生命科学

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まさに、かつての常識をひっくり返した…深海底からの「驚きの報告」

まさに、かつての常識をひっくり返した…深海底からの「驚きの報告」「後期隕石重爆撃期」の洗礼地球には38億年よりも前にできた岩石が少ないことがわかっています。それはなぜでしょうか。地球などの太陽系惑星は、微惑星の衝突により成長しました。微惑星の数は、45億7千万年前に太陽系が生成してからは減少してきたはずですから、地球への隕石衝突の頻度も、時間とともに減少するはずです。ところが1970年代に、アポロ計画を受けて行われた月のクレーターの研究から、41億〜38億年前に月が激しい隕石衝突に見舞われた可能性があることが指摘されました。ならば当然、月の隣の地球も、隕石衝突の激しい洗礼を受けたはずだという考えから、地球史におけるこの時期は「後期隕石重爆撃期」とよばれるようになりました。その間、地球の表面は衝突のエネルギーによって融けてしまっていて、地球に38億年前よりも古い岩石が少ないのはこのためであろうと考えられているのです。月の隣にある地球も、隕石衝突の激しい洗礼を受けたはず photo by gettyimages太陽系が生成していったん隕石衝突が収まったにもかかわらず、なぜこの時期にまた活発...
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不安やうつ病に関連する脳の領域「扁桃体」がヒトとサルなどの非ヒトで一部異なることが明らかに

不安やうつ病に関連する脳の領域「扁桃体」がヒトとサルなどの非ヒトで一部異なることが明らかに脳内の感情処理をつかさどる「扁桃体」は、その活動が恐怖や不安につながるだけでなく、うつ病を引き起こす可能性が指摘されています。しかし、扁桃体に関しては依然として理解が進んでおらず、科学者たちは時にアカゲザルなどの非ヒト霊長類の扁桃体を対象に研究を行うことがあります。カリフォルニア大学デービス校の研究チームは、ヒトと非ヒト霊長類の扁桃体における遺伝子発現のパターンで異なる細胞が活性化していることを確認しました。Translational Insights From Cell Type Variation Across Amygdala Subnuclei in Rhesus Monkeys and Humans | American Journal of PsychiatryThe Roots of Fear: Understanding the Amygdala | UC Davisカリフォルニア大学デービス校心理学部のドリュー・フォックス准教授によると、扁桃体は脳内の感情処理の中心で、恐怖や不安...
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「99:1」か、「それ以下」か…2種類の炭素の比率を調べたら、なんと、35億年どころか、さらに古い「生命の痕跡」が次々と見つかった

「99:1」か、「それ以下」か…2種類の炭素の比率を調べたら、なんと、35億年どころか、さらに古い「生命の痕跡」が次々と見つかった「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。これまで一連の記事において、最初の生命という謎に人々が気づき、その謎を探っていった過程や、「生命の材料探し」について取り上げてきました。今回から、最初の生命が誕生した時期と場所について考えていきます。*記事末尾にこれまでのテーマの代表的な記事を掲載しています。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起...
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まさか、宇宙の生命体の痕跡ではあるまい…隕石の中にあるアミノ酸が「できるまで」を再現した「衝撃の実験」

まさか、宇宙の生命体の痕跡ではあるまい…隕石の中にあるアミノ酸が「できるまで」を再現した「衝撃の実験」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、隕石や彗星に含まれるアミノ酸がどうやってできたのかを考察してみます。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。一部にみられた左手型過剰ミラーの実験などでは、アミノ酸は左手型と右手型が同じだけ生成しました。しかし、その後の化学進化でペプチドやタンパク質をつくるときは...
生命科学

この地球に「生命の材料」を運び込んだのは…小惑星イトカワのかけらから判明した事実が「衝撃的だったワケ」

この地球に「生命の材料」を運び込んだのは…小惑星イトカワのかけらから判明した事実が「衝撃的だったワケ」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、小惑星イトカワやリュウグウのかけらから判明した、生命誕生に関わる事実をご紹介します。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。小惑星「イトカワ」に生命の材料はあるか?隕石の中には火星や月から来たことがわかっているものもありますが、多くは小惑星から来たものであると考...
生命科学

今度こそ「素手もほこりも、ぜったい禁止」にしたら…なんと、大量に降り注いできた隕石から「核酸の材料」が見つかった

今度こそ「素手もほこりも、ぜったい禁止」にしたら…なんと、大量に降り注いできた隕石から「核酸の材料」が見つかった「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、隕石に生命の材料を追った経緯を解説します。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。マーチソン隕石のアミノ酸は宇宙起源だった見つかった隕石に含まれていたアミノ酸が、本当に隕石に含まれていたものなのか、落下後に人が触れてついたものなのかが、わからなくなって...
健康

