暗殺されたチャーリー・カーク氏の追悼式典が「キング牧師を超える規模」になった理由…あの「米議事堂襲撃事件」と「FBIの関与」を物語る「4万時間の動画」公開の衝撃

現代の米国
米議事堂襲撃事件、FBIの関与を物語る4万時間の動画
トランプ支持者であるチャーリー・カーク氏が9月10日に討論イベント中に銃撃され、21日にアリゾナ州で追悼式典が開催された。参加者は警察発表で20万人を超え、過去のキング牧師追悼式を上回る規模となった。この事件を受け、トランプ大統領は極左運動「アンティファ」を国内テロ組織に指定。議事堂襲撃事件に関しては、FBIが関与していた可能性が指摘されている。

暗殺されたチャーリー・カーク氏の追悼式典が「キング牧師を超える規模」になった理由…あの「米議事堂襲撃事件」と「FBIの関与」を物語る「4万時間の動画」公開の衝撃

20万人が集まった歴史的なカーク氏追悼集会

9月10日に、トランプ大統領を熱狂的に支持する「MAGA派」として、大学生を中心に圧倒的な影響力を与えてきたチャーリー・カーク氏が、ユタバレー大学での討論イベント中に銃撃を受け、殺された。

一般の日本人にはカーク氏の存在は、ほとんど知られていなかっただろうが、アメリカではカーク氏の存在感は圧倒的であった。

9月21日には、カーク氏の地元のアリゾナ州にあるステート・ファーム・スタジアムで追悼式典が開かれた。

収容人数63000人のスタジアムに、収容上限を1万人超過する73000人が押し込まれ、収容人数15000人のサブスタジアムにも2万人が押し込まれ、それでもあぶれた人たちには屋外の観戦エリアが用意された。

この追悼式典には警察発表でも20万人が集まったが、これは歴史的な数字だ。

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1968年に人種差別撤廃に大きな力を与えたキング牧師の追悼が行われたが、この時にはジョージア州で2ヶ所の追悼会場が用意され、合計で15万人が集まったとされる。これがアメリカ史上で最大の追悼式典だとされてきた。

今回のカーク氏の追悼式典は1ヶ所で行われ、これをも上回るものだったと知れば、カーク氏の存在感がどれほど大きなものだったのかが、想像できるだろう。

高校生の時から偏向教育反対活動

カーク氏は高校生の時に、教科書の記述に左派への偏向があると訴えるエッセイを、右派的なメディアで知られるブライトバートニュースに寄稿した。

カーク氏は、若者たちが左に傾いていくのは偏向教育を受ける中では当たり前だと考え、若者たちを左派偏向から救い出したいとして、政治団体のターニングポイントUSAを設立した。

彼は全米各地の大学に足を運び、左派傾向の学生たちと冷静な対話を積み重ねる運動を展開してきた。左派系の学生を小馬鹿にするようなことはせずに、冷静な議論の中で、左派的な考え方のおかしさを指摘していった。

こうした冷静な議論に納得する学生は多く、ターニングポイントUSAは全米各地にある高校・大学にある支部が1800を超えるまで成長した。こうしたターニングポイントUSAの成長は、昨年11月の米大統領選挙でのトランプ大統領の当選に、大きな貢献を果たした。

追悼集会で妻のエリカ・カーク氏は、「私の夫は、迷える若者を救いたいと願っていました。たとえ自らの命を奪ったその若者であっても、私は彼を許します。なぜなら、それはキリストが示された道であり、そしてチャーリーが生涯を通じて実践していたことだからです」と発言し、感動を呼んだ。

メディアはトランプの姿勢に批判的だが

さて、このチャーリー・カーク氏の暗殺事件を受けて、トランプ大統領は極左運動「アンティファ」を「国内テロ組織」に指定する大統領令に署名した。「アンティファ」とは「アンチ・ファシスト」の意味だが、皮肉にも「アンティファ」は穏健な保守主義を敵視し、左の全体主義を志向する傾向が強い印象がある。その行動はかなり過激だ。

こうしたトランプ大統領の動きを、オールドメディアは「青狩り」などといった言葉を使うなどして警戒する姿勢を示している。1950年代に米政府に入り込んだ共産主義者を摘発する「赤狩り」が展開されたことをイメージしながら、民主党のシンボルカラーが青であることを念頭に作られた造語だ。

