2025-11-05

現代の世界各国

トランプとアジア

トランプとアジア2025年11月1日   田中 宇トランプ米大統領の10月末のアジア歴訪の主目的は、貿易や投資など経済面だったような感じが流布されている。だが私には、トランプの経済重視が目くらまし策に見える。経済の大枠の話は秘密が少ない。直接に会う首脳会談でなくても、電話会談や、閣僚間の交渉でも進められる。だが、秘め事が多い地政学や安保、諜報関連の話はそうでない。電話会談は通常、双方の国の政府側近など100人ずつぐらいが傍聴している。傍聴を禁じても、こっそり傍受することが可能だ。米政府内には、まだ英国系の傀儡勢力がたくさん入り込んでいる。中共の上層部にも、以前のトウ小平の集団指導体制を好み、習近平の独裁を密かに憎んでいる勢力が残っている。米中とも、最重要な安保諜報関連の対話は、電話会談や閣僚級でなく、トランプと習近平が直接会ってひそひそ話をするしかない。経済の大枠の話は秘め事でないから電話や閣僚でやれる。(Can Trump finally break with Biden's failed China policy?)トランプ政権は、米諜報界を英国系から乗っ取ったリクード系が作った。...
現代の日本

侵される熊たちの生息域

侵される熊たちの生息域 連日のように日本列島のどこかで起こった熊の出没情報がニュースとなって世間を騒がせている。なかには襲われて死傷者が出るなど痛ましい事例も発生しており、身近に熊が生息している地域の住民にとっては他人事では済まない事態となっている。大型野生動物である熊に急襲されて生身の人間がパワーで敵うわけがなく、極力身の安全を考えて遭遇を避ける以外に予防方法はないが、如何せん今日のように市街地であってもいつどこから出没するかもわからぬ状況のなかで、防ぎようもないのが実態だろう。走って逃げるといっても、熊の全速力に敵うわけなどないのだ。 日頃よりニュースに触れてきた身として過去20~30年を振り返ってみても、今日ほど熊の出没で列島あげて大騒動しているのは稀であり、ちょっと記憶にないほどである。過去に特殊な事例としての出没はあったにせよ、今日ほど普遍的にあちこちで熊が出没するようなことはなかった。昔から人間の生活圏とは距離を置いた奥山の大型野生動物であり、彼らが日常生活を脅かすことなどめったとなかったのである。 では、本来奥山に生息していたはずの熊たちは、なぜこのように一斉に里山や市街...
現代の世界各国

『グローバルサウス入門:「南」の論理で読み解く多極世界』 著 西谷修・工藤律子・矢野修一・所康弘

『グローバルサウス入門:「南」の論理で読み解く多極世界』 著 西谷修・工藤律子・矢野修一・所康弘「グローバルサウス」という言葉がマスコミを賑わすようになったのは、つい最近のことのように思われる。それは、単にこれまで「開発途上国」とか「第三世界」などと呼ばれてきた地域を、そのようにいいあらわすようになったものだろうか。この言葉には、世界史の発展段階の今日的な特徴と未来を把握するカギがあるようだ。 本書では歴史哲学・思想、国際政治学、国際報道・ジャーナリズムの専門家4氏が学術、フィールドワークの実践をもとにこの問題に挑んでいる。昨年開催された学術セミナーの講演と議論をもとに編纂されたものだが、専門分野の異なる視点から重層的に論じられる各章を総合すると、共通する見解、評価が浮かび上がってくる。 その一つは、グローバルサウスとは単なる南半球の地域や、多くが「南」に位置する発展途上国の集合体ではなく、つまり、民族国家としての国家群の図式ではとらえられない実体も持つことだ。本書から、グローバルサウスを理解するうえでは、現時点での地政学的な視点ではなく、国境をこえた歴史的な視点、とりわけ「社会不平等...