欧州

現代の欧州

ロシアと戦争する道を歩み続けようとするヨーロッパのチキン・ホーク

ロシアと戦争する道を歩み続けようとするヨーロッパのチキン・ホーク アメリカとロシアの政府代表が週明け直後にサウジアラビアで会談、ウクライナ情勢などについて話し合うと伝えられているが、ロシア側の要求に変化があるとは思えない。ドナルド・トランプ政権は中東情勢を絡めてロシアから譲歩を引き出そうとしているようだが、簡単ではないだろう。 ロシアは西側諸国に対し、NATOの東への拡大を止めること、モスクワを標的にできる攻撃システムをロシアの隣国へ配備しない法的な保証をすること、NATOなど西側諸国によるロシア国境近くでの演習を禁止すること、NATOの船舶や航空機はロシア国境から一定の距離より内側へ入らないこと、定期的に軍同士が協議すること、ヨーロッパに中距離核兵器を配備しないことなどを求めている。ネオ・ナチの排除も求めるだろう。 ネオコンがウクライナで始めた対ロシア戦争はロシアの勝利が決定的な情勢であり、しかも2024年5月に任期が切れたウォロディミル・ゼレンスキーをロシア政府は正当な交渉相手と考えていない。ドナルド・トランプ大統領はウクライナでの戦争を終わらせたいのであれば、まず情報や兵器の提供...
現代の世界各国

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演《下》

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演《下》ヤヌコーヴィチ政権を転覆させたクーデター「マイダン革命」がくり広げられたキエフのマイダン広場(2014年2月)「マイダン革命」からウクライナ戦争へジェフリー・サックス氏 2014年、アメリカはウクライナのヤヌコーヴィチ政権を打倒するために積極的に動いた。コロンビア大学の同僚ビクトリア・ヌーランド(米国務次官補)と、アメリカの駐ウクライナ大使ジェフリー・パイアットの電話が傍受されたことはすでに誰もが知っている。これ以上の証拠はない。ロシアは通話内容を傍受してインターネット上に公開した。ぜひ聞いてほしい。 興味深いことに、この件に関与した彼らは全員、バイデン政権下で昇進した。これが「仕事」なのだ。「マイダン革命」(ヤヌコーヴィチ政権打倒のクーデター)が発生した直後、私は連絡を受けた。「サックス教授、新しいウクライナ首相が経済危機についてあなたと話したがっている」と。私はすぐにキエフへ飛び、マイダン広場を案内された。そして、いかにアメリカがマイダン周辺にいたすべての人々のために資...
現代の世界各国

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演 《上》

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演 《上》欧州議会で講演するジェフリー・サックス氏(2月19日) ウクライナ戦争勃発当初から早期停戦を主張してきた米コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏(政治経済学)が2月19日、欧州議会に招かれて講演し、米ソ冷戦終結から30年余にわたり欧州諸国やソ連、ロシアの経済アドバイザーを務めた経験を踏まえ、ウクライナ戦争、ガザ戦争、そしてトランプ再登場によって混乱する欧州を含む世界情勢について解説と政策提言をおこなった。歴代国連事務総長の特別顧問も務めた同教授は、1990年代以降のアメリカ一極支配が完全に破綻したことを指摘し、「アメリカの敵であることは危険だが、友人であることは致命的」とのべ、欧州に対してアメリカ追従の戦争政策を転換し、ロシアや中国を含む国々と独自の平和的外交関係を再構築する必要性を訴えた。日本の進路とも重なるテーマであり、同講演の要約(和訳)を連載で紹介する。(見出しは編集部)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――混...
ロシアの歴史

