米大統領選後に迫る大混乱…選挙結果を覆すハリス陣営の「禁じ手」とは?どちらが勝っても内戦に発展する可能性=高島康司

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米大統領選後に迫る大混乱…選挙結果を覆すハリス陣営の「禁じ手」とは?どちらが勝っても内戦に発展する可能性=高島康司 | マネーボイス
あと1週間で米大統領選挙が始まる。トランプとハリスのどちらが勝っても大きな混乱は避けられない状況だ。トランプもハリスも自分が敗北した場合の対応を考えている。それは、驚くべき計画だ。(『』高島康司) 【関連】今ここが人工知能「人間超え」の出発点。米国覇権の失墜、金融危機、大量辞職…2025年には劇変した世界が待

米大統領選後に迫る大混乱…選挙結果を覆すハリス陣営の「禁じ手」とは?どちらが勝っても内戦に発展する可能性=高島康司

あと1週間で米大統領選挙が始まる。トランプとハリスのどちらが勝っても大きな混乱は避けられない状況だ。トランプもハリスも自分が敗北した場合の対応を考えている。それは、驚くべき計画だ。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

【関連】今ここが人工知能「人間超え」の出発点。米国覇権の失墜、金融危機、大量辞職…2025年には劇変した世界が待っている=高島康司

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2024年10月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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米大統領選挙後に始まる混乱

米大統領選挙後にやってくる大きな混乱について解説したい。

米大統領選挙まであとわずか1週間だ。7月にバイデンが立候補を断念し、副大統領のカマラ・ハリスが候補として民主党から立候補した。カマラ旋風が吹き、一時はトランプを3ポイント近くリードしていたハリスだったが、ハリスのテレビインタビューで中身のなさが露呈したこともあり、いまは失速している。全米の主要な9つの世論調査機関の平均値では、49.3%のハリスに対し、トランプは48.5%だ。わずか0.8ポイント差でハリスがリードしている状況だ。これは誤差範囲の差だ。トランプはハリスとの差を確実に縮小させており、あと数日で支持率が逆転する可能性が大きくなっている。

一方、選挙の結果を左右すると考えられているアリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ニューハンプシャー州、ノースカロライナ州などの7つの接戦州では、わずかではあるがすべてトランプがリードしている。

この結果、全米の総得票数ではハリスがトランプを上回りながらも、選挙人の獲得数ではトランプが上回り、勝利するという、トランプがクリントンと争った2016年の大統領選挙と類似した結果になる可能性も出てきた。

いずれにせよ、トランプとハリスの一方が圧倒的な得票数で勝利しない限り、大統領選挙後の混乱は避けられない状況になっている。

絶対に敗北を認めない民主党

このような状況なので、両陣営は接戦で負けた場合の対応策をいま考えている。

特に、ハリス陣営の危機感は大きい。長年保守派の共和党員であり、「ネオコン」の代表であるディック・チェイニー元副大統領が、カマラ・ハリスに投票すると発表したことは話題となったが、彼は次のように述べ、トランプの勝利は民主主義を破壊するとして警告した。

「わが国の248年の歴史において、ドナルド・トランプほど共和国にとって大きな脅威となる人物は存在しなかった。有権者から拒絶された後も、嘘と暴力を使って権力の座に居座ろうと、彼は前回の選挙を盗もうとした。彼に再び権力を委ねることは決してできない」

また、「ブルッキングス研究所」の上級研究員であり「ワシントン・ポスト紙」の編集委員でもある「ネオコン」のロバート・ケーガンは、トランプの勝利は大統領独裁制になるとして警告している。

「わずか数年の間に、私たちは民主主義国家として比較的安定していた状態から、独裁国家になる可能性が数歩、数ヶ月の距離まで迫っている。トランプ独裁は共産主義の専制政治ではなく、ほとんどの人が抑圧を感じ、その影響を受けて生活することになる。この専制政治がひとりの人間の気まぐれに完全に左右されるという事実は、アメリカ人の権利が保証されたものではなく、条件付きのものになることを意味する」

このように民主党のハリス陣営は、トランプの勝利は248年間続いたアメリカの民主主義は終焉し、大統領独裁制と呼べるべきものに道を拓くとして、大変な危機感を抱いている。そのため、どんな手を使ってでもトランプの大統領就任を阻止する構えだ。

