円高株安政争の具にする負け犬

現代の日本
円高株安政争の具にする負け犬 - 植草一秀の『知られざる真実』
すでに9月27日付ブログ記事「総裁選裏側の自民長老優勝劣敗」メルマガ記事「石破内閣経済政策と金融市場反応」に記述したが、自民党総裁選をめぐり金融市場が変動している。27日の午後3時までは、高市早苗氏優勢の総裁選動向を背景に円安・日本株高が進行した。しかし、決選投票で石破茂氏が逆転勝利したことを背景に円高が進行し、連動して日本株価が反落した。高市氏を支援した勢力が怨嗟の声を上げ、株価下落を石破氏攻撃の材料に使う情報が流布されている。まったく木を見て森を見ない論議。高市早苗氏は自民党総務会長の役職を打診されたが固辞したと伝えられている。幹事長以外は受けないとの意向を周囲の者が伝えているとの報道もあ...

円高株安政争の具にする負け犬

すでに9月27日付ブログ記事
「総裁選裏側の自民長老優勝劣敗」
https://x.gd/T2c5St

メルマガ記事
「石破内閣経済政策と金融市場反応」
https://foomii.com/00050

に記述したが、自民党総裁選をめぐり金融市場が変動している。

27日の午後3時までは、高市早苗氏優勢の総裁選動向を背景に円安・日本株高が進行した。

しかし、決選投票で石破茂氏が逆転勝利したことを背景に円高が進行し、連動して日本株価が反落した。

高市氏を支援した勢力が怨嗟の声を上げ、株価下落を石破氏攻撃の材料に使う情報が流布されている。

まったく木を見て森を見ない論議。

高市早苗氏は自民党総務会長の役職を打診されたが固辞したと伝えられている。

幹事長以外は受けないとの意向を周囲の者が伝えているとの報道もある。

大人げない対応。

「敗軍の将、兵を語らず」

敗北は敗北であり、敗北を謙虚に受け止める姿勢が重要。

自民党再建に取り組む意思があるなら、どのような役職でも真摯に取り組むのがあるべき姿だ。

それでこそ未来が開ける。

総裁選敗北でふてくされるようでは未来が開けない。

総裁選で高市氏を推した勢力が選挙結果発表後の日本株価下落を懸命にアピールしている。

しかし、日本の経済政策は株価上昇のために存在するものでない。

筆者が発行している『金利・為替・株価特報』
https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/

では、7月末の日銀政策決定会合後の為替市場、株式市場の乱高下について詳細な解説を執筆してきている。

そのなかで株価見通し等についても予測を示してきたが、概ね予測通りの推移を辿っている。

8月5日に株価が急落したことについて「STOCKVOICE」という専門チャンネルに登場したコメンテーターは日銀に対する恨み節を爆発させていたが笑止千万である。

日銀の金融政策正常化は適正かつ当然の政策対応だ。

私は7月31日会見で植田総裁が「引き続き政策金利を引き上げていくことになる」と発言したことは行き過ぎと論評した。

この点は日銀自身が金融市場の波乱を受けて修正したが、結果として一連の変動によって日本円大暴落が大幅に是正されたことは極めて有益だった。

日本円暴落は深刻な問題を引き起こしている。

日本円暴落で日本が外国資本に買い占められる事態が進行している。

これが日本の経済安全保障上の最大問題である。

経済安全保障担当相の高市氏が日本円暴落誘導の政策を提言している時点で経済安全保障担当相失格である。

為替変動に対する輸出製造業利益の感応度が高い。

このため、円安で株価指数が上昇、円高で下落の反応を示す。

高市氏だから株価が上昇し、石破氏だから株価が下落するのではない。

7月以降、顕著に観測されているのは日本株価が為替変動に過剰に反応するという現象である。

円安が進行すると日本株価が急騰し、円高に回帰すると日本株価が急落する。

これが繰り返されている。

輸出製造業は円安進行大歓迎だが、日本の経済政策は輸出製造業のために存在するものでない。

一般消費者、労働者、生活者は円安進行によって大きなマイナスの影響を受けている。

日本全体が外国資本に乗っ取られる事態も進行している。

購買力平価から激しく乖離した日本円大暴落を是正することが政府の重要な責務である。

株価下落は、石破氏が金融正常化を肯定し、金持ち優遇の金融所得課税見直しを示唆したことも影響していると見られる。

岸田首相は2021年の総裁選で金融所得課税強化を提示したが、株式市場が不安定化して、すぐに撤回した。

石破氏は9月28日のフジテレビ番組で

「今の金融緩和の方向性は、これから先も維持していかなければならない」

「金利をうんぬんかんぬんと言ってはいけない」

と述べて、政策金利の引き上げに慎重な姿勢を示した。

自民・石破氏 人事は「適材適所」麻生派議員の起用も 「金融緩和の方向性は維持」金利引き上げ慎重姿勢|FNNプライムオンライン
自民党の石破総裁は29日に出演したフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で、党役員・閣僚人事を巡り、「適材適所」の布陣を強調し、麻生派の議員の起用も検討する考えを示した。麻生派を率いる麻生副総裁は、27日の総裁選の決選投票で、石破氏ではなく、高市経済安保相を支持したとされる。石破氏は、「同じ自民党で、高市さんの側についたからとか、特にそういう意識ない」と述べ、人事については「適材適所であって、その分野について通用した人」を起用する方針を強調し、麻生派の起用も検討する考えを示した。また、総務…

適正な対応だ。

週明けの金融市場は徐々に落ち着きを取り戻すことになるだろう。

石破内閣は歪んだ経済政策を是正する責務を負う。

経済政策が株価上昇のために存在するものでないことを認識し、日本円暴落を回避する適正な経済政策を遂行することが求められる。

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました