
小泉進次郎政権への布石か?コメ高騰「仕掛けられたシナリオ」の真相とジャパン・ハンドラーの思惑=高島康司

将来、小泉進次郎氏が首相に就任した場合、日本政治や外交にどのような変化が起きるのか。本記事では、石破総理の政権運営をめぐる動向や衆議院解散の可能性、そして小泉氏の急激な人気上昇に伴う首相登板の展望を解説する。さらに、トランプ政権下で刷新された米国の対日外交を担う新たな「ジャパン・ハンドラー」たちや、アメリカ・ファーストを掲げる外交政策の行方についても深掘りし、今後の日米関係と日本の外交戦略について解説する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
小泉進次郎が首相になったら何が起こるのか?
将来、いずれかの時期に小泉進次郎が首相になった場合、何が起こるのか展望する。前回の記事の続きである。
【関連】小泉進次郎を首相に?米国「ジャパン・ハンドラー」総入れ替えが意味するもの=高島康司
自民党の森山幹事長は、野党側が内閣不信任決議案を提出した場合の対応について、石破総理大臣が適切に判断するという考えを示した。自民党内からは、提出されれば石破総理大臣が採決を待たずに衆議院の解散に踏み切るのではないかという見方も出ている。
今の国会の会期末まで3週間を切る中、終盤国会に向けて、立憲民主党が石破内閣に対する不信任決議案を提出するかどうかが焦点となっている。
これについて、自民党の森山幹事長は3日の記者会見で「野党が不信任決議案の提出を決定したとは、まだ承知していないし、その件について私が石破総理大臣と相談したということもない」と述べた。そのうえで「仮に不信任決議案が提出されれば、石破総理大臣が適宜適切に判断されるものだ」と述べた。
内閣不信任決議案をめぐっては、自民党内から、提出されれば石破総理が採決を待たずに衆議院の解散に踏み切るのではないかという見方も出ている。
まだ分からないが、衆議院の解散して総選挙が実施される可能性は大きくなっている。いま進次郎の人気が非常に高まっているので、いまの時点で総選挙を実施すると、自民党は大勝して議席を増やし、少数与党の状態を脱するかもしれない。すると、しばらくは石破政権は続くだろうが、自民党勝利の立役者である小泉進次郎の人気も高まり、近い将来、いずれかの時期に首相になる可能性は高くなることは間違いない。
新しい「ジャパン・ハンドラー」の動き
前回の記事では、トランプ政権でかつてのエスタブリッシュメント型の「ジャパン・ハンドラー」はすべて排除され、トランプの「アメリカ・ファースト」の外交方針で動く新しいメンバーに完全に入れ替わったことを書いた。コルビー国防次官やポンペオ元国務長官などのメンバーを紹介したが、他にどのような人々が新しい「ジャパン・ハンドラー」なのかを紹介する。以下のような人々だ。
<ケネス・ワインスタイン>
「ハドソン研究所」で「日本部門」の統括者。岸田・安倍両政権関係者とも交流する。経済安全保障、対中包囲網(QUADやIPEF)に関する提言者だ。実際に日本の政治家・研究者・官僚と定期的に会談・政策交流を行っている。
<ジョセフ・M・ヤング>
米国外交官。2025年2月から4月まで駐日米国大使代理を務め、日米関係の維持に努めた。長年にわたり日本に関与し、安定した外交関係の構築に貢献している。
<ビル・ハガティ>
米国上院議員(テネシー州選出)。2017年から2019年まで駐日米国大使を務め、日本との関係構築に尽力した。日本の自民党副総裁・菅義偉と親交が深く、トランプ政権とのパイプ役として期待されている。
このような人々だ。そして、前回紹介したエルブリッジ・コルビーやマイク・ポンペオを含め、次のような日本の政治家との接触が確認されている。
<茂木敏充>
前自民党幹事長。2019年に外務大臣を務め、トランプ政権との貿易交渉を主導した。「トランプのささやき役(Trump whisperer)」と称され、日米交渉のキーパーソンとされている。
<山田重夫>
駐米日本大使(2023年12月着任)。外務省で北米局長などを歴任し、トランプ政権とのパイプを築いてきた。すでに以前からトランプ政権再登場を見越し、関係構築に努めている。
<小泉進次郎氏(農水相)>
2024年、「ハドソン研究所」主催のイベントに参加し、日米同盟の重要性や外交関係について議論した。
<小野寺五典氏(元防衛大臣)>
同じく2024年のイベントで、ワインスタインと共に日米同盟や地域安全保障について意見を交わした。
<佐々江賢一郎氏(元駐米大使、日本国際問題研究所会長)>
2022年と2024年に「日本国際問題研究所(JIIA)」主催のウェビナーで、ワインスタインと共に米国の政治情勢や日米関係について議論した。
<玉城デニー(沖縄県知事)>
2024年、ワインスタインは沖縄の安全保障環境や米軍基地問題について、玉城知事と意見交換を行った。
また、石破首相も彼らと接触していることが分かっている。これらの人々が新しい「ジャパン・ハンドラー」の接触対象になっている。このリストに小泉進次郎も入っていることは大変に興味深い。
「CFR」の排除と外交方針の変化
これらの新しい「ジャパン・ハンドラー」が推進する外交政策こそ、「アメリカ・ファースト」だ。前回にも書いたように、これはアメリカの国益の維持を最優先にして、同盟国も含め、すべての国々をアメリカの方針に従わせるという戦略だ。バイデン政権までのアメリカは、政権が民主党であれ共和党であれ、外交方針には継続性があった。それは、アメリカがその国益を短期的に妥協したとしても、アメリカ中心の安定した国際秩序を同盟国と協調して構築し、アメリカの覇権が結果的には維持できる長期的な利益を追求するというものだ。
ところが、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」はそうではない。トランプ政権は安定した国際秩序の維持には関心がない。あらゆる国際関係でアメリカの利益を最優先で追求し、同盟国であろうがなかろうが、他の国々にはアメリカの国益の尊重を強く迫る。こうした方針だ。
一方、アメリカの覇権維持に向けた外交政策は、軍産複合体とウォールストリートを中心に結成されたシンクタンク、「外交問題評議会(CFR)」によって立案されてきた。
「CFR」が追求しているのは、グローバリストの世界戦略である。主権国家を乗り越えた世界政府統一中心の「ニューワールドオーダー(NWO)」を形成し、アメリカの超富裕層が世界中で規制なしに自由に投資できる、資本主義の世界的なシステムの構築を目指す。
「CFR」の政治的な影響力は絶大である。歴代政権の外交政策は国務省の部局、「政策企画本部」によって立案される。この部局の部長は「CFR」のメンバーであることが多い。「政策企画本部」は「CFR」からの指示と要望にしたがって、アメリカの外交政策を立案するという関係にある。
このような「CFR」は、バイデン政権までのの外交政策を全面的に担っていた。一方、前トランプ政権では「CFR」のメンバーは閣僚ポストからすべて排除されていた。「CFR」の影響下にある「政策企画本部」の部長さえも、トランプ政権下では「CFR」のメンバーではなかった。
一時は「CFR」がトランプ政権に擦り寄る態度も見せたものの、今回のトランプ政権でも「CFR」とは鋭い緊張関係にある。「CFR」はトランプ政権の外交政策の立案からは完全に排除されている。トランプ政権の閣僚には、「CFR」のメンバーはいない。
「政策企画本部」局長のマイケル・アントン
そして、これまで「CFR」の外交方針を具体的な外交政策に落とし込む役割であった国務省、「政策企画本部」を統括する局長も「CFR」に敵対的な人物に変わった。マイケル・アントンである。
