「シェブロン法理」は聞き慣れない言葉ですが、米国では当然の論理として扱われてきたようです。
簡単に言うと、行政機関が連邦政府機関の承認を得ずして、法律の解釈を行いその権力を執行できるという論理です。
米国でこれが覆されたと言うことは結構重要な出来事で、法治国家の基盤をその一部でも取り返したと言うことになります。
対米従属している日本も、同様に憲法をはじめとする法律に則らない、勝手な解釈で政治、行政、司法判断が執行されている例があります。
本来、これが、まかり通らない状況が生まれたと解釈してもよいと思います。
「シェブロン法理」は、1984年の「シェブロンU.S.A.対天然資源防衛協議会事件」という最高裁判例に由来している。同事件で最高裁は、法律があいまいな場合、裁判所は連邦政府機関の解釈に従うべきだという法的テストを提示した。
シェブロン法理は、選挙で選ばれたわけでもない連邦規制当局にあまりにも大きな権限を与え、より明確な法律を制定する責任を議会に問わないとして、しばし保守派の人々から批判されてきた。
米最高裁、政府規制当局の権限を制限-「シェブロン法理」覆す
- 環境や消費者保護、金融監督に影響-暗号資産やAIでは特に重要
- 曖昧な法を政府当局が解釈できる法理、民主党政権の規制設定に寄与
米連邦最高裁判所は28日、曖昧な法律を政府の規制当局が解釈できる法理を無効にした。何十年も続いた法理が覆されたことで、環境や消費者保護、金融監督において政府機関が持つ権限が制限される。
今回争点となったのは、漁業規制をめぐる訴訟で1984年に出された判決に由来する「シェブロン法理」と呼ばれるもの。これを最高裁判事が6対3で覆し、大きな政府に反対する保守派に待望の勝利をもたらした。民主党政権はこの法理を根拠に、新たな規制を設けてきた。
今回の最高裁判断は長期間維持されてきたルールだけでなく、これから政府機関が有する権限についても新たな疑問を呈する。特に暗号資産(仮想通貨)や人工知能(AI)といった新しい分野におけるルール作りには重要な意味を持つ。今回の判断により、政策に関する問題については立法化を通じて議会が直接的に対応するよう求めるとともに、規制当局が権限を超えた場合には、それを抑制する責務を下級裁判所の判事に与える。
ロバーツ最高裁長官は意見書で「シェブロン法理が作られたことで、判事は法律で定められた責務を無視することが求められた」と述べた。
原題:Supreme Court Overturns Chevron Rule in Blow to Agency Power (1)(抜粋)
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