このように聞くと驚くかもしれないが、実際にそのような準備が進められている兆しがある。ハリス陣営は、阻止するためのいくつかの計画を考えているようだ。

憲法修正第14条の適用による大統領就任阻止

まずひとつは、憲法修正第14条の適用である。合衆国憲法には憲法修正第14条というものがある。これは、19世紀の南北戦争後に導入され、憲法順守を誓った米国の公務員が反乱に関与したり、反乱を起こした人物に対し支援や便宜を与えた場合に、将来の公職への就任を認めないと規定した条項だ。トランプが次回の大統領選挙で勝利した場合、これを適用してその大統領就任が阻止するというプランだ。

すでにトランプは、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関与したとして、証拠をすべて審理した裁判所が存在するコロラド州、イリノイ州、メイン州において、反逆罪で有罪判決を受けた。

だが、選挙結果を覆すために憲法修正第14条を適用するためには、最高裁の法的な手続きが必要になる。トランプが「反乱」に関与したと法的に認定される必要があるのだ。「反乱」と見なすには、トランプの行動が2021年1月6日の議会襲撃事件に直接関与し、それが法的に反乱と最高裁が認める必要がある。最高裁がどのようにこの問題を解釈し、トランプの行動を「反乱」と認めるかどうかが、彼の大統領就任を阻止するかどうかを決定づける重要な要因となる。現在の最高裁は保守派が多数を占めているため、トランプに有利な判決が下される可能性も考えられが、結果は分からない。

しかし、選挙に勝利した後、大統領に就任するまでの期間は限られている。トランプが正式に就任する前に憲法修正第14条が適用されるためには、迅速な法的手続きが必要となる。法的な争いが長引けば、トランプがすでに大統領に就任している状況も考えられる。

したがって、憲法修正第14条の適用でトランプの大統領就任を阻止するのは、かなりの困難が伴う。確実に使えるという手段ではない。

選挙結果の意義申し立て

そこで考えられているのが、2つ目の選択肢だ。これは、トランプが僅差で勝利した州で、選挙結果に異議を申し立てるための積極的な法的措置をハリス陣営が講じることである。その州の選挙手続きや票の集計に異議を申し立てることで、選挙結果を逆転できる可能性がある。

しかし、この方法も最終的に決定するのは争いの争点になった州の最高裁である。この法廷闘争は長期化する可能性もあり、トランプが大統領に就任する2025年の1月まで間に合わない可能性もある。

だからこれも、選挙結果を確実に逆転できる保証はない。

大衆動員戦略と弾劾裁判

そして第3の選択肢は、2016年のトランプ当選後に起こったような、選挙後の期間に民主党が大規模動員キャンペーンを行うことだ。長期的な抗議活動を継続するための準備を行い、トランプが大統領に就任しても、全米に混乱を拡大させ、トランプ政権を統治能力のない死に体の状態に追い込むことである。そして、大統領の弾劾裁判にまで持ち込み、トランプの辞任を迫るという方法だ。

しかし、大衆動員戦略を背景にした方法にはリスクが伴う。実際、トランプはすでに、大統領就任初日に「暴動取締法」を発令する可能性を示唆している。同法は、大統領が軍を国内警察として利用することを認めるものだ。このようにしてトランプは、国内で高まった抗議運動を早期に取り締まり、国内の混乱を封じ込めることができる。すると、弾劾裁判まで行くプロセスは中断されてしまうだろう。

さらに、民主主義と人権に対する継続的な攻撃に直面すると、人々は徐々に政治から離れて私生活に目を向けるようになり、抗議運動の関心は薄れてしまうことも考えられる。そうなると、抗議運動そのものが組織できなくなる。

最終手段の禁じ手、バイデンによる権力委譲の拒否

そして、次にあるのが最終手段としての禁じ手だ。これは、最もリスクが高く、最も物議を醸すものである。最初の3つは確立された憲法上の規範の範囲内で追求できるが、4つ目は一見したところ、その規範に違反しているように見える。

トランプ大統領就任の可能性に直面し、民主党はトランプへの権力移譲を拒否するようバイデン政権に促す可能性がある。このシナリオでは、バイデン大統領は辞任し、ハリス副大統領が大統領に就任する。意外にもこの措置を取る場合、憲法上の問題はないようなのだ。

そうなれば、ハリスは就任宣誓と「内外のあらゆる敵」から憲法を守るという公約を盾に、憲法を廃止する可能性がある人物への政権移譲を拒否しなければならないと宣言する。すでに一部の専門家は、状況がそれを必要とする場合、優れた政治家が考慮しなければならない選択肢となるとしている。

