
今夏またもコメが店から消える。安倍政権の「売国政策」で国産米不足に陥った“お米の国ニッポン”

政府による備蓄米の放出後も一向に下がる気配のないコメの価格。今月には5kgあたりの平均価格がついに史上最高値を更新するに至りましたが、その根本原因はどこにあるのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「令和の米騒動」を招いた責任は安倍政権にあるとして、その理由を解説。さらに「今年の夏にも店頭からコメが消える可能性」を指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:令和の米騒動、着地点は?
貧乏人は何を食えと。「令和の米騒動」はどこに着地するのか
農林水産省は21日、4月7~13日に全国のスーパーで販売されたお米5キロ当たりの平均価格(税込み)が4,217円だったと発表しました。前年同期比で2,139円も高く、前週比でもわずか3円ですが値上がりしており、データの集計を始めた2022年3月以降で最高値を更新、値上がりは15週連続となりました。この状況を受け、江藤拓農林水産相は22日の閣議後会見で、次のように述べて謝罪しました。
備蓄米を出しても店頭価格が下がらない。責任を重く感じている。申し訳ないと思っている。
しかし、問題はこの先なのです。小鼻を膨らませて鹿賀丈史さんのモノマネで言わせてもらいますが「あたしの記憶が確かならば、江藤農水相は1月末に、まるで大英断であるかのようなドヤ顔で備蓄米の放出を発表した時『遅くとも3月末までには店頭に並ぶ』と言ってましたよね?」…というわけで、今回、農水省は、3月中旬に放出を開始した1回目の備蓄米、約14万トンのうち、3月末までにスーパーなどの小売店に届いたのは、全体の約0.3%に当たる約426トンだけだったと報告したのです。
そして、その原因について質問されると、江藤農水相は次のように説明したのです。
備蓄米倉庫が東北に多く存在しているということも事情としてあり、3月4月は特に人事異動の時期であったりですね、トラックの手配が難しかったりする部分もあったんだろうと思います。また、大量の玄米を精米するのにも時間が掛かってるんだと思います。
はぁ~?何ですか?この宿題を忘れた小学生みたいな言い訳は!なかなか出前が届かないからお店に催促の電話をしたら「すみません!今出たとこです!」と言いながら、大慌てで作り始めたラーメン屋よりも酷いじゃないですか!つーか、これってどれも突発的な出来事じゃなくて、事前に予測できたことですよね?そしたら農水省は、備蓄米の倉庫の場所も年度末という時期も流通関係も何ひとつ確認しないで、何となくザックリした感じで「3月末までには店頭に並ぶ」って言ったんですか?
そもそもの話、1月末には「3月末までには店頭に並ぶ」と言ってた江藤農水相も、3月に入ったら「店頭に並ぶのは4月10日ぐらい」とシレッと言い直してるし、ホントはぜんぜん小売店に届いてないこと、もっと前から知ってたんじゃないんですか?…というわけで、一体いつになったら普通の価格でお米が買えるようになるのか、完全にお先真っ暗な今日この頃ですが、今回の「令和の米騒動」が発生した昨年8月からの流れを、まずは時系列でおさらいしてみましょう。
食料自給率を下げる売国的減反政策を主導してきた江藤農水相
昨年8月、突如として各地のスーパーなどの店頭からお米が消えるという異変が起こり、全国の消費者から早急の対応を求められた岸田政権の坂本哲志農林水産相は、お米が消えた原因を「南海トラフ地震の注意報が出されたことにより全国の消費者が一斉に米を多めに購入したため」とアサッテな説明をした挙句、「9月になれば新米が出始めるので問題は解消される」などと無責任なことを述べたのです。
そして、何の対策もしないまま、岸田文雄首相から石破茂首相へと政権がバトンタッチされ、自民党の小里泰弘衆議院議員が農水相に任命されましたが「新米が出回れば問題は解消される」という岸田政権の主張を踏襲し、引き続き何の対策もしませんでした。その上、公約を反故にした解散総選挙で大幅に議席を減らした石破政権は、次の江藤拓農水相も、すでに各方面から声が挙がり始めていた「備蓄米の放出」に、当初は否定的でした。
しかし、昨年12月には夏から4カ月連続でお米の小売価格が過去最高を更新し続け、他の食品や日用品の値上がり、電気やガスやガソリンなどの値上がりも相まって、消費者の間からは悲鳴が出始めました。年が明ければドナルド・トランプ氏が米大統領に就任するため、日本に何を言って来るか予測不能です。国内の問題はなるべく早めに手を打っておかなければなりません。そこで石破首相は「備蓄米の放出」も視野に入れた対策と原因究明を江藤農水相に指示したのです。
年が明けた1月、江藤農水相は「新米が出回れば市場が落ち着くとの見通しを持っていたが、今年に入っても高い状況が続くのではないかとの予測もある」と、これまでの主張を微妙に修正し始めました。そして「備蓄米を放出して米の価格を国がコントロールすることは王道ではない。価格は市場で決まるべきものだ」とモットモらしいことを述べつつも、水面下では「備蓄米の放出」に向けた準備を始めたのです。
でも、それと同時に江藤農水相は、備蓄米を放出したところでお米の小売価格が下がるなどとは思っていませんでした。何故なら、江藤農水相は2019年の最後の安倍内閣で、農水相として初入閣し、安倍政権が進めて来た日本の食料自給率を下げるための売国政策「減反政策」を主導して来た人物だからです。
安倍晋三首相は2018年、「減反政策の廃止」を掲げましたが、これは完全に国民を騙すための詐欺でした。一応は米農家に対する「生産数量目標」の通知を廃止しましたが、その一方で、それまでお米を作っていた田んぼを家畜の飼料用米や麦などへ転作した場合の補助金を拡充したのです。つまり、それまでは政府が米の生産量を決めることで減反を進めて来ましたが、今後は「カネが欲しい奴は自主的に減反しろ」という卑劣な方式に変更したのです。そして、その「実質的な減反政策」が6年続いた結果が「今」なのです。
江藤農水相「夏まで備蓄米の放出を続ける」の焼け石に水
現在は「お米はあるが高くて買えない」という状況ですが、この安倍政権の売国政策によって、日本は完全に「国産米不足」に陥ってしまいました。本来は今年になってから流通させるぶんの昨秋の新米も、その大半が昨秋のうちに消費されてしまったのです。ですから、江藤農水相は「必要があれば夏まで備蓄米の放出を続ける」などと言っていますが、そんなことをしても完全に「焼け石に水」であり、それどころか今年の夏には、また店頭からお米が消える可能性も出て来てしまったのです。
どうしてこんなことになってしまったのかと言うと、本来は農家を守るための組織だったJAが、今では完全に農水省の天下り先と化してしまったからです。日本が脱原発できないのは、数々の原発関連組織が経産省の天下り先になっているからですが、日本の米不足も同じ「自民党的癒着の構図」によってもたらされた悪しき伝統芸だったのです。そして、その全容は、この「令和の米騒動」がどこに着地するかを見ていれば、おのずと見えて来るでしょう。多分、今年の夏あたりに…。
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