24節気の健康と食養:寒露から霜降まで
24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
寒露 初候 鴻雁来(こうがん きたる)雁が飛来し始める
次候 菊花開(きくの はな ひらく)菊の花が咲く
末候 蟋蟀在戸(きりぎりす とに あり)蟋蟀が戸の辺りで鳴く
秋分の次にやってくる24節気が寒露で、毎年10月8日頃(2024年は10月8日)になります。朝は冷気により寒々とした露がたくさん結ぶようになり、秋もいよいよ本番となります。1年で一番過ごしやすい時期ではないでしょうか。
でも、日中に汗をかいて日が落ちるとスコッと肌寒く感じて風邪を引いいてしまう、ということになりやすいですから、十分に用心なさってください。
さて、前回(秋分)で申しましたが、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。
ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前々回紹介しました秋刀魚(サンマ)(今年もチョウ不漁で高価ですが)、前回紹介しましたイワシが旬になっています。焼き魚にして脂を切り、はらわたや骨まで食べるのが理想的です。もっともサンマの場合は骨は硬いですから焼き直す必要がありますが。
野菜を多く摂ってミネラル不足を解消するのが一番ですが、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、不十分になりがちです。まだ夏バテ(秋バテ)している方は総合ミネラル剤で不足分を充足させる必要がありましょう。
本格的な涼しさの訪れとともに食欲がぐんと出てきます。食欲の秋の到来です。馬肥ゆる秋です。前回(秋分)にも申しましたが、四季がある地域に住む動物は、冬の食糧不足と寒さ対策のために、この時期に限って飽食します。ヒトも同じ動物ですから、秋に飽食したくなる体質になっており、大いに食欲の秋を満喫していいのではないでしょうか。
ただし、冬になったら、そして夏も、腹八分かそれ以下にすべきですが。
参考までに、飽食して太ったらその後はダイエットして一時的に痩せると健康にとてもいいです。それはどうしてか。「冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し」をご覧ください。
この時期、小生が魚釣りに行った帰りに時々買い求めるのが「サバの浜焼き」です。サバのうち「マサバ」は日本近海で獲れる代表的なサバの種類。「秋さば」「寒さば」などと呼ばれるように、秋から冬にかけてが脂がのり、美味です。串刺しし、脂を切るため斜めに立てて炭火でじっくりと焼いた「浜焼き」ほど美味しいものはありません。でも、この正統な焼き方はほとんど姿を消してしまい、残念です。味が落ちます。
ところで、“秋サバは嫁に食わすな”ということわざがあります。2説ありますが、ここは、“サバは非常に痛みやすいものだから食中毒でも起こしたらお腹の子にさわる”ということにしておきましょう。詳しくは、「秋ナスと秋サバは嫁に食わすな!」をご覧ください。
気象は、これも前回(秋分)にも申しましたが、カラッとした大陸の空気が入り込むことが恒常化し、空気は乾いています。秋の臓器は肺で、肺は乾燥を嫌います。肺に潤いを与えてあげねばなりません。それには、食が大いに関係します。もっとも重要なのが「辛味」で、これが肺を潤してくれます。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
畑では露地物のピーマンやシシトウの収穫がピーク終盤となり、これからの時期は昔であればピリッと辛いピーマンやシシトウが多くなったのですが、今はすっかり品種改良されてしまい、これら皆、辛くないものばかりになりましたから、残念です。食卓に乗った料理には、唐辛子なり胡椒を気持ち多めに振りたいものです。
また、これから旬となったショウガが採れはじめますから、料理に使いたいものです。
そして、これも前回(秋分)で申しましたが、秋はカレーライスの季節です。この時期、辛いカレーライスがますますおいしく感じられます。でも、過ぎたるは及ばざるが如しでして、激辛は度が過ぎて肺を痛めつけることになりますから、ほどほどになさってください。
ところで、カレーに入れる肉は、鶏、豚、牛、羊といったものがあげられますが、お年寄りの場合は牛、できれば羊がおすすめです。というのは、肉に含まれるカルニチンの量がこの順番でぐんと多くなるからです。カルニチンは、エネルギー代謝向上のほか「脳力」アップにとてもいいものです。詳しくは別立てブログの『アミノ酸誘導体「カルニチン」に意外な効能あり、それは「脳力」アップ』をご覧ください。
果物では、梨、ブドウ、イチジクが終りかけ、これから旬となるのが柿です。
“柿が赤くなれば、医者が青くなる”という言葉がありますが、トマトやリンゴも同様の言い方がされます。それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょうが、毎日ほどほどの量を、ということになりましょう。特に、柿は冷性の食品ですから、食べ過ぎると体を冷やしますので、ご用心を。でも、旬のものですから、冷え症の方も少しは食べましょう。体にこもった熱や炎症で生ずる熱を取り去る力が柿にはありますから。
次回は、「霜降」(10月23日頃)からの健康と食養です。
コメント