マイケル・アントンは、米国の外交政策において「アメリカ・ファースト」の理念を中心に据え、国家安全保障と経済政策の統合、同盟国との関係再構築、そして専門的な交渉能力を活かした実務的なアプローチを展開している。彼の指導の下、政策立案局は米国の国益を最優先に考えた戦略的な外交政策を推進している人物だ。彼が出している方針こそ、現在のトランプ政権の外交政策を強く反映したものである。
それは、次のような政策だ。
<1. 「アメリカ・ファースト」戦略の推進>
マイケル・アントンは、ドナルド・トランプ前大統領の国家安全保障会議(NSC)でスポークスマンを務めた経験があり、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策の主要な支持者として知られている。彼の外交政策の基本的な立場は、米国の主権と国益を最優先し、多国間主義よりも二国間交渉を重視することにある。このアプローチは、同盟国との関係においても、米国の利益を最前面に据える姿勢を示している。
<2. イラン核交渉における技術的リーダーシップ>
2025年4月、アントンはイランとの核問題に関する技術的交渉チームのリーダーに任命された。この交渉は、オマーンで行われる高官級協議と並行して進められ、ローマでの前回の協議では、両国が潜在的な核合意の枠組みを策定することで合意した。アントンの任命は、専門的な知識と経験を活かして、米国の立場を強化する意図があると考えられる。
<3. 国家安全保障と経済政策の融合>
アントンは、国家安全保障と経済政策の統合を重視している。彼の経歴には、「ブラックロック」のマネージングディレクターとしての経験があり、経済と安全保障の相互関係を深く理解している。この視点から、彼は経済的手段を活用して外交政策の目標を達成する戦略を支持している。
<4. 同盟国との関係再構築>
アントンの政策企画局長としての役割には、同盟国との関係を再評価し、米国の利益に基づいた新たな協力体制を構築することが含まれる。彼は、伝統的な同盟関係を維持しつつも、各国との関係を再検討し、必要に応じて調整を行う柔軟なアプローチを取っている。
アントンの日本に対する方針
では、アントンのような「アメリカ・ファースト」主義者は日本に対してはどのような方針で迫るのだろうか?
日本に対して経済的圧力、特に関税や貿易交渉を戦略的レバレッジとして使用することを辞さないと思われる。高関税の適用と安全保障政策を絡めてくる可能性が非常に高い。日本に、中国封じ込め策への全面協力を要請することの考えられる。
アントンを筆頭にした「アメリカ・ファースト」主義の政策を簡単にまとめた。
<基本方針>
関税はアントンにとって「交渉の武器」
アントンは、トランプ政権時代の政策立案に深く関わった人物であり、当時の「関税は交渉のツール」という考えを共有している。彼の思想では、同盟国であっても米国の安全保障戦略に同調しない場合は経済的圧力を行使すべきとする立場。
日本が対中貿易で慎重な姿勢をとり、米国の封じ込め戦略(特に半導体輸出管理など)に積極的に加わらない場合、アントンは、日本製品(例:自動車、部品、電子機器など)に高関税を課すことを「示唆」または「警告」する可能性が高い。
<要求される可能性のある協力内容>
1. 対中半導体輸出の制限強化
日本企業が中国に輸出している最先端製造装置(例:東京エレクトロン、ニコンなど)に対して、アメリカの方針に全面的に一致させることを求める。
2. インド太平洋における安全保障協力
台湾有事に備えた基地使用、補給支援、情報共有体制の強化。自衛隊の役割拡大に向けた法的・政治的準備。
3. 中国依存の脱却と経済連携
米国主導の経済枠組み(IPEFなど)への積極的参加と、対中依存の低下を日本に強く要求。
日本の立場とジレンマ、進次郎はどうするのか?
