「中国からの嫌がらせ」は「高市政権にとって願ってもない大チャンス」だ…中国側が犯している「決定的な読み違い」

中国の圧力エスカレーションはまだまだ続く
高市総理の台湾有事に関する発言を巡って、中国政府の側から我が国に対して、手を替え、品を替え、様々な嫌がらせが相次いで突き付けられている状態になっている。
日本への留学への注意喚起、日本旅行の自粛勧告のようなものから、各種交流行事の中止、映画「クレヨンしんちゃん」の中国での公開の延期、さらには日本産水産物や日本産牛肉の輸入再開手続きの中止、反スパイ法による邦人摘発の強化に至るまで、様々なことが仕掛けられている。これは「中国がこんなに怒っているのは、高市総理が悪いのだ」という世論を日本国内で作り出し、これによって高市政権を追い詰めていこうということとして理解すればよい。
中国の薛剣・駐大阪総領事がXに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と書き込んだのは、日本の首相を安倍元総理のように暗殺することが、自分たちにはその意思さえあればできるんだと示唆するような不気味さを持つものである。
この書き込み自体は、日本側の抗議に応じて一応削除されたが、中国政府は薛剣総領事を事実上擁護する姿勢を維持し、その上で日本に対する圧力をどんどんと強めている。
このように追い込まれれば、薛剣総領事をペルソナノングラータに指定して追放したくなるところだが、このこと自体が中国側の思惑なのかもしれない。薛剣総領事をペルソナノングラータに指定し追放することを高市政権に選択させて、それを理由に今のレベルを遥かに超えた日本に対する制裁を、習近平政権は仕掛けるつもりなのではないか。
レアアースの輸出を禁止されると、我が国の主要産業である自動車産業などに大きな影響が及ぶのはよく知られたところだが、薬を作る原材料の輸出禁止なんてことも起こりうる話なのだ。
日本の製薬メーカーは、薬の原材料を中国から仕入れてそれをベースに薬を作っているに過ぎないと思った方がいい。日本国内の環境規制が厳しくなったことで、日本国内での製薬原材料の化学工業による生産が難しくなって、原材料は環境規制の緩い中国で作って、それを日本に輸入して加工するようになってしまったからだ。日本では自動車も作れない、薬も作れないなんて事態が生じたら、相当に大きな混乱が生まれることになる。
その混乱を乗り越えて日本全体が高市総理支持でまとまれれば一番いいのかもしれないが、親中派に大いに侵食されている今の日本でその選択をするのは、現実的にはリスクが大きい。
そもそも与党自民党の中にさえ、石破前総理、岩屋前外務大臣、村上前総務大臣に代表される親中派がわんさかいるのが実際だ。中国に工場を持っている企業からしても、当然ながらなるべく穏便に済ませてもらいたいと思うのはやむをえない。そういう筋からも政権には様々な圧力がかかってくるが、その結果として高市内閣が潰れるようなことになれば、それこそ中国の狙い通りになる。
アメリカのトランプ政権にしても、今回の件で中国を手厳しく非難しているかというと、そうではない。ジョージ・グラス駐日大使は、「さながら一足早くクリスマスを迎えた気分です。呉江浩駐日中国大使、薛剣駐大阪中国総領事におかれましては、揺るぎない日米の絆を一層深めるためのご尽力、まことにお疲れさまでございます。心からの感謝を。」との嫌味たっぷりの投稿をしてくれたものの、トランプ政権にしてもアメリカ国内に及びかねない実害について考えないわけにはいかないので、あまり強気発言に出られないのだ。
日本として大切なのは、安全保障環境を考えた場合に当然の発言を行なった高市総理を、できる限り国民一丸で守っていくことだ。
辻元清美に代表される「歪曲」の真意
ところで、高市発言についての歪曲が静かに広がっている。
例えば、立憲民主党の辻元清美議員はXにおいて次のように書き込んでいる。
