現代の欧州

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難 エマニュエル・マクロンは2月24日、トランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問、その際、ウクライナで和平が成立すれば、同国に派遣されるイギリスとフランスの部隊にアメリカが「支援」を与えるべきだと主張したというが、実現することは困難だ。ホワイトハウスの報道官は、トランプ大統領がまとめている和平協定に将来の軍事援助の保証や、この地域へのアメリカ軍派遣の約束は含まれないとしている。 トランプが第1期目に国家安全保障補佐官として選んだマイク・フリン元DIA(国防情報局)長官はウクライナで戦闘中のNATO軍がアメリカを戦争に巻き込む恐れがあると警告、ジョー・バイデン政権を操っていた勢力の計画を非難している。 一方、ロシアは話し合いでウクライナの戦闘を終わらせられるとは考えていない。2014年のミンスク1と15年のミンスク2をロシアは停戦合意だと信じたようだが、​アンゲラ・メルケル元独首相​や​フランソワ・オランド元仏大統領​はこの合意がキエフのクーデター体制の軍事力を強化するための時間稼ぎだったと証言している。 E...
現代の欧州

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出 ウクライナを舞台にした戦闘に対するドナルド・トランプ米大統領の姿勢が劇的に変化、ジョー・バイデン政権に従属していたヨーロッパ諸国のリーダーは動揺しているようだ。ヨーロッパ諸国の首脳は自分たちだけで会議を開き、意味のあることをしているように演じているが、トランプ大統領やロシアのウラジミル・プーチン大統領から相手にされていない。思考力も決定権もないからだ。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月24日にトランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問したのだが、到着時に出迎えたのはホワイトハウスのスタッフだけ。裏でどのようなやり取りがあったのかは不明だが、マクロンは到着をやり直し、その2度目はトランプが出迎えた。マクロンとしてはアメリカとフランスの友好関係を演出したかったのだろうが、この出来事は両国の関係がそれほど友好的でないことを世界に知らせることになった。 自分たちがアメリカの支配層と結びついていると思わせることで地位と収入を手にしてきた人々にとって、アメリカ政府から相手にされなくなることは恐怖以外の何もので...
現代の世界各国

侵攻3年 - 戦争を検証せず「侵略したロシアが悪い」のワンフレーズを刷り込むマスコミ

侵攻3年 - 戦争を検証せず「侵略したロシアが悪い」のワンフレーズを刷り込むマスコミ侵攻3年。トランプ新政権が大統領選の公約に従って和平プロセスを打ち出し、この戦争をめぐる景観はガラッと一変した。2/12 のトランプとプーチンの電話会談後に米露が急接近、2/18 にリヤドで4時間半かけて米露高官協議が行われ、①停戦、②ウクライナの大統領選、③最終合意の3段階で和平プロセスを進める合意が報道され、米露首脳会談に向けて調整が進められている旨が伝えられた。米露外相が対面で会談するのは侵攻後初であり、双方の在外公館の業務正常化が協議され、米露の外交関係の回復が確認された。2/21 の英紙記事では、侵攻3年に合わせたG7首脳声明で、トランプ米政権が「ロシアによる侵略」の表現を盛り込むことに反対していると報じられた。アメリカがウクライナ戦争に関する方針を180度転換し、中国以上にロシアとの協調姿勢を鮮明にする姿となり、ウクライナとEUが取り残される状況となった。ウクライナ戦争をめぐる国際情勢は劇的に変化し、トランプ米政権がそれを主導している。そのアメリカ政府の方向転換に対して、今、日本を含めた西側...
現代の世界各国

