これでは【まともな報道が出来るわけがない!】ですね!
国民の誰も期待していない「法改正」を行うNHK
・NHK、テレビ離れ→受信料収入激減→ネットへの本格参入→アプリなどから視聴することで受信料徴収→“スマホを持つだけで受信料強制徴収”・・・⇒「放送法」改正
・視聴者のメリットが見当たらない「コンテンツの中身」
⇒議員、官僚の政治力に頼らざるを得ない
⇒政権にとって不都合な話題を取り上げる社会部を抑え込む必要
⇒社会部エースたちを退職に追い込む
NHKの業務を定める「放送法」が先ごろ改正され、番組のネット配信が「必須業務」となった。アプリなどから視聴することで受信料が発生する仕組みだが、その先にはスマホユーザーからの強制徴収という「公共インフラ」たらんとするNHKの狙いが透けて見えるのだ。
「そもそも混沌としたネット空間において“われわれを参照しろ”と呼びかけるスタンス自体がおごっていて、限りなくお上(かみ)に近い発想。それなら報道など不要で、実際に現場は鼻白んでいます。本来、政府が発した情報が間違っているかもしれないと疑い、隠している事実を明るみに出すのが報道機関の役目です。ネットの強みとはむしろ、既存のルールを破れる自由さにあるはずなのですが、現在の上層部にはまるで響いていません」
“スマホ所有者強制徴収”実現への次なるステップに進むためには、有力議員や総務官僚の政治力に頼らざるを得ない。従って、権力の疑惑に対する調査報道で下手に刺激するなどもってのほか、というわけだ。
社会部の“弱体化”と、それに伴う士気の低下についてNHKに問うと、 「ご指摘のような事実はなく、NHKは、公共放送の役割を、役職員一丸となって果たしてまいります」(広報局)
かように紋切り型で押し通しながら「ライフライン」の一角を占めようなど、到底できない相談である。
エース級が次々と退職のNHK社会部で何が起きているのか 「国会議員に配慮し牙を抜こうとしている」
私的な飲食代を取材経費として不正請求
NHKの業務を定める「放送法」が先ごろ改正され、番組のネット配信が「必須業務」となった。アプリなどから視聴することで受信料が発生する仕組みだが、その先にはスマホユーザーからの強制徴収という「公共インフラ」たらんとするNHKの狙いが透けて見えるのだ。【前後編の後編】
【写真】NHK初「女性会長」の期待がかかっていた黒崎めぐみアナ
前編「『スマホを持っているだけで受信料徴収』という恐怖 警戒すべきNHK『放送法改正』の真の狙い」では、NHKの番組のネット配信が「必須業務」となった法改正の内容に触れ、NHKの“真の狙い”について、専門家の声を紹介した。そんな折、問題視されているのが、局内の“憂慮すべき事態”である。
まずは、以下の不祥事を振り返ってみる。
「NHKでは昨年、当時報道局社会部に所属していた30代記者が、友人や同僚と、あるいは一人で私的に飲食した代金を、取材経費として不正請求していた事案が発覚しました。この件で12月には、現職を含む3人の歴代社会部長や前報道局長など、計9人が懲戒処分を受けました。当の記者は懲戒免職、不正請求は7年間で410件、789万円に上り、すでに全額が弁済されています」(全国紙文化部デスク)
日々の報道を支える社会部に激震が走ったのは言うまでもない。
「政権にとって不都合な話題を取り上げる社会部を抑え込む必要が」
「これまでの不祥事でも、歴代の社会部長にさかのぼって処分という判断は聞いたことがありません」
とは、局内の事情に通じる関係者。
「ちょうどネット配信の必須業務化の議論が大詰めを迎えていた時期で、この問題はまんまと局内の“政争の具”に利用されてしまいました。というのも、社会部は日頃、上層部から疎ましく思われており、弱体化させるための格好の材料となってしまったのです」
実際に、
「処分された部長の後任には、警視庁や調査報道を担当してきたゴリゴリの社会部本流ではなく、リスク管理に秀でた人物が据えられました。改正放送法を成立させるには、時の政権をいたずらに刺激する報道は慎み従順な姿勢を示さねばならず、政権にとって何かと不都合な話題を取り上げる社会部を抑え込む必要がある。そうした上層部の“判断”がはっきり見て取れます。これまで経営陣の耳が痛くなることを口にするのは社会部上がりの人が多かったため、現在は人事など重要ポストからは遠ざけられているのです」(同)