ロシアとの戦争に執着する大英金融帝国

ロシアとの戦争に執着する大英金融帝国 ウクライナを舞台にした戦闘でロシアが勝利したことは明白である。ロシアにはNATO/ウクライナと話し合う意味がないものの、ウクライナや西側諸国は停戦を実現して態勢を立て直す時間が欲しいはずだ。自分たちの好戦的な政策が破綻したことを人びとに気付かれたくないということもあるだろう。 アメリカをはじめとするNATO諸国は2014年から8年かけて反クーデター派の人びとが生活するドンバスの周辺に要塞線を築き、本格的な攻撃の準備が整った2022年にロシア軍が一歩早く攻撃を開始、そこから戦況はロシアが優勢なまま現在に至っている。要塞線はマリウポリ、ソレダル、マリインカ、アウディーウカの地下要塞が軸になっていたが、2024年2月までに全て陥落。この時点でNATO/ウクライナの敗北は決定的だった。 ネオ・ナチを使ったクーデターでNATO諸国は2014年2月22日、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功するが、軍や治安機関の中にはネオ・ナチ体制に反発する人も少なくなかったようで、約7割が離脱し、一部は半クーデター軍に合流したと言われている。そのためクーデター軍は反ク...
現代のロシア

19世紀からロシアの破壊を目論んできた英国の支配層がウクライナの戦争で浮上

19世紀からロシアの破壊を目論んできた英国の支配層がウクライナの戦争で浮上 ​ロイターによると、地上発射型小直径爆弾(GLSDB)のウクライナ向け輸送をアメリカ政府は再開する準備を進めている​という。この爆弾はGPS補助慣性航法システムで誘導されるGBU-39(SDB)にM26 227 mmロケットモーターを組み合わせたものだ。ウクライナ軍はアメリカから供給されたATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)をほぼ使い果たしているので、その代用兵器なのだろう。すでに提供されたGLSDBはロシア軍のECM(電子対抗手段)で無力化されている。今回のタイプは対抗できるよう改良されたというが、性能は不明だ。 ドナルド・トランプ大統領がスティーブ・ウィトコフ特使をモスクワへ派遣したタイミングでこの記事は出た。ウィトコフはウラジミル・プーチン大統領に「即時暫定30日間停戦」に合意させることはできなかった。もしこの停戦案をロシア政府が認めた場合、その間にアメリカ政府はGLSDBをウクライナへ輸送する予定だったのかもしれないが、そうした時間的な余裕はなくなった。こうした兵器を供給するということは、軍事情報...
現代の日本

「この国はもうダメだと思った」 ~ 川口マーン恵美『移民 難民 ドイツからの警鐘』

No.1412 「この国はもうダメだと思った」 ~ 川口マーン恵美『移民 難民 ドイツからの警鐘』EU全体が移民受入厳格化に舵を切っているのに、もっとも問題の大きいドイツは言論弾圧をしてまで政策転換を渋っている。■1.「この国はもうダメだと思った」伊勢: 花子ちゃん、この間はフランスを中心に移民難民問題を論じたけど、つい最近、ドイツの状況を克明にレポートした本が出た。川口マーン恵美さんの『移民 難民 ドイツからの警鐘』という本だけどね。40年ほどもドイツに在住している方だから、ドイツの変化をよく見抜かれていると思う。__________JOG(1408) 移民難民問題が社会を壊す ~ 西尾幹二『「労働鎖国」のすすめ』再読 欧州社会の底辺で新たな奴隷階級にされた移民難民の2世、3世が、各地で暴動を起こしている。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄花子: 「警鐘」というからには、移民難民問題がずいぶんひどいことになっているという事ですか?伊勢: 「ひどい」という程度ではなく、昨年末に起きた事件で「この国はもうダメだと思った」とまで書いている。花子: いったいどんな事件だったんですか?伊勢: 2024年12...
現代の欧州

米欧同盟を機能停止したトランプ

米欧同盟を機能停止したトランプ2025年3月9日   田中 宇トランプ米大統領が、2月末のウクライナのゼレンスキー大統領との喧嘩を口実に、米欧同盟(NATO)を破壊している。これはトランプの隠れ多極主義の発露だ。2月28日に米大統領府(ホワイトハウス)を訪問したゼレンスキーが、(はめられて)トランプやバンス副大統領と喧嘩してしまって追い出された後、トランプは、好戦的で和平を嫌うゼレンスキーにもう協力しないと言って、米国からウクライナへの支援の多くを停止した。(Poland confirms US has suspended military aid to Ukraine)(Kiev could run out of Patriot missiles in few weeks)米軍がポーランドからウクライナに搬入していた兵器類の流れも3月4日から止まった。だが、最重要な点はそこでない。最重要な打ち切りは、ウクライナ軍がミサイルや無人機、精密誘導弾などでロシア側を攻撃する際の標的設定で必ず使う軍事用GPS(衛星測位システム)の情報提供(諜報共有)の停止だった。トランプは、米軍の最高司令官と...
現代のロシア

