物をこすり合わせると静電気が発生する仕組みがついに明らかに

科学論

研究チームが主張する新しいモデルの中心にあるのは、物体が滑る際に生じるひずみに抵抗する能力である「elastic shear(せん断弾性)」という概念です。せん断弾性があることによって、テーブルの上でトレーや本を滑らせても、手を離すとすぐに止まってしまいます。

2つの材料をこすり合わせると、せん断弾性によって材料の前面と背面で異なる弾性ひずみが生じ、分極とそれに伴う電荷が異なるため、電流の流れが発生すると研究チームは説明しています。このモデルは摩擦帯電のすべての側面を説明しているわけではないものの、主要な問題を解決するものだとのこと。

マークス氏は、「静電気は単純な方法でも深遠な方法でも、人生に影響を与えています。たとえば、粒子に静電気が帯電することが、コーヒー豆のひき方や味に影響を与えます。また、静電気によって粒子が衝突し、その塊が惑星になるという重要なステップがなければ、おそらく地球は惑星にならなかったでしょう。私たちの生活のどれほどの部分が静電気に触れており、宇宙のどれほどの部分が静電気に依存しているのかを考えると、それは驚くべきものです」とコメントしました。

物をこすり合わせると静電気が発生する仕組みがついに明らかに
古代ギリシアの哲学者であるタレスは紀元前600年頃、琥珀(こはく)を布でこすると、ほこりなどを引きつけることを発見しました。これが静電気に関する初の報告といわれていますが、物同士をこすり合わせると静電気が発生する摩擦帯電の仕組みについては、発見から2000年以上が経過した現代でもわかっていませんでした。そんな摩擦帯電が発生する理由について、ノースウェスタン大学の研究チームが初めて説明することに成功しました。

物をこすり合わせると静電気が発生する仕組みがついに明らかに


古代ギリシアの哲学者であるタレスは紀元前600年頃、琥珀(こはく)を布でこすると、ほこりなどを引きつけることを発見しました。これが静電気に関する初の報告といわれていますが、物同士をこすり合わせると静電気が発生する摩擦帯電の仕組みについては、発見から2000年以上が経過した現代でもわかっていませんでした。そんな摩擦帯電が発生する理由について、ノースウェスタン大学の研究チームが初めて説明することに成功しました。

What Puts the “Tribo” in Triboelectricity? | Nano Letters
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.nanolett.4c03656


Why petting your cat leads to static electricity: For Journalists – Northwestern University
https://news.northwestern.edu/stories/2024/september/why-petting-your-cat-leads-to-static-electricity/?fj=1

We Finally Know What Creates Static Electricity, After Thousands of Years : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/we-finally-know-what-creates-static-electricity-after-thousands-of-years

静電気は非常に身近であり、子どもの頃にこすった下敷きで髪の毛を逆立たせたことがある人は多いはず。このように、異なる2種類の物質をこすり合わせると一方から他方へ電荷が移動して電気が発生する現象のことを、摩擦帯電と呼びます。

摩擦耐電の存在自体はタレスの時代から知られていましたが、その具体的なメカニズムについての説明はありませんでした。ノースウェスタン大学工学部のローレンス・マークス名誉教授は、「タレス以来、毛皮に限らずあらゆる絶縁体において、摩擦によって静電気が帯電することが明らかになってきました。しかし、科学的なコンセンサスは多かれ少なかれ、ここで終わってしまいました」と述べています。

マークス氏らの研究チームは2019年の論文で、2つの材料をこすり合わせるとその表面にある微細な突起が変形し、この変形によって電圧が発生することを発見しました。


そして新たな論文で、マークス氏の研究チームはさらに詳しくこの現象を説明しました。マークス氏は、「2019年に私たちは何が起こっているのかを知るための種を手に入れました。しかし、すべての種がそうであるように、成長するには時間が必要でした。そして今、種は花開きました。私たちは電流を計算する新しいモデルを開発し、さまざまなケースの電流値が実験結果とよく一致しました」と述べています。

研究チームが主張する新しいモデルの中心にあるのは、物体が滑る際に生じるひずみに抵抗する能力である「elastic shear(せん断弾性)」という概念です。せん断弾性があることによって、テーブルの上でトレーや本を滑らせても、手を離すとすぐに止まってしまいます。


2つの材料をこすり合わせると、せん断弾性によって材料の前面と背面で異なる弾性ひずみが生じ、分極とそれに伴う電荷が異なるため、電流の流れが発生すると研究チームは説明しています。このモデルは摩擦帯電のすべての側面を説明しているわけではないものの、主要な問題を解決するものだとのこと。

マークス氏は、「私たちは初めて、『なぜ物体をこすることが重要なのか』という、これまで誰も説明できなかった謎を解き明かしました。これまでにも人々は試行錯誤を繰り返してきましたが、正当化できない仮説がなければ実験結果を説明できませんでした。その答えは驚くほど簡単でした。こする物の表と裏が変形し、異なる電荷を持つだけで電流が流れるのです」と述べました。


静電気は下敷きで髪の毛を逆立てるといった遊びにも用いられる身近な現象ですが、静電気の放電による火花が産業火災や爆発を引き起こしたり、粉末医薬品の塗布を妨げたりすることもあります。静電気のメカニズムをより良く理解することで、研究者がこれらの問題を解決する新たな方法を思いつく可能性があるとのこと。

マークス氏は、「静電気は単純な方法でも深遠な方法でも、人生に影響を与えています。たとえば、粒子に静電気が帯電することが、コーヒー豆のひき方や味に影響を与えます。また、静電気によって粒子が衝突し、その塊が惑星になるという重要なステップがなければ、おそらく地球は惑星にならなかったでしょう。私たちの生活のどれほどの部分が静電気に触れており、宇宙のどれほどの部分が静電気に依存しているのかを考えると、それは驚くべきものです」とコメントしました。

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