JOG(1464) 「日本を支える公民」を育てるには ~ 共同社会としての国家を学ぶべき

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JOG(1464) 「日本を支える公民」を育てるには ~ 共同社会としての国家を学ぶべき
「公民」とは、先人に感謝し、同胞との一体感と子孫への使命感をもって、共同社会である国を支える存在。 ■転送歓迎■ R08.03.22 ■ 85,721 Copies ■ 9,413,510Views■ 過去号閲覧: 無料受講申込み: __________ ■■■「動画」版国際派日本人養成講座 最新号■■■ JOG(1227) 佐久間象山 ~「開国攘夷」の構…

JOG(1464) 「日本を支える公民」を育てるには ~ 共同社会としての国家を学ぶべき

「公民」とは、先人に感謝し、同胞との一体感と子孫への使命感をもって、共同社会である国を支える存在。

■1.「日本を支える公民」を育てる公民教科書

 最近、君たち中学生を「国際派日本人」を育てるのに、ぴったりの中学公民教科書に出会ったので、今日は、それの紹介をしたいと思ってね。自由社の公民教科書で、今のところ、市販はされていないんだけど、一般の人も買えるようクラウド・ファンディングが始まったんだ。本誌の読者にはぜひ応援して貰いたいと思っている。
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花子: この公民教科書はどこが違うんでしょう?

伊勢: まずは、公民を学ぶ目的からして、国際社会の常識に沿ったしっかりした内容で、こう記載されている。

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この教科書をよく読めば、日本の国と社会が、日本の私たちの先輩のたゆまぬ努力によって、いろいろな困難を乗り越えて築かれてきたことが分かります。これからもいろいろ課題を解決して、さらに世界に誇れるすばらしい日本の社会をつくっていきたいものです。

そして、私たち自身がより幸せになると同時に、次の世代の人たちにそれを手渡していかなければなりません。いうまでもありませんが、社会は国家というまとまりをもって初めて社会としての力を発揮します。私たちは、日本という国家の公民です。日本を支える公民として、公民の授業をしっかり学んでいきましょう。

 そして、世界のため、人類の発展のためにがんばっていきましょう。[自由社、viii]
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伊勢: ここで言われているのは、まずは「日本の私たちの先輩」、すなわち先祖の今までの努力への感謝と、「私たち自身」現世代がその努力を受け継いで「より幸せ」になり、それを「次の世代の人たち」つまり子孫に手渡していく、という「志」の継承だね。その努力を「国家というまとまり」の中で行っていく。

 君たちをそういう「日本を支える公民」に育てるのが、この教科書の目的だと、冒頭に記されているんだ。

花子: 「日本」という言葉がたくさん出てきますね!

伊勢: そうだね。引用したこの短い文章の中だけで、「日本」が5回も登場している。でも、これは「日本」だけが優れた国だとか、そういう狭量な主張ではないよ。「日本を支える公民」になれば、外国人が自国を支えようとする心にも共感できる。そういう公民なら、世界のどこに行っても尊敬されるから、私の「国際派日本人」という言葉にも通じているんだ。

■2.国民共同体も、それを維持してきた先人の努力も無視する東書

花子: 私の中学校では東京書籍の公民教科書を使っていますけど、「公民」という教科の目的はどう書いていたんでしたっけ。学校で習ったと思いますが、何も思い出せません。

伊勢: 東京書籍は、日本の公立中学校の約60%で使われている標準的な教科書だね。東京書籍版にはこう書いてある。
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「公民」では,現代社会のさまざまな課題について,それを解決し,持続可能な社会を実現するにはどうしたらよいか学習していきます。
 現代社会には,環境・エネルギー、防災・安全、伝統・文化、人権・平和、情報・技術と関わって、数多くの課題が存在しています。人々は知恵をしぼり,協力しながら課題の解決に挑戦し続けていますが、いまだ解決には至っていません。解決されるどころか、むしろ次々と新しい課題が生まれているのが現状です。私たちは,こうした課題の解決のために,何ができるのでしょうか。
「公民」の学習を通して、みなさんはぜひ、未来の社会を切りひらく力を身に付けてください。[東書、巻頭2]
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花子: あれ? 「日本」という言葉は、まったく出てきませんね。

伊勢: そう、まず気がつくのはそこだね。東書の公民を学ぶ目的を書いた部分には「日本」という言葉がまったく出てこないんだ。

 さらに日本という共同体を形成し、守ってきてくれた先人への感謝がまったく感じられない。「数多くの課題」を学ぶのは良いが、それらの課題が「解決されるどころか、むしろ次々と新しい課題が生まれているのが現状です」と、先人の努力も達成も全く無視している。そして、子孫のために、という事も書いていない。

 これでは国の一員として、先人たちの努力に感謝し、その叡知に学びながら、残された課題に子孫のためにも立ち向かっていくという志を受け継いでいく「公民」は育たない。

花子: なるほど……つまり、「公民」とはどういう人間なのか、そこに根本的な違いがあるということですね。

■3.自由社「同じ国家に属するという共通の意識から、国民は一体感をもつ」

花子: 先生、私はやはり「日本を支える公民」になりたいです。でも具体的にどうすればいいんですか?

