
JOG(1475) 理性が暴走すると人はまごころを失う
「世のため人のため、こうすべき」という理性が暴走すると、人は目の前の他者へのまごころを失ってしまう。
■1.辺野古工事のダンプカー阻止で警備員を死なせた女性が「心は折れない」
伊勢: 花子ちゃん、2年前に沖縄の辺野古で起きたダンプカーの事故は知ってるかな? 基地建設反対派の70代女性が土砂搬出のダンプカーを止めようと車道に飛び出し、それを制止しようとした警備員の男性とともに車に巻き込まれて、男性は死亡、女性は脚の骨折などの重傷を負った事件だ。この件を報じた産経新聞の記事で、心の痛む箇所があってね、こういう一節だ。
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事故で重傷を負った女は「フェニックス(不死鳥)さん」と呼ばれていると地元紙に紹介された。記事には「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」などと記されていたが、死亡した警備員の妻は「本当に許せないし、とてもつらい」と心を痛めたとされる。[産経]
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花子: えー、自分がした行為で他の人が亡くなっても、その事で心は折れないのでしょうか?
伊勢: どうもそうらしい。その「フェニックス(不死鳥)さん」だけでなく、沖縄の反基地活動家たち、そして日本だけでなく世界の左翼活動家、いや右翼も含めて、どうも特定の思い込みで理性が暴走すると、人は本来持っているまごころを失ってしまうようなんだ。
人間には本能として他者を思いやる能力があると最近の学問は言っているけど、たとえばこの「フェニックスさん」には、「辺野古の工事に反対することが、沖縄のためだ」という思い込みがあるようだ。
そして、そのような思い込みによって、「自分の行為で他者を死なせ、その遺族に大変な迷惑をかけてしまった」という痛みを感じる、人間本来のまごころを失ってしまったのだろう。そういう姿を遺族が見たら、「本当に許せないし、とてもつらい」と思うよね。
花子: 私が遺族だったら、当然、そう感じると思います。
伊勢: それが人間本来のまごころなんだけど、「基地建設許すまじ」という思い込みで、人はそのまごころを失ってしまう。沖縄の反基地活動を見ていると、そういう現象があちこちで見られるんだ。
■2.辺野古沖の転覆事故に見るまごころのなさ
伊勢: ついこの間も辺野古沖で高校生たちが乗っていたボートが転覆して、船長と女子高校生が亡くなった事件があったよね。亡くなった女子高校生・知華さんの遺族が「沖縄研修旅行の異質さ」と題した文章を発表されているけど、それを読むと本当に心が痛む。知華さんは、お母さんから「なんで辺野古を選んだの?」と聞かれて、こう答えていたそうだ。
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「美ら海水族館に行きたいんだけど、美術館で怖い絵を見るよりかは、お友達と綺麗な珊瑚礁を見る方が楽しそうじゃん」[遺族R080401]
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花子: そういう気持ちで参加していたんですね。沖縄に行くなら、綺麗な珊瑚礁を見たいという気持ちは、私にもよく分かります。
伊勢: しかし、その研修旅行は生徒や保護者に十分な説明がないまま[文科省、遺族R080401]、反基地団体が運行する抗議船に定員ギリギリまで生徒を乗せて、波浪注意報が出ている荒海に漕ぎ出して、2隻とも転覆したんだ。
花子: どうしてそんなことができるんでしょう……。
伊勢: これは単なる不注意や能力不足によるミスとして片付けられる事故ではない。人としての真っ当なまごころを持っていたら、まずは、大切な生徒たちを預かって、事故など決して起こしてはならない、と思うだろう。
それが本来のまごころなのに、反基地団体の人々は「生徒達に辺野古の工事を沖から見せて、沖縄の美しい海を壊す基地建設工事など許してはいけない、と学ばせることが沖縄のためであり、生徒たちのためだ」という思い込みに支配されていたとしたら、それも人本来のまごころを失った姿だよね。
伊勢: また、反基地団体の記者会見の席上で、男性の一人がふんぞり返って腕組みをしていて、「謝罪会見とは思えない」「誠実さが感じられない」などという批判でSNSが炎上していた。私は、この男性の姿勢に、「俺たちは反基地運動という沖縄のため、日本のために重要な活動をしているのに」という思い込みから、人間本来のまごころを失った姿をここでも見たような気がしたんだ。
花子: 謝罪の記者会見でふんぞり返って腕組みをしていたら、そう思われても仕方ありませんよね。

伊勢: 知華さんの遺族は、こう書いている。
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平和丸の船長、乗組員、ヘリ基地反対協議会その他の関係責任者達
沖縄にいる間、知華や私たちへ対面しての直接の謝罪、面会可否の問い合わせ、託された手紙、弔電、何ひとつありませんでした。学校、ツアー会社、中城海上保安部のいずれのルートでも問い合わせがなかったことを確認しています。