緩衝国家の民衆の苦難

緩衝国家の民衆の苦難 3年間に及んでいるロシアとウクライナの戦争について、米国大統領の座がバイデンからトランプに変わるやいなや、停戦に向けた動きが加速している。当事者のウクライナ・ゼレンスキーを「さしたる成功も収めていないコメディアン」上がりとして蚊帳の外に置いて、またNATOを構成する欧州各国を差し置いて、代理戦争を仕掛けていた張本人であるアメリカ側のトップが交替するやいなや大統領が直接身を乗り出し、ロシア・プーチンとの直接対話に向けて動いているのだから、見る人によっては何が何だかわからない展開でもあろう。トランプとそれに抗うゼレンスキーの批判の応酬に、主要メディアの困惑ぶりったらないのである。 この何年間か、欧米メディアを筆頭にウクライナ=「正義」、ロシア=「悪」という二元論で各国の世論を染め上げ、異論を挟むものは袋叩きにでもするような空気が支配的だった。日本国内でも共産党までが涙を流さんまでにゼレンスキーの国会演説にスタンディングオベーションをしている有様で、黄色と水色をあしらった洋服をコーディネートして「ウクライナ支持」を体現する政治家までいたほどである。まるでウクライナ国民に...
現代の欧州

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進 ドイツでは2月23日に連邦議会選挙があり、CDU/CSU(キリスト教民主同盟)が32%を獲得して第1党になった。EUの現体制を支えている勢力から激しい攻撃を受けてきたAfD(ドイツのための選択肢)は得票率21%で第2党。現首相のオラフ・ショルツが率いるSPD(社会民主党)は20%で第3党に止まり、ロシアとの戦争を煽っていた好戦派のアンナレーナ・ベアボック外相が所属する同盟90/緑の党は12%で第4党だ。AfDは平和を訴えているが、CDU/CSUは与党と同じようにロシアとの戦争を継続したいと考えている。 議席の増減を見ると、CDU/CSUが11議席増、AfDが69議席増だったのに対し、SPDは86議席減、同盟90/緑の党は33議席減。そのほか左翼党が25議席増やしている。ショルツ政権はアメリカのジョー・バイデン政権の命令に従ってロシアとの戦争へのめりこんでドイツ経済に大きなダメージを与え、社会を破壊、首相は無能さを曝け出していた。好戦的な言動を繰り返していたベアボックの同盟90/緑の党が敗北するのも必然だった。 平和を実現し、経...
現代の世界各国

ハマスやヒズボラが健在だと明らかになる中、イスラエルは戦闘再開を目論む

ハマスやヒズボラが健在だと明らかになる中、イスラエルは戦闘再開を目論む ハマスが停戦合意を守る中、​テル・アビブ郊外で人が乗っていないバス3台が爆破され、近くのホロン市ではバスに置かれたバッグの中から爆破装置が発見されたと報道されている​。バッグにはアラビア語で「攻撃」と「トゥル・カルム」と書かれていたという。 トゥル・カルム旅団はその日、「占拠者がわれわれの土地に居座る限り、殉教者への復讐は忘れられない」という声明を発表した。戦闘を再開、ガザから出ていかないパレスチナ人を虐殺したいベンヤミン・ネタニヤフ政権として好都合。爆破事件でパスポートなど「犯人」を示唆するようなものが発見されるが、今回も似ている。 しかし、​治安機関のシンベトはバス爆破事件に関与した疑いでイスラエル人2人を21日に逮捕した​。裁判所が箝口令を敷いているので詳細は不明だが、パレスチナ人によるテロ攻撃というストーリーは揺らいでいる。戦闘を再開したいネタニヤフ政権による偽旗作戦の疑いが出てきたということだ。 ジョー・バイデン政権はイギリス政府やドイツ政府と連携、ガザを破壊し、住民を虐殺するイスラエルを支援、ドナルド・...
科学論

古代エジプトでは天文学にどのようなアプローチが用いられていたのか?

古代エジプトでは天文学にどのようなアプローチが用いられていたのか?古代の世界では、現代のように宇宙を観察できる天体望遠鏡は存在しない一方で、かなり高度な測量術や計算方法によって天文学が発達している地域もありました。紀元前3000年頃から始まった古代エジプトにおける天文学はどのようなものであったのか、カナダのペリメーター理論物理学研究所で博士研究員を務めるJ・ルナ・ザゴラック氏が研究結果をまとめています。In Search of Lost Timeエジプト、ギザの三大ピラミッドがオリオン座の三つ星の位置とほぼ一致するという「オリオン説」が唱えられるように、古代エジプトの文化は天体観察と密接な関係があったと言われています。しかし、具体的に当時どのような観測が行われていたのかというデータは、記録に残っていません。そこでザゴラック氏は、エジプト学と天文学の観点から、収集すべきデータと分析するアプローチについてのアイデアを提案しました。ザゴラック氏はまず、古代エジプトの「対角星表(Diagonal Star Table)」を分析しました。対角星表とは、古代エジプトのひつぎ(コフィン)や墓の内部に...
科学論

