紅麹の問題がマスコミで報道されています。
しかし、これより前に手作りの漬物に対する厳しい規制が出されています。
以下のような疑問、指摘が出るのも当然ではないでしょうか。
別の漬物店関係者は「食中毒防止といっているが本当の目的は何なのかと思ってしまう。数年前も“肉の生食は食中毒を起こす”といってローストビーフの販売を規制し肉屋や畜産農家が苦しくなったが、すぐ規制すべきことは他にあるはずだ。農薬まみれの輸入農産物やゲノム編集食品の流通は野放しにしておいて、地物の新鮮な野菜で丹誠込めて漬物をつくってきた生産者を徹底的に取り締まるのは本末転倒ではないか」と指摘していた。
手作りの漬物が買えなくなる? 食品衛生法改定で6月から営業許可とHACCP対応が必須に 個人や商店は対応困難
道の駅や直売所で人気の農家が作った手作りの漬物や、地物野菜を使った自家製漬物の販売が消滅しかねない危機に直面している。これまで多くの農家や個人商店は自宅で漬物を手作りしてきたが、改定食品衛生法の完全実施で6月から漬物製造は「営業許可」が必須となり、国際的な食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」対応の加工施設設置が義務づけられるからだ。だが加工施設をそろえるには莫大な経費がかかるため対応できない生産者が大半だ。すでに廃業を決めた個人商店もある。全国で小規模な漬物店が大量廃業し「郷土の味」が消えかねない事態に懸念が拡大している。
道の駅や直売所、昔ながらの商店街や市場では、産直の新鮮な農産物や魚介類とともに人気なのが「手作りの漬物」だ。高菜や白菜、キャベツ、大根など地元でとれた野菜を使い、各家庭に伝わる秘伝の味付けに惹かれ毎日通う買い物客もいるほど。白菜の浅漬け一つをとっても各家庭で味が違うため、その違いを楽しむ顧客も多い。
また漬物は気候風土と深くかかわっており、寒冷地では保存食として活用されてきた。全国では、秋田のいぶりがっこ、青森のにんにく漬け、東京名物のべったら漬け、長野の野沢菜漬け、奈良県発祥の奈良漬け、愛知の守口漬け、京都のしば漬けや千枚漬け、広島の広島菜漬け、熊本の高菜漬け、鹿児島の壺漬けなど…特色あるご当地漬物が「ふるさとの味」として親しまれてきた。とりわけ防腐剤を用いて大量生産した漬け物とは異なる「手作りの味」は、全国の観光地でも根強い人気がある。
ところがこうした自家製漬物の販売店が全国で激減しかねない事態になっている。もともと「手作りの漬物」は各県に届け出ていれば製造・販売が認められる「届け出制」だった。だが2012年8月に北海道札幌市などで8人が死亡するO157の集団食中毒事件が発生。すると食品会社が製造した「白菜の浅漬け」が原因だったことを理由に食品衛生法改定に踏み切り、2021年に施行した。それは漬物の製造・販売を「許可制」にしたうえ、許可を得るには水道、シンク、冷蔵庫などをみなハサップ対応に切り替えなければならないとし、猶予期間(改定法施行後3年間=今年5月末)までに、営業許可を取得しなければ販売を禁じるという内容だった。
ちなみに福岡県管轄地域の現状を見てみると漬物製造の届け出(1月末時点)は3658件でこのうち許可取得は303件にとどまっている。今年5月末までは届け出のみで漬物販売はできるが、猶予期間終了後は許可取得者しか販売できなくなる。このまま放置すれば福岡県下だけでも手作り漬物の販売所が10分の1以下に激減することが現実味を帯びている。
福岡県内の漬物店関係者は「ハサップ対応ということで作り方、保管方法、販売方法をすべて変えなければならないと保健所は説明していた。だから今までのように漬物をトレーに並べて販売することもできなくなる。対象となる漬物は浅漬け、梅干し、ピクルス、キムチ、たくあん漬け、ぬか漬け等種類が多いから個人経営の漬物屋や各地の道の駅、飲食店や弁当屋や朝鮮料理の店にも影響が出てくる」と懸念を口にした。
厳しすぎる施設基準 漬物に「世界基準」必要か?
保健所が示した「漬物製造業の許可を取るための主な施設基準」では、
▼調理場は営業専用(自宅の台所との兼用は禁止)
▼手洗い設備の水道の栓は手でひねるハンドル式は禁止(足踏み式、自動センサー式、肘押し式等への変更が必要)
▼給水設備で地下水など水道水以外を使っている場合は水質検査が必要(不合格なら使えない)
▼温度計が付いた冷蔵庫が必要
▼包装台又は包装設備が必要
▼床面・内壁は不浸透性で床面に排水溝が必要
▼換気施設、照明設備、網戸付きの窓が必要
▼トイレはトイレ専用の手洗い設備が必要
▼製造した漬物の販売は食品表示が必要(袋詰めにし名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者の名前等を記載したシールを貼る)
といった内容を提示している。つまり水道も冷蔵庫も販売用ショーケースもハサップ対応用に買い換え、漬物は袋詰めして売らなければならないという内容だった。
夫婦で漬物屋を営む関係者は「漬物店は高齢の店主が多く、今から数百万円規模の設備投資をすれば莫大な借金を子どもに残してしまうことになる。だからやむを得ず廃業を選ぶ店が多い。食中毒防止とか食品の安全を掲げているから反論しにくいが、なぜ“ふるさとの味”として親しまれている漬物屋を潰したり、農家が道の駅で手作り漬物を販売するのをやめさせようとするのかと思う。資本力もあり大量生産する大手の漬物店ならハサップ対応の設備は設置できるだろうが個人商店では無理。最近は何でもかんでも世界基準にあわせるというが、漬物は日本の伝統であり文化なのだから日本基準でいいではないか」と強調した。
別の漬物店関係者は「食中毒防止といっているが本当の目的は何なのかと思ってしまう。数年前も“肉の生食は食中毒を起こす”といってローストビーフの販売を規制し肉屋や畜産農家が苦しくなったが、すぐ規制すべきことは他にあるはずだ。農薬まみれの輸入農産物やゲノム編集食品の流通は野放しにしておいて、地物の新鮮な野菜で丹誠込めて漬物をつくってきた生産者を徹底的に取り締まるのは本末転倒ではないか」と指摘していた。
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