「安保法制の議論は『台湾が米国に要請をし、米国(我が国と密接な関係にある他国)の軍隊が攻撃されるか、在日米軍基地が攻撃された場合』だった。しかし、高市答弁の『台湾有事は日本有事』は『台湾から日本が援助要請を受けて集団的自衛権を行使』するパターンのようで当てはまらない。」「高市答弁は『総理の自論』で、政府統一見解を逸脱していると考える。」
要するに、「中国が台湾を攻めたら、米軍に対する中国の攻撃がなくても、台湾からの援助要請を受けて、日本が台湾を守るために集団的自衛権を行使するんだ」というのが高市発言だと、辻元議員は言っているが、これは完全に歪曲だ。
高市発言については日本経済新聞が次のようにまとめたが、こちらの方が正確だ。
「首相は7日の国会答弁で『台湾に対し武力攻撃が発生する。海上封鎖を解くために米軍が来援し、それを防ぐために武力行使が行われる』というシミュレーションを口にした。そのうえで『戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ』と述べた。これ以上の具体論の言及は避けた。日本の近くで米中の武力衝突が発生し、自衛隊が米軍を防護するという想定について話したとみられる。」
日本と台湾は安全保障条約を結んでいるわけではないから、台湾を直接日本が支援することはできない。だが、中国軍がアメリカ軍を攻撃している時に、攻撃されたのは台湾沖だから、自衛隊はアメリカ軍を何があっても擁護しないなんてことは、ありえない。アメリカ軍が攻撃されたら、自衛隊が共に戦う可能性はどうしたって出てくると言わざるをえないというのが、高市発言である。米軍が関与することが前提なのに、辻元議員はそれを今回外したのだと言っている。
こういう詭弁を弄してでも、台湾沖での有事なら絶対に米軍を擁護しません、中国が台湾を武力侵攻するのを邪魔立てしませんと言わせたいのが立憲民主党であり、共産党であり、公明党であり、れいわ新選組であり、社民党であり、中国共産党なのだ。
その中国側に有利な状況というのは、台湾の人たちの意思が無視されても構わない、彼らの生命と財産が蹂躙され、塗炭の苦しみを味わうことは大したことではないというものであり、世界平和に反し、人道にも反する。こういうことを平然と主張する彼らが本当に「平和勢力」なのか。彼らは資本主義を貧富の格差を生むものだと嫌いながら、もっと激しい貧富の格差を生んでいる人権弾圧の強権独裁国家の意思を大切にしないといけないと思っているようだ。
もちろん今の中国は製造業の能力でいっても、軍事力でいっても、我が国をはるかに上回るわけで、単純に売られた喧嘩を買うことはできない。だが、こういう国家に国内が左右されてしまうという状況が巨大リスクなんであって、このリスクをなるべく小さくしていくことを、国家は当然目指していくべきではないか。
中国外交部局長のヤクザまがいの対応が
ところで、この日中の関係悪化は、今後どうなるのか。
ヤクザの因縁みたいなことをやって、この問題を長引かせることは、中国の国益を大いに損ねることになる。長引けば長引くほど、中国に進出している日本企業は、日本人社員の生命などに危険が及ぶかもしれないことへの警戒を高めることになる。
だから中国が客観的に自国の国益のことを考えているなら、このあたりで幕引きに動くと見るのが合理的なのだが、そういう動きにならなかった。
中国側の判断は、「今の日本の高市政権の政権基盤は脆弱だ、もう少し日本に対して圧力を加えれば、少数与党の高市政権を追い詰めて倒せる」というものだろうが、これは完全に読み違いだ。
SNS時代になって、オールドメディアの影響力がSNSに勝てなくなったことを、中国は見落としている。野党とマスコミが手を組んで高市政権を攻撃すれば、高市政権は崩壊すると見ているのである。
外務省の金井正彰アジア大洋州局長と中国外交部の劉勁松アジア局長との会談では、劉勁松氏のポケットに手を突っ込んでのまさにヤクザまがいの対応をしたが、ああいう中国側の態度が日本人をどれだけ怒らせているか、中国在住の日本人たちをどれだけ恐怖に陥れたかに、彼らは気づいていない。
何を仕掛けられても動じないドイツを見習え
では日本はどう対応すればいいのか。
ここで参考になるのはドイツだ。