伊勢: 「日本を支える公民」となるのに、まず君たちが学ぶべきなのは「国家とは何か」だ。自由社と他社の大きな違いがここにある。「日本」が自由社では5回も出てきたのに、東京書籍では0回だったようにね。国家について、自由社は、次のように説明している。
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国民にとって最も大きな社会である国家は、共同社会の性質ももっています。自分が生まれ育った祖国を大切に思う心を愛国心といいます。オリンピックで日本の選手が活躍したときなどにうれしくなるのは、愛国心の自然な表れといえるでしょう。・・・

経済的および社会的地位、人種や信条などの違いがあっても、同じ国家に属するという共通の意識から、国民は一体感をもつことができます。そして、先人が懸命に伝えてきた伝統・文化や連綿と続く歴史に対する理解が深まると、国家や社会の発展に努力していこうとする気持ちが自然と養われていきます。[自由社、p19]
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花子: オリンピックで日本選手がメダルをとると嬉しくなるのは、愛国心の表れなんですね。

伊勢: そうなんだ。「同じ国家に属するという共通の意識から、国民は一体感をもつ」という点に、国家の持つ大事な本質がある。この一体感が原動力となって、国民一人ひとりが「国家や社会の発展に努力していこうとする気持ち」が養われていく。だから、「日本を支える公民」となる第一歩は、同じ国民としての一体感をしっかり持つということなんだ。

■4.「国家は、共同社会の性質ももっています」

花子: 国民としての一体感、ですね。でも、冒頭の「共同社会の性質ももっています」って、どういう意味なんですか?

伊勢: いいところに気がついたね。この「共同社会」という言葉の説明は、その後の「共同社会と利益社会」という項でなされている。
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社会集団は共同社会と利益社会の二つに分類することができます。共同社会とは血のつながった人々の集まりや、同じ村や町に暮らしてきた人々の結びつきによって自然に生まれた生活のための集団であり、特定の目的のためにつくられた集団ではありません。・・・

一方、利益社会とは、個々人が特定の目的を実現するために集まり、目的やルールについて合意し、場合によっては明確な契約をとりかわすことによって人為的につくられた集団です。利益を追求する企業や、楽しみを追求するクラブなどがその典型です。[自由社、p35]
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花子: なるほど。共同社会は自然に生まれた集団で、利益社会は目的のために人為的につくられた集団なんですね。

伊勢: その通り。国家には、法律で国民の権利や義務を定めるなど「利益社会」としての側面ももちろんあるが、同時に「共同社会」という性質もある事を忘れてはならないんだ。

 国家が維持発展してきたのは、多くの先人たちが自分の利益を度外視しても、同胞のために尽くしてきたからだ。そのような同胞愛を持たずに、国民がそれぞれ自分の利益のためだけで動いていたら、国民が互いを思いやる公共道徳は瓦解し、法律に反しない限りは人を出し抜いても、利益を得ようとする社会が出現する。それでは幸福な社会など実現できない。

 そもそも「公民」の「公」とは日本語では「おおやけ」とも読むけど、それは「大きな家」を意味する。さらに日本語ではわざわざ「国」に「家」をつけて、「国家」と呼ぶ。

 このように日本人が伝統的に国家の共同社会の側面を重視してきた伝統が、国家のために尽くした多くのご先祖様たちを生み、それらの人々が、時には自分を犠牲にしても同胞や子孫のために苦闘してきたことで、平和で繁栄する国家を築いてこれたんだ。

花子: 「大きな家」ですか。国とは、大きな家族みたいなものなんですね。

伊勢: そうなんだ。「日本を支える公民」を育てるのは、まずは国家の共同社会としての側面を子供たちが良く理解し、家族愛、郷土愛の延長として、祖国愛を育てて、互いへの同胞愛、そして先祖への敬愛と子孫への思いやりを抱くことが公民教育の根幹なんだ。