人間は空気から直接ビタミンやヨウ素などの栄養を吸収できる

人間は空気から直接ビタミンやヨウ素などの栄養を吸収できる自然豊かな場所で思いきり息を吸い込んだ際、「空気がおいしい」と感じたことがある人も多いはずです。これは単に汚染物質の少ない空気をそう感じただけかもしれませんが、オーストラリアのニューカッスル大学で環境生命科学部の非常勤講師を務めるフラヴィア・ファイエ・ムーア氏らは、「人間は食事だけでなく空気からも栄養を吸収できる」と主張しています。A breath of fresh air: Perspectives on inhaled nutrients and bacteria to improve human health - PubMedAir is an overlooked source of nutrients – evidence shows we can inhale some vitamins人は1日に約9000リットル、生涯でなんと4億8300万リットルもの空気を吸い込んでいます。1日に数度しか行わない食事と違って呼吸は止まることがなく、空気に含まれる成分はたとえ低濃度であっても、少しずつ人体に蓄積されています。空気が健康...
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なんと日本隊だけで「1万7000個」も発見した…!奇跡の1969年に見つかった「大量の隕石」からの新発見と「残念な結果」

なんと日本隊だけで「1万7000個」も発見した…!奇跡の1969年に見つかった「大量の隕石」からの新発見と「残念な結果」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、惑星科学奇跡の年と言われる1969年に発見された隕石群について解説します。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。奇跡の1969年1969年は、惑星科学にとっての奇跡の年となりました。まずは米国のアポロ計画によ り、人類初の月着陸が実現しました...
生命科学

20世紀の王道シナリオが「あり得ない」とひっくり返された…なんと、ミラーの「衝撃的実験」に惑星科学の進展が「再検討」を迫った

20世紀の王道シナリオが「あり得ない」とひっくり返された…なんと、ミラーの「衝撃的実験」に惑星科学の進展が「再検討」を迫った「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、RNAだけを用いて代謝も自己複製も行う生命による「RNAワールド」仮説、その誕生の様子を見てみます。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。ニワトリが先か、タマゴが先か「ニワトリが先か、タマゴが先か」という問題があることは、みなさんも聞いた...
生命科学

残念ながら、原始地球の大気に「メタンありき」は、思い込みだった…衝撃的だった「ミラーの実験」が残した「1つの功績と2つの罪」

残念ながら、原始地球の大気に「メタンありき」は、思い込みだった…衝撃的だった「ミラーの実験」が残した「1つの功績と2つの罪」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。今回は、前回に引き続き「ミラーの実験」と、その影響についての解説をお届けします。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。アミノ酸は簡単にできる!1953年にミラーの論文が発表されたときの話に戻りましょう。この論文は多くの科学者の興味をひきました。化...
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これは「物質から生命が生まれる瞬間」かもしれない…地球生命に絶対必要なアミノ酸が、なんと「わずか数日」でできてしまった「衝撃の実験」

これは「物質から生命が生まれる瞬間」かもしれない…地球生命に絶対必要なアミノ酸が、なんと「わずか数日」でできてしまった「衝撃の実験」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。前回、生命に必要な分子として、タンパク質(アミノ酸)をあげましたが、いったい、どうやって原始地球で生まれたのでしょうか。その謎を切り拓いた画期的な実験をご紹介します。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。生物学の革新時代「1953年」DN...
生命科学

まさか…生命と非生命が「区別できない」とは…! それでも地球型生命に2つの「絶対必要な分子」があった

まさか…生命と非生命が「区別できない」とは…! それでも地球型生命に2つの「絶対必要な分子」があった「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書からの読みどころを、数回にわたってご紹介しています。これまでの記事で「生命はどこから生まれたか」という議論の変遷を見てきましたが、今回は「生命はどう定義されようとしてきたのか、そしてどう定義できるかを考察してみます。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。生命を定義することの難しさ生命を定義しようとする試みは、多くの研究者によってなされ...
生命科学

