実は大きな矛盾が…?3月6日開幕の「パラリンピック参加国」をめぐるリベラル派の偽善を暴く

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「パラリンピック参加国」をめぐるリベラル派の偽善を暴く
国際パラリンピック委員会は、ロシアとベラルーシの選手が3月6日から開催されるミラノ・コルティナ冬季パラリンピックに参加することを発表した。ウクライナは、これに抗議し開会式をボイコットする意向を示している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア選手の復帰を批判し、国際社会の偽善を指摘している。

実は大きな矛盾が…?3月6日開幕の「パラリンピック参加国」をめぐるリベラル派の偽善を暴く

https://gendai.media/articles/-/164250「スキャンダルまみれのリベラル派」の偽善について紹介した。ところが、この偽善は、テレビや新聞などのオールドメディアが、リベラル派にとって不都合な情報を隠蔽(いんぺい)することによって、そう簡単に明るみに出ない。

そこで、今回はパラリンピックをめぐるウクライナやそれを支えるリベラル派の偽善を暴露し、「いい加減にしろ!」と論じたい。

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(出所)https://meduza.io/feature/2026/02/22/norvezhets-yohannes-klebo-vyigryvaet-11-e-olimpiyskoe-zoloto-figurist-iz-ssha-ilya-malinin-padaet-i-pobezhdaet-kazahstanets-mihail-shaydorov-chehoslovatskiy-vlchak-nazgul-finishiruet-na-lyzhnoy-trasse

ロシアとベラルーシ選手のパラ出場

まず、国際パラリンピック委員会(IPC)が2月17日の声明で、来月開催のミラノ・コルティナパラリンピックに、ロシアとベラルーシから計10人のパラアスリートが参加すると発表した、とロイター通信が報じた話からはじめよう。

この話は、昨年9月27日、IPCがIPC加盟組織によるベラルーシおよびロシアの国内パラリンピック委員会に対する一部資格停止措置の継続を否決したところからスタートしている。この決定は、2カ国の選手の出場停止を解除したことを意味している。両国は2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、パラリンピックへの参加を禁止されていた。

しかし、パラリンピックで争われる6競技を担当する四つの個別統括団体は、禁止措置を維持することを決定した。それでも、昨年12月になって、ロシアとベラルーシは、スキーとスノーボードの統括団体である国際スキー連盟(FIS)を相手取ったスポーツ仲裁裁判所(CAS)への上訴で勝訴し、出場とランキングポイントの加算が認められた。

こうして、IPCは前記の声明で、ロシアのナショナル・オリンピック委員会がパラアルペンスキーに2枠(男女各1枠)、パラクロスカントリースキーに2枠(同)、パラ・スノーボードに2枠(ともに男子)の計6枠を獲得したことを確認できたと発表したわけだ。ベラルーシについても、クロスカントリースキー(男子1名、女子3名)の計4枠の獲得が確認された。

彼らは3月6~15日に開催されるミラノ・コルティナ冬季パラリンピックに自国の国旗を掲げて出場することが可能となる。選手が金メダルを獲得した場合、国歌の演奏も認める。ロシアの場合、2014年冬季オリンピック以来、初めて大会にロシアの国旗が復帰することになる。

オリンピック関係者は当初、ロシア政府が支援するドーピング計画を受けて、ロシア選手を禁止していた。この措置は継続され、2022年にモスクワがウクライナへの全面侵攻を開始した際には、ベラルーシにも拡大された。ベラルーシはロシア軍が自国領土を経由してウクライナへ進入することを許可していたからだ。

2024年のパリオリンピック以降、両国の選手は競技参加が認められているが、個人としての参加に限定されている。メダル授与式では国旗の掲揚や国歌演奏がなく、ナショナルチームのユニフォーム着用も禁止されてきた。

ウクライナによる抗議

例によって、17日のIPCの発表にウクライナが噛みついた。2月20日付の「ワシントンポスト」(WP)によれば、「ウクライナの選手たちは、ロシアとベラルーシの選手たちが自国の国旗と国歌を掲げて競技することを認めた決定に抗議するため、来月開催されるパラリンピックの開会式をボイコットする」という。

さらに、21日時点でのロシア側の報道では、ウクライナ、エストニア、リトアニア、ポーランド、チェコが開会式をボイコットする見通しだ。

先のWPは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ロシアとベラルーシの選手を復帰させる動きを「卑劣」で「ひどい」と非難した、と報じた。

だが、決定は前述したように、IPCの昨年9月の決定、CASの判断という手続きに従ってなされたものだ。5カ国の抗議はどこか、むなしい。

(出所)https://www.washingtonpost.com/world/2026/02/20/russia-belarus-paralympics-ukraine-protest/

リアリズムに転じた米国の影響力

この変化は、もちろん、トランプ政権がリアリズム(国益優先で国際協調を軽視する現実主義)を実践するようになったことと関係している。実は、先のIPCによる昨年9月の出場停止解除の決定を受けて、昨年11月12日、「国際パラリンピック委員会による2025年9月27日付ロシアおよびベラルーシ国内パラリンピック委員会に関する発表についての声明」が、署名した34カ国および欧州委員会によって公表された。

