我々の先人が歩んでいた人作りの道 ~『世界が称賛する 日本の教育』

日本の文化

少なくとも乳幼児から青年に至るまでの日本の教育に関しては、現代の我々が謙虚に学ぶべきたくさんの事実が、先人たちの事績にはある。
世界が左巻きの空想から解放されつつある現況というのは、大変、喜ばしいのですが、間違った空想がなくなったからと言って、正しい方向に歩んでいけるとは限りません。
どのような教育を目指すべきか、という方向を、しっかりした事実認識をベースに考える必要があります。

No.1019 我々の先人が歩んでいた人作りの道 ~『世界が称賛する 日本の教育』発売
我々の先人は、人作りの本当の道を知っていた。その事実を辿って、空想的な左巻き思想に基づく戦後教育から脱し、真の人作りの道に立ち返ろう。 ■転送歓迎■ H29.08.06 ■ 51,249 Copies ■ 4,389,870Views■ ■1.『世界が称賛する 日本の教育』アマゾン「日本論」1位  本講座書籍化第4弾『世界が称賛する 日本の教育』が8月2日に発売開始となり、お陰様でいきなりアマゾン「日本論」1位、総合でも41位…

我々の先人は、人作りの本当の道を知っていた。その事実を辿って、空想的な左巻き思想に基づく戦後教育から脱し、真の人作りの道に立ち返ろう。

我々の先人が歩んでいた人作りの道 ~『世界が称賛する 日本の教育』発売

■1.『世界が称賛する 日本の教育』アマゾン「日本論」1位

 本講座書籍化第4弾『世界が称賛する 日本の教育』が8月2日に発売開始となり、お陰様でいきなりアマゾン「日本論」1位、総合でも41位につけました。皆様のご声援に厚く御礼申し上げます。

伊勢雅臣『世界が称賛する 日本の教育』、育鵬社、H29
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594077765/japanontheg01-22/

 本号では、その「まえがき」と目次、「あとがき」の一部を掲載して、どのような内容なのか、ご紹介します。

■2.まえがき 「手塩にかける」

 創業110年以上、連結の従業員数20万人近くの日本を代表する名門大企業・東芝が、不正会計処理や原発事業での買収失敗による巨額の損失で存亡の危機に立たされています。またエアバッグで世界シェア20パーセントを占める優良メーカー・タカタが世界で1億台以上、費用は1兆円に上るリコールで経営破綻し、中国メーカーの傘下に入るようです。

不正会計、買収の失敗、品質問題など、これらはすべて経営の失敗であり、ひいては経営者育成の失敗と言えます。

 ここで対照的な例として思い起こされるのが、拙著第3弾『世界が称賛する日本の経営』で登場いただいた日本電産の創業者・永守重信氏です。日本電産は高度成長が終わりかけた昭和48(1973)年にわずか4人の若者で事業をスタートしたにもかかわらず、現在では日本では従業員1万人、世界33カ国で11万人の巨大・優良企業に育っています。

この急成長の原動力が破綻しかけた企業の買収や合併で、人は一人も切ることなく、永守氏自身が買収先・合併先を定期的に訪れて指導をする。これによって50社以上の再建をすべて成功させているといいます。

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最近はあまり使われなくなったが、〝手塩にかける〟という言葉がある。厳しさのなかにも愛情があふれ、未熟で不慣れな後輩をそれぞれの個性やタイプに応じて、手間暇かけてじっくりと一人前に育て上げていくというイメージがあって、わたしの好きな言葉の一つである。
(永守重信著『人を動かす人になれ!』三笠書房より)
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 このように人や会社、そして部下が大変身を遂げ、強く、たくましくなっていく姿を眺めるのが、わたしの最高の喜びであり、生き甲斐でもある。(同前)
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■3.「松下電器は人をつくっています」

 数人の町工場から世界的な大企業に成長させたという面での大先輩が松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)を創業した松下幸之助であり、拙著にも「日本的経営の体現者」として登場いただきましたが、その中で人作りに関しては次のような発言を紹介しました。

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私はまだ会社が小さいころ、従業員の人に、「お得意先に行って、『君のところは何をつくっているのか』と尋ねられたら、『松下電器は人をつくっています。電気製品もつくっていますが、その前にまず人をつくっているのです』と答えなさい」ということをよく言ったものである。

