このような記事がネット上とはいえ公に出てくることは大きな変化だと思います。
この事件は、世界的な潮流に大きな影響を与えるでしょうね!
トランプ暗殺未遂事件報道に覚えた大いなる違和感と、状況証拠から見た「黒幕はバイデン陣営」説の信憑性
次期大統領候補の暗殺未遂事件なのに
トランプ前大統領が、ペンシルバニア州で開いた集会で狙撃される事件が起こった。8発から10発放たれた銃弾のうちのおそらくは2発目のものが、トランプの右耳上部を貫通したが、トランプは即座に姿勢を低くし、さらに多くのシークレットサービスが護衛に駆けつけたことで、最悪の事態は避けることはできた。
とはいえ、流れ弾に当たって観客の一人が亡くなった他、2人が重症を負う、とても痛ましい事件となった。
来る11月の大統領選挙における最有力候補の暗殺未遂事件であり、当然、アメリカの民主主義を揺るがす重大事だと認識すべき事案だが、主流派マスコミの一部には、この事件を極力小さなものとして扱おうとする傾向も見られた。
例えばアメリカで最も発行部数の多い新聞であるUSA Todayは、「トランプは、前大統領と聴衆が大きな物音に驚いた後、シークレットサービスによってステージから降ろされた」との見出しでこの事件を報じた。
ここには暗殺未遂といった表現すら入ってない。本文を読むと、トランプの耳と頬に血がついているようだったとは書かれているが、その血がトランプのものであるかどうかさえ書かれていないものだった。
右耳に当たった銃撃があと数センチずれていれば、トランプの頭は撃ち抜かれていたわけだが、そんな重大な危険にさらされたトランプに寄り添う意識は、USA Todayのこの記事からは全く感じられない。
生じた事態を、素直に民主主義に対する重大な危機として捉える意識も感じられない。こういう姿勢には大いなる違和感を覚えるが、それはUSA Todayが「反トランプ」という政治的立場こそが正しいという「前提」を持ち込んでいるからのように、私には感じられる。
リベラルメディアに共通する「前提」
アメリカのみならず、日本においても、同じような報道姿勢が見られた。
例えばTBSの看板番組であるサンデーモーニングの中で、コメンテーターの藪中三十二・元外務事務次官は、トランプが発砲音の直後に右こぶしを振り上げて無事をアピールしたことについて、こう発言した。
「『オレは元気だぞ!』と。むしろ選挙戦でいうと、変な話ですけど、有利に働く可能性がある」
さらにこの発言を受けて、メインキャスターの膳場貴子氏も、こう応じた。
「そうですね。プラスのアピールにもなりかねない、という感じもしますね」
ここでも、トランプが敗北することが善であると言わんばかりの「前提」があり、現実に命を狙われ、怪我を負ったトランプに心を寄せる意識がまるでないことがわかる。
そういえば2年前、安倍晋三元首相襲撃事件が起こったことに、作家で法政大教授の島田雅彦氏が「いままで何ら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えば、暗殺が成功して良かった」との発言を行い、SNS上で大問題になったことがあった。その時も、主流派メディアはこの問題を大きく取り上げようとはしなかった。
右の議論も左の議論も対等な立場で扱い、事実と論理によって優劣を決するのが正しい姿勢だと私は考えるが、いわゆる「リベラル」を自称する人たちは、右の議論自体を頭から否定しようとする傾向が強い。そして右の論客から左の論客が批判される場合には、無前提に擁護しようとする。
こうした党派的立場を脇に置いて、右でも左でも対等に議論できる空間を作り上げたいものだが、自らの立場を脅かされている「リベラルメディア(=主流派メディア)」は、自らの影響力の低下を恐れているのか、党派的姿勢を常に優先する動きに出ているのではないかと思えてならない。
「黒幕はバイデン陣営」説の信憑性は?
