日銀によるETF売却の評価

日本銀行は9月19日の政策決定会合で株式市場の安定化を目的に購入してきたETF=上場投資信託の売却を決めた。
決定を受けて日経平均株価は一時800円余り下落して45000円を割り込んだ。
しかし、終値は45045円で45000円台を維持した。
9月17日にFRBは政策金利であるFFレートを0.25%引き下げた。
FRB金融緩和政策決定を受けて18日のNY株式市場ではNYダウ、S&P500、NASDAQの主要三指数がそろって最高値を更新。
この流れを受けて日経平均株価は取引時間中に45852円の史上最高値を記録したが、後場に入って日銀の政策決定が伝えられると一転して急落した。
日銀の政策決定は妥当だ。
そもそも、日銀がETFを買い入れることが正当でない。
2013年から2023年まで日銀総裁を10年務めたのが黒田東彦氏。
黒田日銀の政策運営は「アベノミクス」の一環であるが、この政策運営に大きな誤りがあった。
私は2013年6月に上梓した
『アベノリスク』(講談社)
で黒田日銀の政策路線の誤りを指摘した。
当時の論点は二つ
一つは、日銀のインフレ誘導は成功するか否か。
もう一つは、インフレ誘導政策そのものの是非。
多数派の主張は
インフレ誘導は正しい
インフレ誘導は実現する
だった。
これに対する私の見解は
インフレ誘導は正しくない
インフレ誘導は成功しない可能性が高い
だった。
結果として、
日銀のインフレ誘導は成功しなかった。
また、インフレ誘導政策の是非については、12年の時間が経過して決着した。
インフレ誘導政策は正しくない。
詳細は拙著
『財務省と日銀』(ビジネス社)
に詳述したので、ぜひご高覧賜りたい。
黒田日銀のインフレ誘導が失敗したのは、インフレが生じる必要十分条件が満たされなかったからだ。
必要条件は整っていたが十分条件が整わなかった。
黒田日銀がインフレ誘導に失敗したことは日本国民にとっては不幸中の幸いだった。
しかし、黒田氏の任期終了時に至り、インフレが生じる十分条件が整ってしまった。
コロナ融資が激増したことだ。
結果として日本のインフレ率は4%を突破。
このインフレで労働者実質賃金が大幅に減少してしまった。
22年から23年にかけて、日銀はインフレ抑止に政策を転換する必要があった。
しかし、黒田氏は任期終了時までインフレ誘導の旗を振り続けた。
ぎりぎりのところで日銀総裁が植田和男氏に交代。
植田氏が政策転換を実行して日本のインフレが燃え盛る最悪の事態が回避されつつある。
また、黒田日銀は株価上昇を誘導するために大量の日本株買い=ETF購入を進めてきた。
これも邪道である。
この邪道金融政策運営がようやく是正される道筋に回帰しつつある。
続きは本日の
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第4194号
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