■5.国家を共同社会とは教えない東書

花子: 先生、私が習っている東京書籍の教科書では、「国家には共同社会という性質もある」なんて、習った記憶が無いんですけど。

伊勢: そう、私も調べてみたけど、東京書籍では、このような「国家」に対する明確な説明はないんだ。「社会集団の中で生きる私たち」という項目はあるけど、そこに出てくる社会集団は家族と地域社会のみ。国家は出てこない。

 国家の説明らしきものは、フランス革命での人権宣言で次の引用をしているところだ。
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第1条 人は生まれながらに,自由で平等な権利を持つ。・・・
第2条 政治的結合(国家)の全ての目的は,自然でおかすことのできない権利を守ることにある
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 そして、この引用の下にルソーを「フランスの思想家。『社会契約(p248)論』で人民主権を唱えた」と紹介し、そこからp248の巻末用語解説で「社会契約」を見ると、「社会が、個人の間の契約によって成り立っているという説」と説明している。自由社にあるような「共同社会」という言葉は教科書全編を通じて、一度も出てこないんだ。

■6.社会契約説では、国家の「共同社会」という面を理解できない

伊勢: その用語解説では、「社会契約」はこう説明されている。
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権力者は,初めから権力を持っているのではなく、国民などの個人個人との契約によって、権力を委託されているという考えである。このため、権力者が国民の意思に反する行動を起こした場合は、契約による権力の委託は無効になり、権力がなくなるとされる。[東書、p248]
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花子:「権力がなくなる」って、具体的にどうなるのですか?

伊勢: フランス革命のように王制を暴力で打倒することも含んでいるんだろうね。フランス革命では「人は生まれながらに,自由で平等な権利を持つ」と綺麗事を言いながら、革命に反対する人々を200万人も殺害したんだ。こうした暴力革命を正当化するのに使われたのが、社会契約説なんだね。

 そもそも国家は社会契約で成り立っているという説明だけでは、利益社会という側面の説明にはなっていても、国家の「共同社会」という側面には、生徒は気がつかないだろう。それでは国家を愛する気持ちも理解できず、「日本を支える公民」にはなれない。

花子: よく分かりました。国家には利益社会の面だけでなく、共同社会という面もあって、それを理解することが大切なんですね。

伊勢: そうだ。それが公民教育の根幹なんだよ。

■7.「日本を支える公民」がつくる「仕合わせ」の国

花子: でも先生、社会契約説って、昔から教えられてきた考え方なのでは?

伊勢: 社会契約説は2,3百年前から唱えられた思想で、確かに国家の一面ではあるけど、最近の学問はもっと進歩していて、「共同社会」の側面を重視する方向に進んでいる。たとえば、進化人類学は、人類が共同社会を作ったことが生存と繁栄の原因であり、それは進化の過程で、人類が利他心を得たからだと言う。

 数万年前の欧州などに生きていたネアンデルタール人は、家族程度の共同社会しかつくれずに、氷河期を生き残れなかった。人類は彼らよりも脳も身体も小さいのに、利他心を発達させることができたので、多くの家族が協力する、より大きな共同社会を作って、生きのびられたんだ。

花子: 人間は元々、助け合うようにできているんですね。

伊勢: そうなんだ。そして、その共同社会の最も進化した形が国家なんだ。イスラエルの哲学者ヨラム・ハゾニーは、こう言っている。
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人類は、相互の忠誠の絆によって結ばれた家族、氏族、部族、またはネイションの健康と繁栄を常に望み、積極的に求める。独立した国民国家の秩序の下で、人間はこのような集団的な健康と繁栄を追求する最大の自由を獲得する。[ハゾニー、2761]
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伊勢: ここでの「ネイション」とは、共同社会としての国民国家だ。ハゾニーは「独立した国民国家は、集合的自由および自己決定権を確立するためには人類が知る限り最高の制度である」と結論づけている。これは自由社で「社会は国家というまとまりをもって初めて社会としての力を発揮します」と言っているのに通ずるね。

花子: 家族と地域と国を愛し、祖先の努力に感謝し、同胞と子孫のために尽くそうという人が「日本を支える公民」なのですね。

伊勢: そうなんだ。そういう「日本を支える公民」が増えれば増えるほど、日本はより「幸せ」な国となる。それだけでなく、そういう生き方でこそ、我々は自らの処を得て、生き甲斐のある人生を送ることができる。それが私の常々言っている、互いのために尽くす「仕合わせ」の国だね。そういう国を作ることが、自由社の言っているように「世界のため、人類の発展のため」に通ずるんだよ。

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