーやマルクス、エンゲルスの影響を受けた底の浅い机上の空論によるものです。幕末に来日した欧米人は、江戸の子育てに眼を見張った。江戸の子育てに学ぶ■1.「子どもの天国」と「最も教育の進んだ国民」「世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない」 明治10(1877)年に来日して、大森貝塚を発見したアメリカの動物学者エドワード・モースの言葉である。その一例としてモースは祭りの光景を次のように記している。________...
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今日は大寒

今年は暖冬で暖かい日が続いています。今日は暦の上では【大寒】です。これから少しずつ暖かくなり、やがて春を迎えます。明るい未来、明るい社会を迎えたいですね。大寒1年で最も寒さが厳しくなる。各地で年間の最低気温が記録されるが、土の中では春を迎える準備が始まっている。二十四節気の最終節「大寒」は、1月20日ごろに当たる。厳寒期に入るが、日が次第に長くなり、少しずつ春に向かう。旧暦では大寒の次に訪れる「立春」を1年の始まりとしていたため、その前日の「節分」が1年の終わりとなる。節分には豆をまき、邪気を払う。氷上ワカサギ釣り氷が一定の厚さを満たした湖沼では、ワカサギの穴釣りが解禁される。温暖化の影響で凍らない湖や沼が増えているが、釣り上げたばかりのワカサギを天ぷらや唐揚げにして食べるのは、格別。釣ったワカサギに見入る子ども(左)、山中湖のワカサギ釣り(PIXTA)寒の時期の食文化冬の厳寒期は、日本酒、みそ、しょうゆなど、発酵食品の仕込みに適していることから「寒仕込み」の食文化が発展してきた。寒の時期に仕込むと、雑菌が繁殖しにくく、ゆっくりと発酵するため、味が良くなると言われる。この時期には「寒ざ...
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日本語が育てる情緒と思考

日常的に使っている「日本語」はかなり特殊な言語のようです。昔から使われている「大和言葉」があり、外国から入ってきてこれを咀嚼し自らのものとした「外来語」もあります。これらの「言葉」が私たち日本人の「情緒」と「思考」の基盤を作っています。情緒を養う大和言葉の上に、論理的思考を支える外来語を移入して、我が国は独自の文明を発展させてきた。日本語が育てる情緒と思考■1.「今、歌ったポップスの歌詞は大和言葉だけだったぞ」 ある新進の言語学者の結婚記念パーティーでのこと。シェイクスピア学者であり、演劇人でもある安西哲雄氏が、ギターを弾きながら、歌を2曲披露した。1曲目はポップスの定番「白いブランコ」である。君は覚えているかしら あの白いブランコ風に吹かれて二人で揺れた あの白いブランコ日暮れはいつも寂しいと 小さな肩をふるわせた君に接吻(くちづけ)した時にやさしく揺れた白い白いブランコ もう一曲も、有名なフォークソング「さよならをするために」。過ぎた日の微笑(ほほえみ)を みんな君にあげるゆうべ枯れてた花が 今は咲いているよ過ぎた日の悲しみを みんな君にあげるあの日知らない人が 今はそばに眠る暖か...
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日本の伝統文様|和柄の種類一覧55選!名前・意味・ルーツ

日本の伝統文様|和柄の種類一覧55選!名前・意味・ルーツ伝統的な日本の和柄模様には様々な種類があります。着物、浴衣、インテリアなどで見たことのある柄も多いでしょう。日本の伝統文化の一つでもあります。 今回は、和柄模様の名前や意味、ルーツなどを種類一覧にて紹介します。日本の伝統的な和柄模様は、たくさんの種類があり、文様の意味やルーツも様々です。かっこいい柄から縁起の良い文様、シンプルな和風柄などもあります。和柄のもとになった文様の多くは、古代エジプトやメソポタミアからシルクロードを経て中国に伝わり、奈良時代から平安時代にかけて日本に伝来したものです。その後、日本の文化と融合し、日本独自の和の模様として発展を遂げました。本記事では、和柄模様の名前と種類、その柄の意味やルーツなどを一覧形式でご紹介します。和柄の深い意味が分かると、ますます愛着が増すはずです。和柄の名前・種類一覧表(50音順)和柄の名前と種類一覧表です。各模様の名前をクリックすると、詳しい解説にジャンプします。麻の葉あさのは網目文あみめもん有栖川錦ありすがわにしき井桁卍いげたまんじ一の字繋ぎいちのじつなぎ市松模様いちまつもよう...
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和の家、和の心