2007年に公表された核攻撃でロシアを脅すという英国のシナリオが崩壊した

2007年に公表された核攻撃でロシアを脅すという英国のシナリオが崩壊した ドナルド・トランプ政権も言っているように、ウクライナで戦っているのはロシアとアメリカである。アメリカがネオ・ナチを使ったクーデターでキエフを制圧した。そのネオ・ナチ体制が崩れようとしているのだが、それをヨーロッパのエリートは恐れている。 クーデターを実行したのはバラク・オバマ政権。2013年11月から14年2月にかけてのことである。2010年の選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチを排除し、ロシアに軍事的な圧力をかけると同時にヨーロッパとロシアを分断することが目的だった。クーデターで実権を握った体制はネオ・ナチだ。 ネオ・ナチを操っているのはMI6やCIAだが、ウクライナの軍や治安機関の約7割はネオ・ナチ体制を嫌って離脱したと言われている。ヤヌコビッチを支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、オデッサでは住民がネオ・ナチの一団に虐殺されて制圧されたが、クリミアの住民は素早くロシアに保護を求め、東部ドンバスの住民は反クーデター軍を組織して抵抗を始めた。 クーデターから間もない段階では反クーデター軍が優勢で、西...
現代の欧州

英国のスターマー首相、ウクライナに軍隊を派遣する「有志連合」を発表

英国のスターマー首相、ウクライナに軍隊を派遣する「有志連合」を発表フランスのマクロン大統領は、安全が確保されている間に兵士を派遣するため、一時的な休戦を求めている。英国の首相キール・スターマーが2025年3月2日、ロンドンのランカスターハウスで首脳会談を主催©ジャスティン・タリス / AP通信経由英国のキール・スターマー首相は、モスクワとの和平協定が成立すれば、キエフの地位確保を目指し、英国とフランスが「有志連合」を率いてウクライナに軍隊や航空機の派遣を含む軍事支援を行う用意があると発表した。ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領のワシントン訪問が失敗に終わった後、日曜日にロンドンで緊急首脳会談が開かれた際、スターマー氏は、EUやその他の支援国がキエフを支援するために率先して役割を果たす必要性を強調した。スターマー氏は、一部の国は貢献できるものがほとんどないことを認めながらも、意欲のある国は緊急に行動すべきだと主張した。「すべての国が貢献できるとは思っていないが、だからといって手をこまねいているわけにはいかない。むしろ、意欲のある国は、本当に緊急に計画を強化することになる。英国は...
現代の欧州

EU委員会は「パブロフの犬」だった・・・日本のマスコミも・・・

EU委員会はパ「パブロフの犬」だった~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「宮崎正弘の国際情勢解題」      令和七年(2025年)3月3日(月曜日)         通巻第8678号 <前日発行>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~肉を見せる前にベルを鳴らす。その訓練のあとベル音を聞くだけでよだれを垂らすEU委員会はパ「パブロフの犬」だった************************************* 昼食会と飛ばされ、ホワイトハウスから突き返されたコメディアン(ゼレンスキー)は相当の衝撃を受けたようだ。<あの頭の悪いバイデンとはてんで違うぞ>。しかし直後のテレビインタユーで「謝罪する気持ちはない」と言い放ち、そのまま英国でスターマー首相と抱き合い、パリでマクロンに会った。欧州がウクライナを支援し続けるという言質を取った。 さてEUの左翼指導者たちは「パブロフの犬」であることが露呈した。自分で考える能力に恵まれていないようだ。犬に肉を見せる前にベルを鳴らす。その訓練のあとベル音を聞くだけでよだれを垂...
現代の欧州