私はこれを、どう理解すれば良いのでしょうか。[遺族、R080417]
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花子: 人間本来のまごころを失った姿勢が、遺族をさらに苦しめているのですね。ダンプカー事故の遺族と同じですね。
■3.沖縄防衛局の職員にけがを負わせた過激派
伊勢: 元産経記者・三枝玄太郎氏による『メディアはなぜ左傾化するのか:産経記者受難記』[三枝]では、氏が長年の取材現場で体験した左翼活動の実態が語られていて、「左翼思考がまごころを失わせる」という思いを何度もしたよ。三枝氏は沖縄でも取材をしていて、そこでの左翼の活動実態を体験的に紹介している。
沖縄での反基地活動の実態を、自ら調べた時のこと。地元の人に聞くと、ヘリパッドの建設工事への反対運動について、「青テントの方は山城氏が率いているから気を付けた方が良いですね」と脅かされたそうだ。
花子: 山城氏って、どんな人なんですか?
伊勢: 三枝さんはこう説明している。
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ただ、沖縄の基地移設反対運動の一部に過激な行動を取る人がおり、地元住民の中に不満を持つ人や怖がる人がいたのもまた事実だ。
例えば山城博治・沖縄平和運動センター議長(当時)は、2015年、16年と立て続けに米軍敷地内に許可なく侵入したり、有刺鉄線を許可なく切断して、米軍基地内に入ったりした器物損壊などの容疑で現行犯逮捕されたり、沖縄防衛局の職員にけがを負わせたとして、傷害や公務執行妨害などの容疑でも訴追されている(懲役2年、執行猶予3年の有罪判決が確定)。[三枝、p177]
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花子: 山城博治という活動家は、「沖縄のため日本のため」という考えから、目の前にいる沖縄防衛局の職員に怪我までさせているのですね。それも人本来のまごころを失った姿ですね。
■4.「見てくださいよ。この路上駐車の車」
花子: そもそも沖縄の地元の人たちは、基地についてどう思っているんですか?
伊勢: それが驚くべき実態があってね。三枝さんはこう語っている。
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辺野古を歩くと、地元住民のうち直接話を聞いた住民は全て「基地移設賛成」だった。実は辺野古地区の住民と米軍は非常に良好な関係を保っており、キャンプ・シュワブでは毎年12月、辺野古地区の子供たちを招いてクリスマスイベントを開いている。
地元紙はこれをほとんど報じない。[三枝、p191]
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花子: えっ、全員賛成だったんですか? それを地元紙が報じないなんて……。
伊勢: さらに区長の話では、「反対の意思表示をしている地元住民は一人、二人といった程度だ」ということだった。それを聞いた三枝さんはこう述べている。
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これには心底驚いてしまった。辺野古といえば、地元の人たちは当然、強硬に反対していると思い込んでいたからだ。[三枝、p193]
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花子: 地元の人々は、そういうマスコミや活動家のことをどう思っているのでしょうか?
伊勢: 三枝さんが産経新聞と名乗ったとたん、堰を切ったように話し出した30歳代の男性もいたそうだ。
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「見てくださいよ。この路上駐車の車。これ、皆、反対運動に参加するために県内のよそから来た車なんですよ。これがしょっちゅうなんですから。僕はこうした車のせいで職場に遅刻して怒られたことがある。基地に対する賛成、反対の前に常識がない」[三枝、p192]
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伊勢: 「常識がない」というのは、基地反対運動という日本のための活動なら違法駐車くらい許されると考えている、まさに「まごころのなさ」だろう。
■5.実は「いい人」だった玉城知事
伊勢: 反基地活動のためには法を破ってもいい、という姿勢は玉城デニー沖縄県知事自身も示している。
辺野古での埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり、改良工事のための設計変更を玉城知事が不承認にしたことをめぐる争いがあった。国は県の不承認に対して是正指示を出し、玉城知事はその取り消しを求めて提訴した。2023年9月に最高裁で県の敗訴が確定したんだけど、国の是正指示には従わなかった。
花子: 自分で裁判を起こしておいて、負けても従わないということですか?