いい製品をつくることが会社の使命ではあるけれども、そのためにはそれにふさわしい人をつくらなければならない。
(松下幸之助著『実践経営哲学』PHP研究所より)
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 日本電産やかつての松下電器の興隆と、東芝やタカタの失敗を比べてみれば、「事業は人なり」という言葉がいかに真実をついているかが、よく分かります。

■4.「人さえ作れば、利益は勝手についてくる」

 私自身も、はるかに小さな事例ですが、日本での子会社、ある事業本部、その後、イタリアとアメリカの現地法人のトップを勤めて、この「事業は人なり」を「体感」しました。

社長は事業の細部に口を挟んだり、従来とは違う事をやろうとするよりも、社員を「手塩にかけて」育て、一人ひとりがその才能や適性をフルに発揮できるような環境と組織を整えて、それぞれの仕事にやる気に燃えて取り組めるようにした方が、はるかに事業成果の面でも早道なのです。「人さえ作れば、利益は勝手についてくる」というのが、私の口癖でした。

 実際に、合計四つの事業・会社のそれぞれで、私の在任中に過去最高益を達成しました。しかし、私の本当の自慢は、私の後任により優れた経営者が来ると、育った社員たちが彼らのもとで実力を発揮して、さらに最高益を更新していったことです。従業員たちが活き活きと仕事に取り組み、私の後でも最高益を更新し続けてくれる姿を見ることは、何にも替えがたい喜びでした。

「事業は人なり」という事は簡単な算術で説明できます。100人の会社で社長だけがさらに平均的社員の5倍働いても、105人分の働きにしかなりません。それよりも、100人の社員の能力ややる気を伸ばして、全員が10%、より良い仕事ができるようになると、110人分の働きとなります。

その分だけ、社員は仕事にやりがいを持てるようになりますし、利益が増えて社員の処遇を良くする事も出来ます。そういう良い仕事をする社員たちの活躍で、お客様により喜んでいただけるようになりますし、事業の発展は社会にも貢献します。

前著『世界が称賛する日本の経営』では「売り手良し、買い手良し、世間良し」こそ日本の経営の本質だと指摘しましたが、その「三方良し経営」の原動力は人づくりなのです。(以下略)

■5.本書の内容(一部)

◎「子は国の宝」の経済学
 教育経済学という最先端の研究分野で、我が国の伝統的な躾の効果が実証されつつある。

◎「日本人という生き方」
 ウガンダの高校で野球監督となった日本人青年が、日本の躾で選手たちを鍛えたら、、、

◎「教育勅語」――世界人類に共感される広やかな道
「教育勅語」を下敷きにしたアメリカの道徳教科書が3千万部も売れた。

◎学力・体力トップクラス一――福井県の子育てに学ぶ
 福井県の子供たちは、あまり塾にも行かないのに、なぜ学力も体力も日本トップクラスなのか。

◎親学のすすめ――母の愛で子は育つ
「学校でも大学でも教えていないのは、親になる方法だ」

◎江戸日本はボランティア教育大国だった
 江戸時代の日本は当時の欧米諸国をはるかに凌駕する教育大国で、それは全国の寺子屋の「お師匠さま」たちが実現した。

◎国語力が「壁を乗り越える力」「共に生きる力」を養う
 3年間かけて薄い文庫小説を一冊読むという破天荒な国語教育が東大合格者数日本一をもたらした。

◎古典教育が日本の近代化をもたらしたという逆説
 漢文の素読など古典教育を受けた青年たちが、どうして明治日本の近代化を成し遂げたのか。

■6.あとがき ~ 「空想から科学へ」

 筆者が製造業の技術屋として社会生活をスタートした頃、先輩や上司から口うるさく指導されたのは、「机上の空論に頼るな、現場で虚心に事実を観ろ」という事でした。

 これは単純ですが、深い教えでした。たとえば、人類は昔から太陽や星が地球の周りを巡っているという天動説を信じてきましたが、ガリレオ・ガリレイの望遠鏡による天体観測から、地球が太陽の周りを回っているという地動説が有利になりました。