IPCの決定を、「深刻な懸念をもって注視する」というのである。その理由は、「ロシアによるウクライナへの侵略が継続し、ロシアおよびベラルーシによるオリンピック憲章違反が依然として存在している」からだという。

この主張は、ウクライナ戦争の元凶をロシアだけに帰し、すべての「悪」はロシアにあり、それを支援したベラルーシも悪いと一方的にまくし立ててきたリベラル派の言い分を鵜呑(うの)みにしたものだ。だが、彼らは、ガザ住民を殺戮(さつりく)しつづけてきたイスラエルに対しては、同じ論理を適用しようとしない。あるいは、ベネズエラの大統領夫妻を誘拐した米軍の恐るべき攻撃についても、口をつぐんでいる。

こうした事例からわかるように、リベラリズム(リベラルデモクラシーという、自由や民主主義のためには、国家による規制や規範の遵守を説き、そのために国際協調に力点を置く考え方)を標榜する国々は偽善者なのではないか、という疑念が湧く。

ところで、先の34カ国のなかには、日本も入っている。だが、米国の名前はない。そう、米国はトランプが復帰したことで、リアリズム重視に転換し、リベラリズムの偽善を踏襲しないことにしたのだ。前回書いたように、ウクライナ戦争の現実をみれば、ロシアだけが悪いわけではないにもかかわらず、ロシアだけを悪とするリベラリストの主張は偽善そのものだ。

だからこそ、The Economistは「ドナルド・トランプの過激な正直さ」という記事を公表している。そう、少なくともこの点では、トランプは正直者なのだ。

米国はロシアの復帰を容認

2月21日付の「ニューヨークタイムズ」(NYT)は、「トランプ大統領の特使であるパオロ・ザンポリが、来月のパラリンピックへのロシア参加を支持した」と報道している。先の声明に署名しなかった米国からみれば、ロシア・ベラルーシの復帰は当然ということになる。ザンポリ特使は、「スポーツはすべての人のためにあると思う」とのべ、こうした動きを歓迎したのである。

さらに、NYTは、(1)サッカーの世界統括団体である国際サッカー連盟(FIFA)の会長が今月、ロシアがこのスポーツの国際大会に復帰するのを見たいとのべた、(2)国際オリンピック委員会(IOC)のカースティ・コベントリー会長が、スポーツは中立の場でなければならず、「すべてのアスリートが自由に競技できる場所」でなければならないとのべた――ことを紹介している。つまり、2028年のロサンゼルス大会にロシアチームが参加する可能性は大いに残されていることになる。

もちろん、たとえIOCがロシアを復帰させたとしても、大会に参加する各競技を統括する連盟が、自国の禁止措置を解除することに同意しなければならない。だが、柔道や テコンドーを含め、いくつかの連盟はすでにそのような措置をとっている。

リアリズムからみても、ロシアによるウクライナへの全面侵攻はたしかに非難の対象となる。だが、4年もたって戦争を停止しようとしないウクライナにも、責任がないとは言えない状況にある。要するに、「どっちもどっち」というのが現実なのだ。

悪いのはすべてロシアなのか

2月19日、「ウォールストリート・ジャーナル」のボジャン・パンチェフスキー記者はポッドキャストで、「私が最も懐疑的なのは、先週の木曜日に行われたゼレンスキーの私的閣僚会議である。そこでゼレンスキーは、交渉は失敗し、これからさらに3年間の戦争計画を練らなければならないと明らかにした」と語ったという。

これが意味しているのは、トランプの任期切れまでは欧州の支援で戦争を継続し、できれば、リベラリズムに立つ民主党出身の大統領の下で支援を受け、猛攻撃に出て巻き返そうという算段だろう。

つまり、大統領の任期切れから5月で2年になろうというのに、あと3年も大統領の座に居座って、選挙のないまま5年間を過ごそうという魂胆だ。その間、ずっと被害者として振る舞い、悪いのはすべてロシアだと息巻いて、被害者ズラを決め込もうというのだ。  

オールドメディアの偽善を利用

残念ながら、「真っ黒なゼレンスキー」はリベラリズムを信奉するオールドメディアによって守られている。彼らの偽善によって、ゼレンスキーの「悪」が報道されないから、ゼレンスキーはいつまでも被害者気取りでいられるというわけだ(拙稿「ついに暴かれた「腐敗で真っ黒」ゼレンスキー政権、それでも支持し続ける欧州3首脳の私利私欲」を読んでもらえば、ゼレンスキーが「真っ黒」であることは一目瞭然だ)。

実は、最初に紹介したロイター通信は、2月17日のIPCの発表を受けて、ミラノ・コルティナ冬季五輪のスケルトン(氷上トラックでのそり競技)で失格となったウクライナのウラディスラフ・ヘラスケヴィッチが激怒したと伝えている。

この選手についても、オールドメディアは現実を報道していない。そこで、ここでヘラスケヴィッチ自身の偽善について明らかにしてみたい。すなわち、ルールを守らなくても被害者は許されるという、過剰な被害者意識によって自分の行動を正当化しようというやり口だ。

