中居氏問題がフジ全体に延焼か

現代政治はメディアコントロールによって成り立っている。
オールドメディア、ニューメディアなどの用語が使われるが、本質は変わらない。
メディアを用いて人心をコントロールする。
これがメディアの目的である。
メディアの有効性を高める際にカギを握るのは資金力。
巨大な資金を投じてメディアを支配すれば人心コントロールは容易になる。
結局は資金力=資本力がものをいう。
インターネットとスマホが普及し、さらにSNSが拡大したことで人心コントロールの主戦場が移行し始めている。
しかし、インターネット、SNS等のニューメディアにおいても影響力に決定的な影響を与えるのは資金力=資本力である点は変わらない。
オールドメディアの影響力は低下しつつあるが、影響力が消えたわけではない。
全国放送で1%の視聴率があればリアルタイムで100万人に情報を伝えることができる。
10%なら1000万人。
この規模のメディアはオールドメディア以外にほとんど存在しない。
人心をコントロールするための戦術として3Sが用いられた。
セックス、スクリーン、スポーツ。
エロ、芸能、スポーツだ。
この人心コントロール、メディアコントロールの中核に位置してきたのがテレビメディア。
そのテレビメディアのなかで重大な人権侵害が広がっていた。
白井聡氏との共著『沈む日本 4つの大罪』(ビジネス社)
でもメディアの問題を取り上げた。
数年来、無法地帯として放置されてきた問題に、ようやくメスが入り始めた。
私はJKTYと表現したが、芸能界の暗部に、ようやく光が当てられ始めた。
ジャニーズ、歌舞伎、宝塚、吉本。
ジャニーズの問題は古くから指摘も告発もあったが、長い間、放置され続けた。
それが、海外の報道機関による問題提起によって流れが変化した。
ジャニーズ事務所に対する圧力は強まったが、徹底的な真相解明と責任処理は行われていない。
中途半端な問題処理でお茶を濁す風土はまだ変わっていない。
歌舞伎の問題も宝塚の問題も吉本の問題も、すべてが中途半端な処理でお茶を濁す状態が続いている。
『沈む日本』でも論じたが、メディアの中核であるテレビ業界の闇はまだ暴かれていない。
タレントの中居正広氏と女性とのトラブル問題が表面化して、新たに浮上しているのがテレビ局の問題だ。
テレビ局は上場企業として活動しており、株主には海外の投資家も含まれる。
中居氏のトラブルについて、「週刊文春」はトラブルの端緒となった会食にフジテレビ社員が関わっていたと伝えたがフジテレビはこれを否定した。
昨年12月27日、公式サイトに
「内容については事実でないことが含まれており、記事中にある食事会に関しても、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」
と報道を完全否定した。
ところが、「週刊文春」は1月16日発売号に「現役のフジテレビアナウンサー」を仮名で登場させた上で、
「フジテレビの編成幹部A氏に献上された」
との告白を報じた。
フジテレビによる組織的な「上納システム」が存在したことを示唆する報道内容である。
こうしたなかで、フジテレビの親会社である「フジ・メディア・ホールディングス」大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が1月14日に、
「一連の出来事は、企業統治に深刻な欠陥があることを露呈している」
などと指摘し、第三者委員会の設置を求める書簡を送ったことを明らかにした。
問題は中居氏個人の問題からフジテレビ全体の問題に拡大しつつある。
芸能、スポーツから、いよいよメディア本体の闇に光が当てられることになる。
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