そんな状況下で「情報空間の参照点」を自任されても、額面通りには受け取れまい。
「そもそも混沌としたネット空間において“われわれを参照しろ”と呼びかけるスタンス自体がおごっていて、限りなくお上(かみ)に近い発想。それなら報道など不要で、実際に現場は鼻白んでいます。本来、政府が発した情報が間違っているかもしれないと疑い、隠している事実を明るみに出すのが報道機関の役目です。ネットの強みとはむしろ、既存のルールを破れる自由さにあるはずなのですが、現在の上層部にはまるで響いていません」
相次いでエースたちが退職
上層部の中には“それでいい。実質的に「国営放送」として生き残るしかない”と自嘲気味に話す者もいるという。こうした現状に反発、あるいは悲観し、つい最近も警視庁キャップや社会部副部長などを務め、メインストリームを歩んできたエースたちが相次いで退職を決め、局内に衝撃が広がっている。 政府の監視もせず、その公式発表を伝えて事足れりと考えているのだとすれば、NHKはネット空間で手痛いしっぺ返しを食らうこと請合いである。
立教大学社会学部の砂川浩慶教授(メディア論)も、こう言うのだ。 「災害時の情報などについては一定程度『参照点』の役割を果たしているともいえるでしょうが、その他のニュースも同じかといえば疑わしい。大半の人が、NHKは与党や警察など、時の権力と戦わないというイメージを抱いています。『政治マガジン』など、記者の視点が感じられたコンテンツが停止されたこともあり、今後のネット配信は“オフィシャル情報”が溢れてしまう状況になりかねません」
議員、官僚の政治力に頼らざるを得ない
“スマホ所有者強制徴収”実現への次なるステップに進むためには、有力議員や総務官僚の政治力に頼らざるを得ない。従って、権力の疑惑に対する調査報道で下手に刺激するなどもってのほか、というわけだ。
社会部の“弱体化”と、それに伴う士気の低下についてNHKに問うと、 「ご指摘のような事実はなく、NHKは、公共放送の役割を、役職員一丸となって果たしてまいります」(広報局)
かように紋切り型で押し通しながら「ライフライン」の一角を占めようなど、到底できない相談である。
前編「『スマホを持っているだけで受信料徴収』という恐怖 警戒すべきNHK『放送法改正』の真の狙い」では、NHKの番組のネット配信が「必須業務」となった法改正の内容に触れ、NHKの“真の狙い”について、専門家の声を紹介している。
「スマホを持っているだけで受信料徴収」という恐怖 警戒すべきNHK「放送法改正」の真の狙い
受信料収入が激減
NHKの業務を定める「放送法」が先ごろ改正され、番組のネット配信が「必須業務」となった。アプリなどから視聴することで受信料が発生する仕組みだが、その先にはスマホユーザーからの強制徴収という「公共インフラ」たらんとするNHKの狙いが透けて見えるのだ。【前後編の前編】
【写真】NHK初「女性会長」の期待がかかっていた黒崎めぐみアナ
参議院本会議での可決を受けて改正放送法が成立したのは5月17日。従来、NHKの番組インターネット配信は、放送を補完するものとして実施の有無が同局に任される「任意業務」だったところ、今後は本業の放送と同等の「必須業務」に格上げされることになったのだ。
「NHKの受信料収入は2018年度の7122億円をピークに減少し、23年度は昨年10月の値下げも影響して6328億円。減収が続く中、ネットへの本格参入はNHKの悲願でした」
とは、全国紙文化部デスク。
「総務省の有識者会議は昨年8月、テレビを持たずにパソコンやスマートフォンで番組を視聴する人にも、相応の費用負担を求めることを盛り込んだ報告書をまとめました。一方で日本新聞協会などは、放送される番組と関わりの薄い文字ニュースまでNHKが無料で配信していることから、もはや放送ではなく活字メディアも併せ持つに等しいなどとして、ネット配信を必須業務とすることには一貫して反対。“民業を圧迫する”などと批判してきたのです」
受信料の根拠を拡大
しかしながら、こうした議論を経て、改正法は成立。その概要は、
〈(NHKの)放送番組が社会生活に必要不可欠な情報として、テレビを持たない人にも継続的かつ安定的に提供される必要があるとして、インターネットを通じた同時配信、見逃し配信、それに番組関連情報の配信を必須業務にする〉