宇宙は膨張と収縮を繰り返している? やがて我々は一点に収束してしまう「ビッグバウンス理論」

宇宙は膨張と収縮を繰り返している? やがて我々は一点に収束してしまう「ビッグバウンス理論」宇宙の概念図 出典:Pablo Carlos Budassi宇宙は誕生以来膨張を続けていると考えられてきましたが、近年の研究では膨張と収縮を繰り返している可能性が示唆されています。最新の宇宙論に基づくシミュレーションや観測データにより再び注目を集めている「ビッグバウンス理論」をご紹介します。■宇宙の膨張と「ビッグバウンス」理論インフレーション期を経た宇宙膨張の概念図 出典:NASA従来の宇宙モデルは、約138億年前の「ビッグバン」によって宇宙が誕生し、加速膨張を続けていると考えられてきました。しかし、膨大な宇宙を加速膨張させている力は何なのでしょうか。それは、「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」によるものと考えられています。ダークエネルギーは宇宙の全エネルギーの約70%を占めていると考えられる、正体不明のエネルギーです。宇宙空間を収縮する方向に力を与える重力とは異なり、宇宙空間を膨張させる斥力を発生させています。しかし最近の理論では、宇宙が膨張と収縮を繰り返している可能性が浮上しているのです。こ...
現代の世界各国

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか③ 東京外国語大学名誉教授・西谷修

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか③ 東京外国語大学名誉教授・西谷修イスラエルによる15カ月におよぶ爆撃で生活の場を追われていた数十万人のパレスチナ人たちが一時停戦と同時にガザ地区北部へ続々と帰還している(1月27日)Ⅸ. ビック・テックと野放図な「自由」の要求 今、トランプの復帰で勢いづいているイーロン・マスクをはじめとする「ビッグ・テック」の首領たちに触れておきたい。 彼らは、情報革命とインターネット開放後、情報空間をはじめあらゆる「財」のデジタル・バーチャル化で、人間世界に新たなフロンティア、言いかえれば新たな市場の沃野を作り出し、その開拓によって天文学的利益を独占的に手にしてきた。 情報分野においては、それが真実かどうかよりも流通力(より人々の感情的衝動を誘う)がものをいう「ポスト・トゥルース(真実)」状況を一般化させることによって利益を膨らませ、さらにその新技術と資金力によって、他のあらゆる分野(金融、バイオ、マネージメント、宇宙開発)までも私的所有し、莫大な利益を上げている。 現在、世界各国で盛んにデジタル化が推進されている...
現代の世界各国

南アジア諸国の「政権交代」におけるUSAIDの役割が明らかに

南アジア諸国の「政権交代」におけるUSAIDの役割が明らかにドナルド・トランプ氏が最近言及したインドの選挙に割り当てられた2100万ドルは、実際にはバングラデシュ向けだったと新たな報告書が主張している。2024年8月5日、ダッカにあるシェイク・ハシナ元首相が辞任して国外に逃亡した後、反政府デモ参加者がハシナ元首相の宮殿を襲撃した。©  KM Asad/LightRocket via Getty Imagesインディアン・エクスプレス紙が金曜日に発表した調査報道によると、イーロン・マスク氏の政府効率化局(DOGE)によって最近取り消された「インドの投票率向上」のために割り当てられた2100万ドルのアメリカ納税者のお金は、実際にはバングラデシュに割り当てられたという。同メディアは、資金記録にアクセスし、この資金配分は2022年にUSAIDによって行われ、2024年1月のバングラデシュ選挙前に学生の「政治・市民参加」のためにすでに1,340万ドルが支出されていることを知ったと主張した。バングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、学生主導の大規模な抗議活動で数百人が死亡した後、8月に辞任を余儀なく...
現代のロシア

史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?

