これがウクライナの「現実」…ゼレンスキー大統領追放のカウントダウンが始まった!

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ゼレンスキー大統領追放のカウントダウンが始まった
7月19日、アメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、ウクライナのゼレンスキー大統領がアメリカの圧力で追放される可能性があると報告した。トランプ大統領は、ゼレンスキーが和平交渉を妨げているとの見解を示し、後継者として元軍司令官のザルジニーを挙げた。ゼレンスキー政権は腐敗や法の支配の問題を抱えており、内閣改造などの動きが注目されている。

これがウクライナの「現実」…ゼレンスキー大統領追放のカウントダウンが始まった!

最近、欧米や日本のマスメディアは、米国のドナルド・トランプ大統領がウラジーミル・プーチンを見限ったかのような報道が頻繁にみられる。それは、7月14日、トランプが北大西洋条約機構(NATO)のマーク・ルッテ事務総長との会談(下の写真)の際、ウクライナ紛争が50日以内に解決しなければ、ロシアとその貿易パートナーに100%の「非常に厳しい」関税を課すと脅したからである。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領の肩をもつ西側メディアは「現実」をまったく伝えていない。

(出所)https://www.washingtonpost.com/politics/2025/07/14/trump-ukraine-weapons-sanctions/

シーモア・ハーシュの爆弾記事

7月19日になって、アメリカの著名なジャーナリスト、シーモア・ハーシュは自分の運営するサイトで、「ゼレンスキーの終わり? ワシントンはウクライナ大統領の退陣を望んでいるが、それは実現するのか?」という記事を公開した。

ハーシュについては、拙著『帝国主義アメリカの野望』において、つぎのように書いておいた(106頁)。

「ピューリッツァー賞の受賞歴のあるジャーナリスト、シーモア・ハーシュは2023年2月8日、「アメリカはいかにしてノルドストリーム・パイプラインを破壊したのか」という長文の記事を公開した。そのなかで、彼は『作戦計画を直接知っている』ある無名の情報源を引用して、米海軍の『熟練深海ダイバー』が2022年6月の訓練中にC-4爆薬を仕掛け、その3カ月後に遠隔操作で爆発させた方法を詳述している。バルト海海底に敷設されたガス輸送用PL爆破の命令を下したのは、バイデン大統領であるというのだ」

この優れたジャーナリストであるハーシュは、19日の記事のなかで、実にショッキングなことを明らかにしている。「ドナルド・トランプ大統領が決断すれば、ゼレンスキーは国外追放の候補に挙がっている」というのだ。さらにつづけて、ハーシュはつぎのように書いている。

「もしゼレンスキーがオフィスを去ることを拒否すれば、おそらくそうなるだろうが、ある米政府関係者は私にこう言った。『彼は力ずくで追放されるだろう。ボールは彼のコートにある』」

重要なのは、ハーシュのつぎの指摘である。「ワシントンとウクライナには、エスカレートするロシアとの空中戦を、プーチン大統領との和解のチャンスがあるうちに、すぐに終わらせなければならないと考えている人が大勢いる」というのがそれである。その一人がトランプであり、迅速な停戦・和平を実現するうえで、ゼレンスキーが「邪魔者」であることが広く認識されていることになる。

このサイトで何度も指摘しているように、ゼレンスキーは戦争継続派であり、戦争をつづけることで、昨年5月に任期が切れている大統領の地位にしがみつこうとしている。戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ国民の死傷者が増えるにもかかわらず、表面上はロシアに即時停戦を求めながら、実際には戦争継続に余念がない。米国から武器を購入するために欧州の支援を求め、ロシアに近接する欧州諸国はゼレンスキーの権力維持の企みを黙認している。

それでも、7月15日付の「ニューヨークタイムズ」の記事のなかで、パリ政治学院の教授でフランス首相のアドバイザーを務めるザキ・ライディはきわめて的確な指摘をしている。

新たな武器の流入はウクライナ人を助けるだろうが、「現地の状況をわずかに変えるだけだ」とライディはいう。そのうえで、彼は、「この戦争は軍事的手段では終わらない。 いずれにせよ、私たちは政治的解決に取り組まなければならない」とのべている。そう、本当に必要なのは政治的解決なのだ。

「法の支配」無視のゼレンスキー

政治的解決には、一方的な解決はありえない。妥協の産物として、ウクライナとロシアの双方が折り合う必要がある。そう考えるとき、ウクライナのゼレンスキーにばかり肩入れしてきた日本や欧米のマスメディアの論調は大いに批判されなければならないだろう。

このサイトで紹介してきたように、ゼレンスキー政権は兵員不足に悩んでおり、男性国民を無理やり動員するためにバスに押し込めるという「バス化」を繰り返している(拙稿「ウクライナで恐ろしい「バス化」=路上強制兵役連行が頻発中!」を参照)。はっきり言えば、ウクライナには「法の支配」など存在しない。

最近になって、「法の支配」を無視するゼレンスキー政権の別の証拠が明らかになった。それは、裁判への露骨な干渉である。7月14日付の「フィナンシャルタイムズ」の報道によると、ゼレンスキー政権は最近、二つの米国系ファンドが、以前、オデーサ港にあるオリンぺクス・ターミナル(下の写真)を所有し貸し倒れを起こしたオデーサの大物実業家ウォロディミール・ナウメンコから、その9500万ドルの担保をファンドの債権回収のために入手するのを支援したのである。すなわち、5月にナウメンコが債権者を詐取した容疑で逮捕された後、ウクライナの最高裁判所は7月に、年間500万トン近い生産能力を持つ、国内最大級のターミナルの主要資産の引き渡しに署名した。しかも、それを「調整」したことをアンドリー・イェルマーク大統領府長官が自ら認めている。

