AIの急発展が惹起した新しい難題

現代の世界各国

AIの進化、発展によって、新たな課題が見えてきたようです。

AIを活用し、仕事や生産活動、創造活動に生かすことが今後増えてくると思います。
しかし、AIから得られた情報が全て正しい、と判断することは非常に危険です。
AIのプログラムは人が作るので、当然、その人の主観、価値観、そして恣意的な内容が盛り込まれます。
つまり、現在のマスコミ報道と同じような洗脳装置になってしまう危険性があると言うことです。
又、合成されたら画像や動画もあたかも事実であるかのように公表される可能性もあります。

今後、ますます、私達には、自らの頭で考えることが求められる時代になりそうです。

AIの急発展が惹起した新しい難題

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和七年(2025年)2月1日(土曜日)
       通巻第8632号   <前日発行>
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 AIの急発展が惹起した新しい難題
  模倣は創造よりたやすいが、だからこそ問題だらけになる
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 AIによる発明は『特許とは認めない』という判決が出た。
1月30日、知財高裁は「AI開発者側を敗訴とした1審・東京地裁判決(2024年5月)を支持し、控訴を棄却」するとした。清水響裁判長は「発明者は人に限られる」と判断した。

 この訴訟は、米国在住の科学者が開発したAI「DABUS(ダバス)」の「発明」が問題で、人が関与せずに自律して作動をするAIによるものだから「AIダバスが発明者」だとして20年8月に2件の特許取得を求めていた。

 知財高裁判決で、特許出願手続は、発明者が人であることを前提としており、それ以外を発明者として特許を付与するという規定もないと指摘し、特許を受けられる発明は、人が発明者である場合に限られるとした。
 この解釈を援用すると、生成AI、チャットGPTでつくった小説や詩などは、当然、創作とは認められない、ということになる。

 インドでも世界が注目する裁判がある。
マイクロソフトが支援するオープンAIは、インドの著作権訴訟に、億万長者のゴータム・アダニやムケシュ・アンバニを含むインド最大手のメディア組織が参加するのを阻止しようとした。テクノロジー企業が自分たちの著作物を許可やライセンスなしに人工知能サービスの訓練に利用したとして、著者、報道機関、ミュージシャンらを訴える訴訟を審理中である。
インドは、ユーザー数で見ると米国に次ぐ大きな市場である。

 インドでは、24年に地元通信社ANIが訴訟を起こし、アダニとアンバニが所有する出版社や10社近くのデジタルメディアが、訴訟に加わろうとしていた。

オープンAIは提出書類の中で、「チャットGPTサービスは公開情報を発信するだけだ」として、書籍出版社の訴訟を却下するよう求めている

 一方、オープンAI、オラクル、ソフトバンクグループがトランプ大統領とともに記者会見し、5000億ドルもの開発プロジェクト構想を語ったが、ソフトバンクグループは、オープンAIに対して、3兆8千億円を追加投資するとした。

 ▼中国のディープシークはAI業界のゲームチェンジか?

中国のAI企業「ディープシーク」が開発コストをかけずに新型モデルを発表した「事件」はシリコンバレーとウォール街を震撼させた。爾来、業界は「オープンAI」からデータを盗んだとして非難している。
中国のディープシークCEOの梁文峰自身は「米中の違いは何かと言えば、オリジナルと模倣の違いだ」と自ら欠陥を認めている(日本経済新聞、1月31日)。

サム・アルトマン率いる「オープンAI」は、中国ディープシークがチャットGPTモデルの「蒸留」を活用し、公開されているV3およびR1モデルをトレーニングした証拠があると発表した。チャットGPTメーカーの最大の支援者であるマイクロソフトとオープンAIは、ディープシークと関係のあるグループがアプリケーションプログラムを活用し、大量のデータを盗み出したかどうかの調査を開始した。

「蒸留(DISTILLATION)は、大規模で洗練されたモデルの動作を模倣するために、より小さなモデルをトレーニングする手段である。

 さてディープシークに天安門事件を訊ねると、回答がはぐらかしたが、インドでも領土係争のアルナーチャル・プラデーシュ州問題への対応を訊ねると回答を拒否した。
おなじ質問を日本でも『尖閣の帰属は?』などと聞けば、きっと答えは「別にあたってください」というだろう。すなわち中国のAI業界が政府の厳しい監視下で運営されている現実を露呈した。

「ディープシークのAIがトロイの木馬のように機能し、地政学的な問題に対する北京の公式見解を押し付け、ユーザーデータを巧妙に収集する可能性がある」(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、2025年1月31日)
模倣は創造よりたやすいが、だからこそ問題だらけになる

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