トランプ政権からこうした要求が出された場合、明らかに日本はジレンマに陥ることになる。
日本は中国と経済的に深く結びついており、「全面的な封じ込め」には慎重でなければならい。一方で、日米同盟と経済的安全保障を考慮すれば、米国の圧力には一定の譲歩を強いられることになる。
アントンのような戦略家はこの日本の立場の「間隙(ギャップ)」を突き、「関税という鞭」で協力を引き出そうとする可能性が高い。アントンが日本に中国封じ込めへの全面協力を求め、従わなければ高関税の適用をちらつかせる戦術を取るのは、彼の思想と過去の行動パターンから見て極めて現実的だ。
その際の交渉は、安保・経済・外交の全方位戦となり、日本政府には高度なバランス感覚と戦略的判断が求められる。現在、高関税の適用を巡る日米の交渉も妥結に近いと見られている。日本からの多額の投資と引き換えに、24%の高関税を10%に低める方向で妥結しそうだとのうわさもある。しかし一貫性のないトランプ政権は、この妥結した結果を反故にする可能性も十分に考えられる。最終的には、経済交渉と安全保障をセットにして組み合わせると思われる。
衆議院選挙が実施され、自民党内で影響力を大きく増した進次郎は次期首相になる動きが加速してくるのは、こうしたタイミングなのだ。極端な対米従属路線で、アメリカの要求通りに日本に新自由主義的な競争原理を導入した小泉純一郎の政権は、実質的に日本を大きく停滞させた。大都市には派遣切りされたネット難民が溢れ、ホームレスも一気に増大した。また、犯罪率も増加した。ただ、株価だけが上がった。
小泉政権のもう一つの特徴は、強い反中国の外交方針だったことだ。中国との関係は明らかに悪化した。
しかしいま、小泉政権の2005年や2006年当時の中国とは、2025年の中国は根本的に異なるのだ。不動産バブルの崩壊によるネガティブな影響もあるものの、中国は「新産業」と呼ばれる新しいハイテク製造業を基礎にした経済構造の構築に向かって急速に動いている。現代の中国の国力は、20年前とは比べものにならないくらい巨大化している。中国は、日本の貿易パートナーとしてもナンバーワンの位置にいる。
そうした状況で、トランプ政権の中国完全封じ込め政策に全面的に協力することは、日本を決定的に停滞させることにもなるだろう。中国とはバランスを持った関係の構築が必要になる。
では、小泉進次郎が政権の座に就いたとき、こうした高度なバランスを維持することができるのだろうか?旧「ジャパン・ハンドラー」の子飼いとして父親と同じような対米従属路線を採り、日本を危機へと導くことにならないか要注意だ。トランプ政権でアメリカという国は、経済的にも政治的にも確実に衰退するだろう。そのような状況の対米従属路線は意味をなさないはずだ。小泉進次郎の動きには要注意だ。
米の高価格は仕掛けられていたのか?
しかし、ちょっとうがった見方になるかもしれないが、米価の急上昇に米騒動は進次郎を総理に据えるために仕掛けられた全体的なシナリオの一部だったのではないだろうか?
なぜ米価はここまで高騰しているのか、結局その原因は分かっていない。米の生産量にはなんら不足はなかった。価格高騰をねらった「jA農協」による買い占め、大手流通業者の買い占め、政府の需給見通しの失敗などが指摘されているが、どれも実際にそうであったのか確認できていない。いまでも米価の高騰の原因は、謎なのである。
しかし、米価の予想を越えた謎の高騰、江藤前農水相の米価下落策の失敗と失言による辞任、進次郎の登場と米の随時契約による一部米価の一気の引き下げ成功、そして進次郎人気の高まりと総選挙に向けた動きの加速である。
これはどう見ても、進次郎を将来の首相に就けるための仕掛けられたシナリオのようにも見える。あまりにも出来過ぎているのだ。もしこれが「ジャパン・ハンドラー」が仕掛けたシナリオであれば、進次郎は父親の小泉純一郎を上回る対米従属路線の人物になるのではないだろうか?
もしそうであれば、進次郎の政権とともに、日本はアメリカとともに衰退するのではないかと思う。本当に要注意だ。



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