米国とEU:一律25%の関税を課す・ルビオ氏、カラス氏との会談を土壇場でキャンセル・米国はもはやNATOに補助金を出せない・マクロン大統領のホワイトハウス訪問は失敗

米国、EUに一律25%の関税を課すとトランプ大統領このブロックは貿易不均衡を通じてアメリカを弱体化させるために作られたと米国大統領は主張している。ドナルド・トランプ米大統領©Getty Images /Andrew Harnik / スタッフドナルド・トランプ米大統領は、EUはアメリカを弱体化させるために作られたと主張し、EUからのすべての輸入品に25%の関税を課すという新たな警告を発した。トランプ大統領は水曜日、ホワイトハウスで大統領就任2期目の最初の閣議中にこの発言をした。米国とEU間の貿易紛争は、トランプ大統領が貿易不均衡に対処するため幅広い輸入関税を導入する計画を発表して以来、激化している。「正直に言えば、欧州連合は米国を困らせるために結成された。それが目的だ」とトランプ氏は会合で語った。「そして彼らはそれをうまくやってきた。だが今は私が大統領だ」同氏は、政権が「非常に近い将来」にEUからの輸入品に関税を課す計画であることを改めて強調した。「一般的に言えば25%で、自動車やその他のすべてのものに適用される」とトランプ大統領は述べ、EUは「カナダとは異なるケースだ...彼らは本当...
現代の欧州

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難

EUが戦争の継続を望む中、ウクライナの平和を話し合いで実現することは困難 エマニュエル・マクロンは2月24日、トランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問、その際、ウクライナで和平が成立すれば、同国に派遣されるイギリスとフランスの部隊にアメリカが「支援」を与えるべきだと主張したというが、実現することは困難だ。ホワイトハウスの報道官は、トランプ大統領がまとめている和平協定に将来の軍事援助の保証や、この地域へのアメリカ軍派遣の約束は含まれないとしている。 トランプが第1期目に国家安全保障補佐官として選んだマイク・フリン元DIA(国防情報局)長官はウクライナで戦闘中のNATO軍がアメリカを戦争に巻き込む恐れがあると警告、ジョー・バイデン政権を操っていた勢力の計画を非難している。 一方、ロシアは話し合いでウクライナの戦闘を終わらせられるとは考えていない。2014年のミンスク1と15年のミンスク2をロシアは停戦合意だと信じたようだが、​アンゲラ・メルケル元独首相​や​フランソワ・オランド元仏大統領​はこの合意がキエフのクーデター体制の軍事力を強化するための時間稼ぎだったと証言している。 E...
現代の欧州

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出

米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出 ウクライナを舞台にした戦闘に対するドナルド・トランプ米大統領の姿勢が劇的に変化、ジョー・バイデン政権に従属していたヨーロッパ諸国のリーダーは動揺しているようだ。ヨーロッパ諸国の首脳は自分たちだけで会議を開き、意味のあることをしているように演じているが、トランプ大統領やロシアのウラジミル・プーチン大統領から相手にされていない。思考力も決定権もないからだ。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月24日にトランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問したのだが、到着時に出迎えたのはホワイトハウスのスタッフだけ。裏でどのようなやり取りがあったのかは不明だが、マクロンは到着をやり直し、その2度目はトランプが出迎えた。マクロンとしてはアメリカとフランスの友好関係を演出したかったのだろうが、この出来事は両国の関係がそれほど友好的でないことを世界に知らせることになった。 自分たちがアメリカの支配層と結びついていると思わせることで地位と収入を手にしてきた人々にとって、アメリカ政府から相手にされなくなることは恐怖以外の何もので...
現代の欧州