伊勢: そういうことだ。とんでもない人物だと思うだろうけど、玉城知事は実は「いい人」だという話もあるんだ。産経の杉本康士記者が書いた記事によると、他社の記者が異動で沖縄を去ることになり、記者仲間で寄せ書きをプレゼントすることになった。せっかくだから玉城知事のメッセージもほしいという話になり、杉本記者が知事に頼む役を任されたそうだ。
でも杉本記者は知事批判の記事をたくさん書いていたので、「断られるのではないか」と少し緊張しながら頼んだそうだ。すると玉城知事は満面の笑みで「杉本さんの頼みだったら断るわけにいかないじゃないですかぁ」と言ってくれたそうだ。杉本記者が東京転勤になった時も、寄せ書きに「沖縄にきたら飲みに行きましょう!」と書いてくれたという。
花子: それは本来のまごころのある「いい人」みたいですね。でも、そんな人がどうして最高裁の判決無視までするんですか?
■6.なぜ「いい人」のまごころが失われるのか?
伊勢: その裏話が三枝氏の本に書かれているんだ。
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だが沖縄タイムスによると、玉城知事の心は揺れ動いていたらしい。国交相の承認指示の期限まで4日と迫った2023年9月30日夕、県庁近くの玉城知事の後援会事務所で、玉城知事に後援会長の仲里利信氏がこう詰め寄ったのだという。
「(JOG注: 最高裁判決に従ったら)全て終わる。絶対に承認してはいけない」
玉城知事が「承認拒否」。つまり最高裁判決に従わない、法治主義をかなぐり捨てた瞬間だった。この決定の背後にも「琉球独立派」の仲里氏の影があった。[三枝、p193]
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花子: その仲里氏って、どんな人なんですか?
伊勢: 仲里氏は元衆議院議員、かつ元県議会議長で、政界では玉城氏の大先輩にあたる人物らしい。玉城氏が2期目の知事選に出馬する際に後援会長を引き受けた。出陣式ではこう言ったと伝えられている。
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「・・・これからはやはり世界に目を向けて、我々から琉球と中国は昔からの友好関係にある国だということで、是非、玉城知事には当選してもらって、ウチナー(我々沖縄人)を救ってほしい」
つまり米軍普天間基地の名護市辺野古への移設は意地でも反対して、沖縄は中国と友好関係を進めていきたいというのである。[三枝、p190]
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伊勢: 県知事が最高裁判所の判決に従わなかったら、県の行政に従わない住民が出てきて県政が混乱しても、どうしようもない。そんなふうに県政を乱したら、申し訳ないと思うのが政治家としての「まごころ」だろう。玉城知事がもともと「まごころ」の深い人でも、特定の思い込みで「まごころを失った」組織の中でいると、まごころを失ってしまう、ということのようだ。
■7.理性の暴走が人本来の思いやりを歪める
伊勢: 実は左翼思考は、世界中の人々のまごころを失わしめている。1970年代の学生運動が激しかった時代では、内ゲバ(過激派派閥間の内部抗争)で全国で100人以上の学生が殺されたという。[JOG(916)]
もともとまごころの深い日本社会だからこの程度で済んでいるけど、毛沢東が引き起こした「文化大革命」では、虐殺された人は40万人と言われている。[JOG(110)]
フランスの研究者ステファヌ・クルトワ他による『共産主義黒書』によれば、共産主義の犠牲者は1億人近くに達するという。これは第1次、2次大戦死者合計の2倍近くと、20世紀の人類最大の災厄だった。[JOG(1173)]
花子: えー、1億人も!
伊勢: どこの国でも、左翼思考に染まった人間は、理性が暴走してしまって、「反対者を抹殺することまで社会のためだ」というように、思い込んでしまうようだ。もっとも理性の暴走は左翼だけのものではなくて、右翼的思考から政治家を暗殺するテロリストもいる。また「聖戦」を叫んで旅客機で高層ビルに突っ込んだ狂信派もいる。
こういう理性の暴走で、人間本来のまごころは失われてしまう。それを止めるには、二つのことが必要だ。一つは他者への思いやりや共感という人間らしい感性を健全に保つこと。もう一つは、我々の理性には限界があり、時として暴走するものだという常識をしっかり持つことだ。
花子: 日本人の持つまごころが世界の人々から高く評価されていますけど、それは仕合わせな社会を作る上で、本当に大事なんですね。


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