
ホンダと日産の合併案は自動車業界の状況を変える可能性がある
日本企業はフォックスコンの日産への接近を阻止するために守備を固める

ホンダと日産は来週、日本の自動車業界にとっての転機となる合併交渉を開始するとみられている。両社ともBYDに追い抜かれ、両社合わせてもトヨタの4分の3以下の自動車販売台数だが、両社の技術を融合し、規模の経済性を高めることで回復を図りたいとしている。
しかし、この計画は、日本企業が過去数十年間に斜陽産業の規模縮小を行ってきたことへの逆戻りであり、フォックスコンが日産の株式取得、さらには買収に関心を示していることに対する反射的な国家主義的反応のようにも見える。フォックスコンは台湾の鴻海精密工業の国際ブランドである。
株式市場の判断は迅速かつ明確だった。合併案は12月18日水曜日の朝のトップニュースとなったが、市場が閉まるまでにホンダの株価は3%下落し、日産の株価は24%上昇した。言葉で言えば、これは救済措置であり、日産にとっては思いがけない利益だが、ホンダの株主にとっては悪いニュースだ。日産の17.0%を直接保有し、信託を通じて18.7%を保有するルノーの株価は5%上昇した。鴻海の株価は1%下落した。
ホンダと日産は、かつては自動車業界のリーダーだったが、電気自動車やハイブリッド車の市場ではトヨタ、テスラ、BYDに大きく遅れをとっている。9月までの3か月間のデータでは、BYDがホンダとフォードを追い越し、販売台数で世界第6位の自動車メーカーとなった。さらに屈辱的なのは、中国の自動車メーカー、吉利汽車(ボルボを所有)が日産を追い越し、第9位となったことだ。
もちろん、この合併は将来を見据えたものとされている。日本有数のビジネス紙の英語版である日経アジアは、両社が「急速に変化する自動車業界でテスラや中国の電気自動車メーカーに対抗するため」合併交渉を行うと報じた。日経傘下のフィナンシャル・タイムズは、両社が「520億ドル規模の巨大日本企業を生み出すことになる2つの自動車メーカーの合併について予備的な協議を行っている」と報じた。
しかし、木曜朝刊日本語版日経新聞の一面トップは「鴻海買収、危機感」だった。昨年3月に日産との「戦略的提携」の協議を開始したホンダは、日産が鴻海と提携すれば協議を中止すると表明した。
鴻海は独自の電気自動車事業を構築しており、ホンダと日産へのプレッシャーが高まっている。2020年には、モビリティ・イン・ハーモニー(MIH)コンソーシアムを設立し、「EV業界のアンドロイドシステム」となり、「EV製造業界向けの『ソフトウェア定義』オープンエコシステムを構築する」ことを目指している。鴻海はまた、台湾の自動車メーカーである裕隆と合弁事業を行っており、同社が設計した電気自動車を生産している。
リファレンスデザインとオープンスタンダードを開発するMIHコンソーシアムには、現在2,700人以上の会員がおり、そのうち100人以上が日本に所属している。同コンソーシアムのCEOは、かつて東風日産(日産と中国の東風汽車との合弁会社)の社長、日産の最高執行責任者、日本のモーターメーカー日本電産のCEOを務め、最近では鴻海の電気自動車事業の最高戦略責任者を務めた日本人企業幹部の関潤氏である。
関氏は、2010年に先駆的な電気自動車「日産リーフ」を発売した日産との潜在的な相乗効果を見出しており、ルノーが保有する日産の株式買収に関心があると言われている。
ルノーは日産自動車、三菱自動車との提携から撤退し、ホンダと日産は三菱自動車を新たな完全日本企業の3社連合に組み入れることを検討している。このような連合は現在のトヨタの80%程度の大きさになるが、ガソリン車の生産を削減すれば70%以下にはならないだろう。しかし、それでもトヨタ、フォルクスワーゲンに次ぐ現在3位の現代自動車グループと同程度の大きさになるだろう。
注目すべきは、世界のトップ10自動車メーカーのうち、2024年9月までの3か月間で前年比販売台数の増加を報告したのは、BYD(+38%)、Geely(+20%)、Ford(+1%)の3社のみであることだ。GM(-13%)とHonda(-12%)を除き、他のメーカーは1桁の減少を報告している。現在の傾向からすると、BYDはまもなくGMとStellantisを追い抜く可能性があり、GeelyはHondaに追いつくだろう。

日産車の総販売台数は前四半期に3%減少しただけだったが、中国では納入台数と価格がともに暴落した。その結果、同社の純利益は2025年3月期上半期に90%以上減少した。ホンダの純利益も同じ理由で同時期に20%減少した。
ホンダはまた、GMとの自動運転車パートナーシップに代わる手段も必要としている。GMは先週、クルーズ・ロボタクシーの計画を断念し、ホンダは窮地に立たされた。ホンダとGMは2026年にクルーズを東京に導入する計画を立てていた。
代替案はすでに実現しつつあるかもしれない。8月初旬、ホンダと日産は、次世代のソフトウェア定義車両、自動運転とAI、バッテリー、バッテリー充電、電気自動車のモーターとトランスミッションシステム(eアクスル)に関する共同研究を行う計画を発表した。時間が経てば、これが自動運転タクシーにつながるかもしれない。
ホンダも、トヨタやBYDに続き、乗用車市場で最も強いセグメントに参入し、ハイブリッド車の販売を倍増させる計画だ。
こうした展開に冷笑的になるのは簡単だが、トヨタのハイブリッド車への取り組みは、純粋な電気バッテリー駆動車が未来の潮流だと考える人々から何年もの間嘲笑されてきたことを忘れてはならない。彼らは間違っていたし、ホンダと日産の合併に懐疑的な人々も間違っているかもしれない。しかし、トヨタ、ヒュンダイ、BYD、吉利などの攻撃的な競合相手に反撃するのは容易ではないだろう。
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