「家には顔がある。そして、その顔は実に住まう人の面差しに似ている」・・・人も家も内を固めていくうちに風貌が出来ていく。 魅力的な顔をした家には、必ず魅力的な人が住んでいる。「住まう人の人柄、社会性を反映した、品格のある家」そんな「いい顔をした家」があちこちに建って、そこに住む人々が自然や世の中との「和なるもの」を楽しんでいる。「大いなる和の国」には、そんな風景こそふさわしい。日本の伝統家屋には、社会や自然との和を創り出す智慧が込められている。和の家、和の心■1.「子供の頃から見慣れた座敷」が「神々しい空間」に 福岡県の小倉から唐津に至る唐津街道沿いに築140年の町屋造りの家がある。2階建ての瓦葺き、白壁に格子窓の簡素な佇(たたず)まいが、両側の近代的ビルとはまったく別世界の気品を醸し出している。福岡市の都市景観賞を受賞している建物である。 この家は、東京世田谷で「日本の風土と文化に根ざした家造り」を目指す伊佐ホームズの福岡事務所として使われているが、その創業者・伊佐裕(いさ・ひろし)社長の生家でもある。伊佐さんは、毎年元日、その生家の神棚に向かう。__________ 元旦、その家を護...
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江戸時代の庶民は幸福だった

外国人から見て、江戸時代の日本人は「皆よく肥え、身なりもよく、幸福であった」「だれもかれも心浮き浮きとうれしそう」「思いやりと助け合いにあふれていた」「礼儀作法のきまりからはずれることがけっしてない。喧嘩や口論を見たことがない。」貧しくとも、思いやりと助け合いの中で人々は幸福に暮らしていた。江戸時代の庶民は幸福だった■1.「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである」 黒船によって武力でむりやり日本を開国させたアメリカが、初代駐日公使として送り込んだのが、タウンゼント・ハリスだった。ハリスは安政4(1857)年11月、初めての江戸入りをすべく、下田の領事館を立った。東海道を上って神奈川宿を過ぎると、見物人が増えてきた。その日の日記に、彼はこう書いている。__________ 彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。一見したところ、富者も貧者もない。----これが恐らく人民の本当の姿というものだろう。私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるかどうか、疑わしくなる。 私は質素と正直の黄金時代を、いずれの国におけ...
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『論語』が元気な脳を育てる

伝統的な我が国の教育では、『論語』を生き方のお手本としてきた。「私心」を去る事で動物脳を抑制し、「公」のための志を持つ事で、人間脳を発達させ、艱難、すなわちストレスを活力源に変える生き方を説いてきた。 孔子が説いてきた生き方は立派な社会を作ると共に、健康で活力に満ちた脳を育てる道である事を、篠浦氏の研究は示しつつある。現代の脳科学は、『論語』が活き活きとした脳を育てる事を示しつつある。『論語』が元気な脳を育てる■1.生き方が脳の健康に影響? 脳外科医の篠浦伸禎(しのうら・のぶさだ)さんの所に認知症の治療で通っていた患者がいた。__________ その方は会社の社長さんでしたが、時代の変化に伴って業績が下がり、そのストレスによって認知症になってしまいました。奥さんに元気なときの行き方についてお話をうかがってみたところ、次のようなことがわかりました。 子供の頃に戦争を体験したため貧しい中から這い上がろうとする向上心が強かったこと、自分のことしか考えない傾向があったこと、他人受けはよかったが面倒な仕事になると他人任せにすることが多かったこと、本はほとんど読まないこと・・・など。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
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子供が喜ぶ武士道論語

