もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」

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もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」(朝香 豊) @gendai_biz
トランプが中国の海軍力に恐れを抱き、ロシアに媚びながらウクライナ和平を急ぐ真の理由とは?アメリカの国防力が急激に低下する中、トランプはウクライナ支援を後回しにし、中国への対応に全力を注ぐ必要性を痛感している!

もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」

ますます優勢になる中国の海軍力

トランプの軍事戦略をどう見ればいいのだろうか。

狂人を装うマッドマン戦略で動いているトランプが本音で何を考えているのかを理解するのは非常に難しいが、今回はここを考えてみよう。

トランプは中国との軍事的なバランスが崩れてきていることに危機感を持っている。

そしてその危機感は、米中の製造業の力の差に立脚している部分も大きい。

トランプのMAGA戦略においては、アメリカでの製造業の復活を重視しているが、ここには国防に対する意識も強く働いている。

by Gettyimages

例えば、今や中国の造船業の世界的なシェアは7割に達している一方、アメリカの造船業は中国の232分の1にすぎない。

中国は圧倒的な造船能力を背景に、中国海軍の艦船を2030年までに460隻に増やすと予想される一方、米国海軍はこのままでは260隻にまで減る見通しだ。しかも米軍の艦船が世界に分散して展開している一方で、中国の艦船は東シナ海、南シナ海にほぼ集中している。

この限られた領域においては、中国の海軍力は優勢になりつつあり、この傾向は今後さらに強まっていくというのは、侮らないで見ておくべき現実だ。  

古い米軍の艦船がどんどん引退に追い込まれる一方、中国の艦船はさらに充実することは、容易に想像できるからだ。

こういう状態に危機感を抱いたトランプは、ホワイトハウス内に造船局を新設すると発表し、国防を支える基盤を強化するため、民間と軍用の造船業を復活させることを打ち出したが、トランプ政権の動きはそれだけではない。

なんと米通商代表部(USTR)は中国製の船が米国の港を使う場合、1回あたり100万ドル(約1.5億円)の入港料を徴収する案を公表した。

ここでのポイントは中国籍の船ではなく、中国製の船であるというところだ。

普通に考えれば、これは無茶苦茶としか言いようがない。

船は何十年も使い続けるものだ。中国製の船だとアメリカに事実上入港できないとなれば、中国製の船の所有者の打撃は実に大きい。

中国製の船の所有者が世界中にいることを考えれば、世界中から反発を喰らいそうな政策だ。

だがそういう政策を打ち出してでも、中国に造船が集中する状況を変えなければならないと、トランプ政権は真剣に考えているのだ。

ウクライナでますます軍事的体力を落としたアメリカ

単純な善悪論に基づく考え方では、軍事的な視点が一般に抜け落ちがちである。軍事のことを真剣に考えることを、けがらわしいとか野蛮だと思う人さえ多いだろう。

しかし、「正義」なり「道理」なりが通用するのは、軍事を必要とせずとも、正義や道理が機能する社会的な仕組みが機能している場合に限られるのが現実だ。

表面的には軍事的なものが全く機能していないように見え、軍事的な解決が重要だとは全く感じられないまま進んでいく日常においても、根底においては、軍事は一般的な「正義」や「道理」よりも優先しているのが実際である。

ここでウクライナについて考えてみよう。

ウクライナを守るためには、ロシアからの軍事侵攻をなんとしてでもさせないということが重要だったのだが、これを西側は事実上許してしまった。

ロシアの行動は正義や道理に沿って判断すれば絶対に許されることではないが、これに対処するとすればロシアを口先でいくら厳しく批判しても変わらず、軍事的な対応を交えて解決を図る以外にはない。

それなのに西側陣営は、ロシア側の核の脅しにビビりながら、ウクライナが勝てるようなレベルの支援は決して行わなかったし、支援体制を迅速に構築することもしなかった。ウクライナが敗北するのを止めるレベルの支援しか行わなかったのだ。その中でずるずると戦争を長引かせ、結果としてウクライナをどんどんと疲弊させていったのだ。

ここでもう一つ見ておかなければならないのは、バイデン政権の4年間で、アメリカの国防力は大きく削減されたというところだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルは2024年3月13日の「米軍を縮小するバイデン氏」という社説で次のように記した。

「2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の国防総省予算としてバイデン大統領が要求した8500億ドル(約125兆円)は、2024年度から1%増えただけだ。これはインフレ調整後の実質ではマイナスになり、バイデン氏はこうした提案を4年連続で行っている」

バイデン民主党はネオコン勢力が支配して、各地で戦争を引き起こしてそこに武器などを売りつけて儲けることを狙っている戦争屋だったという話を信じている人も多いが、それは真実からかけ離れた議論だ。

彼らが戦争屋だったなら、紛争発生を口実として軍事予算を増やしていただろう。

意図的かどうかは別として、彼らは各地で紛争が生み出されるのを事実上容認しながら、その一方で戦争に備える軍事予算は年々削減しつつ、米軍の武器在庫をどんどん枯渇化させていったのだ。

この結果としてアメリカは、ウクライナの支援を続けながら、中国の台湾侵略の野望を食い止める力をどんどん失っていったと言わざるをえない。

この現実からトランプ政権は出発したのである。

日本よ、ウクライナ支援ではなく対中強化を

さて、トランプの国防戦略の理論面から担うのは、リアリストの戦略家として知られるエルブリッジ・コルビーだ。

コルビーは、今やアメリカには十分な国防力がなく、中国の台湾侵略を抑制することに米軍が全力を傾けても抑制できるかわからないと考えている。

最近コルビーは台湾にGDPの10%の国防費を、日本には3%の国防費をそれぞれ求めて注目を浴びたが、彼の目からすれば、そのくらい台湾は危険な状況にある。

これをリアルな前提とした場合に、台湾有事に備える戦力を考えずに、とにかくロシアの道義的な悪を絶対に許すことはできないとの立場で突っ走るのが正解なのかというのが、コルビーの判断だ。