このようにメディア報道では、トランプ大統領の姿勢を批判的に扱うものが多いが、それほどトランプ大統領の姿勢はおかしなものなのだろうか。

2021年1月6日に、バイデン大統領の当選を疑うトランプ派の人たちが、選挙結果を覆すために連邦議会議事堂を襲撃したとされる事件が起こったことは、覚えている方も多いだろう。

オールドメディアによると、この事件は9.11同時多発テロや真珠湾攻撃と並ぶような歴史的重大事件であり、民主主義に対する深刻な挑戦だとされていたが、2022年の中間選挙で共和党が下院を制したことをきっかけに、少しずつ風向きが変わってきた。

新たに選出された当時のケビン・マッカーシー下院議長(共和党)が、議事堂内部のいたるところに設置された監視カメラ映像44000時間分のほぼ全てを公開すると決めたことが転機となった。

議事堂襲撃事件の監視映像、その意外な中身

こうして公開された動画を見ても、議事堂内に入り込んだトランプ派の人たちが暴力的に暴れた様子は見られず、むしろ議事堂警察の誘導に従って整然と歩いているばかりで、彼らは観光気分で議事堂を見学していたと見た方が自然であったからだ。

例えば、バイキングを模した奇抜な格好をし「Qアノン・シャーマン」と呼ばれたジェイコブ・チャンスリー氏は、この事件で警察官を襲撃したとされ、禁固41ヵ月という重罰を言い渡されたが、監視カメラ映像によると、彼は議事堂内を案内する警察官の誘導に従って議事堂内を歩くのみで、議事堂の破壊行為や警察官に暴力を振るう行為は、一切確認されなかった。

公開された映像により、彼が持参した拡声器を使って議事堂の中で、議事堂警察が自分たちを建物の中に入れてくれたことについて感謝する言葉を述べていたことまで明らかになった。

厳罰に処されたのはチャンスリー氏だけではない。この事件で議事堂内に入った1500人を超えるトランプ派の人たちが同様の罪に問われたのである。

この事件でトランプ支持者に消火器で頭を殴られて殺されたと報道されていたブライアン・シックニック巡査が、ヘルメットをかぶった状態で、トランプ支持者たちを誘導しながら歩き回っている様子を映した動画も見つかった。そして彼の誘導通りにトランプ派の人たちが歩いていた様子も映っている。

にも関わらず、シックニック巡査は「アメリカを守るために命を落とした英雄」として扱われ、事件のほぼ1ヵ月後には彼の死を悼む荘厳なセレモニーが行われ、バイデン大統領なども臨席し、その様子は大々的に報じられた。だが、彼は事件当日の夜10時にたまたま脳卒中で倒れ、翌日の夜に自然死したことが、事件後3ヵ月してから公式の検視結果として公表された。偶然発生した自然死だったのに、トランプ派の暴力によって殺されたというストーリーに仕立て上げられたのだ。

アンティファ? FBI? 襲撃は陰謀だったのか

「議事堂襲撃」事件については、民主党とアンティファらによる陰謀ではないかという疑いは、当初からトランプ派からは持たれていた。すなわち、アンティファの活動家たちがトランプ派を装いながら議事堂を破壊する動きに出て、議事堂前で開かれる予定だった集会のために集まってきたトランプ支持者たちを議事堂内に誘導し、彼らを犯罪者として仕立てる計画的な動きだったのではないかというものだ。

実はこの事件の前夜に、「明日、議事堂に突入するぞ」と煽っていたレイ・エプスという人物がいたことがわかっているが、彼は今回の事件では全く罪を問われていない。彼はトランプ支持者たちを議事堂に向かわせる仕事を担っていたと見られるが、FBIと内通していたのではないかという疑いもトランプ派からは持たれている。そして彼が逮捕されることはなかった。

このように、こうした陰謀にFBIも加担していたのではないかという話は、トランプ派の中では指摘されてきたことだが、本当にそうかもしれないという話が持ち上がってきた。