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進

ドイツの連邦議会選挙で平和を訴えてきたAfDが第2党に躍進 ドイツでは2月23日に連邦議会選挙があり、CDU/CSU(キリスト教民主同盟)が32%を獲得して第1党になった。EUの現体制を支えている勢力から激しい攻撃を受けてきたAfD(ドイツのための選択肢)は得票率21%で第2党。現首相のオラフ・ショルツが率いるSPD(社会民主党)は20%で第3党に止まり、ロシアとの戦争を煽っていた好戦派のアンナレーナ・ベアボック外相が所属する同盟90/緑の党は12%で第4党だ。AfDは平和を訴えているが、CDU/CSUは与党と同じようにロシアとの戦争を継続したいと考えている。 議席の増減を見ると、CDU/CSUが11議席増、AfDが69議席増だったのに対し、SPDは86議席減、同盟90/緑の党は33議席減。そのほか左翼党が25議席増やしている。ショルツ政権はアメリカのジョー・バイデン政権の命令に従ってロシアとの戦争へのめりこんでドイツ経済に大きなダメージを与え、社会を破壊、首相は無能さを曝け出していた。好戦的な言動を繰り返していたベアボックの同盟90/緑の党が敗北するのも必然だった。 平和を実現し、経...
現代の欧州

CIA系組織から資金を受け取っていたBBCはすでに言論の自由を放棄していた

CIA系組織から資金を受け取っていたBBCはすでに言論の自由を放棄していた ​イギリスの有力メディア、BBC(英国放送協会)は2月4日、「USAIDの資金援助に関する声明」を発表した​。その中で同協会の「国際開発慈善団体」だというBBCメディア・アクションが2023年から24年にかけて収入の約8%をUSAID(米国国際開発庁)から得ていたことが明らかにされた。この「慈善団体」は、政治的に不安定な地域で現地のメディアと連携して影響力を拡大させるキャンペーンを展開している。 USAIDはCIAの工作資金を流す仕組みのひとつ。「独立系メディア」と同様、BBCも情報機関の資金を受け取っていたことになるが、ドナルド・トランプ米大統領が対外援助のほぼ全面的な凍結を命令したことから、西側で好まれている「独立系メディア」と同じように、BBCの「慈善団体」も影響を受けた。 そのBBCは2019年6月、世界の報道機関やソーシャル・メディアの幹部を集めて「信頼できるニュースサミット」を開催、9月には「信頼できるニュース憲章」を発表し、「TNI(信頼できるニュース戦略)」を組織した。「偽情報が定着する前に迅速...
現代の欧州

米英の支配層がヨーロッパを支配するために創設したNATOやEUをトランプが攻撃

米英の支配層がヨーロッパを支配するために創設したNATOやEUをトランプが攻撃 アメリカのドナルド・トランプ大統領はNATOやEU、第2次世界大戦の後にアメリカとイギリスの支配層によって作られた組織に対して厳しい姿勢で臨んでいる。この大戦においてヨーロッパ戦線でドイツと戦ったのはソ連とコミュニストを主体とするレジスタンスであり、ヨーロッパ諸国の政府は屈服し、イギリスは傍観していた。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ドイツ軍は1941年6月22日、西部戦線に約90万人を残し、300万人以上の戦力でソ連に向かって進撃を開始した。ドイツ軍の首脳は西部方面を防衛するために東へ向かう部隊に匹敵する数の将兵を配備するべきだと主張したのだが、アドルフ・ヒトラーに退けられたという。軍の首脳が知らない何かをヒトラーは知っていたのだろう。(David M. Glantz, The Soviet-German War 1941-1945,” Strom Thurmond Institute of Government and Public Affairs, Clemson University, Octo...
現代の欧州

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか② 東京外国語大学名誉教授・西谷修

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか② 東京外国語大学名誉教授・西谷修アメリカ製造業の衰退を物語るラストベルト。ミシガン州デトロイトのパッカード自動車工場跡軍産複合体と産業構造転換――疲弊するアメリカ社会 一方、構造的にみると、第二次世界大戦の頃からアメリカは世界の兵器工場になり、あらゆる重工業の中心となった。 冷戦下には、世界のあちこちで代理戦争をやるだけでなく、西側の兵器廠になって、軍需産業が圧倒的な経済セクターになる。すると経済が戦争で支えられるようになる。戦前のニューディール政策の延長のような形であり、これは「公共事業としての戦争」だ。 この傾向について、アイゼンハワーは大統領退任時に「このままだと、国は民主的意志によって国策を決めるのではなく、こういう巨大な力(軍産複合体)によって国策が決められるようになる」と警告を発した。しかし、冷戦下ではその傾向は変えにくかった。 それが変わるのは、冷戦が終わった時だ。これでやっと膨れ上がった軍事費を削ることができる。それに軍縮は必要だというので、軍の縮小も始まるが、ここにカラクリがあった。...
欧州の歴史