アメリカには道義を重視して、中国もロシアも許さないとするマット・ポッティンジャーのような人物もいるが、トランプは1期目で重用したポッティンジャーを外し、コルビーに切り替えた。

コルビーは2024年6月に読売新聞上で、次のように発言している。

「道徳的観点からウクライナの大義を支持しているが、米国はすでにウクライナに1700億ドルを援助し、武器も大量に与えた。だから、これからはトランプ氏の言うように、欧州にやってもらえばいいのではないか」

正義の立場に立てば、ウクライナを当然支持すべきだが、もうアメリカにはウクライナを支持する余力はないのだということを、正直に語っているのだ。

ちなみにコルビーは次のようにも発言している。

「日本政府への最大の不満は、防衛面での動きが鈍いことに加え、ウクライナ支援に集中していることだ。中国の長期的目標は、日本を米国との同盟から切り離し、一種の属国にさせることだ。日本は自国を守ることに集中すべきだ。」

日本はウクライナの状況を見て優等生的な態度を見せている場合なのか。自国の安全保障に直結することをもっと真剣に考えるべきではないのか。こうコルビーは発言しているのだ。

突っ張りきれないロシアの事情

トランプがウクライナの停戦を最優先する姿勢を示している理由は、無視できない中国の脅威の大きさに対しての、現実のアメリカの対応能力の乏しさにある。

もっとも、いくらトランプが停戦を望んだとしても、ロシア側がこれを飲むかどうかはもちろんわからない。

とはいえ、可能性は間違いなくある。

現在ロシアはウクライナより優位に戦争を進めているとはいえ、ロシアもかなり苦しいところに追い込まれてきている。

この3年余りの戦争の中で、ロシア軍の装甲車両はすでに12000両程度失われ、さすがに在庫が枯渇してきている。

装甲車の準備ができなくなってきた中で、装甲車の代わりに小型乗用車の突撃が常態化し、輸送にロバや馬も使い始めている有様だ。

北朝鮮兵に頼らなければならないほどに、ロシアは兵士不足にも苦しんでいる。

経済面でも戦争経済の歪みがロシア経済に打撃を与えているのが、ロシア国内でも報じられるようになった。

ロシアの有力紙「独立新聞」は、新車のうち60万~70万台が売れ残っており、今年の在庫は昨年の2倍に上るようになり、今年の国内の新車販売台数が昨年比20%減の130万台程度になる可能性を指摘している。インフレ抑制とルーブルの通貨価値を守るためには高金利政策をとらざるをえないが、その結果として自動車ローンが組めなくなっているのだ。

中古車の販売台数も毎年減少が続いており、今年も昨年比で5~15%減となる650万~600万台にとどまる見込みとなっている。

ロシアの体制紙のイズベスチヤは、政策金利が21%に達する高金利のために、昨年の住宅ローン滞納額が前年比63%増となる計950億ルーブル(約1600億円)と過去最高になったこと、銀行はローンが不良債権化することに警戒感を強めており、1月に承認したローンは申請全体のわずか5%だったことを報じた。

ロシアの大手コンサル会社によると、2025年の新築物件販売数は2024年比で19~35%減少するとの見通しだ。

経済紙ベドモスチは、多くの産業分野で金利支払いの負担が増大しており、「露経済は企業倒産の大規模増加リスクに直面している」との記事を掲載した。

露鉄鋼大手セベルスタリのモルダショフ会長は「現在の高金利では事業を拡大するよりも銀行預金する方がもうかる」「インフレ抑制のための高金利がむしろ企業の生産活動を低下させ、インフレを加速させるリスクになっている」と苦言を呈した。

ロイターは、ロシアの経済発展省の内部の報告書の中に「テクニカル・リセッション(景気後退)に及びかねない景気の減速が、インフレ率の鈍化よりはるかに速いペースで起こる可能性が高まっている」との文言があったことを報じている。

だから突っ張りきれない国内事情を優先して、ロシアが停戦に応じる可能性はあるはずだ。

ただただ、国力を対中国に集中するために

トランプが口先で極端なロシア寄りの姿勢を示したのは、ロシアを停戦に応じさせるための誘い水だった。ロシアに好意的なトランプ発言がロシア国内でも大々的に何度も報じられたことで、ロシアの空気を変えようとしたのだろう。

それでも停戦が必ず起こるかどうかはわからない。

先日ウクライナが合意した停戦案には、ロシア側が求めていた、ウクライナの4つの州からのウクライナ軍の全面的な撤退とか、ウクライナのNATO非加盟の確約といった条件は示されていない。アメリカはウクライナの主権と独立を守る姿勢を放棄していないし、それゆえにウクライナはアメリカの停戦案に同意したのだ。

だからそれでは乗れないと、ロシアが拒絶することは当然ありうる。

ただいずれにせよ、アメリカはウクライナから手を引き、中国対応に集中しなければならないのだ。そのためにはヨーロッパがアメリカの負担をほぼ全て引き受けてくれるくらいに意識を変えてくれることがどうしても必要になった。

それに即した動きを実現するために、トランプがマッドマン戦略でヨーロッパを慌てさせ、この間の動きを作ってきたと見るのが、正しいのではないか。

私はこんなふうに見ている。

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