「限りある命を大切にするためにはどう生きるべきなのか」を問うのが本物の学問。「人としての生きる道、徳を説いた言葉に触れることで、背筋がしゃんと伸び、それを学び続けることで心の中に芯が生まれてくる」武士道論語の言葉。「自分の命より大切なものがあると知ったときに、その人の人生は輝きを増して、人間として素晴らしい人生を歩むことができるのです」子供が喜ぶ武士道論語■1.派遣村に同情する価値なし 空手7段の瀬戸健介氏(昭和21年生まれ)は、毎月、論語勉強会を開催している。4歳の子供から幼稚園児、小学生も参加しているが、みな長時間、お行儀良く真剣に話を聞き、『論語』を学ぶことを楽しんでいる。ある時、瀬戸氏はこんな話をした。__________ 君たち、派遣村って知っているかな? 一時ニュースですごく話題になっていたでしょう。日本が不況になって、クビになった派遣社員が行く所がなくなってしまった。それで日比谷公園に派遣村をつくり、炊き出しをしてもらって年末年始をしのいでいました。 彼らにインタビューして、「今、手持ちのお金がいくらですか?」と聞くと、千円とか二千円という人がたくさんいました。 みんな、...
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日本人の忘れもの~思いやりの行き交う国

ちょっと古いですが、日本人の「美徳」を綴った記事の紹介です。原日本人である「縄文人」から現代までずっと続いている「他者を思いやる心」。私たちの心の奥底にある「世界観」が織りなす社会を取り戻すことが幸福の原点であるように思います。思いやりに満ちた世界が、つい数十年前までは日本のどこにでもあった。日本人の忘れもの ~ 思いやりの行き交う国■1.定期券を拾ってくれた車掌さん 清水優子さん(51歳、東京都、主婦)は、小学1年の頃、当時東京都内を走っていた都電で通学していた。夏の初めの頃、のんびりと走る都電の窓から外を眺めていて、手に持っていた定期入れをうっかり落としてしまった。定期入れはひらひらと後方に飛んでいった。__________ 悲しくなって、しくしくと泣き出した私に、セーラー服のお姉さんが声をかけてくれた。理由を話すと、すぐに車掌さんに言ってくれ、電車は停車。車掌さんは来た道を走って戻り、定期入れを拾ってきてくれた。 その間、乗客は口々に優しい声をかけてくれ、車掌さんが戻ると拍手がおこった。急ぐ方もいたでしょうに。恥ずかしくて、嬉しくて、申し訳なくて、私はただ泣いていたのだけど・・・...
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きものの叡智 ~ 愛・美・礼・和

日本のきものには、愛・美・礼・和、の4つの叡智があります。毎日繰り返し行う装いの中で、きものに込められているこの叡智を身につけ、「装道」を追求、実践する中で美しい生き方に触れて、「人の道」を見つけていきたいですね。きものに込められた我が先祖の叡智を知ろうきものの叡智 ~ 愛・美・礼・和■1.法王ヨハネ・パウロ2世ときもの■ 1985(昭和60)年、バチカン市国のサン・ピエトロ寺院講堂には、法王ヨハネ・パウロ2世に拝謁するために世界中から8千人の人々が集まっていた。法王が姿を現すと、どよめきが起こり、全員で厳かに祈りを捧げた。 最前列の1番から100番までの席には、和服を着た日本人の一行が座っていた。法王はそれらの人々に向けて、日本語でこう挨拶した。 日本の皆様、よくいらっしゃいました。世界を回って日本の伝統的なきものと、きものの美しさを世界に紹介しておられる装道きもの文化使節団の皆様に、私も心からの挨拶を贈ります。ありがとう。 その後、法王はわざわざ壇上から下りて、使節団の団長・装道きもの学院院長の山中典士氏の手をしっかりと握り、記念のメダルとロザリオを贈った。山中氏は、こうお礼を述べ...
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日本語が作る脳