史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?北京を訪問した時のトランプ大統領と習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ) ウクライナ戦争の停戦交渉がウクライナ抜きで行なわれていることにゼレンスキー大統領が激怒し、習近平国家主席に助けを求めた話を2月20日のコラム<「習近平に助けを求める」ゼレンスキー ウクライナを外した米露会談を受け>で書いた。 しかし、もし「ウクライナ抜きの米露のみによる交渉」を「こっそり」トランプに提案していたのが習近平だったとすると、どうなるだろうか? 世界の認識はガラリと変わってくる。 その奇想天外な「仮定」が、実は本当だったことが、2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルに載っており、それを引用する形で2月13日にロイターが報道していた。 中国はもちろん「沈黙」したままだ。 それにしても、習近平はなぜこのようなことをしたのだろうか? それはトランプが選挙中から「中国からのすべての輸入品に、一律60%の完全を賦課する」と宣言していたからではないだろうか? まるでそのご褒美のように、トランプ2.0が始まると、関...
科学論

フリーエネルギーは発明済み

フリーエネルギーは発明済み2024年7月11日に神戸で『シェディングの会』をしたとき、川崎で開業医をされている由井郁子先生のシェディング体験を聞きました。そこで由井先生が「高藤式二酸化塩素」に言及されていて、その文脈で初めて、高藤恭胤さんの名前を聞きました。うちでもさっそく「高藤式ヨウ素」や「高藤式CBDオイル」を仕入れて、必要な患者に勧めています。近々当院で「メッドベッド」も導入予定です。高藤さんは医者ではないけど、そこらへんの医者よりもはるかに多くの人を救っています。高藤さんは、ひとことで言うなら、発明家です。数えきれないくらいの特許を持っているすごい人だけれど、世間一般の知名度は高くない。「天才」と称賛されてもおかしくない実績なのに。この点、政木和三先生とよく似ています。高藤さんは広島出身です。広島といっても、広島市のような都会ではなく、加計町という「ほぼ島根」に近い田舎町です。高藤さんのお父さんは僧侶でしたが、いろいろと新しいものを考えるのが好きな人で、発明家の血は父譲りということでしょう。お好み焼きに塗るソースに新工夫を加えたことは、まぎれもなくお父さんの発明で、これを知れば...
現代の世界各国

SCOと世界金融システムの民主化

SCOと世界金融システムの民主化上海協力機構は、世界最大の地域組織に成長しました。SCO が直面する経済的課題を分析し、バルダイ クラブの専門家であるラディスラフ ゼマネク氏は、代替決済システム、デジタル通貨、およびユーラシアの回復力、セキュリティ、戦略的安定性を強化するための国家通貨の使用の重要性を強調しています。 著者は 、バルダイ - 新世代 プロジェクトの参加者です。 独立した支払いシステム地域における経済協力が成功し、持続可能になるための前提条件の 1 つは、決済システムの開発です。貿易および金融規制の乱用、経済関係の武器化、保護貿易、デカップリング、リスク回避などの経済ナショナリズムにより、地経学的分断のリスクに直面しています。米国は、地政学的ゲームで金融覇権を交渉材料として悪用しています。金融取引を外部の主体の介入から保護し、支配的な金融機関への依存を減らすために、代替的で相互補完的かつ統合された金融メッセージング システムの開発が必要です。これらのステップにより、接続性が向上し、効率性、生産性が向上し、経費が削減されます。SCOには、いくつかの国が堅牢な独立した決済シス...
現代の米国

イーロン・マスク氏「ロイターは嘘をついている」

イーロン・マスク氏「ロイターは嘘をついている」この億万長者は、ウクライナをスターリンクから遮断し、希土類取引に圧力をかける計画があるという同局の報道を否定した。ファイル写真。ウクライナ軍第59旅団が使用するスターリンクシステム。©  ゲッティイメージズ/ピエール・クロムテスラとスペースXのCEO、イーロン・マスク氏は、天然資源をめぐる交渉で優位に立つためにウクライナのスターリンクのインターネット接続を遮断すると脅す計画に関するロイターの報道を否定し、「嘘をついている」と非難した。同通信社は土曜日、計画に詳しい米国当局者3人の話としてこの件について報じた。ロイター通信によると、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領とトランプ大統領の特使キース・ケロッグ氏が今週キエフで会談した際、ウクライナが米国との希土類協定に署名しなければ、マスク氏のスターリンク衛星サービスを「即時停止する」と脅されたという。マスク氏は同日遅くに自身のソーシャルメディアプラットフォーム「X」で、そのような計画の存在を否定し、ロイターが「嘘をついている」と非難した。「これは誤りだ。ロイターは嘘をついている。彼らはA...
現代の欧州