しかし、この最後の選択肢を行使することは、合衆国憲法に規定された選挙人制度と、トランプに投票した何百万人ものアメリカ国民を侮辱することになる。だが、この選択肢を支持する人々は、もしトランプのような憲法を無視し、独裁制に道を拓く人物が大統領選挙に当選した場合、現職の大統領には現行憲法を尊重し、各州の共和制を保証する義務があると主張している。

合衆国憲法の研究センターである「ナショナル・コンスティテューション・センター」は、憲法は「君主制、独裁制、貴族制、または恒久的な軍事支配による統治をいかなる州にも課すことを防ぐ」ことを義務づけていると説明している。これは、州における「君主制」、「独裁制」、「貴族制」、または「恒久的な軍事支配」を、多数決によって正当化することはできないということだ。そして、それが州に対して真実であるならば、連邦政府に対しても真実である。連邦政府自体が共和制の政府でなければ、この保障条項は意味を失う。

選挙による国民の投票を基本とする民主主義の制度には、民主的なプロセスによって、逆に民主主義を否定する独裁者を誕生させてしまう危険性を絶えずはらんでいる。例えば、1933年の総選挙の結果発足したナチスドイツのヒトラー政権などはその典型だ。だから、合衆国憲法には、民主主義を否定し独裁制を導入する人物が大統領選挙に勝利してしまった場合、これを阻止して共和制を守る義務が明記されているというのである。トランプが勝利してしまった場合、憲法のこの規定を適用し、バイデン政権はトランプへの権力の委譲を拒否するというのだ。

この決定は、やはり憲法によって発足が義務づけられている「憲法制定会議」が審査することになっている。「憲法制定会議」が権力の委譲の拒否が合法と判断された場合、ハリスが正式に大統領に就任することになる。

しかしこのとき、米軍は非常に難しい立場に置かれることになる。選挙で選ばれた大統領に従うべきなのか、それとも選挙の結果を独裁制への移行だとして、権力の委譲を拒否した政権にしたがうべきなのかという選択である。

2021年1月6日の連邦議会議事堂への乱入事件のとき、米統合参謀本部は、軍は憲法を支持し擁護するという軍の公約を再確認する声明を発表した。しかし現政権が、憲法の規定にしたがい当選した大統領に権力の委譲を拒否した場合は、軍はどちらにしたがうのだろうか?もしかしたら、軍の部隊によってしたがう側が分かれてくる可能性だってある。トランプにつく部隊と、ハリスにつく部隊である。

もし本当にこのような状況になると、国民は両方の陣営に分かれて激しく衝突することにもなりかねない。非常に危険である。これこそ、分断を越えて内乱にまで至る道ではないのだろうか?

10月4日、日本で公開になった『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を早速筆者も映画館に足を運び、見た。すでに内容は多くの記事や予告編などで知っていたものの、その衝撃は予想を越えるものだった。大統領選挙の対立をきっかけにして、分断したアメリカが内戦状態に突入するのではないかというシナリオは、これまで多く書かれてきた。それをテーマにした本も出版され、話題になっている。しかしそれらは、やはり活字を通して伝えられたイメージにしか過ぎなかったことが、「シビル・ウォーアメリカ最後の日」を見て分かった。

この映画はあまりにリアルである。臨場感のあふれる音響効果で、観客を戦場に引き込む迫力がある。まさに内戦を実体験できるような映画である。いまウクライナで戦われている戦場がアメリカにやってきたかのような感じだった。いまのアメリカの危うさを体感するには、絶好の映画である。

大統領選挙後にやってくる民主、共和両党の争いとそれがもたらす混乱は、この映画のような状況への第一歩になるのだろうか?

トランプの禁じ手と米国債の格下げ

一方、トランプ陣営もハリスに負けた場合を想定して、選挙結果を覆すための計画を準備している。

それは、トランプの敗北を決定した激戦州のいくつかで、大統領選挙に投票した選挙人を共和党の支持者に入れ替え、再度投票させるというものだ。選挙人の指名の権限は、実は州議会にある。州議会に働きかけ、これを行うということだ。

これがどういうことなのか、次回のメルマガで詳しく説明する。ハリス陣営の禁じ手にも驚くが、それに匹敵する禁じ手である。

さて、大統領選挙は接戦になる可能性が極めて高い。したがって、ここに解説したような混乱にもなる可能性がある。これが、経済的にも非常に大きいインパクトを与えるかもしれない。すでに、「ムーディーズ」や「スタンダード・アンド・プアーズ」などの大手格付け機関は、大統領選挙が混乱した場合の米国債の格下げの可能性を示唆している。その衝撃はあまりに大きい。

日本も影響を受けることは間違いない。これも次回のメルマガに詳しく書く。

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