高市自民「大勝利」の裏で膨れ上がる日本のリスク。経済成長の起爆剤か、金融危機の引き金か=高島康司

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高市自民「大勝利」の裏で膨れ上がる日本のリスク。経済成長の起爆剤か、金融危機の引き金か=高島康司 | マネーボイス
高市首相の自民が大躍進した。一方、中道などのリベラルは惨敗した。いま高市の勝利で日本は沸き立っているが、これから起こる可能性のある危機的な事態を解説する。(『』高島康司) 【関連】次の金融危機は日本発?「高市ショック」と「日本のウクライナ化」を警戒する海外勢=高島康司 高市政権の大勝利が引き起こす可能性のある

高市自民「大勝利」の裏で膨れ上がる日本のリスク。経済成長の起爆剤か、金融危機の引き金か=高島康司

高市首相の自民が大躍進した。一方、中道などのリベラルは惨敗した。いま高市の勝利で日本は沸き立っているが、これから起こる可能性のある危機的な事態を解説する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

【関連】次の金融危機は日本発?「高市ショック」と「日本のウクライナ化」を警戒する海外勢=高島康司

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2026年2月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

高市政権の大勝利が引き起こす可能性のある危機

2月8日、衆議院選挙が実施され、自民が圧勝した。316議席と戦後始まって以来の獲得議席数となった。維新を含めると与党だけで352と、全体の議席数の4分の3を占めるという想像を絶する勝利となった。いま日本では一種のお祭り騒ぎの状態が続いている。一方、議席数を3分の1まで激減させた中道をはじめ、リベラル派は壊滅的な状況になった。

株価は5万8,000円を突破し、日本の将来に対しても非常に楽観的なムードになっている。新たな発展期に入るという楽観的なシナリオもある一方、いま深刻な危機に向かっているというシナリオもある。それらがどういうものなのか解説する。

「サナエノミクス」シナリオ、危機か発展か?

高市自民党が衆議院選挙(2026年2月8日投開票)で圧勝した。この歴史的勝利により、日本経済は「サナエノミクス」の真価が問われる、極めてスリリングな局面に突入している。

現在の市場動向と専門家の予測を分析すると、現時点では「短期的には混乱のリスクを孕んだ景気失速の圧力が強いが、構造的な労働力不足が賃金上昇への転換を強制的に促す」という、両者が混ざり合った展開が現実味を帯びている。

それぞれの実現性を深掘りしてみよう。「サナエノミクス」には明らかにプラスとマイナス、チャンスと危機の両極端なシナリオが成り立つようだ。

<1. 「円安・金利高騰・景気失速」シナリオの現実味>

最初は景気失速のリスクシナリオである。これを検討して見よう。この懸念は、主に「財政規律への不安」に端を発している。

まず懸念されるのは、金利の「悪い上昇」だ。 高市首相が掲げる「責任ある積極財政」により、国債発行額の増大が意識される。すでに10年物国債利回りは上昇傾向にあり、2.3%台と27ぶりの高い水準に高騰している。これが住宅ローンや企業の借入コストを押し上げて設備投資にブレーキをかけ、消費や投資を冷やすリスクが現実味を帯びている。

そして、円安が持続されるリスクがある。米国経済の失速懸念から、2月11日現在は少し円高にはふれている。だが、高市首相が日銀の利上げに対して慎重な姿勢(ハト派)と見なされているため、日米金利差が縮まらず、輸入物価の高騰が続く可能性が高い。これで、インフレは亢進し、実質賃金は低落する。

このように市場では、「高市トレード」による不安が高まっており、具体的な財源論や成長戦略の即効性が示されない限り、スタグフレーション的な動きへの警戒感は消えないと見て間違いないだろう。自らの政策が引き金となって短期的な金融危機が発現したため、責任を取って辞任した英国のリズ・トラス首相と同じ状況に追い込まれる可能性もある。

<2. 「成長戦略・実質賃金上昇」シナリオの現実味>

一方、楽観シナリオも成り立ちはする。根拠は「労働需給の逼迫」と「投資の強制」にある。

2025年以降、名目賃金は高い伸びを記録している。高市政権が掲げる「食料品への消費税減税(時限的措置)」などが実行されれば、インフレ率が抑えられ、実質賃金がプラスに転じる道筋は見えてくる。

さらに、核融合やセキュリティなどの先端技術への集中投資が、単なる公共事業に終わらず、民間投資を呼び込む呼び水となれるかが鍵だ。

この楽観的なシナリオは中長期的には期待できる。多くの専門家は、2026年春闘の結果が「物価上昇を上回る賃上げ」を継続できるかが最大の分岐点となると分析している。

どちらの予測が実現するか?