CIA系組織から資金を受け取っていたBBCはすでに言論の自由を放棄していた

CIA系組織から資金を受け取っていたBBCはすでに言論の自由を放棄していた ​イギリスの有力メディア、BBC(英国放送協会)は2月4日、「USAIDの資金援助に関する声明」を発表した​。その中で同協会の「国際開発慈善団体」だというBBCメディア・アクションが2023年から24年にかけて収入の約8%をUSAID(米国国際開発庁)から得ていたことが明らかにされた。この「慈善団体」は、政治的に不安定な地域で現地のメディアと連携して影響力を拡大させるキャンペーンを展開している。 USAIDはCIAの工作資金を流す仕組みのひとつ。「独立系メディア」と同様、BBCも情報機関の資金を受け取っていたことになるが、ドナルド・トランプ米大統領が対外援助のほぼ全面的な凍結を命令したことから、西側で好まれている「独立系メディア」と同じように、BBCの「慈善団体」も影響を受けた。 そのBBCは2019年6月、世界の報道機関やソーシャル・メディアの幹部を集めて「信頼できるニュースサミット」を開催、9月には「信頼できるニュース憲章」を発表し、「TNI(信頼できるニュース戦略)」を組織した。「偽情報が定着する前に迅速...
現代のロシア

米露の高官はリヤドでウクライナだけでなく、軍事、外交、経済など広範な協議

米露の高官はリヤドでウクライナだけでなく、軍事、外交、経済など広範な協議 ​2月17日付けフィナンシャル・タイムズ紙にドイツの武器メーカー、ラインメタルのアルミン・パペルガーCEOのインタビュー記事が掲載された​。その中で同CEOはEUの兵器庫が空になっていると語っている。アメリカを中心とするNATO諸国はウクライナに対して資金や兵器を供与、その結果だ。こうした状況にあることは以前から知られていたが、西側の有力メディアもその事実を伝えるようになった。空になった兵器庫を埋めるための需要で収益が上がるというわけだ。 リヤドで2月18日に行われた会談で、さまざまな問題に対処するための専門グループを結成することで米露両国は合意した。ひとつは戦略的安全保障と軍備管理に関するグループ、第2に地球規模の安全保障構造を見直すグループ、第3に2国間の外交的な相互影響に関するグループ、第4にエネルギーや制裁に関するグループ、第5にウクライナにおける戦闘の決着をつけるためのグループ、第6にはパレスチナや北極圏を含む国際問題に関するグループだ。 ウクライナの停戦について話し合うためにアメリカとロシアがリヤドで...
現代のロシア

ロ=悪・ウ=善図式は完全な誤り

ロ=悪・ウ=善図式は完全な誤りトランプ大統領がウクライナ停戦実現に向けてロシアとの協議を加速させていることに対して一部メディアがトランプ批判を展開している。一部メディアとは欧米主要メディアのこと。実は、偏向しているのは、この欧米主要メディアである。欧米主要メディアはグローバル巨大資本の支配下にある。グローバル巨大資本が2022年2月24日のウクライナ戦乱拡大時点から一貫して偏向した情報を流布し続けてきた。端的に表現すれば〈ロシア=悪・ウクライナ=善〉という図式での主張流布である。私はウクライナ戦乱拡大の時点から、この主張が適正でないことを述べてきた。戦乱発生直後に上梓した『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)において、基本的見解を示した。この時点の基本判断は現在も変わらない。その後、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社)にも基本的な論点を記述した。紛争解決に武力行使を用いた点でロシアが批判される側面はある。しかし、ウクライナに一切の責任がないなかでロシアが領土的野心で軍事侵攻したとの見立ては間違っている。ロシアの行動を〈小悪〉と表現するなら、米国とウクライナの行動は〈大悪〉と表現できる問題...
現代の米国

