AIの誤情報で戦争に?トランプが仕掛けた“やらせ停戦”の全貌。報道されないイスラエル・イラン戦争の真実=高島康司

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AIの誤情報で戦争に?トランプが仕掛けた“やらせ停戦”の全貌。報道されないイスラエル・イラン戦争の真実=高島康司 | マネーボイス
いまのところ、イスラエルとイランの戦争の停戦は続いているようだが、この状況がどこまで続くか分からない。しかし、そもそも核兵器の開発は行っていないことがはっきりしているイランを、なぜイスラエルは攻撃したのであろうか?日本ではまったく報道されていない事実がある。これを詳しく紹介する。(『』高島康司) 【関連】今こ

AIの誤情報で戦争に?トランプが仕掛けた“やらせ停戦”の全貌。報道されないイスラエル・イラン戦争の真実=高島康司

いまのところ、イスラエルとイランの戦争の停戦は続いているようだが、この状況がどこまで続くか分からない。しかし、そもそも核兵器の開発は行っていないことがはっきりしているイランを、なぜイスラエルは攻撃したのであろうか?日本ではまったく報道されていない事実がある。これを詳しく紹介する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2025年6月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

イスラエルがイラン攻撃に踏み切った本当の理由

そもそもなぜイスラエルは、核兵器の開発を行っていないことがはっきりしているイランを攻撃したのだろうか?

トランプ大統領は日本時間の24日、SNSへの投稿で軍事衝突を続けてきたイスラエルとイランが停戦することで合意したと明らかにし、それぞれが順次、戦闘を停止し、予定どおり日本時間の25日、戦闘が終結した。

ただイスラエル側は日本時間の24日午後、停戦が始まったあとイランから2回にわたってミサイルが発射されたと主張し、報復としてイスラエル軍がイランの首都テヘラン近郊のレーダー設備を攻撃した。

これに関連してアメリカのニュースサイト、「アクシオス」は24日、イスラエル当局者の話としてトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話会談を行った結果、イスラエル側は攻撃計画を大幅に縮小しレーダー設備1か所のみの攻撃にとどまったと伝えている。ただ、イスラエル国内ではイランへの攻撃が広く支持されているほか、ネタニヤフ政権はいかなる停戦違反に対しても断固たる対応をとるとしていて、停戦が守られるかは予断を許さない状況だ。

停戦までの動き

日本ではどのような経緯で停戦に至ったのか、あまり報道されていない。まずこれを最初に確認しておくべきだろう。

6月23日、トランプは突然とイラン攻撃に踏み切った。攻撃対象は「フォルドー」「ナタンズ」「イスファハン」の3つの核関連施設だ。B2戦略爆撃機7機に搭載された地下施設破壊専用の爆弾、「バンカーバスター」14発で地下80メートルにある「フォルドー」を攻撃し、中東に展開する米空母の巡航ミサイルで、「ナタンズ」と「イスファハン」を攻撃した。攻撃後、トランプは攻撃は成功し、イランの核開発能力は消滅したと宣言した。これに対しイランは報復として、カタールの米軍基地に向けてミサイル攻撃を行った。この直後、トランプはイスラエルとイランが停戦に合意したことを発表した。

しかし、アメリカの攻撃から停戦にいたるプロセスは、トランプ政権が巧妙に仕組んだやらせの芝居であることがいまは明らかになっている。まずアメリカのイラン攻撃だが、イランの核施設に与えた打撃は小さかった。イランは核施設から濃縮ウランなどを別施設に運び出しており、イランの核開発を数カ月程度遅延させる効果しかなかった。

またイランは、カタールの米軍基地を攻撃する前にアメリカに事前に通告していたので、人的被害はゼロであった。これに対しトランプは、イランに謝意を表している。

このような一連の過程を見ると、停戦への過程がトランプ政権が仕掛けた壮大な芝居であったことが分かる。トランプはイランの核開発能力が実質的に無傷であることを知りながら、「イランの核開発能力は消滅した」と宣言した。これは、イスラエルの目標が達成されたことにしてしまい、アメリカとイスラエルの面子を維持した。またイランは、事前にアメリカに通告して米軍基地攻撃をすることで、被害を最小限に止めた上で面子を守った。関係国が面子を守った上で停戦にこぎつけることに成功した。これで、イスラエル、イラン、アメリカの関係国すべてが勝利を主張できる。