地球上で生命ができる確率は「かぎりなくゼロ」なのに、なぜか生命は存在する「謎」…「神頼み」にしない説明は可能か

地球上で生命ができる確率は「かぎりなくゼロ」なのに、なぜか生命は存在する「謎」…「神頼み」にしない説明は可能か「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書刊行を記念して、その読みどころを、数回にわたってご紹介しています。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。がらくたからジャンボジェットができる確率一般に、天文学者や物理学者の多くは、宇宙の広大さや、地球がありふれた惑星であることから、生命を宿す星は宇宙にいくらでもある、つまり、生命の誕生は宇宙での必然だと考えてきました。一方、...
健康

「あきたこまちR」全面切替が持つ問題点 秋田県立大学名誉教授・谷口吉光

「あきたこまちR」全面切替が持つ問題点 秋田県立大学名誉教授・谷口吉光稲刈りをする農家 秋田県は2025年から県産米の7割以上を占める「あきたこまち」の種子生産をやめ、「あきたこまちR」に全量転換することを決定・発表している。「あきたこまちR」とは、カドミウムを吸収しないよう重イオンビーム放射線を使用し遺伝子を破壊してつくられた「コシヒカリ環1号」との交配種で、カドミウムの低吸収性を持つ。国や県は「味はあきたこまちと同等」「突然変異が生じる仕組みは(自然界と)同じ」「カドミウム低減対策は必要」などとして推進する姿勢だが、遺伝子の改変とかかわった食品としての安全性の問題、流通のさいの表示問題、生産者・消費者の権利などさまざまな問題が指摘されており、これまでも多くの生産者団体や消費者団体が緊急要請に加え、集会や署名名活動をおこなっている【本紙既報】。なお、現在は秋田県だけであるが、低カドミウム米は今後全国で展開されていく計画で、どの地域も他人事ではない。今回、あきたこまちRの全面切替問題について、秋田県立大学名誉教授の谷口吉光氏に依頼し、この問題について寄稿してもらった。○        ...
生命科学

だってそれ、結局「神様のやったこと」にしてないか…? 量子力学で「高名な物理学者」の言葉に噛みついた「生化学者のこだわり」

だってそれ、結局「神様のやったこと」にしてないか…? 量子力学で「高名な物理学者」の言葉に噛みついた「生化学者のこだわり」「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか?この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。本書からの読みどころを、数回にわたってご紹介しています。ダーウィンの進化論がきっかけになって始まった「生命の起源」に対する探究は、地球外に起源を求めた「パンスペルミア説」が登場しました。さらに、「遺伝のしくみ」が徐々に明らかになるにしたがって、大きく変容する生命の起源をめぐる議論を追っていきます。*本記事は、『生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか』(ブルーバックス)を再構成・再...
生物学

じつは「マンモスが滅びて、森が繁栄した」…同じことが「白亜紀」に起こっていても「少しも不思議ではない」という、納得の理由

じつは「マンモスが滅びて、森が繁栄した」…同じことが「白亜紀」に起こっていても「少しも不思議ではない」という、納得の理由樹木をなぎ倒す巨大な動物たちゾウのように巨大な動物は、しばしば樹木をなぎ倒す。それは今に始まったことではない。数十万年~数万年前のシベリアではマンモスが樹木をなぎ倒していたし、中生代の恐竜も樹木をなぎ倒していたに違いない。そして、そういう巨大な動物の行動は、生態系や生物の進化に大きな影響を与えてきたのである。古来より現在に至るまで、巨大な動物は、しばしば樹木をなぎ倒す photo by gettyimages地球で最大勢力になった被子植物地球上のすべての生物を、その体に含まれる炭素量で比較した場合、全体の8割程度は植物が占めていると推定されている。つまり、重さで考えれば、地球上の生物の中で、植物が圧倒的に多いということだ。そんな植物のなかで、現在もっとも繁栄しているのが被子植物である。イチョウやマツやスギは裸子植物だが、それ以外の平たい葉を持っていたり花が咲いたりする植物は、たいてい被子植物である。雑木林(ぞうきばやし)の代表的な樹木であるクヌギやコナラをはじめ、サク...
生物学

地下数千メートルの極限環境に陸地や海洋より多くの生物が生息している

地下数千メートルの極限環境に陸地や海洋より多くの生物が生息している地球上には非常に多くの生物が生息しており、南極や深海などの過酷な環境でも生物を見つけることができます。実は、地球の地下数千メートルには「地下生物圏」と呼ばれる生物圏が存在しており、地下に生息する生物の総重量は陸地や海洋の生物量を大きく超えると言われています。There Is Something Hiding Inside Earth - YouTube地下数十メートルから数百メートルの区間は、温度が10~20度の間で安定しています。しかし、深度が深くなるほど温度は上昇し、地下数千メートルでは100度以上にまで上昇します。また、地下数千メートルでは深海のような強い圧力もかかっています。このような極限環境にも生物は存在しています。地下に生息する生物が構成する生物圏は「地下生物圏」や「深部地下生物圏」と呼ばれています。地下生物圏に生息する生物の総重量は3兆~5兆トンと見積もられており、陸上や海洋に生息する生物の総重量を超えるとされています。地下空間は砂岩や石灰岩、玄武岩といった多孔質の岩石で構成されており、これらの岩石の隙間に...
生物学

