ノルド・ストリーム爆破の責任を崩壊寸前のキエフ政権に押し付ける西側メディア

現代のロシア

 当然のことながら、爆破されるとパイプライン内の圧力が減少する。その事実をロシアのガスプロムは異常をアラームで知るのだが、​そのアラームが鳴った1分後、イギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている。​この情報は10月30日に報じられたが、その前日、ロシア国防省はこれらのパイプラインを破壊したのはイギリス海軍だと発表、トラスはその4日前に辞任している。

 パイプラインが爆破された直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノルドストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。

ノルド・ストリーム爆破の責任を崩壊寸前のキエフ政権に押し付ける西側メディア - 《櫻井ジャーナル》:楽天ブログ
ロシアから天然ガスをドイツへ運ぶため、バルト海に海底ガスのパイプライン、ノルド・ストリーム1/2が建設されたのだが、2022年9月に爆破された。犯行の主体はアメリカ政府だと見られている。  その爆破

ノルド・ストリーム爆破の責任を崩壊寸前のキエフ政権に押し付ける西側メディア

 ロシアから天然ガスをドイツへ運ぶため、バルト海に海底ガスのパイプライン、ノルド・ストリーム1/2が建設されたのだが、2022年9月に爆破された。犯行の主体はアメリカ政府だと見られている。

 その爆破工作に関し、​1998年から2005年までドイツの情報機関BND(連邦情報局)の総裁を務めたアウグスト・ハニングはドイツのベルト紙に語った​。ポーランドが工作に参加、事件の調査を妨害したとしているのだ。

 ドイツでの報道によると、「ウラジミールZ」なるウクライナ国籍の人物に対する逮捕令状を連邦検察官は発行したのだが、その人物はポーランドへ逃走、ポーランド政府は引き渡しに応じていないという。容疑者はダイビングのインストラクターで、パイプラインに爆発物を仕掛けたとされているようだ。

 ドイツによる調査の結果、実行したのはウクライナのチームで、ポーランドの軍や情報機関が支援していたとしている。ウクライナとポーランドに責任を押し付けようとしているとも言えるだろう。

 アメリカは2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行したが、目的のひとつは同国を支配することでロシアとヨーロッパを結ぶパイプラインをコントロール、ロシアとヨーロッパを分断して双方を弱体化させることにあった。そのウクライナを迂回するために建設されたのがノルド・ストリーム1/2だ。そのパイプラインの破壊を現在のドイツ政府は容認している。つまりドイツを含むヨーロッパの経済を破壊し、そこに住む人びとを苦しめる政策を欧米を支配する私的権力の傀儡と化しているドイツ政府は進めているのだ。

 アメリカの​ウォール・ストリート・ジャーナル紙はウクライナ軍の元総司令官で今はイギリス駐在大使を務めているバレリー・ザルジニーを破壊工作の首謀者にしている​ようだ。

 この「報道」に関し、CIAの元分析官である​ラリー・ジョンソンはひどいフィクションの臭いがするとしている​。爆破現場であるバルト海では深海に爆発物を設置するための技術的な課題があり、専門知識が必要だと指摘している。カリブ海でのスキューバダイビングとは違うということのようだが、そうしたことをWSJは無視しているとしている。

 ジョンソンの推測によると、CIAがウクライナ人にノルドストリームを爆破しないように警告したと主張するWSJの記事はCIAの奨励と支援を受けて書かれている。またアメリカ政府がウォロディミル・ゼレンスキーの後継者を選んだとする報道があると指摘、ウクライナ大統領を交代させる準備が進んでいる可能性があるとしている。ベルト紙の記事もその一環だろう。

 ジョンソンは調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いた記事の方が信頼できるしている。​ハーシュはアメリカ海軍の特殊部隊が実行したとする記事を発表している​。彼の情報源はアメリカの情報機関内にいると見られている。

 アメリカのジョー・バイデンは大統領に就任した2021年1月からロシアに対して経済戦争を仕掛け、軍事的な挑発を開始、バイデン政権の高官たちは繰り返し、ノルド・ストリームの破壊を公言していた。

 バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成。その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加、12月にはどのような工作を実行するか話し合っているという。そして2022年初頭、CIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。

 2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官(当時)は、ロシアがウクライナを侵略したらノルド・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノルド・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。







 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。

 ​プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ​。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。

 当然のことながら、爆破されるとパイプライン内の圧力が減少する。その事実をロシアのガスプロムは異常をアラームで知るのだが、​そのアラームが鳴った1分後、イギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている。​この情報は10月30日に報じられたが、その前日、ロシア国防省はこれらのパイプラインを破壊したのはイギリス海軍だと発表、トラスはその4日前に辞任している。

 パイプラインが爆破された直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノルドストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。


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