
現代の機械に必須の「ピストン・シリンダー・パイプ」じつは、古代ギリシャで発明されていた…「驚愕の精度」を出した素材が衝撃的すぎた

またしてもヘロン!
現代でも町の消防団が使っている「手押し消火ポンプ」が最初につくられたのも、古代ギリシャにおいてである。
記録によれば、「圧縮した空気の圧力を使って水を押し出す」という原理のもとに、ピストン、シリンダー、弁がある圧力ポンプを最初につくったのは、紀元前3世紀の発明家・クテシビオスである。
そして、このクテシビオスの消火ポンプを、現在の消防団が使う消火ポンプにまで改良したのが、彼の弟子であるヘロンなのだ。
ヘロンの手動式消火ポンプの概略を次の図に示す。

どんな方向にも噴射可能の「すぐれもの」
2つのシリンダーは貯水タンクの底の部分に取りつけられ、その中にピストンが組み込まれている。梃子(てこ)棒の両端を上下させることによってピストンが作動し、水圧が変化してシリンダーの底にあるバルブが開閉する。
さらに、フラップバルブの開閉を通して左右のシリンダーから水が交互に中央パイプに送り込まれる。
中央パイプは内側と外側の二重構造になっていて、自由に回転させることができ、吸い上げられた水はホース、噴出ノズルを経て任意の方向の噴射が可能である。
このような精密な加工は、どんな材料を用いて行われたのか?
入手が容易で精密に加工しうる金属
ピストン、シリンダー、パイプなどには、当時から入手が容易で、精密に加工しうる金属の中で、最も強い青銅が用いられたと考えられる。
前述のように、図に示したのはヘロンの師・クテシビオスの消火ポンプを改良し、実用に供したものであるが、クテシビオスは同じ原理、つまりシリンダーとピストンによって得られる圧縮空気を利用した水力オルガンや空気銃もつくっていたらしい。
ここに示される原理は、現在のコンプレッサーの原理とまったく同じものである。
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“神秘の発明王”ヘロンは、なんと、古代ギリシャの神殿用に「自動ドア」までつくっていました。いったいどうやって自動で開き、そして閉じるのでしょうか。
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