ドイツのワーデフール外相は10月14日に「ロシアと中国は国際秩序を書き換えようとしている。中国は自らの覇権主義を正当化するためにロシアの暴力を支えている」「ロシアを後押しする中国を見て見ぬふりはできない」と述べて、中国を非難した。中国側がこのことを知ったのは、恐らくこの発言が公開された10月20日で、これを受けて10月26日に予定されていたワーデフール外相の訪中拒絶が10月24日に発表された。独中間に緊張が走ったのはいうまでもない。
ところがドイツ政府は、その後も中国に動揺を見せなかった。台湾の蔡英文前総統がドイツ入りすることを認め、11月10日にベルリンで開かれた「ベルリン自由会議」で「民主主義国家が直面する脅威:自由を守る台湾の経験」と題した講演を行うことを認めたのだ。
蔡氏は「台湾は脅威に直面した際に恐怖に打ち負かされるのではなく、挑戦を強靭性を築く基盤にしてきた」「強靭性によってわれわれは選挙を守り、パンデミックによる挑戦を乗り越え、情報操作に対抗してきた」「強靭性は民主主義が生き抜く鍵だ」とし、さらに「地域の安定と世界の安全は民主主義国家の共通の責任だ」「防衛力強化のために協力を増大させることは、全ての民主主義国家にとって共通の優先事項だ」とまで語った。
中国の圧迫に屈しない強靭性を身につけることが民主主義を守る道であり、そのために防衛力の強化を図るために民主主義国間の協力体制を強化することが重要だという、中国からしたら絶対に許せない話を行なったということになる。
中国からすれば、はらわたが煮えくりかえる思いだったんじゃないだろうか。
ところが、なんとその6日後の11月16日には、ドイツのクリングバイル副首相兼財務相が訪中し、17日には中国の何立峰副首相と会談しているのだ。
クリングバイル氏は「鉄鋼、太陽光発電、電動モビリティなどの主要分野での中国の過剰生産は、ドイツの視点で見ると公正な競争が脅かされ、雇用も危機にさらされている」「必要であれば、われわれの市場をより良く保護するために欧州レベルで決定を下すことを明確にした」「そうした事態は避けたいが、最終的に欧州の人々やわれわれドイツ人が取り残される側になってはならない」なんてことを堂々と話している。中国側の姿勢が変わらなければ、中国からの輸入を制限するぞと語ったのだ。
クリングバイル氏がこういう発言をするとわかっていながら、それでも中国は訪中を受け入れたのだ。ドイツとの本格的な関係悪化は中国の国益に反すると見ているだけでなく、ここから圧力を強めても、ドイツ側が反発するだけで、ドイツを分裂させることはできないと判断したのだろう。粛々と妥協しないで進むべき道を貫き通し、何を仕掛けても動じないとわかれば、中国は折れざるをえないのだ。
小野田紀美経済安全保障相は、「気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をする国に依存し過ぎることはリスクだ」「リスクの低減を常日ごろ考えながら経済を回していきたい」と語った。日本の財界にはこのことを肝に銘じてもらいたい。
なるべく早く、解散・総選挙を
ところで中国の日本の情勢の読み違いは、高市政権にとって願ってもないチャンスではないかと思う。
こんな中国とどう付き合っていくのか、中国リスクを前提に安全保障をどう考えるべきなのかを争点にして、解散総選挙を打った場合に、選挙結果はどうなるだろうか。
台湾の人たちの考えも生命も財産もどうだっていいんだ、中国様の邪魔をするのはけしからんのだ、同盟を結んでいる米軍が攻撃されても日本は米軍を裏切って関わらないようにするのが正しいのだという意見が、今のSNS時代に日本国民の多数派を占めるなんてことは起こらないだろう。もはや情報コントロールはできないからだ。
中国の覇権主義に日本人が一丸となって嫌気を示すことになれば、中国は自らの戦略ミスにようやく気づくことになる。
私はこのためにも、高市政権はなるべく早く解散・総選挙に打って出るべきではないかと思っている。
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