というものだ。今後は受信料の根拠を、テレビなどの受信機設置に加えてネットによる「同等の受信環境」にまで拡大。受信料は地上契約(月額1100円)と同じ水準を想定しており、「NHKプラス」などのアプリをダウンロードしたのちIDを取得する手続きを経て、課金対象となる仕組み。すでに受信料を支払っている世帯は、追加徴収されない。
「三つの必須業務のうち番組関連情報とは、放送される番組と密接に関連する情報で、番組の編集上必要な資料によるものとされています。あわせて、民業圧迫を懸念する新聞協会に配慮する形で、NHKはこれまで展開していたネット独自のコンテンツを取りやめることになりました」(同)
ひたすら低姿勢で法改正を実現させた理由
3月末で更新が停止されたのは、独自の情報を配信していた「政治マガジン」や「事件記者取材note」など六つのサイト。新たに番組関連情報として「報道」「教育」「医療・健康」「福祉」の4ジャンルを提供することになるといい、まずは“悲願”への第一歩を踏み出したわけである。
日本大学大学院新聞学研究科非常勤講師で一般社団法人「メディア激動研究所」の水野泰志代表によれば、
「NHKは9月にも具体的な運用方法などを盛り込んだネット事業の概要を公表する予定です。23年10月に発表した24年度から3年間にわたる『中期経営計画』を改定し、ネット事業の収支を見込んだ25年度予算案を作成します。これが来年の通常国会で承認されれば、来年度後半には新たなサービスが開始される見通しです」
とのことで、
「東京五輪を見越して20年4月からNHKプラスの配信を始めるなど、ネット関連事業に取り組み続けてきたNHKにとって、ようやく念願がかなった格好です。新聞協会からの批判をかわし、ひたすら低姿勢で放送法改正を実現させたのは“ネットを始めなければ生き残れない”と痛感しているからに他なりません」
「視聴者のメリットが見当たらない」
まずはウェブ上での“フレーム作り”が再優先だったというのだが、立教大学社会学部の砂川浩慶教授(メディア論)は、
「今回の法改正は、視聴者のメリットになる部分がまったく見当たりません」
そう断じるのだ。というのも、
「NHKの職員はデジタル化した膨大なアーカイブをキーワードで検索でき、出演者やシーンを呼び出せます。例えばこれを公開することで、視聴者は歴史的な資料にアクセスできるようになる。本来、必須業務にするのであれば、このように“公共の利益に資する方法は何か”という点を考えなくてはなりません。ところがそんな議論はなされず、もっぱら新聞協会や民放連などの声に押し負け、“必須化ありき”で走ってしまったのです」
結果として「同時配信」「見逃し配信」にとどまる“骨抜き”状態にされたといい、さらには、
「新たに受信料支払いを義務付けられるのは、テレビはないがパソコンやスマホを持っており新規でNHKプラスに登録する人ですが、あえてそんな行動に出る人が多数いるとは思えません。受信料という公金に近いお金を使って新しい仕組みを作ったところでメリットがないのですから、無駄遣いの感は否めません」
「大河も朝ドラも見ていない」
任意業務だったネット事業の予算には年間200億円という上限が設けられていたものの、今後は撤廃が検討されている。
「5月22日に行われた稲葉延雄会長の定例会見では、ネット配信が必須業務となったことを『歴史的な転換点』と表現していました。NHKを観る人と観ない人、双方に何の変化も生み出さないのに、いったい何が“転換点”なのか分かりません」(砂川教授)
昨今はテレビ離れが一段と進んでおり、砂川教授の実感では、
「なかでも“NHK離れ”は、より深刻です。学生にアンケートを取ってみると、民放が出資する動画視聴サービスのTVerは75%近くが利用していましたが、NHKプラスはわずか1%。NHKがネット視聴のターゲットに想定しているであろう若者は、実は大河も朝ドラもNスペも観ていません。テレビ視聴とは習慣ですから、彼らの世代が親となった時にはその子たちもまた、NHKを観ないはず。稲葉会長が“転換点”とたたえる今回のネット進出は、その解決策には全くなっていません」
にもかかわらずNHKが法改正にこだわったのは、
「先々の増収策につなげるための布石だと思います」
というのだ。
「強制ではなく“お願い”のはず」