この事件当日に、274人にも及ぶ膨大なFBIの覆面捜査官が送り込まれていたことが、最近明らかになったからだ。

事件後にまとめられた事後報告書が、トランプ政権のカッシュ・パテルFBI長官のもとで発掘されたのだ。

そしてこの事後報告書は、2024年末に公開された司法省監査長官による報告書では存在が無視されていたものなのである。そしてこの報告書をもとに、FBIの覆面捜査官が現場に送り込まれていたのではないかというトランプ派から提出されていた疑義が、トランプ派の無根拠な陰謀論だとされていたのだ。

「不平等業務」にFBI捜査官の不満噴出

なお、カッシュ・パテル氏の前任のFBI長官だったクリストファー・レイ氏は、投入されたFBI捜査官の数を議会で何度も尋ねられながらも、一度も答えてこなかった。

ただし、この事後報告書を見ても、FBIがなぜそんなに膨大な人員を議事堂に派遣したのか、彼らがどんな役割を担ったのかは具体的にはわからない。それでも、事後調査チームに匿名で苦情を申し立てた捜査官が数多くいて、彼らは政治闘争の駒にされたといった不満をぶつけていることが、今回明らかになった。

例えば、ある捜査官は「犯罪者の人種、政治的所属、動機に関わらず、犯罪行為を平等かつ積極的に捜査すべきだ。そして、人種、政治的所属、動機に関わらず、すべてのアメリカ国民を平等かつ積極的に保護すべきだ」との不満を伝えている。

これは「黒人の命を大切に」と主張するブラックライブズマターのような左派系の組織が、放火・略奪・暴行のような行動を行なっても、お咎めなしになることが多い一方で、保守派に対しては犯罪と言えないようなものまで犯罪として厳しく取り締まる動きをしていることが、果たして平等なのかと指摘したものだ。

「議事堂襲撃事件への我々の対応は、政治的偏見に満ちている」と語っている捜査官、「FBIの捜査官や分析官が政治的立場を優先し、犯罪撲滅をおろそかにしているのではないか」と示唆する捜査官、「自分たちが政治的闘争の中で使われる駒として扱われているのではないか」と不満を述べる捜査官もいた。

この議事堂事件の陰謀が、2020年夏から11月の大統領選挙までの間に暴れ回ったのと同じ悪党によって引き起こされた、つまりブラックライブズマター運動で暴れ回った人たちがこの事件を導いたのだと指摘している捜査官もいた。この捜査官はまた、ブラックライブズマター運動で引き起こされた暴動は、警官たちが路上で白昼堂々と暴行を受ける深刻なものばかりだったが、議事堂襲撃事件の時のようなリソースをFBIが投入しようとしたことが一度もなかったことを指摘している。

FBI上層部は「ヤラセ」を知っていたのか

さらにこうした不平等な取り扱いが、FBIだけの問題なのではなく、連邦検察局にも及んでいることを指摘する捜査官もいた。連邦法に基づけば、起訴に必要な基準を明確に満たす事件があっても、連邦検察局が捜査を認めようとしないケースがあり、それが政治的バイアスに基づくものだという指摘もなされているのだ。

議事堂に派遣されながら、暴動に発展した場合に身を守るための防具が与えられていなかったことへの不満、他の法執行機関の人たちに自分の身分を示す手段も用意されなかったために、自分が誤認逮捕される恐れもある中で派遣されたことへの不満も、捜査員たちから噴出していた。

このようなことが行われたのは、当時のFBIの上層部が、この事件がヤラセであって、決して暴動に発展しないことを事前に確信していたからなのかもしれない。

今後カッシュ・パテルFBI長官のチームは、覆面捜査官として派遣されていたFBI職員から聞き取り調査を進めて、当日どのような動きがなされていたのかを、さらに詳細に明らかにしていくだろう。その中では、なぜクリストファー・レイ前長官をはじめとするFBI、司法省のトップ層が、この重大な情報を隠匿し続けたのかがはっきりしてくるのではないか。

トランプ大統領が、自分に対して批判的な報道ばかりを行う放送局は放送免許をとりあげられるべきだと発言したのは、明らかに行き過ぎだが、事実よりも政治的ポジションが優先されて報道が作られているあり方に許せない思いを持つのは、私は理解できる。今後の捜査の進展に期待したい。

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