このシナリオを考えたのは、政権内の「アメリカ・ファースト」派の代表であるJDヴァンス副大統領と、エルブリッジ・コルビー国防次官、そして本来は「ネオコン」寄りだと考えられいたルビオ国務長官であると見られている。

停戦の仲介をトランプに依頼したネタニヤフ

では、どうやって停戦までこぎつけたのだろうか?

実はトランプ政権のイラン攻撃が実施された直後、停戦の仲介をトランプに依頼したのはイスラエルのネタニヤフ首相だったようだ。アメリカのイラン攻撃直後、イギリスの元外交官でイスラエルとパレスチナの和解に向けた外交交渉を担当し、MI6のエージェントでもあったアリスター・クルックは、ユーチューブのライブインタビューでイスラエルが停戦の仲介をトランプ政権に依頼したことを明かした。その背景は次のようなものだった。

イスラエルには、イラン攻撃の4つの目標があった。

1. イランの核開発能力を破壊する
2. イランの体制転換
3. イランの軍事指導者の暗殺
4. イランの無条件降伏

これらの目標で達成できたのは(3)のイランの軍事指導者の暗殺だけだった。(1)の核開発の能力を破壊するためには、空爆だけでは不可能で地上軍の導入が必要となることがはっきりした。これができなければ、イランは核武装し、イスラエルの脅威は増大する結果になる。

さらに攻撃の後、イランの国民は現体制に結集した。体制転換は完全に不可能でであることが分かった。そして4.のイランの無条件降伏だが、これも土台不可能であることがはっきりした。

一方、国際世論は圧倒的にイランに有利になった。イスラエルとアメリカへの批判が殺到した。イランは国際法を順守した対応をすることで、影響力を拡大しつつある。BRICS諸国とグローバルサウスはすべてイランの支持に回った。近い将来、パキスタンや北朝鮮などの核保有国から実質的な核兵器支援も期待できる状況になった。

他方イスラエルは、厳しい状況に追い詰められていた。攻撃が実施された6月13日からしばらくは、イスラエルは優勢を維持していた。イラン西部からテヘランにかけての地域の制空権は掌握しており、優勢に戦争を展開していた。しかし、18日以降になるとイランは破壊された防空システムを再建し、イスラエルの攻撃を撃退できるようになった。

またイスラエルでは、「アイアンドーム」などの迎撃ミサイルが枯渇し始めた。一方イランは、極超音速ミサイルなど破壊力の大きいミサイルを導入し、イスラエルの被害は一層大きくなっていた。イスラエル政府は死者は29人しかいないと発表しているが、実際は数百人から千名を越える死者が出ていると報道されている。イスラエル経済の中心であるテルアビブとハイファの中心部は壊滅的な打撃を受け、イスラエル経済は実質的に機能しなくなっていた。

アリスター・クルックによると、このような状況にイスラエルは参り、戦争の継続が困難になっていたという。この結果イスラエルは、イラン攻撃を終えたばかりのトランプ政権に停戦の仲介を依頼したようだ。他方イランは、イスラエルが攻撃停止するのであればいつでも停戦を受け入れるとしていた。

そもそも、なぜイスラエルはイランを攻撃したのか?

これが日本では報道されていない停戦までの経緯だが、そもそもイスラエルはなぜイラン攻撃を実施したのだろうか?

