宴の裏側に忍び寄る影

現代の日本
宴の裏側に忍び寄る影 - 植草一秀の『知られざる真実』
内外の株価が史上最高値を更新して楽観論が広がっているが大きな落とし穴が控えているかも知れない。米国ではトランプ大統領が求める利下げを実施できる条件がそろい始めた。9月17日にはFOMC(連邦公開市場委員会)が0.25%の利下げを決定する可能性が高い。インフレ率が十分に低下しておらず、FRBは利下げに慎重姿勢を示してきたが、8月1日の米雇用統計発表以降、米国雇用情勢に急激な変化が生じていることが明らかになり、利下げを決定できる条件が整い始めた。金融市場では利下げ実施を見込んで株価上昇が生じている。日本株価は米国株価への連動性を強めており、米国株価上昇に連動して日本株価も史上最高値を更新する動きを示している。饗宴が繰り広げられているが「好事魔多し」である。隠されたリスクを把握するこ...

宴の裏側に忍び寄る影

内外の株価が史上最高値を更新して楽観論が広がっているが大きな落とし穴が控えているかも知れない。

米国ではトランプ大統領が求める利下げを実施できる条件がそろい始めた。

9月17日にはFOMC(連邦公開市場委員会)が0.25%の利下げを決定する可能性が高い。

インフレ率が十分に低下しておらず、FRBは利下げに慎重姿勢を示してきたが、8月1日の米雇用統計発表以降、米国雇用情勢に急激な変化が生じていることが明らかになり、利下げを決定できる条件が整い始めた。

金融市場では利下げ実施を見込んで株価上昇が生じている。

日本株価は米国株価への連動性を強めており、米国株価上昇に連動して日本株価も史上最高値を更新する動きを示している。

饗宴が繰り広げられているが「好事魔多し」である。

隠されたリスクを把握することが必要。

いくつかの死角がある。

2025年も金融市場は激変を続けた。

米国大統領にトランプが選出されて1月にトランプ2.0が始動。

このトランプが高率関税政策を示して金融市場が震撼した。

4月初旬、トランプ大統領が既往の予測を上回る高率関税の発動を宣言。

世界の株価が暴落した。

NYダウ下落は19%だったが、米国株価急騰を牽引したNASDAQは27%急落。

S&P21%、日経平均24%、独DAXは21%下落した。

トランプ高率関税が世界経済を不況に陥れることが警戒された。

しかし、トランプの特徴は朝令暮改。

世界の株価暴落を確認して豹変した。

“Trump Always Chickens Out.”

=TACO

「トランプはいつも怖気づいて逃げ出す」

と揶揄されるが、現実にトランプは中国に対して145%の関税率を吹っ掛けたが、中国が米国からの輸出に125%の完全をかけることを宣言すると、直ちに145%を20%に引き下げた。

朝令暮改、よく言えば君子豹変がトランプの行動スタイル。

高率関税政策を大幅に後退させて世界の株式市場は暴落後の反転を示した。

そのトランプが米国金融政策に介入している。

パウエルFRB議長はトランプ1.0の2018年にトランプ大統領によって議長に起用された。

しかし、トランプが20年大統領選で敗北した後、バイデン大統領によって2022年から2期目の任期に移行した。

このことをトランプは気に入らない模様。

パウエル更迭を繰り返し述べてきた。

パウエルはこれまでの米国経済の困難な局面に巧みに対応してきた。

パウエルの能力の高さはこれまでの実績が明白に物語っている。

そのパウエル議長を重用することがトランプにとっての利益になるはずだ。

しかし、トランプは「利下げを実施せよ」の一点張り。

現在は経済指標が利下げを正当化する状況に移行しているためにトラブルが生じていないが、利下げ強硬路線は経済状況によっては新たな波乱を生み出す原因になる。

他方、トランプ関税は大幅に緩和されたが、それでも米国関税率は確実に上昇している。

年初に2%だった米国の関税率は8月には19%にまで上昇している。

世界経済には確実に抑圧要因になる。

また、トランプ大統領は移民の流入制限、不法移民の排除に力を注いでいるが、その副作用として米国の労働供給が急激に低下する様相を強めている。

雇用統計で発表される月次の雇用者増加数の平均値が激減する可能性がある。

これは言い換えると米国経済成長率が急低下する可能性をはらんでいることを意味する。

日本ではインフレ進行が庶民生活を直撃している。

同時に警戒が必要なのは財政が日本経済に強いブレーキを踏んでいること。

内外経済に景気後退リスクが浮上し始めている。

政治の世界では自民党党首選にだけ焦点が当てられているが、その間に日本経済が景気後退に移行するリスクが拡大し始めている。

この点を見落とせない。

続きは本日の
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第4189号
「株価高騰裏側の死角」
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