「ディープステート」批判者がFBI長官に就任

「ディープステート」批判者がFBI長官に就任ドナルド・トランプの盟友カシュ・パテルは、同庁への「信頼を再構築する」と約束した。2025年1月30日、ワシントンDCの米国上院での承認公聴会に臨むカシュ・パテル氏。©  Anna Moneymaker / Getty Images米上院は、ドナルド・トランプ大統領の熱烈な支持者であるカシュ・パテル氏を次期FBI長官に任命することを51対49で承認した。共和党のスーザン・コリンズ氏とリサ・マーカウスキー氏は民主党とともに同氏の立候補に反対した。「長官としての私の使命は明確だ。良い警官を警官らしくすること、そしてFBIへの信頼を再構築することだ」とパテル氏は木曜日の投票後にXに書いた。「FBIの献身的な職員やパートナーたちと協力し、アメリカ国民が誇りに思えるFBIを再建します」と彼は付け加えた。「そして、アメリカ人に危害を加えようとする人々へ、これを警告とみなしなさい。我々は地球のあらゆる場所であなたたちを追い詰めます。」トランプ大統領はパテル氏を「キャリアを通じて腐敗を暴き、正義を擁護し、アメリカ国民を守ってきた『アメリカ第一主義』の闘士」と...
現代の世界各国

「習近平に助けを求める」ゼレンスキー ウクライナを外した米露会談を受け

「習近平に助けを求める」ゼレンスキー ウクライナを外した米露会談を受け会見するウクライナのゼレンスキー大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) 2月18日、サウジアラビアでウクライナ停戦をめぐる米露政府高官による会談が行われた。戦争当事者であるウクライナ抜きだ。これに対してウクライナのゼレンスキー大統領(以下、ゼレンスキー)は激怒し、「中国が停戦交渉に参加することを排除しない」旨の発言をした。 すると中国では早速その発言に対する論考などが数多く出されたが、中でも興味深いのは台湾のテレビ番組「新聞大白話」が「ゼレンスキーは習近平に助けを求めた」と報道したことだ。 トランプ大統領(以下、トランプ)は「ウクライナ戦争はバイデンが起こした」と明言している。その上で米露政府高官だけによる停戦交渉を進めているということは、いかにバイデンが「ウクライナを道具として扱い、ロシアに戦争を仕向けたか」を如実に表していると言えよう。 ようやくアメリカに、真実を見抜く目と、それを堂々と公言するリーダーが現れたということだ。◆トランプ「ウクライナ戦争はバイデンが起こした」の言葉の重さ 2月12日にロシアのプー...
生命科学

進化は予測可能なのものなのか?生物のデザインと進化の関係。生命の40億年をやり直したとき、ふたたび人類は誕生する?

進化は予測可能なのものなのか?生物のデザインと進化の関係。生命の40億年をやり直したとき、ふたたび人類は誕生する?もしも白亜紀末に小惑星が地球に衝突しなかったら?アメリカの有名な古生物学者、スティーヴン・ジェイ・グールド(1941‐2002)は、大学の講義を教室の一番前で聴くような、熱心な学生だった。その後、大学の教員になると、大げさな手振りを交えて熱弁を振るう、熱い先生になった。学生時代にグールドの講義を聴講した生物学者、ジョナサン・B・ロソスは、内容も魅力的で素晴らしかったと言っている。ただし、かつてグールドの講義助手を務めた古生物学者、ニール・シュービンによれば、(当然のことだが)その情熱をすべての学生が受け止めたわけではないらしい。教室の前のほうで熱心に聴く学生もいたけれど、後ろのほうで眠りこける学生もいたようだ。もっとも、グールドの講義は人気があって、学生が600人ぐらいいたらしいので、それも仕方がないだろう。大教室で講義をすれば、かならず何人かの学生は眠るものである。さて、グールドはある講義で、「もしも白亜紀末に小惑星が地球に衝突しなかったら?」という質問を学生たちに投げか...