日本人は、虫の音を人の声と同様に言語脳=左脳で理解します。又、日本語には自然の音を表現する豊富な「オノパトペ」があります。「生きとし生けるもの」「自然」の「声」に耳を傾けるという万物に対する敬虔な姿勢が生んだ「日本語の脳」。この世界観から生まれた独創性を生かしていきたいですね。虫の音や雨音などを日本人は左脳で受けとめ、西洋人は右脳で聞く!?日本語が作る脳■1.虫の音に気がつかない!?■ 東京医科歯科大学の角田忠信教授が、1987年1月にキューバのハバナで開かれた第一回国際学会「中枢神経系の病態生理学とその代償」に参加した時の事である。キューバではいまだ戦時体制が続いており、西側諸国からの参加者は角田教授一人だった。開会式の前夜に歓迎会が開かれ、東欧圏から大勢の科学者が参加していた。キューバ人の男性が力強いスペイン語で熱弁をふるう。 しかし、教授は会場を覆う激しい「虫の音」に気をとられていた。なるほど暑い国だな、と感心して、周囲の人に何という虫かと尋ねてみたが、だれも何も聞こえないという。教授には「蝉しぐれ」のように聞こえるのに! 午前2時頃、ようやくパーティが終わって、キューバ人の若い...
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江戸日本はボランティア教育大国-花のお江戸はボランティアで持つ

江戸時代の教育システム、寺子屋の紹介です。江戸時代は、識字率をはじめ、規範性、道徳性や思いやりの高さに象徴されるように教育水準は世界的にも高く、260年余の長い平和と繁栄の時代の基盤を作っていました。その秘密は、寺子屋という教育システムとこれを支えるボランティアボランティア精神、自分たちの生きる場は自分たちで作る、という志があったからだと思います。江戸日本はボランティア教育大国-花のお江戸はボランティアで持つ■1.戦う西洋、平和の日本■ 戦国時代には世界一の銃砲生産大国だった日本が、江戸時代に入ると、銃を捨て、平和な国造りに向かった様子を、前回の記事で紹介しました。 今回はその続編として、その後に建設された社会がどのようなものだったのかを見てみよう。同時代のヨーロッパでは、内では30年戦争を行い、ドイツでは人口が1/2とか、1/3になるような悲惨な状態であった。また外に対しては、植民地収奪に明け暮れて、 はやい話がスペイン人が現れる前には、中央アメリカの推定人口は7千万人から9千万人はいたとされているが、私がすでに書いたようにスペイン人の侵入のわずか一世紀後には、350万人に激減してい...
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平和と環境保全のモデル社会-江戸

江戸時代は当時の西欧諸国と比較し遅れた社会であった、というように教科書には書かれています。しかし、事実は全く異なり、江戸時代の人々は、世界最先端の文化を育み、技術を駆使した社会制度、システムを構築していました。現在「SDGS」を掲げていますが、日本の江戸時代には平和と環境保全のモデル社会がすでに出来上がっていました。江戸時代に戻ることはできませんが、当時の「社会ステム」「知恵」「世界観」には学ぶべきところがたくさんあるように思います。地球史探訪: 平和と環境保全のモデル社会-江戸■1.過酷な近代世界システム■ 21世紀の人類を脅かす二大危機は、核兵器と地球環境危機であろう。これに対し、250年間も平和を維持し、環境保全にも成功した社会が、今、注目を集めている。日本の江戸時代である。 核兵器も地球環境危機も、科学技術をもって諸大陸と自然を征服しようとしたヨーロッパ文明の鬼っ子である。そのヨーロッパ文明による「近代世界システム」がどれほど過酷なものであったか、明治大学の入江隆則教授は次のように描写する。 はやい話がスペイン人が現れる前には、中央アメリカの推定人口は7千万人から9千万人はいた...
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我々の先人が歩んでいた人作りの道 ~『世界が称賛する 日本の教育』