彼の周到な「手口」をこうだ。2月12日に発表された国際オリンピック委員会(IOC)の声明によると、2月9日、男子スケルトンの公式練習走行中、国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)はIOCに対し、ウクライナのヘラスケヴィッチ選手(下の写真)がロシアのウクライナ侵攻で死亡したウクライナ人選手の画像をあしらったヘルメットを着用していたことを通知した。同日、IOCは彼のコーチおよびウクライナNOCの副団長と面会し、当該ヘルメットが規定に適合しないことを説明するとともに、選手が自己表現を行うための代替手段について詳細に説明した。

(出所)https://www.washingtonpost.com/sports/olympics/2026/02/12/vladyslav-heraskevych-ukrainian-helmet-olympics-skeleton/

2月10日付書簡でIOCは、同ヘルメットがオリンピック憲章及びその他の規則(とくにIOC「選手表現ガイドライン」)に違反するとヘラスケヴィッチに通知する一方、戦友の死を悼(いた)む代替手段として、黒い腕章もしくは黒リボンを提案した。それにもかかわらず、10日夜の記者会見で、ヘラスケヴィッチは競技でもヘルメットを使用する意向を示した。これにより彼は、IOCの「選手表現に関するガイドライン」に公然と反旗を翻す意思を表明したのである。

2月11日付の2通目の書簡で、IOCはヘラスケヴィッチに対し、12日の男子スケルトン競技においてヘルメット着用での出場を認めない旨を再度通知した。12日午後に実施されたIBSFの装備検査において、彼がヘルメット着用を意図していることを確認した。

12日朝、競技会場に到着した彼は、IOCのコベントリー会長と面会。会長が最終的にIOCの立場を説明したが、これまでの個別面談と同様に、同選手は立場の変更を拒否した。

結局、12日のレース数時間前に出場を禁じられた。そこで、彼は12日、スポーツ紛争を仲裁・調停によって解決する機関(CAS)への提訴および暫定措置の請求をしたが、13日、CASは申請を却下したと発表した

これだけ丁寧にIOCが対応したにもかかわらず、ヘラスケヴィッチは態度を変えなかった。まるで被害者はいつまでも「善」であり、何をやっても許されるべきだと主張しているようにみえる。最初に紹介したウクライナのパラリンピック・ボイコットに通じる頑(かたく)なさだけが際立っている。

だが、現実を知れば、彼らの偽善が暴かれるのではないか。ヘラスケヴィッチの場合、意図的に起こした大騒ぎを通じて注目され、この問題は日本のテレビでも報道された。ゼレンスキー大統領は、ここぞとばかり、12日、彼に自由勲章を授与する法令に署名した。 

ゼレンスキーは、「現在13人のロシア人がイタリアでオリンピックに出場している。彼らはオリンピックでは『中立 』の旗を掲げて競技しているが、実生活ではウクライナに対するロシアの侵略と領土の占領を公然と支持している。彼らこそ失格に値する」とのべた。やはりロシアの国際競技への復帰を牽制する目的で、今回の露骨な政治的アピールを利用している。

ヘラスケヴィッチもゼレンスキーも、大騒ぎを創出することで、「得」をしようという魂胆が垣間見える。そもそも、ヘラスケヴィッチが騒動を引き起こしたのは今回が二度目だ。2022年の北京冬季大会では、ロシア軍がウクライナの国境付近に集結し、侵攻が迫っていたため、彼は最終滑走後に「No war in Ukraine」と書かれたサインを掲げた。これで味をしめた彼は、今度は事前に「追悼ヘルメット」を用意し、騒ぎをつくり出したのではないかと邪推もできる。

現実をみると、他にも2人のウクライナ人選手が同様の禁止処分を受けた。国際スケート連盟は、ショートトラックのスピードスケート選手であるオレフ・ガンデイに対し、ウクライナの詩人リナ・コステンコの言葉を引用したヘルメットの着用を禁止した。また、フリースタイルスケートのカテリーナ・コツァール選手もヘルメットに「ウクライナ人のように勇敢であれ」と書かれていた。彼らが話題にならなかったのは、おそらく事前に「宣伝」しなかったからだろう。

それだけではない。ヘラスケヴィッチの思惑通りかどうかは不明だが、彼は大金を手にする。ウクライナ最大のモバイル専用銀行モノバンクの最高経営責任者(CEO)オレフ・ホロホフスキーが、ヘラスケヴィッチに対し100万フリヴニャ(約360万円)の報奨金を発表したというのだ(「キーウ・インディペンデント」を参照)。前週の練習で、「25人のスケルトン選手の中で6位となり、メダル争いに加わっていた」(NYTを参照)というヘラスケヴィッチだが、騒ぎを起こすことで「得をした」という現実がたしかにある。

案の定、理想主義的で、ウクライナの現実を報道してこなかったリベラル派のNYTやWPは、ヘラスケヴィッチに同情的で、私がここで指摘したような彼の本性に肉薄しようとはしなかった。こうしたオールドメディアの偽善を知ってほしい。その意味で、SNSの役割は重要なのだ。

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