イランが核兵器を開発していないことは何年も前から明らかになっていた。今年の3月、CIAやFBIを始め、18の情報機関を統括する国家情報局長官のトゥルシー・ガバードは上院の公聴会で、イランが核兵器を開発している証拠はまったくないと証言していた。また「国際原子力機関(IAEA)」のグロッシー事務局長もイランの核兵器開発疑惑を強く否定していた。

イランは「核拡散防止条約(NPT)」の署名国である。この国際条約に署名した国々は核兵器の開発を断念しながらも、核の平和利用の権利が保証される。署名国の核関連施設には「IAEA」の査察官が常駐し、核兵器の開発が行われていないかどうか監視される。署名国であるイランは、すでに何年も前から「IAEA」に監視され、核兵器の開発はしていないことははっきりしていた。

そうした状況なのに、なぜイスラエルはイランが核兵器を開発していると結論したのだろうか?大きな疑問が残る。

「IAEA」のグロッシー事務局長とイスラエル

実は、これを深堀りして行くと、とんでもない事実が明らかになってくる。中東問題の著名なジャーナリストにマックス・ブルメンソールがいるが、彼は重要な情報を明らかにしていた。これは、「IAEA」のグロッシー事務局長とイスラエルの結び付きに関する情報だった。

2008年からの3期、「IAEA」の事務局長であったのは日本の外交官出身の天野之弥であった。イスラエルはかねてから「IAEA」における影響を強めようとしてきたが、天野はこれに抵抗し、どの国に対してもフェアな態度を貫いていた。天野の評価は非常に高かった。しかし2019年、2021年までの任期を残したまま、天野は急死した。死因は公表されていない。

その後、事務総長に就任したのは、アルゼンチン出身のラファエル・グロッシーであった。グロッシーはイスラエルとの関係が深い人物で、イスラエルが天野の公認に強く押していた。このようなグロッシーが「IAEA」に事務総長になった後、「IAEA」がイランで実施している核査察のデータは、イスラエルに直接わたるようになった。イスラエルはこうして入手したイランのデータを独自に分析するようになった。

「パレンティア・テクノロジーズ」のシステム

このデータの分析に使われたのが、「パレンティア・テクノロジーズ」の「モザイク」というシステムだ。「パレンティア・テクノロジーズ」は、「ペイパル」の創始者のひとりであるピーター・ティールが設立した企業だ。ティールは熱烈なイスラエル支持で、シオニストである。

「パレンティア・テクノロジーズ」は裏グーグルとも呼ばれ、高度なAIを駆使してSNSやあらゆる形態のビッグデータを探索することで、指定された個人の情報と行動をすべて追跡することのできるシステムを開発している。さらに、個人の行動を5年先まで予測できる「プレディカティブ・アルゴリズム」というシステムさえ持っている。

このシステムはテロリストのトラッキングには理想的だとし、CIA、NSA、FBI、そしてイスラエルのモサドなどの情報機関や、米陸軍、アメリカ各地の警察がクライアントになっている。

この同じアルゴリズムを使ったシステムに「ラベンダー」がある。まさにジェノサイドであるイスラエルの限度を知らないカザの民間人殺害を実行しているのは、「ラベンダー」だ。

かねてからイスラエルは、230万人のガザ市民すべてを顔認証とともに登録し、その行動をトラッキングしていた。しかしながら、「ハマス」の戦闘員の行動を100%把握していたわけではない。そこでイスラエル軍は「ハマス」の戦闘員、ならびに幹部を発見し、殺害する精度の高いAIのシステムを開発した。それが「ラベンダー」である。「ラベンダー」が「ハマス」の幹部や戦闘員、そしてその関係者として認知した人物は3万7,000名に達した。

「ハマス」の戦闘員には、携帯電話や住所を頻繁に変えるなどの行動パターンがあるとされた。トラッキングされた230万人のガザ市民で、こうした行動パターンに合致したものは「ハマス」の幹部、ないしは戦闘員として認識され、「ラベンダー」は殺害目標として指定した。

しかし、このような「ラベンダー」のAIシステムのターゲットとなった標的を、検証なしにそのまま殺害すると、膨大なエラーが発生していることも明らかになっている。もともとのパラメーターの情報にエラーがあったり、家族が同一の携帯を使い回している場合などは、「ハマス」とはなんの関係もない膨大な数の民間人が殺害されている。「ラベンダー」のAIシステムのエラーの多さはいま問題になっている。