このように、「サナエノミクス」では両極端なシナリオが成り立つ。では、これらの実現性はどうなのだろうか?結論から言えば、「2026年中盤までは前者の苦境に耐え、そこを乗り越えられるかで後者が決まる」という時間差の展開が予測される。

市場は高市首相の政策を「インフレを加速させる火種」と見るか、「デフレ脱却を決定づける特効薬」と見るかで激しく揺れているのが現状だ。選挙での圧勝は強力な政策実行力を意味するが、同時に市場からは「財政規律」に対するかつてない厳しい監視の目が向けられることになる可能性がかなり高い。

その結果、短期的には、国債の暴落による金利の高騰と円安による物価上昇で実質賃金が低下し、景気が急激に冷え込む可能性もある。これを抑えるために、積極財政政策を根本から変更し、国債の下落と金利の上昇にストップをかけざるを得なくなってくるかもしれない。すると、これで高市政権は、成長戦略を放棄せざるを得なくなる可能性もある。

しかし、この短期的な危機のフェーズをうまく乗り越えられれば、政府が主導する17の分野への戦略投資の効果が徐々に現れる可能性もある。政府主導の戦略投資は民間にも投資を強制するので、労働力需要の増大などそのプラスの効果も出てくるだろう。

さて、このように見ると、多くの専門家やエコノミストの間でも短期的な悲観シナリオと中長期的な楽観シナリオの2つに見通しが真っ二つに分かれている。しかし、全体的には前者の悲観シナリオを強調する意見がいまのところ強いように思う。筆者だが、短期の悲観シナリオが強く現れ、中長期的な楽観シナリオにはたどり着かない可能性が7割、中長期的な成長産業のシナリオの実現可能性は3割程度になるのではないかと見ている。とにかく、これからかなりの変動があると思っていた方がよいだろう。

我々の生活で経験すること

このように、選挙に圧勝した高市政権には、短期的な金融・財政のリスクと、中長期的な発展の可能性という両極端の側面はある。いまのところ、先に書いたように、短期の金融・財政のリスクの発現から拡大財政政策の変更を余儀なくされてしまい、結局は深刻な景気後退に陥ってしまうリスクもまだまだある。この可能性は高いかもしれない。

では当面、我々の生活にはどのようなことが起こるのだろうか?

すでにこれまでの解説から予想できるかもしれないが、改めて要点を生活者の視点でまとめてみた。我々にとっても重要な視点だ。

<1. 家計への影響:食料品減税とインフレの攻防>

高市首相が検討している「食料品への消費税減税(時限的措置)」は、家計にとって強力な追い風になる。

・消費の押し上げ
食料品(酒類を除く)の税率が0~5%に引き下げられた場合、エンゲル係数の高い子育て世帯や低所得世帯ほど恩恵が大きい。

・実質賃金への寄与
政策的に消費者物価指数(CPI)が抑制されるため、2026年後半には名目賃金の上昇が物価上昇を上回る状態、つまり実質賃金のプラス化が達成される可能性がある。

・リスク
減税による消費意欲の向上が、皮肉にもさらなる物価高を招く「需要牽引型インフレ」を加速させる懸念がある。

<2. 住宅ローンと借入:金利上昇の直撃>

積極財政は国債増発を伴うため、長期金利には上昇圧力がかかる。

・固定金利の先行上昇
すでに住宅ローンの固定金利は上昇を始めている。今後、日銀が利上げに踏み切れば、変動金利も追随するはずだ。

・返済負担の増大
住宅ローンの新規購入者だけでなく、変動金利で借り入れている既存の契約者にとっても、利払い負担の増加が可処分所得を圧迫する要因となる。

<3. 資産運用:日本株と円相場の二極化>

投資家にとっては、政策の「期待」と「リスク」が混在する。

・戦略投資セクターの台頭
「経済安全保障」や「核融合」「量子技術」に関連する銘柄には、巨額の政府予算が流れるため、強力な買い材料となる。

・円安メリットとデメリット
高市首相のハト派的な姿勢(利上げ慎重派)が続けば、円安基調が維持され、輸出企業の業績を支える。一方で、インフレの亢進、そして輸入コスト増による内需企業の収益圧迫という構図は続く。

まとめ:個人の防衛策

高市政権下では、「インフレによる現金の価値低下」と「金利上昇による借入負担増」という2つのリスクに同時に対処する必要がある。

・資産構成の再考
現金一辺倒ではなく、インフレに強い株式や実物資産への分散が重要になる。

・固定金利への切り替え検討
低金利時代の終焉を見越し、ローンの借り換えなどを検討するタイミングと言える。

このような結果になった。ちょっと見ると、プラスとマイナスが入り交ざった感じを受けるが、もしこれから金融市場が高市政権の財政政策に対して急激にネガティブに反応すると、金利が急上昇して企業の買い入れコストとローン金利が引き上げられる。そして、極端な円安の進行から物価が一気に押し上げられ、実質賃金が低下することにもなりかねない。その結果、円キャリトレードの巻き戻しの発生から、株や暗号通貨、また米国債などの債権が売られ、世界的な相場暴落の状態にもなる可能性だってある。

とにかくこれから1カ月くらい、なにが起こるのか注目だ。一人一人が変動への準備が必要だろう。

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