フランスの詩人、ポール・リシャールの名詩『日本国に告ぐ』を紹介します。
この詩を読むことで、日本の国柄、歴史、価値、そしてその使命、それらに対する彼の期待が強く感じられます。
日本人とはどのような存在なのか、どのように世界に貢献すべきか、期待されるものが何かが見えて来ると思います。
ポール・リシャールは、フランスの詩人、弁護士、キリスト教の牧師でした。彼の生涯は、東西の精神文化の交流と人種差別撤廃の活動に捧げられました。
20世紀初頭、西欧文明に行き詰まりを感じていたリシャールは、西欧文明の欠点を克服するには東洋の精神に学ぶしかないと考えました。そしてすべての事業をなげうって、アジアへの旅に出ました。
大正5年(1916)に日本を訪れた彼は、約4年間の滞在期間に、日本の愛国者たちと交友を結び、彼らに多大な影響を与えました。
大正8年に、第1次世界大戦後のパリ講和条約で日本が人種差別撤廃案を提案しました。日本国内では人種差別撤廃を求める期成大会が行われるなどの動きが高まりました。これに感激したリシャールは、大会の決議文をフランス語に翻訳して、各国の指導者に送るなど、人種差別撤廃の実現に努めました。しかし講和会議では、日本の提案は米英により不当にも否決されてしまいました。
リシャールは大正9年に日本を去り、その後は長くインドに居住しました。彼は、西洋人でありながら、インドの宗教哲学者オロビンド・ゴーシュの弟子となり、東洋の精神的伝統の実践・伝道に努めたのです。
リシャールが滞日時代に書いた『告日本国』(大正6年、1917)という詩があります。この詩は日本の世界史的使命と日本人への期待を歌い、今日も多くの人の魂をゆさぶり続けています。
「曙の児等よ、海原の児等よ
花と焔との国、力と美との国の児等よ
聴け、涯しなき海の諸々の波が
日出づる諸子の島々を讃ふる栄誉の歌を
諸子の国に七つの栄誉あり
故にまた七つの大業あり
さらば聴け、其の七つの栄誉と七つの使命とを
独り自由を失はざりし亜細亜の唯一の民よ
貴国こそ亜細亜に自由を与ふべきものなれ
曾て他国に隷属せざりし世界の唯一の民よ
一切の世界の隷属の民のために起つは貴国の任なり
曾て滅びざりし唯一の民よ
一切の人類幸福の敵を亡ぼすは貴国の使命なり
新しき科学と旧き知慧と、欧羅巴(ヨーロッパ)の思想と
亜細亜の思想とを自己の衷(うち)に統一せる唯一の民よ
此等二つの世界、来るべき世の此等両部を統合するは貴国の任なり
流血の跡なき宗教を有てる唯一の民よ
一切の神々を統一して更に神聖なる真理を発揮するは貴国なる可し
建国以来、一系の天皇、永遠に亘る一人の天皇を奉戴せる
唯一の民よ
貴国は地上の万国に向かって、人は皆な一天の子にして、天を永遠
の君主とする一個の帝国を建設すべきことを教へんが為に生れたり
万国に優りて統一ある民よ
貴国は来るべき一切の統一に貢献せん為に生れ
また貴国は戦士なれば、人類の平和を促さんが為に生れたり
曙の児等よ、海原の児等よ
斯く如きは、花と焔との国なる貴国の
七つの栄誉と七つの大業となり」(大川周明訳)
七つの栄誉と七つの大業とは、
一 日本はアジアで唯一、真の意味からも欧米の植民地にならなかった唯一の民の国である。
二 日本は他国に隷属、支配されなかった唯一の民の国である
三 日本は、一度も滅びるような事もなく、日本列島の中で繁栄した唯一の民の国である
四 日本は、欧米などの西洋とアジアの東洋の思想や精神を自己のうちに統一できる唯一の民の国である
五 日本は、宗教戦争をおこした事のない神道を持てる唯一の民の国である
六 日本は三千年以上も一系の天皇を奉載する唯一の民の国である
七 日本は世界に優れた 日本人として、統一ある唯一の民の国である
ポール・リシャール博士は、この七つの栄誉を述べて、日本は七つの使命、七つの大業があるといっています。
世界に大きく貢献しないといけないといっているのです。
そしてその中の最大のポイントして、天皇陛下の存在があります。
世界にはたくさんの王室がありますが、歴史でみれば、武家政権の国王にしかすぎないのです。
新しく政権についた所が、前の政権を滅ぼしているのです。
中国などが顕著な例です。
終戦の詔勅をラジオで聞いた事で、全國民の思想を玉砕から降伏と変え、整然として世論がまとまった事や、終戦後、天皇陛下が、丸腰で、全國を御巡幸あそばされ、それを國民が喜んで迎え、陛下と国民がお互いを励ましあって、復興に向う姿に、こんなことは世界史のどこにもない、奇跡だと述べています。
日本人は、君権と民権を調和統一した理想国家を実現せよ」とリシャールは言います。「そもそも君権といい民権といい、その源は天に発する。君主は、天の統一的方面を、人民は天の差別的方面を、地上に代表するものである。従って、本来両者の間には何ら矛盾衝突があるはずがなく、真のデモクラシーとは、真の天皇主義の別名であるはずである。君民は本来一体である。君主にとって、人民が『大御宝(おおみたから)』であるとすれば、人民にとっても君主は『大御宝』である。これは相補い一体となっているものである」と。
賢者リシャールは、我が国の伝統に真のデモクラシーを見出し、日本人に理想国家実現を期待したのです。私たち日本人は、自国の国柄を理解して日本の使命を自覚し、誇りとべきです。
東日本大震災発生後、全世界から賞讃と、支援の声が上がっていますが、歴代の天皇陛下、我々の祖先、先人が築きあげた君臣一体のお国柄が世界に貢献した、賜物であることも忘れてはなりません。
共産主義の思想は、平和を乱すことはあっても、世界平和に寄与したことなどないのです。
このように歌うリシャールは、わが国の国柄を高く評価しています。そして、デモクラシーについて、次のような主旨のことを述べています。
「現在のデモクラシーは、議会主義的、金権的個人主義である。真のデモクラシーとは、選挙によって金権政治を実現することではなく、数によって匿名の専制政治を行うことでもない。それは制度ではなく、態度である。個人の力と集団の偉大な精神が、個人の魂と集団の偉大な力が、つまり、個と全体が相互に尊敬しあうことが、真のデモクラシーなのである」と。
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