「テレビ受信料の収入は好転する兆しがありません。となると、簡単にはいきませんが『強制徴収』も含めた何らかの方法でネット受信料を払ってもらうことを考えるしかない。NHKがネット受信料の口火を切ることに必死なのは、現在の受信料制度そのものに、世間の拒否感が強くなっているからです。本来は『良質の番組を放映しているから対価を払いたい』となるのが理想で、強制ではなくあくまで“お願い”のはず。それゆえ不公平な状態が続いており、若い世代ほど拒否感を抱いているのです」(砂川教授)
だからこそNHKからすれば、
「ゆくゆくはスマホ所有者から一律徴収してはどうか、といった発想に至るわけですが、これも諸刃の剣です。強制にした途端、現在受信契約をしてくれている人にまで拒否感を持たれ、逃げられる恐れもある。そもそもNHK内部でも『自分たちの力で受信料を集めるから価値がある』という声も根強くあると聞きます」(同)
それでも、背に腹は代えられず。ジリ貧から脱する活路は、ネットに求めざるを得ないというのだ。
「“スマホを持つだけで受信料徴収”にもっていきたい」
そうした“魂胆”を見抜く上で重要なのが「中期経営計画」の中でも用いられ、また5月の稲葉会長の会見でも発せられた「情報空間の参照点」という文言である。会見で会長は、NHKがネットに参入する必要性を、こう語っていたのだ。
〈放送と同等の正確で信頼性の高い情報や価値を提供し、サービスの水準を高めていくことで情報空間の健全性は確保される〉
〈偏りのない情報をくさびのように打ち込み、NHKが頼りにされるような存在になること、つまりは情報空間の参照点になることが期待された結果ではないか〉
局内の事情に通じる関係者が言う。
「NHKは、今回のネット受信料の導入が直ちに増収につながるとは考えていません。とはいえ先々、スマホなどネットでの『強制受信料』を実現するには“公共の役に立っている”という建前が欠かせない。『情報空間の参照点』という表現には、まさにその建前が凝縮されています。つまり、現在のネット空間は玉石混淆の情報が溢れており、その中でNHKは最も信頼できる情報ソースとなる。よって公共の利益に寄与している――。そんなロジックを構築するには、是が非でもネット配信の必須業務化を実現しなければなりませんでした」
さらに続けて、
「テレビ視聴が廃(すた)れ、ユーチューブやネットフリックス全盛の状況で、上層部の経営理論は『いかにNHKを存続させるか』に尽きます。テレビという受信機に対して支払う従来の仕組みは成り立たず、代わりにNHKという“公共インフラ”を維持するためという名目で受信料を払わせたい。“スマホを持つだけで受信料徴収”という着地点にもっていきたいわけです」(同)
すなわち、電気・ガス・水道などの「ライフライン」と同等の価値、位置付けにしたいという野望を秘めているのである。
「司令塔」に聞くと……
“情報空間の参照点”というキーワード考案に携わり、その旗振り役となっているのは、局内の中枢である経営企画局と人事局の専任局長を兼ねている市川芳治氏だという。
「市川氏はこれまで報道や制作といった放送畑との関わりは少なかったものの、英国のロースクールを卒業して法律に精通しており、東大や慶大で教鞭を執りながら専門書も著しています。総務省の上層部ともじっこんで、放送法の改正では中心となって動いていました」(前出の関係者)
いわば“公共インフラ”化を推し進める「司令塔」ともいえる当人に聞くと、
「どのような経緯で私にご連絡を頂くに至ったのかは分かりませんが、(『情報空間の参照点』とは)半年以上の議論の末、経営決定された現在の『経営計画』に記載されている考え方です」
と言うばかり。そこで、あらためて局に聞くと、
「経営方針については、中期経営計画等で公表するとともに、記者会見などで説明している通りです。なお、スマートフォンやパソコンを所有しているだけで受信料負担を求めることはありません」(広報局)
近い将来の「スマホで受信料強制徴収」の思惑を見透かされて警戒されないよう、こう強調するのだが、それも今だけであろう。
後編「エース級が次々と退職のNHK社会部で何が起きているのか 『国会議員に配慮し牙を抜こうとしている』」では、“スマホ所有者強制徴収”実現のため、調査報道を行う社会部の影響力を減らそうとするNHKの思惑について報じている。
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