ところで今回の事件について、実はバイデン陣営側が仕組んだものではないかという疑いも生じている。それこそ「陰謀論」の類に思える見方だが、状況証拠の面から見ると、確かに「怪しい」と感じても無理からぬ話がいろいろと出ているのだ。
狙撃犯がどこかからトランプを狙っている可能性を警戒して、集会が開かれたオープンスペースの会場に隣接した建物の屋根には、トランプを警護するためのシークレットサービスが銃を構えて警戒にあたっていた。そしてその場所から130mほどしか離れていない建物の屋根で狙撃犯は銃を構えていた。
シークレットサービスが銃を構えていた屋根と、狙撃犯が銃を構えていた屋根の間には、障害となる建物は存在していなかった。しかもシークレットサービスがいた屋根のほうが高い位置にあるのだ。
普通に考えればシークレットサービスが狙撃犯に気づかなかった可能性は皆無に近い。だが、シークレットサービスは狙撃犯の動きを止めるための行動を、事前には何も行っていないのである。
ラリー会場にいたグレッグ・スミス氏は、銃撃の数分前にライフルを持った男が演説会場の外の建物の屋根を這うような姿勢でいることに気が付き、現場を巡回していた警察官に連絡をしたのに、警察もシークレットサービスも動いてくれず、トランプの演説がどうして続けているのかと思っていたら銃声が聞こえたと、BBCに証言している。
●Witness says he saw gunman on roof near Trump rally(BBC, July 14)
スミス氏はまた、銃撃犯が登った屋根についても、そもそもなぜあそこにシークレットサービスが上がっていなかったのかという疑問を呈してもいる。
スミス氏の疑問はもっともだ。シークレットサービスはラリーの行われる会場を事前に検討し、どこに人員を配置するか、狙撃犯が銃撃を行うとしたらどの地点が考えられるか、それを潰すにはどうすればいいかの具体策を決めていたはずだ。
狙撃犯が狙える屋根を事前に特定しながら、そこにシークレットサービスを張り付かせなかったのは、重大な落ち度ではないのか? 仮に割り当てられた人数の問題でその場所に人員を配置することができなかったとしても、そこに狙撃犯が現れる可能性を事前に想定していなかったということがありうるのか?
そして想定していなかったとしても、実際に現れれば、十分に視認できたのではないか? ラリー会場に来ていた一般参加者ですら気づいていたのに、シークレットサービスが見落としていたということが本当にありうるのか?
こうして考えていくと、警護のプロとしてのシークレットサービスが、ありえないミスを何重にも重ねていることになってしまう。
バイデン民主党陣営はどう答えていくのか
犯人がシークレットサービスに射殺される前に何発も発砲することができたことについて、FBIのピッツバーグ事務所の責任者であるケビン・ロジェック氏は驚きを隠さず、シークレットサービスはこの疑問に答える必要があると語っている。
さらに、マイク・ウォルツ共和党下院議員は、アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官が、トランプ前大統領に対するシークレットサービスによる保護の強化を何度も拒絶していたことを主張している。
大統領選挙でトランプ優勢が伝えられる中で、熱狂的な反トランプ派からトランプの命が狙われる可能性が高まっているのは自明であり、トランプの警備強化を図るのは当然の動きであっただろう。それなのになぜマヨルカス長官はこうした要請を拒み続けていたのだろうか。
ちなみに、今年4月には、下院民主党は、トランプに対してシークレットサービスによる保護の提供を停止することを求める議案を提出していた。
この法案は、以前は保護されるべきとされていた人物が、有罪判決を受け極めて不名誉な状態になった際に、無限の安全と政府資源を割り当てることを否定するという内容で、建前としてはトランプだけをターゲットにしたものではないが、内容的には事実上トランプをターゲットにしたものであるのは明らかだ。
このように見た場合、バイデン民主党側はトランプに対する警護を手薄にしたいという意図があったのではないか、シークレットサービスが意図的に狙撃犯を泳がせたのではないか、という疑念さえ、考えられるシナリオとして浮上することになるだろう。
もっとも全容が解明されていない現段階で得られる限られた情報だけで結論を決めつけるのは不適切だろう。しかし、こうした当然の疑問に、シークレットサービスやバイデン民主党がどう答えていくのか、今後の動きに注目したい。
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