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか① 東京外国語大学名誉教授・西谷修

トランプ復帰が促すアメリカ世界統治の終焉――自壊する「西洋」と私たちはどう向き合うか① 東京外国語大学名誉教授・西谷修ドナルド・トランプとイーロン・マスク(1月、ワシントン)アメリカ大統領に返り咲き、就任直後から次々と既定路線を覆していくドナルド・トランプの言動に世界中が翻弄され、メディアもまるで予測不能な暴れ者が世界を手中におさめたかのようにとりあげている。国内外政策の大幅な転換に踏み切っているように見えるトランプの再登場とそれを生み出したアメリカの今をどう見るか――本紙は、『アメリカ 異形の制度空間』(講談社選書メチエ)などの著書でアメリカの特異性とその世界への影響について論考を展開してきた東京外国語大学名誉教授の西谷修氏にインタビューし、その考察をまとめた。3回に分けて連載する。(文責・編集部)―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― アメリカ大統領に復帰したドナルド・トランプの言動に今、世界が振り回され、混乱が拡大している。 彼は一度選挙で追い落とされ、「ホワイトハウスを譲らない」といえばクーデターといわれ、訴追までされた。にもか...
現代のロシア

米露政府がウクライナについて交渉を始める中、追い詰められた英国が必死に抵抗

米露政府がウクライナについて交渉を始める中、追い詰められた英国が必死に抵抗 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、​ウォロドミル・ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問した際、イギリスの対外情報機関MI6(SIS)のリチャード・ムーア長官を非公式に訪問、会談している​。その訪問はジャーナリストに察知され、撮影された。その事実からゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーア長官だと推測されている。会談後、ゼレンスキーの警護担当者はウクライナ人からイギリス人へ交代になったという。ゼレンスキー政権はMI6政権だということもできる。MI6は歴史的にシティ(ロンドンを拠点とする金融資本)と関係が深い。 降伏か「総玉砕」かという状況に陥っているウクライナでの戦争継続に意味を見出せないドナルド・トランプ米大統領はウラジミル・プーチン露大統領と交渉を開始、今月下旬にはサウジアラビアで会うと言われている。ロシアとの交渉を進めたいなら、アメリカはロシア...
現代の欧州

ウクライナ戦争を「止めたいトランプ」「続けたいゼレンスキー」「無能な欧州」

ウクライナ戦争を「止めたいトランプ」「続けたいゼレンスキー」「無能な欧州」ウクライナ戦争の終結・和平をめぐって、ミュンヘン安全保障会議を契機にさまざまな動きがみられた。そこで、今回はそこでの舞台裏について論じてみたい。まず、2月14日の開幕前に起きた出来事について知らなければならない。2月12日、ドナルド・トランプ大統領は、ウラジーミル・プーチン大統領と1時間半にわたって電話会談した。その後、彼がTruth Socialにアップロードしたコメントには、こう書かれている。「私たちはそれぞれ、それぞれの国の強みと、いつか協力することで得られる大きな利益について話した。しかしその前に、私たち双方が同意したように、ロシア/ウクライナとの戦争で起きている何百万人もの死を止めたい。プーチン大統領は、私の強い選挙運動のモットーである 『COMMON SENSE 』(常識)を使ってくれた。私たちはともにそれを強く信じている。私たちは、お互いの国を訪問するなど、非常に緊密に協力することで合意した」要するに、トランプは、プーチンとの間で、ウクライナ戦争終結に向けた本格的な協議に入ることを宣言したことになる...