日本は資源の無い国である、と言うのは事実ですが、その確保や調達はどのようにしているのか?今後どうなっていくのか?本当に資源は無いのか?・・・について探求したいと思います。
第1回目は【原油】についてです。

UAE(アラブ首長国連邦)との関係
油田権益の確保と長期契約
日本ではあまり知られていませんが、UAE(アラブ首長国連邦)は日本と友好な関係にあり、日本への長期的、安定的な石油供給を実現している関係にあり、日本が権益を確保している油田があります。
2021年の原油輸入量の統計では、トップはサウジアラビアの39.7%、2位がアラブ首長国連邦の34.7%です。他の中東諸国からの輸入を含めると中東依存度は約91.9%になります。
UAE(アラブ首長国連邦)はアラビア半島にあり、イランやサウジアラビアとも国境を接している国です。
OPECに所属し、サウジアラビアとの関係も強く、世界の石油供給に大きな影響力を持っています。
UAEにはアブダビ油田というのがあり、日本が出資して開発することで一定の権益を買っています。
1969年から50年以上もの期間、今に至るまでずっと権益を得ている。
一般的には、権益の契約期間は20年から30年ほどですが、日本は延長に延長を重ねており、アブダビ油田は海上と陸上の2種類がありますが、日本はそのどちらの権益も確保しています。
他にもアッパーザクム油田やロワーザクム油田、アダルク油田など5つの油田開発と一部権益を獲得し、アブダビ陸上油田は2015年から40年間の契約を結んでおり、ザクム油田に関しても2051年までの権益を確保して、2018年にはサター油田やウムアダルク油田の権益延長も契約されています。


日本からの技術供与
日本がUAEで油田権益の確保と長期契約が可能になっているのは、日本がアUAEの企業に技術を提供していることが一つの要因としてあげられます。
最近は原油のある場所に炭酸ガスを入れて圧力をかけて原油を取り出す方法である「炭酸ガス圧入法」という技術を導入しています。この時に使う炭酸ガスは発電所等の排気ガスに含まれる二酸化炭素からが作られるから環境問題にも優しいと言う特徴を持っています。
また、UAEと日本が協力して造船所を作ったり、1980年代には水産資源開発センターを共同で建設し、魚の養殖なども行われています。
このように、UAEに限らず、中東諸国へは、日本の様々な技術の供与、指導や環境への影響に気を配りながらの支援が続けられています。
日本は様々な分野の世界最高の技術を持っており、モノ作りだけではなく、メンテナンスやサービスなども含むその技術は世界一であり、これの供与を望む国は世界中にたくさんあります。

UAEと日本との歴史的な関係
1971年にUAEが建国した時、最初に独立を承認した5カ国に日本も含まれており、1972年に正式な外交関係を築くよう働きかけ1974年にかけてお互いの大使館を開設しています。
その後、日本はアブダビ油田などの独自開発油田を実施できるようになり、共同石油備蓄事業も2009年から開始しています。
共同石油備蓄事業とは鹿児島にある原油タンクをUAEの石油会社に貸して、東アジア向けの供給拠点にする事業です。日本がタンクを貸す代わりに非常時には優先的に原油を供給してもらう契約になっていて、2020年にさらに3年延長され備蓄量も増やすことになっています。
また、2020年にはクウェートとも共同で石油備蓄事業を開始しています。
友好関係の構築と日本からの技術供与がカギ
UAEの油田権益の確保と長期契約の実現は、日本とUAEが深く良好な関係を築けたから、と言うことに尽きます。
UAEの日本への信頼は契約延長という形で現れています。今後も日本がUAEに対し誠実な対応を取り続けることが大事になってくると思います。
1970年代、日本は中東の油田に頼り切っていましたが、1973年にイスラエルと中東諸国間で大きな紛争が起き、日本は深刻なオイルショックを経験しました。
これを教訓に、省エネルギー技術の高度化を実現し、原油輸入先の分散化などの戦略を取ってきましたが、現在は結局中東依存度が上がってきている状況です。 これを打開するためには、中東諸国との有効な関係を継続しながら、原油輸入先の分散化、原油以外のエネルギー資源の導入、自国資源の開拓、開発を進める必要があると思います。


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