米国の機密文書がイランに筒抜けだった
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)10月22日(火曜日)
通巻第8470号 <前日発行>
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米国の機密文書がイランに筒抜けだった
AIの悪魔、秘密通信のノウハウを破るハッカーが世界を変える
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2024年10月20日、米国連邦下院のジョンソン議長は「イスラエルが準備中とされるイランへの反撃計画に関する米国の機密文書が、インターネットに流出した疑いがあり、米政府が調査を始めた」と明らかにした。改めて「機密情報の漏洩は非常に懸念すべきことだ」と付け加えた。
当該文書は10月15、16日付の2点で、国防総省傘下の国家地理空間情報局や国家安全保障局が出所とされ、イスラエル軍の兵器移動計画や地対空ミサイルの演習内容が記されている。いずれも高度な軍事機密を含む文書とされる。
このように米国の最高機密が漏洩し、イランのハッカー集団と思われるテレグラムを利用した通信技術を駆使して、ネットに流れ出した。これは由々しき事態、国家安全保障の基盤を揺らす。しかもロシアの暗号通信ソフト『テレグラム』をイランが使用していた事実は注目に値する。
当該機密文書には列強の機密戦争、諜報謀略の深遠、その闇を照射する衝撃を運んだ。日本のメデイアは感度が鈍いか、それとも理解不足か、大きく報道してはいるが、分析に欠け、問題の何が重要なのかを理解していない。
米軍の機密文書はこう書いているのだ。
「イスラエルの動向から核兵器を使用する意図、その兆候は確認されていない」。
この一文が漏洩した機密文書の結論部分である。極秘扱いとされ、米国とその「ファイブアイズ」同盟国であるオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国のみが閲覧できるようになっているはず、嘗てスノーデンは多くの機密をばらしてロシアへ亡命した。アサンジは刑務所十数年で、釈放された。機密保護の概念が米国ですら薄れてしまったことも深刻な事態ではないのか。
こんかい漏洩した米国の機密文書はフェイクではなく、どうやら本物と思われる。米国当局はまだ公式コメントを出していない。
経過はこうである。
2024年10月1日、イスラエルによるヒズボラ指導者ハッサン・ナスララ師の暗殺、それに続いた指導部への攻撃に対する報復として、イランがイスラエルの軍事目標を狙った一連のミサイル攻撃を行った。イスラエルは鉄壁と言われたアイアンドームで殆どのミサイルを迎撃した。
当然、イスラエルは報復にでる。そのタイミングで当該文書がファイブアイズの同盟国の諜報機関に送信された。イスラエルがイラン攻撃に向けて準備を進めている様子が記されている。
また空対地ミサイルを含むイスラエル空軍の演習の概要が記され、イラン攻撃の準備と考えられた。イスラエルが核兵器を保有していることは常識だが、イスラエルと米国両政府は それを決して認めない方針が継続されている。
また米国が監視しているイスラエル軍の活動のさまざまな側面、すなわち武器の取り扱い、防空、地上部隊、海軍、空軍、特殊部隊、さらにはイスラエルの核戦力までが概説されている。
「イスラエル空軍はイラン攻撃の準備を継続し、2回目の大規模軍事演習を実施」である。この文書は、イスラエルがイランをどのように攻撃するかを示す、明らかな「ミッションリハーサル」(米国の用語)中のイスラエルの活動を詳述している。
日本の安全保障にとって無縁ではない。日本の機密は殆どが米露中英に筒抜け状態と考えられる。(ま、日本には最高の国家機密などありませんが。。。。。。。)
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