しかし、当時のキリスト教会は、神が創った人間の住む地球が宇宙の中心だというキリスト教的世界観から天動説への疑いを許さず、ガリレオを宗教裁判にかけて有罪としました。ガリレオの望遠鏡によって「事実を見る」という行為がなければ、人類は今でも天動説という「机上の空論」を信じていたかも知れません。

■7.「科学から空想へ」の逆コースを辿った戦後教育

 自然科学や技術の世界では「事実を観る」ことで着実な進歩を遂げていますが、社会科学では難しいようで、「机上の空論」が長い間、人類を支配する、ということがよくあるようです。

典型的な例がカール・マルクスで、大英図書館で共産主義という壮大な机上の空論をでっちあげました。それまでの空想的共産主義から科学的な共産主義に進化するという意味でマルクスは「空想から科学へ」と言いましたが、マルクスは事実をしっかり観察することが科学の基本だということが分かっていなかったようなのです。

そして、マルクスの空論によって、その後、世界中に共産革命が起き、それに反対する1億人とも言われる人々が犠牲となりました。マルクスが大英図書館を出て、もう少し事実を観ていたら、こんな悲劇は起こらなかったかも知れません。

 実は、教育思想の面でも、同様の机上の空論が幅をきかせてきました。たとえば、「近代教育学の祖」と言われるジャン・ジャック・ルソーは人間は文明社会の中でゆがんで育てられている、という空想から、教育では子どもの天性をそのまま伸ばすべきだと考えたようです。そして自分では、5人の子どもを生まれたそばから次々に遺棄してしまいました。今日、「子どもの権利」を主張する教育思想は、ここから来ています。

 ルソーの影響を受けたレーニンは、共産革命後のソ連で家族解体法を制定しました。その影響で堕胎と離婚が急増し、数百万人の孤児の発生などで社会が崩壊状態となり、スターリンはあわてて、この法律を廃止しました。しかし、福島瑞穂氏はそんな事実も観ずに、「事実婚主義」を掲げて、いまだにレーニンの家族解体思想を「理想」としています。

 英国のジョン・スチュワート・ミルは人妻の愛人となり、その夫や子どもたちとも同棲する二夫一妻関係に陥って、英国社会からごうごうと非難を浴びましたが、その弁護のために持ち出したのが、「他人の自由を侵害しない限り何をやっても良い」という自己決定の概念でした。今日の左巻きの教師が「性の自己決定権」などと子どもたちを洗脳しているのは、この受け売りです。

 欧米でも歴史伝統に基づいた立派な教育もあるのですが、その事実を観ることなく、欧米の最も空想的な教育思想を直輸入して、我が国の伝統的な教育を歪めてきたのが、我が国の戦後教育と言えるでしょう。いわば、「科学から空想へ」という逆コースを歩んできたのです。

No.442 「科学から空想へ」 ~ 現代日本の教育思想の源流
「子供の権利」「自己決定権」「個性尊重」などの教育思想の源泉にある「空想」
http://jog-memo.seesaa.net/article/200604article_1.html

■8.我々の先人は、人作りの本当の道を知っていた

 本書では、こうした机上の空論の愚を避けるために、江戸時代から現代までの様々な教育実践事例で成功してきた事実を取り上げて考察しました。そこから浮かびあがって来た事実は、我々の先人は、人作りの本当の道を知っていた、ということです。それが本書のタイトルである「世界が称賛する 日本の教育」です。

 もちろん、それは完全なものではなく、たとえば、大東亜戦争の敗戦に見られるように、政治家や軍人などリーダー層の育成に関しては、反省すべき点が多々あると考えます。

 それはそれとしても、少なくとも乳幼児から青年に至るまでの教育に関しては、現代の我々が謙虚に学ぶべきたくさんの事実が、先人たちの事績にはある、という事を、本書を通じて明らかにできたのではないか、と思います。
 
 昨今、国民が左巻きの空想から解放されつつある現況というのは、大変、喜ばしいのですが、間違った空想がなくなったからと言って、正しい方向に歩んでいけるとは限りません。どのような教育を目指すべきか、という方向を、しっかりした事実認識をベースに考える必要があります。本書がそのために多少なりともお役に立てれば、これに勝る喜びはありません。(以下略)

世界が称賛する 日本の教育
扶桑社
2017-08-02
伊勢 雅臣

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