少なくとも乳幼児から青年に至るまでの日本の教育に関しては、現代の我々が謙虚に学ぶべきたくさんの事実が、先人たちの事績にはある。世界が左巻きの空想から解放されつつある現況というのは、大変、喜ばしいのですが、間違った空想がなくなったからと言って、正しい方向に歩んでいけるとは限りません。どのような教育を目指すべきか、という方向を、しっかりした事実認識をベースに考える必要があります。我々の先人は、人作りの本当の道を知っていた。その事実を辿って、空想的な左巻き思想に基づく戦後教育から脱し、真の人作りの道に立ち返ろう。我々の先人が歩んでいた人作りの道 ~『世界が称賛する 日本の教育』発売■1.『世界が称賛する 日本の教育』アマゾン「日本論」1位 本講座書籍化第4弾『世界が称賛する 日本の教育』が8月2日に発売開始となり、お陰様でいきなりアマゾン「日本論」1位、総合でも41位につけました。皆様のご声援に厚く御礼申し上げます。伊勢雅臣『世界が称賛する 日本の教育』、育鵬社、H29 本号では、その「まえがき」と目次、「あとがき」の一部を掲載して、どのような内容なのか、ご紹介します。■2.まえがき 「手塩...
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江戸の庶民の思いやり ~ 磯田道史『無私の日本人』から

江戸時代、とくにその後期は、庶民の輝いた時代である。江戸期の庶民は、親切、やさしさ、ということでは、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの美しさをみせた。倫理道徳において、一般人が、これほどまでに、端然としていた時代も珍しい。無私の志が江戸時代の庶民の間に深く根付いていた。江戸の庶民の思いやり ~ 磯田道史『無私の日本人』から■1.心洗われる登場人物たちの無私の志「江戸時代のわが国には、こんなにたくさんの無私の人々がいたのか」と、『殿、利息でござる!』という映画を飛行機の中で見て思った。題名からコメディタッチの時代劇かと思って見始めたら、とんでもない。 明和3(1766)年の仙台藩領内の宿場町・吉岡宿は藩から「伝馬役」、すなわち宿場間の物資の運搬作業を課されて困窮し、夜逃げが相次ぐ状況だった。吉岡宿は藩の直轄領ではなかったために、他の宿場のように「伝馬役」の助成金が支給されていなかったからだ。 この窮状から宿場を救おうと、吉岡宿の有力者たちは金を出し合ってなんとか大金を作り、それを藩に貸した利息で伝馬役に使おうという奇想天外な企てを始める。登場人物たちの宿場を救おうという無...
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日本の伝統的教育が利他のパワーを引き出す

日本人は経済的には豊かなのに、幸福を実感している人の割合が先進国中でも異様に低いのはこのためだろう。まずは国柄という根っこを回復し、利他心によるエネルギーと幸福感を吸い上げられるようにしなければならない。 総合学習やアクティブ・ラーニングというような手法次元でなく、生きる姿勢を正す処から始めるのが、教育改革の正道だろう。教育勅語が引き出した利他のパワーが、明治日本の躍進を実現した。日本の伝統的教育が利他のパワーを引き出す■1.「日本人の活躍がますますクローズアップされている」 5月19日、「教育を良くする神奈川県民の会」にて『世界が称賛する 日本の教育』と題して、講演をさせていただいた。同会の会員のみならず、弊誌の読者にも参加いただいて、お陰様で100名を超す盛会となった。内容は同名の拙著に基づくものであったが、二、三、新しい要素を盛り込んだので、その部分を本編にて紹介させていただく。 まず、現代の国際社会で日本人が活躍してる事例から話を始めた。パリでの日本料理店の繁盛ぶりは、1059号「和食が救う高齢化社会」で書いたが、実は本場パリのフレンチ・レストランでも、日本人シェフたちが際だっ...
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古典教育が国家を発展させるという逆説

日本は江戸時代から現在に至るまで、市井の多くの人々が様々な形で、次世代の人材育成に志してきた「教育大国」である。教育行政がこれだけふらついても、国家の大本が維持できているのも、このお陰だろう。明治日本という近代国家を造り上げたのは、江戸時代の素読中心の学習をてきた者たちである。伝統的な教育の最たるものである素読を中心とした学習によって育てられた者たちが、なぜ世界史上まれにみるほどの急速な近代化をなしとげることができたのか。この逆説をよく考えてみる必要がある。維新と近代国家建設、奇跡の復興と高度成長を成し遂げた問題解決能力は古典教育がもたらした。古典教育が国家を発展させるという逆説■1.「プランプランのドードー巡り」「文科省はゆとり教育、総合学習の反省もないまま、また新しい事を始めようとしている」というのが、文科省の「学習指導要領改訂の方向性について」の説明ビデオを見た感想である。 その説明パネルでは、「他者と協働しながら、価値の創造に挑み、未来を切り拓いていく力が必要」などと、立派な理念が抽象的な言葉で語られているが、そこに決定的に欠けているのが現状の事実分析である。今の教育で何が出来...
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『世界が称賛する 日本の経営』