じつは、この地球の「全生物の起源」は、1つとは限らない…系統樹から浮かび上がった「とうてい科学では明らかにできない」世界

じつは、この地球の「全生物の起源」は、1つとは限らない…系統樹から浮かび上がった「とうてい科学では明らかにできない」世界地球の全生物の共通祖先「ルカ」地球のすべての生物は、ただ一つの共通の起源を持つと考えられている。この、共通の起源となった生物集団をルカと呼ぶことがある。これはLast Universal Common Ancestorの頭文字を繋げたもの(LUCA)で、「全生物の共通祖先」などと訳される。ルカは、地球における最初の生物というわけではないルカは「地球における最初の生物」ではないちなみに、「全生物の最終共通祖先」のように「最終」をつける意味は、ルカを一つの生物集団に特定するためだ。なぜなら、ルカは、地球における最初の生物というわけではないからだ。おそらく、ルカより古い時代に生きていて、ルカに至る系統と分岐した後で、絶滅してしまった生物もたくさんいたはずだ。そう考えると、じつは、ルカの祖先ならすべて「全生物の共通祖先」になってしまう。それでは不便なので、時代的に最後の共通祖先だけをルカと呼ぶために「最終」がついているのである(図「ルカは最初の生物ではない」)。ちなみに、この...
健康

ヒトマイクロバイオーム:私たちの体を住処とする39兆個の微生物について知っておくべきことすべて

ヒトマイクロバイオーム:私たちの体を住処とする39兆個の微生物について知っておくべきことすべて私たちの体には何千もの微生物が共存しており、想像以上に奇妙な形で私たちの行動に影響を与えています。ムンキート・ルーイ公開日: 2020年7月14日午後1時53分あなたの体には細菌や真菌がうようよしています。でも心配しないでください。それらのほとんどは、あなたの生命を維持するために存在しています。人間の微生物叢の素晴らしい世界へようこそ。マイクロバイオームとは何ですか?人間の体には約 30 兆個の細胞がありますが、私たちのマイクロバイオームは、私たちの体表や体内に生息する細菌、ウイルス、真菌など、推定 39 兆個の微生物細胞から構成されています。これらの微生物はサイズが小さいため、私たちの体重の約1〜3%を占めるだけですが、これはマイクロバイオームの途方もない力と可能性を物語っています。私たちの細胞にはそれぞれ約 20,000 ~ 25,000 個の遺伝子がありますが、ヒトのマイクロバイオームにはその 500 倍以上の遺伝子が含まれている可能性があります。さらに、微生物が急速に進化し、遺伝子を交...
現代の日本

全ゲノム解析で日本人の遺伝的起源と特徴を解読

これらの結果は、日本人の祖先に関わる縄文系、関西系、東北系の三つの源流の起源を示唆し、「縄文人の祖先集団、北東アジアの祖先集団、東アジアの祖先集団の三集団の混血により日本人が形成された」という三重構造モデルを支持するものである。全ゲノム解析で日本人の遺伝的起源と特徴を解読 理化学研究所、静岡県立大学、東京大学の研究で、大規模な日本人の全ゲノムシーケンスから日本人集団の遺伝的構造などが明らかとなった。研究グループは、全国7地域(北海道、東北、関東、中部、関西、九州、沖縄)からバイオバンク・ジャパンに登録された3,256人分の日本人のゲノム情報を解析した。まず、日本人の集団構造として三つの祖先集団(K=3)に分けられることを示した。K1は沖縄、K2は東北、K3は関西で最も高い値を示す集団である。さらに縄文人、東アジア(主に漢民族)の祖先、北東アジアの祖先の遺伝データとの関連を調べると、縄文人と沖縄で遺伝的親和性が高いこと、漢民族と関西地方で遺伝的親和性が高いことがわかった。東北地方は、縄文人や古代韓国人とも高い遺伝的親和性を示した。 これらの結果は、日本人の祖先に関わる縄文系、関西系、東北...