衆院選で見えた日本経済を揺るがす4つのキーワード。選ばれるのは「守る国」か「暮らす国」か

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衆院選で見えた日本経済を揺るがす4つのキーワード。選ばれるのは「守る国」か「暮らす国」か=斎藤満 | マネーボイス
超短期戦となる今回の衆議院選挙。各党のキャンペーンから見えるキーワードから日本経済を読み解けそうです。確かな安全保障、食料品中心の消費税減税、労働者の手取り増、日本人ファースト、食料安全保障、などが主要な戦略に見えます。これらが今後の日本経済にどんな影響を持つのでしょうか。(『』斎藤満) 【関連】金価格また最

衆院選で見えた日本経済を揺るがす4つのキーワード。選ばれるのは「守る国」か「暮らす国」か=斎藤満

超短期戦となる今回の衆議院選挙。各党のキャンペーンから見えるキーワードから日本経済を読み解けそうです。確かな安全保障、食料品中心の消費税減税、労働者の手取り増、日本人ファースト、食料安全保障、などが主要な戦略に見えます。これらが今後の日本経済にどんな影響を持つのでしょうか。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

【関連】金価格また最高値更新…今が買い?トランプ関税と世界の混乱が追い風に=斎藤満

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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防衛費GDP比3.5%と安全保障

自民、参政党、日本保守党が防衛費の増額、自分で自分を守る体制を訴えています。このため、防衛関連産業の株価が上昇しています。しかし、この防衛費増も子細に見るとニュアンスの違いが伺えます。

自民党高市政権は、米国トランプ政権の要請にこたえる形で防衛予算の前倒し拡大を進めています。昨年の補正予算ですでにGDP比2%を実現させました。そしてトランプ大統領はさらにこれをGDP比3.5%まで上げるよう求めていて、政府はこれに対応しようとしています。

これに対して参政党、日本保守党は自分の国は自分で守るとの姿勢で、米国の要請とは一線を画しています。それでも保守系は総じて防衛費増額、安全保障の強化を志向しています。中国との対立はその追い風になっています。

これに対して、中道、共産党などは平和外交を進めて軍拡予算を国民生活に回すべきといいます。戦争を前提とした軍拡ではなく、戦争をしないよう、中国や北朝鮮とも外交を進めてゆく姿勢で、保守派とは180度方向が異なります。若い人の間では中国の強硬姿勢に反発を強め、右傾化する動きが見られます。

同じ安全保障でも米国依存型で、防衛費増で米国製の武器を購入する自民党に対して、参政党、日本保守党は自国による防衛力強化で、国産兵器の強化、外国に頼らない自国防衛の形を考えています。いずれも憲法改正では歩調が合っています。

与党が過半数の議席を確保し、参政党、日本保守党が議席を大きく伸ばし、改憲勢力が3分の2をとれば、憲法改正にまで持っていきたい模様です。

消費税減税と手取り増

財務省の片山大臣が民主主義の下では選挙前に消費税減税の話になるのはやむを得ないと述べましたが、与野党こぞっての消費税減税の動きを見せていた状況が微妙に変化しています。

総裁選当時の高市総理は消費税減税には後ろ向きでした。ところが解散を決めた直後に公明党と立憲民主党が新党を結成したことから、にわかに危機感を強め、新党「中道」の売りである食料品の消費税ゼロに相乗りして潰しにかかりました。

もっとも、自民党は2年間に限ったゼロ税率ですが、その姿勢豹変を突かれ、連立与党維新の意向を反映したものと苦しい説明をしていました。

しかし、さらに状況が変わってきました。高市政権は突如、消費税減税に慎重な姿勢を見せるようになりました。もともと消費税減税に後ろ向きだったのですが、最近の世論調査で選挙戦は自民党優勢が伝えられ、中には自民単独過半数を予想するものも出ています。これを受けて消費税の取り扱いが微妙に変わりました。国民会議に任せる、それによっては実施しない可能性も匂わしています。

与野党ほぼすべての政党が何らかの形で消費税減税を提示したので、自民党の「セールスポイント」にはなりません。新党「中道」への対抗策だったのですが、選挙で勝てそうなら無理をする必要がないと判断したようです。むしろ高市総理にとっては財政拡張策が長期金利の急上昇をもたらしたと批判され、この金利の動きに神経質になっていました。

実際、1月19日の解散宣言時に消費税の話を持ち出したために、翌日の市場では10年国債利回りが2.38%まで急騰しました。これで財務省は慌てました。円安とともにこの長期金利高に対しても何らかの手を打つ必要がある、との危機感を強めました。そしてこのところ消費税に高市政権が慎重になると、長期金利はまた低下を見せています。30日には10年国債利回りは一時2.236%まで低下しました。

この消費税減税のみならず、与野党こぞって労働者の手取り増を訴え、これに伴う減税も意識されました。また野党の中には税金よりも社会保険料の引き下げが重要と訴えるところもあり、選挙を機に税社会保険料引き下げがさらに財政危機につながる意識が高まりました。

その中で金利上昇に危機感を持つ自民党が選挙戦有利を利用して減税ムードを冷やしにかかったことになります。与党が過半数を確保すれば、消費税減税の動きはしぼむ可能性があります。

日本人ファーストと排外主義

安全保障と同様に、保守系政党に共通して日本人ファーストの声が高まり、トランプ大統領と同様に、日本でも排外主義が広がりつつあります。これも注意が必要です。観光地での中国人などのマナーの悪さとオーバーツーリズムが重なって、観光で日本人が排除され、地元日本人の生活が不便を強いられている面は否定できません。

これに台湾問題を機に、中国が反日攻勢を強めているために、国内に反中国ムードが高まりました。中国が攻勢を強めるたびに却って高市政権の支持率が上がる現象まで見られました。この排外主義が人手不足で外国人労働者に頼らざるを得ない現場に不安を高めています。外国人労働者が日本人の職を奪っているとの批判にもなっています。

現実は異なります。日本人が職を奪われているのではなく、むしろ人手不足で介護労働者や建設現場では低賃金や危険性を嫌ってか日本人労働者が確保できず、その穴埋めを外国人労働者でカバーしているのが現実です。

ところが保守系政党は業種ごとに外国人の受け入れ枠を設けようとしています。これで外国人労働を使えなくなると、介護施設や建設業者は経営が成り立たなくなり、倒産が増えかねません。安易なポピュリズムが経済をかえって悪化させます。

食料安保と農政

食料安全保障の声もいくつかの党から提示されています。特にコメ騒動を経験し、日本人ファーストを唱える声とともに、日本人を餓死させてはならないとの声が上がっています。ここには農政を握っている自民党の「森山天皇」の存在が大きく、この体制が続く限りは国民の食や食料自給率よりも、農協体制の保持が優先されます。

昨年、コメ不足を機に、小泉農相(当時)がこの農協支配体制を壊そうとしたのですが失敗、石破総理も森山氏を排除できず、結局旧体制型の鈴木農相をすえたことで、国民の食の確保より農協制度の維持が優先されました。このままでは食料自給率は上がりません。それでも民間業者はコメ輸入に慎重な農政を無視し、高い関税を払っても輸入を急増させました。

農家の高齢化、人手不足の中で、AI活用の新しい大規模農業にシフトする過程で、農協制度が変わり、日本の農業生産を拡大し、短期的には輸出増を進め、不足する事態となれば輸出をバッファーにする安全弁を確保することで、徐々に食料安保を図る道はあります。時間はかかりますが、この選挙が農政を変革するきっかけになるかもしれません。

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