「社徳」という言葉があります。「人徳」が個人の持つ徳を表すように、「社徳」とは会社の持つ徳を意味します。 会社の徳を云々するということ自体が、会社が一つの共同体であって、徳のある会社も、ない会社もある、という考え方を表しています。そして、日本的経営で追求すべき徳が「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の【三方よし】なのです。会社に社徳があれば、国家にも徳があります。個人から家庭や企業、地域や国家までが【徳】を倫理として持つ、日本と日本人は今や世界の可能性ではないでしょうか?「日本的経営」こそ、グローバル経済で、かつての日本の活力を取り戻す道。『世界が称賛する 日本の経営』■1.まえがき・・・「日本的経営」を見失いつつある日本企業 筆者は欧州で四年、アメリカで三年、日本企業の現地法人社長として企業経営を経験していますが、最近、日本から聞こえてくるのは、ブラック企業で過労死したとか、派遣社員やパート・アルバイトばかりが広がって、低賃金と不安定な生活のために、多くの青年たちが結婚すらできない、というような暗いニュースばかりです。 かつての日本企業が人を大切にして事業を成長させようとした姿勢...
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「子は国の宝」の経済学

親が幼少期のしつけをきちんと行い、基本的なモラルを身につけさせるということは、勤勉性という非認知能力(知能指数などで計測される認知能力と異なり、忍耐力、社会性、やる気など直接計測できない能力)を培うための重要なプロセスなのです。学力テストでは計測することができない非認知能力が、人生の成功において極めて重要です。また、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さ―これらの非認知能力は、「人から学び、獲得するものである」ことも。最新の教育経済学が、わが国の伝統的な子育ての智慧を科学的に裏付けつつある。「子は国の宝」の経済学■1.「しつけを受けた人は年収が高い」「幼児の頃にきちんとしつけられると、大人になってから社会的にも成功し、年収が高くなる」という興味深い調査結果がある。__________ 神戸大学の西村教授らは、「しつけ」という違った角度から研究を行いました。4つの基本的なモラル(=ウソをついてはいけない、他人に親切にする、ルールを守る、勉強をする)をしつけの一環として親から教わった人は、それらをまったく教わらなかった人と比較すると、年収が86万円高いということを明らかにしています。 ̄ ̄ ̄...
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歴史教科書読み比べ(番外編) 「世界的にも傑出した名作群」を生み出した鎌倉時代

日本人自身が日本の美術は「特殊」であり、外国人が感動するほどの「普遍性」はないという、一種の「文化的自虐史観」に囚われているようだ。日本美術の傑作を鑑賞することで、我々の先祖が持っていた美を感ずる心を継承することができる。歴史教科書読み比べ(番外編) 「世界的にも傑出した名作群」を生み出した鎌倉時代■1.「日本の美の形」 育鵬社の中学歴史教科書で目を引くのは、冒頭に「日本の美の形」と題して、縄文時代の火焔型土器から現代の太陽の塔まで、6頁にわたって各時代の代表的な美術作品を数点づつ、カラーで紹介している点である。 こういうビジュアルな企画で、中学生が日本の美術に親しめるようにしようというのは、「著作関係者」の中に美術史の大家・田中英道・東北大学名誉教授が入っているからだろう。 田中氏は西洋美術史家として海外でも注目され、著書『レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯』はイタリア語版、浩瀚な『日本美術全史 世界から見た名作の系譜』は英語版も出され、国際美術史学会の副会長まで務められた。本誌でも著書『国民の芸術』を紹介している。 こういう大家が中学生向けに日本美術史を分かりやすく示すというのは...