つまり、行政権だけでなく、「独裁的な権力」をもつ大統領府は、司法の最高機関である最高裁の判決にまで露骨に干渉して、米国のご機嫌取りを強いているというのだ。

オデッサのオリンぺクス・ターミナルは年間500万トン近くの生産能力を持ち、ウクライナ最大級のターミナル  © Bo Amstrup/Ritzau Scanpix/AFP/Getty Images

(出所)https://www.ft.com/content/82091347-2637-4729-b025-931fccb8bc42

女性新首相にも「腐敗臭」

ゼレンスキーは7月に内閣改造を断行した。西側のマスメディアは、この改造が「腐敗隠し」のための工作でしかないことを報じない。だが、少なくとも米国側はゼレンスキー政権のひどさに気づいている。ゆえに、ウクライナ内部からもゼレンスキーへの批判が少しずつ沸き上がるようになっている。

まず、不可思議なのは、戒厳令法第10条第1項において、ウクライナ大統領、ウクライナ最高議会、ウクライナ内閣などは、「戒厳令の期間中、それらの権限を停止することはできない」と規定されているにもかかわらず、内閣改造を断行したことである。

この規定があったためか、2020年3月に首相になったデニス・シュミハリは5年以上も首相の座にあった。ところが、7月15日、シュミハリはウクライナ最高議会に対して辞表を提出し、議会は辞任を承認した。ゼレンスキーは後任にユリア・スヴィリデンコ第一副首相兼経済相を指名し、17日、議会はスヴィリデンコら新内閣を承認した。どうして戒厳令法を無視できるのか、理由はよくわからない。

首相となったスヴィリデンコ(下の写真)は、イェルマーク大統領府長官の子飼いだ。2020年12月から、大統領府副長官を務めた「縁」が二人の関係を強めた。そんな彼女が首相に抜擢されたのは、米国との鉱物資源協定を結ぶ際、米国の理不尽とも言える要求を何とかまとめ上げた功績によるらしい。といっても、拙稿「トランプの『ウクライナ植民地計画』をなぜゼレンスキーは容認したのか?」に書いたように、ウクライナ側は屈辱外交を二つのサブ協定の隠蔽で蓋っただけの話だ。

2024年6月7日、パリのエリゼ宮でフランス外相と文書に署名した後、スヴィリデンコ副首相兼経済相に拍手を送るゼレンスキー大統領 (Yoan Valat/Pool/AFP/Getty Images)

(出所)https://www.washingtonpost.com/world/2025/07/15/ukraine-zelensky-government-reshuffle-trump-svyrydenko/

例によって彼女にも「腐敗臭」が漂っている。2023年から私立キーウ経済大学(KSE)の客員講師を務める彼女は、2024年の教師収入として310万フリヴニャ(約1100万円)を申告した。KSEの学長は、スヴィリデンコがたしかに大学で毎月6000ドル以上を受け取っていることを認めたという(ロシア報道による)。これは、西側の「常識」からみても、腐敗のニオイがする。今年に入って、国家反腐敗局(NABU)は彼女に対する汚職防止法遵守チェックを開始した。

ついでに、彼女の兄弟の一人は、ウクライナ戦争の4年目にロンドンに飛び立ち、戻っていない(ウクライナ報道による)。動員忌避者を家族にもつ人物が首相を務めることになる。

ゼレンスキーは元欧州・大西洋統合担当副首相で法務大臣のオリガ・ステファニシナを駐米大使に任命した。ところが、前述したNABUは6月から、彼女に対して重大な結果をもたらす権力または公的地位の濫用に関する条文に基づき、刑事訴訟手続きを調査している。ステファニシナの元夫に関連すると思われる企業が、以前差し押さえられた資産を国から受け取って管理しているという情報が流れ、訴訟手続きがはじまったのだ。

しかし、今回の人事で、彼女は米国へ逃避することが可能となる。

ゼレンスキー政権はまだまだたくさんの汚職事案をかかえている。だからこそ、彼は権力にしがみつき、大統領任期が切れて1年以上経っても戦争を継続することで、戒厳令下にウクライナを置くことで選挙を回避しているとも言える。

ザルジニーに賭けるトランプ政権

こうした事情を知ったうえで、トランプ政権の中枢部には、ゼレンスキーを大統領の座から追放し、戦争の停止と和平を本格化する必要性を強く訴える者がいる。先に紹介したハーシュは、紹介した記事のなかで、つぎのような決定的な話も明らかにしている。

「ザルジニーは現在、ゼレンスキーの後継者としてもっとも信頼できるとみられている。私は、ワシントンの事情通の高官から、数カ月以内にその仕事が彼のものになるかもしれないと聞いている。」

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ザルジニーとは、ヴァレリー・ザルジニーのことである。元ウクライナ軍総司令官で、現在、駐英ウクライナ大使を務めている。

問題は、どのようにゼレンスキーを追い出すかにかかっている。力ずくで追放するにしても、一体、どのように行うのか。

楽観的なシナリオもある

もっとも楽観的な見通しを披歴すると、それは、9月上旬までにゼレンスキーおよびその背後にいるイェルマークを追放するというシナリオである。理由は簡単だ。The Timesがプーチン、トランプ、習近平の3人が9月の第二次世界大戦終結80周年記念式典で会談する可能性があると報じているからだ。

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もしこれが実現するとすれば、それなりに画期的な進展がウクライナ戦争について起こると予測できる。つまり、戦争継続派のゼレンスキーやイェルマークを追い出し、ザルジニーを大統領に据える方向性を明確にして、一次停戦を実行に移すのである。あまりにも楽観的すぎるかもしれないが、頭の片隅にとどめておくだけの価値はあるだろう。

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