「モザイク」が予測した核兵器開発

そして、「パレンティア・テクノロジーズ」が開発した「ラベンダー」とならぶシステムが「モザイク」である。「ラベンダー」が個人を対象にしているのに対し、「モザイク」は「プレディカティブ・アルゴリズム」を用いて国家の将来の行動を予測するシステムである。

イスラエルは、自国の息のかかったグロッシー事務総長から得た「IAEA」によるイランの核査察データに「モザイク」を適用して、イランが近い将来核兵器を開発する意図を持つのかどうか予測したのだ。この結果が6月初旬に出た。それは、数か月以内にイランは核武装するという結果だった。イスラエルのイラン攻撃は、イランが実際に核兵器の開発を意図しているという事実に基づく証拠を基礎にはしていない。AIの予測データに基づくものだった。

もちろん、イスラエルがこのようなことを根拠にしていることは、イランも承知している。日本では報道されていないが、イランは自分たちは核兵器開発の意図はなく、AIの予測は間違いであると主張している。事実、同じ予測アルゴリズムを使った「ラベンダー」はあまりにエラーが多いので、「モザイク」もどこまで当てになるのか保証の限りではない。

「12日間戦争」の結果と展望

これがイスラエルがイラン攻撃に踏み切った根拠である。確かな根拠ではなかったとしか言いようがない。この記事は6月26日に書いているが、いまのところイスラエルとイランとの停戦は維持されている模様だ。

トランプが「12日間戦争」と呼び、アメリカのイラン攻撃で停戦が成立したこの戦争がもたらした結果はどうなのだろうか?

その結果は決して芳しいものではない。将来の危機拡大の危険性は高まったかもしれない。この戦争の結果を各国に分けて見てみる。

<アメリカ>

トランプは停戦にこぎつけたものの、国内のトランプ支持者の一部はアメリカの安全保障上の脅威もないのに、イランを攻撃したことに激怒している。共和党内から、犯罪者であるネタニヤフを拘束し、「国際刑事裁判所(ICC)」に突き出すべきだという意見すら出ている。

また、イランという主権国家を核兵器開発という根拠のない疑惑でいきなり攻撃したトランプのアメリカは、国際的に「ならず者国家」として認定され、日本、韓国、台湾など東アジアの同盟国からも警戒されるようになった。今後アメリカの信頼度の低下は、米国債とドルの信任をさらに低下させる可能性がある。

<イスラエル>

イスラエルは軍事的にも経済的に予想をはるかに越える打撃を受けた。経済が回復する可能性はまったく見えない。イランによる軍事基地の攻撃で、イスラエル軍も疲弊している。極右の党派がネタニヤフ政権を離れると政権が崩壊し、その後イスラエルは大きな混乱状態に陥る可能性が大きい。これを回避するためには、ネタニヤフはとにかく戦争を継続する他はない。イランとの停戦も早期に破り、攻撃を再開する可能性がある。

<イラン>

イランは核開発能力の温存に成功した。イランは「IAEA」を脱退し、大急ぎで核兵器を開発する可能性が高い。「IAEA」からの脱退は、同機関による核兵器開発の監視は不可能になるので、イランの脅威は確実に高まることになる。

またイランは、BRICS諸国とグローバルサウスを中心に国際的な支持を拡大した。今後、さまざまな支援が期待できる位置にいる。

さらにイランは、オバマ政権と締結した「核合意」を一方的に破棄し、あらゆる合法的な交渉を裏切ったアメリカと、いきなり攻撃したイスラエルに大変に怒っている。米国内のテロがあるかもしれない。

これが今回の戦争の結果だ。これまで「ヒズボラ」をはじめあらゆる組織との停戦を一方的に破ってきたイスラエルのことである。いつ停戦を破らないとも限らない。限りなくジェノサイドを実施しているテロ国家こそ、イスラエルだ。

一夜にして状況は変化し、「ホルムズ海峡」の閉鎖から原油価格が1バーレル、200ドル近辺に高騰する可能性も決して否定できない。事態の変化はあまりに早い。とにかく、油断することなく注視することが必要だろう。

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